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EVENT COVERAGE
プロツアー『破滅の刻』
2017年殿堂顕彰者紹介
Brian David-Marshall / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru
2017年7月28日
議論の時間は終わりました。投票が行われ、新しい基準となる投票委員会の60%以上の票を集めたのはわずか2人のプレイヤーだけでした。2017年のマジック:ザ・ギャザリング・プロツアー殿堂顕彰者となったのは、チェコ共和国のマーティン・ジュザ/Martin Jůzaとアメリカ合衆国のジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leytonです。おめでとうございます。両選手は、アメリカ合衆国ニューメキシコ州アルバカーキで年内に開催されるプロツアー『イクサラン』に先立つ特別なセレモニーで殿堂入りを果たすことになります。そのセレモニーで両プレイヤーは殿堂の指輪を受け取り、同時に今後すべてのプロツアーに招待される権利を得ます。また、殿堂入りに際して短いメッセージを発することもできます。
さて、私は新しく選ばれた2人にグランプリ・京都2017直後に接触し、それぞれのマジック人生を振り返ってもらい、このエキサイティングなニュースへの反応を見せてもらいました。
マーティン・ジュザ/Martin Jůza
マーティン・ジュザはチェコ共和国初のプロツアー殿堂顕彰者となるプレイヤーで、プロツアー『霊気紛争』でのトップ8という記録を残した近年最高のシーズンの1つを終えるところです。このような成績は彼の人生で3度目で、今回の結果から彼は多くの得票を集めることができたのです。
ジュザはグランプリ通算で26回のトップ8入賞と4回の優勝という、グランプリ・レベルでは驚異的な成績を残しているプレイヤーの1人です。その中で、彼は534点のプロ・ポイントを積み重ねてきましたが、昨年の選出期間を経て、マジック史上の偉人に並んで顕彰されるだけの得票を集めるには、プロツアーで3回目のトップ8が必要だとわかりました。
昨年の殿堂選出までは投票の40%を得ればよかったので、3回目のトップ8となればジュザは必要な得票を得られると確信していました。しかし、顕彰されるために必要な票数が増えるという告知を受けて、確実ではなくなったと感じたのです。
「ジェットコースター気分だったよ」
安堵のため息をつきながら、ジュザはそう言いました。
「プロツアーでトップ8に入って、とても興奮したんだ。みんなが私に殿堂入りに必要なのはそれだって言っていたからね。そして、私の誕生日に、ウィザーズから60%に上げるって告知があったんだよ。みんなに無理だって言って回ったね」
ジュザは自分の殿堂入りの可能性は多く見積もって5%だと考えていましたが、他の殿堂顕彰者が投票についてオンラインで話し合っているのを見て、もう少し楽観的になれると感じたのです。
「ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasやパウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ/Paulo Vitor Damo da Rosa、それにカイ・ブッディ/Kai Budde、ウィリアム・ジェンセン/William Jensen、オーウェン・ ターテンワルド/Owen Turtenwald、中村修平といった人々が私に投票していたのを見たんだ。予想外だったよ。彼らの記事や投票理由を読んで、本当に嬉しかった。そして、可能性があると考えるようになったんだ。そしてあの夜、スコット・ララビー/Scott Larabeeから電話を受けたんだ。何かまずいことをしたんじゃないかと心配したよ。でも、彼の電話はそうじゃなかったんだ」
そう言ってジュザは笑いました。その電話は、2013年に彼が候補者のリストに名を連ねて以来、ずっと待っていた電話だったのです。
ジュザにとって殿堂への道は長く、ほとんど思いがけないものでした。ジュザが友人たちとマジックを始めたのは高校時代、『ウルザズ・デスティニー』の発売前後のことでした。
「私が初めて買ったブースターから《寄付》を引いたのを覚えてるよ」
ジュザはそのカードの需要を疑ったそうです。
「私のカードを対戦相手にあげる? そのためにカードを入れるわけがない! 私はゲームならなんでも好きで、これは面白そうで複雑そうで魅力的に見えたんだ。そしてこのゲームをプレイしている人が多かったんだ。私たちはいくらか競技的にデッキを作って、お互いに対戦していたんだ」
ジュザと彼のクラスメートはマジックにはまり込み、そして腕試しに地元のトーナメントに参加して、もっと経験豊かなプレイヤーの競技的なデッキに蹴散らされました。
「その後で、私たちはエクステンデッドのデッキを作ってプラハの大型トーナメントやプロツアー予選に参加するようになったんだ。そして、何年もの間、プロツアーに年1回参加できるようになった。強いプレイヤーが勝つのは、マジックを理解して、強いデッキを作っているからだってわかったんだ。私はマジックをプレイしていたけど、トレードもしていた。初めて参加したグランプリでは、不戦勝は持っていなかったんだ。しかもトレードに忙しくて、何回戦か不戦敗になってしまった。現実的な野望とかは持っていなかったけど、初めての国別選手権でトップ16に入れるぐらいではあったよ」
ジュザの初めてのチェコ選手権は、リミテッド部分に入るまでは順調でした。リミテッド部分は、すでに破棄されているロチェスター・ドラフトというフォーマットで、テーブルに表向きに並べたカードをドラフトするという、新規プレイヤーにとってはこの上なく不利なものでした。
「いい順位にいたんだよ。でも、ドラフトでは0-3だったと思う。トップ8に入るのに必要だったのは1勝かそれぐらいだった。何が起こっているのかわからなかったよ」
後にマジック界で最も恐れられるリミテッド・プレイヤーの1人になるジュザはそう言ったのです。
「その次と、その次で勝ったんだ。そして私は世界選手権に参加できることになったんだ。それからも毎年どこかのプロツアー予選で優勝して、毎年1回世界選手権と、1回プロツアーに参加するようになったんだよ」
彼の初めてのプロツアーは2003年のニューオーリンズで、旧エクステンデッドでした。ジュザは、他のプレイヤーが《修繕》を使って《ゴブリンの放火砲》を探している中で、自分たちや数人のチェコのプレイヤーが《サイカトグ》を使っているのを見て、デッキ技術や単純な強さで圧倒されていると感じたことを覚えています。
「最初の対戦相手が《食物連鎖》をプレイしていたんだ。そのカードが何なのかさえ知らなかったよ。生まれて初めて見たカードだった。私たちは明らかに超準備不足で、何が起こっているのかわからなかったんだ。最初のプロツアーでは、私はただのツアー客で、旅行を楽しんだだけだったね。まだ16歳の下手くそだった。地元レベルでは十分だったけど、予選を通過した人たちが本当に強いデッキを持っているプロツアーでは力不足だったんだ。私たちは店舗でプレイしていたようなデッキを使っていて、それじゃ足りなかったんだ」
そしてシーズンに1~2回のイベントに参加して2年が経ち、ジュザはニューヨークシティで開催される世界選手権2007に向かう分岐路に立っていることに気が付きます。彼はもう子供ではなく、結果を残せないまま競技マジックを続けていくことはどんどん難しくなってきていました。彼はその大会で好成績を残し、(プロツアー・)クアラルンプールへの招待を得て、もう一度挑戦しようと考えます。
「行くことに決めたんだ。そして、上手く行かなかったらマジックを辞めようと。初日前に30分しか寝られなくて、どういうわけか序盤全勝できていたけど、トップ8を懸けた勝負で負けたんだ。その次も同じようにトップ8に届かなくて、それでも次のプロツアーの参加権利を得たんだ。次のプロツアーというのがベルリンだったんだよ」
プロツアー・ベルリンは、マーティン・ジュザのマジック人生を大きく変えることになる初のトップ8入りを果たしたプロツアーで、彼のプレイテスト・グループはそのトーナメントでブレイクするデッキを見つけたいくつかのグループの1つでした。そのデッキとは、エルフです。
「ベルリンの前に、インターネットが使い物になるようになってきていて、プロツアーの1か月ほど前に本当に面白く思えるエルフ・デッキに出会ったんだ。私はそれを組んで、何ゲームも対戦したよ。そして、これはおかしいとわかったんだ。それまでプレイした中で、単純に一番パワフルなデッキだったんだよ」
チェコのプレイヤーは黄金のチケットを見つけたと思い、そして他の人達がその秘密のデッキを探ろうとするのではないかと疑心暗鬼になりました。
「私たちは超疑心暗鬼になったけど、実際にプロツアーに出てみると半分ぐらいの人たちはもうそのデッキのことを知っていたんだ。そして私はトップ8に入り、突然、これが私にできることだと思えたんだ」
彼のマジック人生のこの部分、ずっとプラチナ・レベル(プロツアー・プレイヤーズ・クラブの最上位で、全ての大会への招待と参加報酬が与えられる)であり続けた時期で一番エキサイティングなのは、世界中を旅することができたということでした。
ジュザはプロツアー・オースティン2009でもう1回トップ8入賞を果たしましたが、それから何年も日曜に進出することはできませんでした。今シーズンになって、ジュザは再び自分の人生におけるマジックの意味について考えました。彼と親友たちはプラハでリアル脱出ゲームを作っていて、彼のマジック人生の中で初めて彼はプラチナ・レベルを失っていました。渡辺雄也やオーウェン・ターテンワルドが殿堂入りするのを見て、彼は、もう一度大きな結果を残せばプレイヤーたちに投票してもらえると考えたのです。
「頼まれたわけじゃないけど、何かすごい結果を残すために今年はもう少し頑張れると思ったんだ」
ジュザは親友にして同朋であるルーカス・ ブロホン/Lukas Blohonに目を向けながら回想しました。ブロホンは言います。
「彼はマジックを手なりでプレイして、時折成功することを楽しんでいました。彼はいつも本当に才能にあふれていて、それほどテストする必要はなかったんですが、今回は本当に頑張って、常時マジックをプレイすることにしたんです。それだけで彼は世界最強のプレイヤーの1人になり、やがてプロツアーで優勝しますよ」
ジュザはマジック人生を振り返り、何度も手なりに過ごしすぎた時期があったと実感しています。世界選手権前にプラチナ・レベルを確定させていたころは、その年末のトーナメントに他のトーナメントほどの努力をしていなかったと。
「もちろん、もう少し努力すればすごいことは起こり得たというのはわかっていたよ。もう少しだけ努力していれば、彼らと一緒に立っていただろうね」
彼はそう言いますが、今シーズン変わったのはそれだけではありません。彼は自分のデッキを選ぶ能力を信頼することにして、自分に合っているとは限らないチームのデッキをただプレイするのをやめたのです。
「ハワイ(ホノルル)ではそうしなかったけど、その次のプロツアーではお気に入りで私だけが評価していたジャンド・デッキをプレイしたよ。そして結果も残せた。それ以降、自分がプレイしたいと思うものをプレイしていたんだ。それ以来、今年は絶好調だね」
ジュザは話している間にも感情をふるわせていましたが、その電話を受けた時の感情については上手く表現できないようでした。
「スコット・ララビーが私の殿堂入りを伝えるために電話してきてからずっと、それについて考えているんだ。今でもそれをどう評価していいかわからないし、どう言えばいいのかさえわからない。驚くべき場所にいて、本当に幸せなんだ。もちろんそれにはいろいろな意味があって、人生の達成点だ。長い間やってきたものについて表彰されるのは本当に嬉しいことだ。喜びそのものだよ」
感謝したい相手について尋ねると、
「名前を挙げるだけにも多すぎるほどだよ。もちろん私に一番影響を与えたのはルーカス・ブロホン、それにマジック以外でも親友の1人になったラファエル・レヴィ/Rapha&emul;l Lévy、フランク・カーステン/Frank Karsten、中村修平、パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ、それにChannelFireballチーム全員だね。全員すごいから、誰か1人を選べと言われると困るよ。他に個人的なレベルで繋がりがあるのはベン・スターク/Ben Stark。チェコのコミュニティ全体も素晴らしくて、もちろん感謝しているよ」
ジュザはあらゆるグランプリでプレイするという意味でロード・ウォリアー精神の権化です。そして、彼は殿堂入りしてもこれを変えるつもりはないといいます。さらに、彼はまだ彼自身の目標のすべてを果たしてはいません。
「もちろん、プロツアーで優勝したい。殿堂入りを果たして、全ての参加資格を得たことでもうグランプリでプレイしたくないと言っている人がいるのは知っているけど、私は旅行が好きで、行ったことのない場所に行くのが好きで、人と会うのが好きなんだ。私はこれからもこれまで通りマジックをしに行くよ。これからも多くのグランプリに行くよ。年の終わりにプラチナ・レベルであれるようにプロ・ポイントを稼ぎ続けるよ。すぐに何かを変えるつもりはないんだ。これまで通りに続けていく。マジックは今本当にいい状態にあると思っているんだ。リミテッドはここ数年ずっと素晴らしい。もちろん直近のスタンダードは最上のものではないけれど、モダンをプレイするのは好きだし、現在のスタンダードは本当に良いし、グランプリ・ラスベガスではレガシーをプレイするのを楽しんだんだ」
ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leyton
今年の候補者がルール変更に神経を尖らせている中、ジョシュ・アター=レイトンは間違いなく今年顕彰されると確信されていました。殿堂についての全ての議論は、彼の5度のプロツアートップ8入賞から始まり、今年初めて候補者に上がった彼がもっとも印象的な経歴を記していたのです。常に奥ゆかしいアター=レイトンでさえ、スコット・ララビーからChannelFireballのチームメイトのいる殿堂に加わるという電話を受けることを予測していました。
「もちろん、私は選ばれると思っていました」
今週末のプロツアー『破滅の刻』で生涯プロ・ポイントが400点に達するアター=レイトンは認めます。
「私が候補者の中で一番だと思っていました」
アター=レイトンがマジックを始めたのは高校時代、地元のコミックショップで見かけてからでした。彼は『リバイズド』のスターターを手に取り、同梱のルールブックで独学で始めようとしたのです。
「私はあらゆる土地を《水蓮の花びら》のようにプレイしていました。使うために生け贄に捧げる必要があると考えていたのです。でも、やがて正しいルールを学びました。学校の友だちをたくさん誘い込んで、そしてプレイしていました」
彼はやがてマジックを止め、その後大学1年の時に帰省するまで再開しませんでした。彼をマジックに呼び戻したのは、インターネットでした。彼は「Wrapter」と名乗り、Magic Onlineで恐れられるプレイヤーとなり、そしてプロツアーへと至ったのです。
「大学から帰省して、隣の無線LANを使ってたんです。そしてその夏にその回線でできるゲームを探していたんです。偶然Magic Onlineに出会って、プレイできる状態でした。すぐに思い切りハマりました。それからすごくプレイし始めたんです」
彼はそれから数年間はオンラインでだけプレイしていて、Magic Onlineのグループ内で大評判になっていました。ルイス・スコット=ヴァーガス(LSV)やジェリー・トンプソン/Gerry Thompsonといったプレイヤーが、彼の手腕を記録していました。
「LSVはオンラインで私のことを知っていましたし、私はやがてそのグループと意気投合しました。私が主にプレイしていたのはエクステンデッドでした。オンラインでエクステンデッドをプレイしていたグループは本当に少人数で、《相殺》デッキを本当に上手くプレイできる人となるとさらに少人数でした。ルイスとゲイリーは、『俺に勝ち続けているWrapterって奴は誰だ? このデッキの使い方を熟知してるぞ』という感じだったでしょう」
彼の初めての大イベントはグランプリ・サンフランシスコで、開催地は彼が卒業後に住んでいたサンノゼでした。
「2日目に残れませんでした」
そう言ってアター=レイトンは笑います。
「確か、そのグランプリ前に1回プロツアー予選(PTQ)に出ていて、その後はプロツアー・ハリウッドの予選シーズンでした。私はその予選シーズンずっと出続けて、一番最後の週末のPTQで優勝しました。《相殺》が最強のデッキだった旧エクステンデッドで、私はシーズン中ずっと独楽相殺を使っていました。そのフォーマットで私が参加した初めてのPTQで、私は3本引き分けに終わりました。その中の1戦の対戦相手が、デイヴィッド・オチョア/David Ochoaでした。それが彼との出会いです」
後にChannelFireballというスーパーチームになる中核が出来つつありました。それはアター=レイトンの、ハリウッドでの初めてのプロツアー後、一流ではないけれどもスターの集まる初日の後の、プロツアー招待選手を繋ぐ能力によるものでした。
「パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ、ジョン・フィンケル/Jon Finkel、マーク・ハーバーホルツ/Mark Herverholzと対戦したのを覚えています。その3人全員に負けました。成績は4勝4敗で、そのプロツアー初年ではほぼレーティング(訳注:勝敗によって上下する点数。当時は招待や不戦勝の基準となっていました)は変動しませんでした。そのプロツアーの2日目に、iPodを懸けた大会があり、そこでは9-0の結果を残しました。それ以来、私のレーティングは非常に高く、次の大会にはレーティングによって招待されたんです」
彼がプロツアー・レベルで初めてトップ8に入賞したのは、ChannelFireballチームが産声を上げたプロツアー・サンファン2010でした。当時、プロツアーの準備をするプレイテスト・チームはそのプロツアー開催都市に2週間前に集まり、開催直前までそのフォーマットに専念するのが普通でした。しかし、それが常に真実というわけではありません。
「奇妙なことに、それまでは違いました。もっとずっとカジュアルだったんです。他の誰もプロツアー前に2週間詰めて試すようなことをしてなかったころ、私たちはその常識を壊したんです。その結果、手をかければ結果が出るということを示せました。そして、他の全員がもっと時間や労力を費やすようになりました。それ以来それが当たり前になったのはクールなことです。重要な瞬間は、プロツアー・パリ2011の『カウ・ブレード』デッキでした。そのトーナメントで私たちは実績を残したのです」
プロツアー・パリ2011では、「カウ・ブレード」はトップ16のうち6人いました。優勝したベン・スターク/Ben Starkもそうでした。また、当時のチームメイトであったブラッド・ネルソン/Brad Nelsonが年間最優秀プレイヤーのプレイオフで勝つ助けにもなりました。このデッキは前シーズンの終わりの世界選手権で結果を残した「カウ・ゴー」を元に反復工程を経たものでした。アター=レイトンはこのデッキの進化を回想しました。
「マイケル・ヘトリック/Michael Hetrickが、トーナメントの直前のSCGイベントで使っていたデッキのサイドボードに2枚の《石鍛冶の神秘家》が入っていました。トーナメントの前の週にパリに向かう飛行機の中で、キブラー/Kiblerは、へトリックのリストに興味があると言い、《石鍛冶の神秘家》は魅力的だと言いました。私は本当にいいアイデアだと思ったので、パリへの飛行機の中でリストを作り上げたのです」
最終的にアター=レイトンがそのデッキを使うに至って、彼はそれが強烈な可能性を秘めていると気づきました。
「最初にプレイしたゲームで、ブラッド・ネルソンは第2ターンに《石鍛冶の神秘家》を出し、4ターン目に《饗宴と飢餓の剣》で殴り、土地をアンタップして《精神を刻む者、ジェイス》をプレイしました。その次のターン、彼は《ギデオン・ジュラ》をプレイして、アンタップして打ち消し呪文を構えました。そのとき、これはヤバいとわかったのです。次に私たちがしたことは、《石鍛冶の神秘家》を4枚に増やすことでした。本当に直後のことでした」
これは協力してデッキを作った経験の話ですが、アター=レイトンのお気に入りのデッキは彼だけで作ったデッキである、世界選手権2014の《ジェスカイの隆盛》コンボデッキです。
「私は《時を越えた探索》と《宝船の巡航》で回せていました。私はこのデッキが大好きです。私が自分だけでデッキを作るのは珍しい話です。もう二度と起こらないでしょう。というのは、多くの人とテストし、それぞれが協力してデッキを作り上げるからです。その時は世界選手権だったので、そういった大きなテスト・グループがなかったから、自分でMagic Onlineで多くのゲームをプレイしたのです。自分だけで作ったと言えるような経験は他にないもので、そのデッキはとても魅力的で独特のものなのです」
5回のトップ8入賞、高名なデッキビルダー、そして現代マジック史に最も影響を与えたチームの設立メンバー。ジョシュ・アター=レイトンが今年の候補者の中で最も得票を集めたというのは当然のことで、それは彼が長い間マジックを人生の中心に置いているということも表しています。
「私は、自分がマジックでより強くなるため、かなりの時間と労力を費やしてきました。マジック史上最高のプレイヤーのひとりとして称えられることは信じられない話です」
アター=レイトンはそう言い、多くの感謝したい人の中でも第一に、名字を同じくするもう1人の人物に感謝したいと言います。
「一番はと言われれば、あらゆる強力をしてくれた私の母です。彼女は私を信じられないほど応援してくれました。本当に素敵なことです。そして、もちろんチームメイトのみんなに感謝したいです。結果は私だけのものでなくみんなのもので、彼らがいなければ私はこんなことはできなかったでしょう。私が殿堂入りしたのは彼らのお陰という部分もあるので、彼らも評価されたと思ってもらえれば嬉しいです。チームメイトの中から一番を選ぶなら、ルイスです。CFBチームの筆頭を選ぶなら、彼です。彼は私が立ち上がるときに庇護してくれました」
アター=レイトンは昨年、多忙のためマジックからいくらか遠ざかっていますが、まだ達成していない仕事があるとは思っていません。
「世界選手権やプロツアーで優勝するのはもちろんすごいことですが、私はそれを目的にはしていません。マジック人生で叶えようと思うことはもう残っていません。以前のようにプレイすることからは一歩引いています。もちろん、毎年ゴールド・レベルを確保しようと気をもむ必要がないので(実際最近は維持できていませんが)過去よりもグランプリの参加数は減るでしょう。しかし、プロツアーでプレイするのは大好きです。今でもプロツアーの準備と、最高レベルでマジックをプレイすることに時間をかけたいと思っています」
ジョシュ・アター=レイトンとマーティン・ジュザ、プロツアー殿堂入り、おめでとうございます。今週末のプロツアーでの彼らの幸運を祈るとともに、プロツアー『イクサラン』の直前のセレモニーでの彼らの顕彰スピーチを楽しみにしています。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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