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プロツアー『破滅の刻』

観戦記事

準決勝:Samuel Black(アメリカ) vs. Samuel Pardee(アメリカ)

By Masashi Koyama

sf_black_pardee.jpg

 なぜプロツアーはこんなに魅力的なんだろう、とふと思う。

 なぜ、こんなに多くの人がプレイヤーの一挙手一投足に夢中になり、ゲームの行方を必死に追うのだろう?

 それは、きっとプロツアーを戦うプレイヤーが魅力的で、そんな彼らが全身全霊、一生懸命、持てる力を振り絞って戦う姿が、真剣勝負を、マジックを楽しむ姿が美しいからだろう。

 試合前、準決勝に向けシャッフルを行う「ふたりのサム」、サミュエル・ブラック/Samuel Blackとサミュエル・パーディー/Samuel Pardeeは楽しげに雑談を交わしていた。


サミュエル・ブラック

ブラック「3ゲーム先取ってどう思う?」

パーディー「俺はかなり好きだよ。ドラマチックなことが起きやすいからね。君は?」

ブラック「僕も割りと(好き)。2本落としてもまだプレイできるし(笑)」

 この最高の舞台を、奮い立つ戦いを、心の底から楽しんでいるように見えた。


ゲーム1

 7枚でキープしたパーディーに対し、ブラックはマリガン。5枚になった手札を見ると、少しだけ右眉を上げて即座にライブラリに戻すと、4枚をおもむろに手にし、占術を行う。

 そして、ブラックの後手1ターン目は......ドローしてターン終了。致し方ないとはいえ、ノーランドキープだった!

 それを尻目に《巻きつき蛇》から《巻きつき蛇》へ繋ぐパーディー。ブラックはカードを引いてターンを返すだけで、これ以上は無駄だと静かに手札をライブラリーへと置いた。

ブラック 0-1 パーディー


 サイドボーディング中もふたりは楽しそうに雑談を交わす。

 今度は7枚をキープしたブラックが「(どうせ《ボーマットの急使》が殴るんだから)ライブラリーの上を(盤面に)置いといていい?」と冗談を飛ばす。

 それにパーディーも軽口で応じ、その空気のまま2ゲーム目へなだれ込んだ。


ゲーム2

 言葉通り、ブラックの第1ターン、《ボーマットの急使》が走る。さらに《地揺すりのケンラ》を続け、序盤から快調に飛ばす。

 パーディーは《歩行バリスタ》をX=1で設置し、いつでも好きな方のクリーチャーを狙撃できる状態に。

 が、ブラックは2体目の《地揺すりのケンラ》。パーディーがたまらず片方の《地揺すりのケンラ》を《歩行バリスタ》で除去。ブラックは戦闘後に《ボーマットの急使》に《激情のカルトーシュ》をエンチャントした。

 さらにブラックは《アン一門の壊し屋》を追加し、パーディーのライフは早くも6。

 手札に《新緑の機械巨人》を抱えるも、その他のカードが昂揚を達成していない状況での《ウルヴェンワルド横断》では、生きながらえることは不可能だった。

ブラック 1-1 パーディー


サミュエル・パーディー
ゲーム3

 互いを通じて初めてのアクションは先手パーディー、3ターン目の《残忍な剥ぎ取り》。これは即座に焼き払われ、ブラックからは《ハンウィアー守備隊》。

 パーディーは《歩行バリスタ》をX=1で置き、《ハンウィアー守備隊》は戦闘前に《闇の掌握》。

 ブラックは《反逆の先導者、チャンドラ》を召喚し、パーディーの繰り出した《ゲトの裏切り者、カリタス》を《栄光をもたらすもの》で焼き払う!

 パーディーもすかさず《ゲトの裏切り者、カリタス》をおかわりするが、これは《反逆の先導者、チャンドラ》で処理される。そして、ブラックは《熱烈の神ハゾレト》を追加!

 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》でチャンプブロッカーは用意するものの、空を飛ぶ《栄光をもたらすもの》がどうにもならず、最後は《ラムナプの遺跡》で、ブラックが一歩先んじる形となった。

ブラック 2-1 パーディー

sf_black2.jpg
ゲーム4

 パーディーが《ハシェプのオアシス》から《ウルヴェンワルド横断》、《残忍な剥ぎ取り》という立ち上がり。

 ブラックは《ボーマットの急使》からパーディーの《残忍な剥ぎ取り》を除去するが、パーディーは《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》で防御網を固める。とはいえ、《ハシェプのオアシス》から緑マナを捻出していたこともあり、早くもライフは14に。

 パーディーは《ピーマの改革派、リシュカー》を召喚。これ自体は能力に対応して《削剥》されるが、3枚目の土地を引き込めないブラックを尻目に《ゲトの裏切り者、カリタス》がゲームを決めにかかる。

 ブラックも《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を送り出してみるのだが、これが除去されると肩をすくめながらカードを片付けた。

ブラック 2-2 パーディー


 運命を分かつ最後のゲームを前に、ブラックもパーディーもこれまでと変わることなく、この舞台を満喫している。

 そして彼らだけでなく、プロツアーに参加していたプレイヤーは会場に来て、それぞれがドラフトを、観戦を楽しんでいる。

sf_drafters.jpg sf_audience.jpg

 マジックは楽しい。

 ヘッドジャッジのジェフ・モロウの言葉を象徴するように。


ゲーム5

 ブラックがここに来て、ここまで来てトリプルマリガン。

 パーディーはブラックの《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を《致命的な一押し》し、さらに《巻きつき蛇》で主導権を握る。

 ブラックは《アン一門の壊し屋》から《地揺すりのケンラ》でライフを12まで削る意地を見せるが、パーディーは《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》で戦線を固め、盤面で圧倒する。

 《アン一門の壊し屋》も《不帰》で退け、最後は《ウルヴェンワルド横断》からの《新緑の機械巨人》で、ブラックを速やかに介錯したのだった。

ブラック 2-3 パーディー

サミュエル・パーディーがプロツアー『破滅の刻』決勝戦進出!

 不本意な形で激闘を終えたブラック。彼はそれでも笑顔で「プラチナになれたし、世界選手権も決まったし、いい週末だったよ」と残し、静かにフィーチャーマッチエリアを去っていた。

 そしてそのまま会場を後をする......わけではなく、インフォメーションブースに立ち寄り、嬉しそうにドラフトセットを受け取り、「これでまたドラフトができるね!」と去っていった。

 まだまだ遊び足りない子どものような屈託のない笑顔で――

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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