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プロツアー『ラヴニカのギルド』

戦略記事

デッキテク:グリクシス・コントロール

Adam Styborski
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2018年11月9日

 

 ジェスカイ・コントロールは現在、「スタンダードのベスト・コントロール・デッキ」の最有力候補であり、その理由は明白だ。白は戦場をクリアにする手段と、数々の脅威に対する回答にアクセスできる。赤と組み合わせることで、《轟音のクラリオン》のような『ラヴニカのギルド』に存在する強力なボロス・カードの恩恵を受けることができ、それがジェスカイ・デッキにおいて序盤の戦場をコントロールする手段となる。

 したがって、誰もが青赤軸のコントロールにはまず白を加えたいと考えるものだが、なぜコーリー・バークハート/Corey Burkhartは黒へと舵を切ったのだろうか?

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「黒は素晴らしいよ!」

 バークハートがモダンにグリクシス・コントロールを持ち込んでいるのを見かけるのは珍しいことではないが、現在のスタンダードではあまり一般的ではない選択だ。バークハートは、どうしてこのプロツアーでもグリクシスをプレイするに至ったのだろうか?

「青赤系のデッキをたくさんプレイしたよ」とバークハートは語る。「イゼット・ドレイク、青赤ニヴ=ミゼット、あるいはそれに類するものをね。だけど皆がそれらを知っている状況では、特にコントロール・デッキがそうだけど、プレイヤーがそれらの戦略に対して機先を制するカードを使うことがはるかに簡単になるんだ。例えば、ゴルガリ・デッキは今やみんな《強迫》を入れている。それらに対して軽量呪文による1対1交換を行うゲームを仕掛けようと試みるのは、今は妥当じゃないね」

「Magic Online Championshipでは、あるカードがジェスカイ側の脅威として攻撃し、ジェスカイへの回答にもなっている姿を見ることができた。ジェスカイの赤いカードを調べれば、《アダントの先兵》を除去できないことに気づくだろう。ミラーマッチでは、十分な数の《残骸の漂着》を引かなければならず、結果として不利になっていく。常に、そういった狙いを定めたカードへの対処に手を焼くことになるんだ」

 しかしそれは、バークハートがコントロール・デッキで白の代わりに黒へ飛びついた説明になっていない。

「今のスタンダードは本当に良いものだよ」とバークハートは続ける。「1つや2つのデッキを打破する計画ではだめなんだ。10のデッキを倒せなければね。MOCSでジェスカイ・コントロールを使ったけれど、成績は3-3で《アダントの先兵》に倒された。それを何とかする方法は見つからなかったよ」

「それで《夢喰い》、《虚報活動》といったカードを重視したディミーア・デッキに戻ったんだ――基本的には諜報テーマのデッキにね。そして、それを諦めるきっかけになる赤の重要な呪文と出会った。《弧光のフェニックス》のようなものに対処できる《溶岩コイル》と、《絶滅の星》だ。特に《絶滅の星》はすべてのクリーチャー、プレインズウォーカー、そして変身させた何かしらの有用な土地をまとめて処理できる唯一のカードだから、大きな動機になったよ」

「黒を使うときにデッキに入れられる《ヴラスカの侮辱》には限りがある。《絶滅の星》は本当に大きな減速装置だよ」

「回答を必要とする脅威が何かを考えてみると、それは《殺戮の暴君》、《破滅を囁くもの》、そして《パルン、ニヴ=ミゼット》のように、こちらの除去を扱いにくくするクリーチャーだ。それらすべてに対処するのは難しいけれど、黒のカードを選び取れば可能だ」とバークハートは言う。「対戦相手が使うであろう序盤の除去呪文は何か? 相手が使うクリーチャーは? 《最古再誕》がそれらすべてへの回答さ」

「ではどうやって最高の《最古再誕》デッキを構築すればいいのか? 《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を《最古再誕》デッキに加えるんだ。《最古再誕》をプレイして、ニコル・ボーラスを戻して、プレインズウォーカーに変身させれば、なんでもできるよ」

「こうして、ただの諜報デッキがニコル・ボーラス・テーマのデッキになった。こいつをプレイして、倒されて、それから《最古再誕》で取り戻す」とバークハートは話を続ける。「《パルン、ニヴ=ミゼット》や《ドミナリアの英雄、テフェリー》のような、じわじわと追い詰めていく脅威よりも気に入っているんだ。諜報カードから《破滅の龍、ニコル・ボーラス》へつなげば、対戦相手はすぐにリソースを使い果たすことになると思うよ。鍵を握るのは《最古再誕》だ。こちらの決め手は、相手の決め手を殺すものなのさ」

 バークハートの計画の優れた点は、ジェスカイ・コントロールが何をするのかについて考え直すのではなく、ジェスカイ・コントロールへの対処を考えている対戦相手へと狙いを定めたところだ。そして早ければ4ターン目に《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を利用可能なことが、バークハートのプレイの幅を広げる。

「このデッキでは、10ターン目まで待ってからプレイするために《破滅の龍、ニコル・ボーラス》を入れているわけじゃない」と彼は言う。「序盤にプレイして、死亡したとしても後で取り戻す。《最古再誕》がどうにかしてくれるよ!」

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa)

Corey Burkhart - 「グリクシス・コントロール」
プロツアー『ラヴニカのギルド』 / スタンダード (2018年11月9~11日)[MO] [ARENA]
3 《
2 《
4 《湿った墓
4 《水没した地下墓地
4 《竜髑髏の山頂
4 《蒸気孔
4 《硫黄の滝
1 《廃墟の地

-土地(26)-

4 《破滅の龍、ニコル・ボーラス
1 《破滅を囁くもの

-クリーチャー(5)-
1 《菌類感染
4 《思考消去
2 《喪心
1 《溶岩コイル
1 《渇望の時
1 《アズカンタの探索
3 《悪意ある妨害
2 《虚報活動
1 《焦熱の連続砲撃
1 《黄金の死
4 《ヴラスカの侮辱
1 《煤の儀式
3 《最古再誕
2 《発見 // 発散
2 《中略

-呪文(29)-
3 《血の刺客
1 《強迫
1 《菌類感染
2 《否認
1 《軽蔑的な一撃
1 《溶岩コイル
1 《渇望の時
1 《アズカンタの探索
1 《虚報活動
1 《黄金の死
1 《煤の儀式
1 《絶滅の星

-サイドボード(15)-
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RESULTS

対戦結果 順位
最終
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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