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プロツアー『運命再編』
プロツアー『運命再編』 トップ5カード
Event Coverage Staff / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru
2015年2月8日
第5位 《大歓楽の幻霊》
感染同様、バーンはその安定した成績で人々を驚かせたデッキだ。新しく発生したデッキというわけではないが、今日までは上位層とは言えない、ファンデッキとしてプレイされるようなものであり、今回のような好成績を残すことはなかった。今回上位へと駆け上ることができた理由こそが、この《大歓楽の幻霊》なのである。
足の生えた《紅蓮光電の柱》が除去されなければ、ダメージは天井知らずに膨れあがり、対戦相手は除去手段を探すことになる。ただこれだけで、コンボデッキそのものを完封してしまう。このカードがある時にストームをプレイしてみよう。終わりだ。
世界ランキング6位のリー・シー・ティエン/Lee Shi Tianがネイサン・スミス/Nathan Smithを破ったミラーマッチでは、《大歓楽の幻霊》が強力だった。リーがダメージで有利になっているとき、彼は《大歓楽の幻霊》を出して、スミスを窮地に追い込んだ。スミスはリーの顔面に火力を叩きつけることができず、ダメージレースでは絶対的な不利になっていた。そこで、彼は貴重な火力をクリーチャーに打ち込まざるを得なくなり、そのせいで2点のダメージを被ったのだ。
《大歓楽の幻霊》がある限り、バーンは上位層に残ることだろう。
第4位 《黄金牙、タシグル》(と、惜しくも選ばれなかった《未練ある魂》)
この週末もっとも多く見かけられた『運命再編』のカードは《黄金牙、タシグル》だった。どのチームもどのプレイヤーも、このフォーマットを充分に調査した者は《黄金牙、タシグル》には複数の使い道があるということを発見していた。グリクシス・カラーの《欠片の双子》デッキを組むのに使った者もいれば、攻撃的な「Zoo」デッキに入れた者も、またコントロール寄りのジャンド、スゥルタイ、黒緑、さらにはより難解なデッキも存在した。
《黄金牙、タシグル》を最も活用していたと言えるのは、準決勝進出者のジェシー・ハンプトン/Jesse Hamptonのようなアブザン・デッキだった。ハンプトンは、エリック・フローリッヒ/Eric Froehlichとのプロツアー準々決勝で、この強力な伝説のクリーチャーを使って《殴打頭蓋》をめぐる争いを打ち破ったのだ。
このマッチを決めたのは《黄金牙、タシグル》だけではなく、《未練ある魂》のおかげで《黄金牙、タシグル》が活躍する場を作ることができたことだ。《未練ある魂》の強さはこの週末中発揮され、手札破壊と戦い、空に届かせる手段となった。《黄金牙、タシグル》とのシナジーを置いておいても、《未練ある魂》はアブザンのミラーマッチではもっとも重要なカードとなることが多かった。そしてその強さのおかげで《ガヴォニーの居住区》や《盲信的迫害》などのカードを入れて優位を得ることができたのだ。
第3位 《強大化》
モダンのメタゲームから《出産の殻》が消え、多くのプレイヤーは《欠片の双子》やアブザン・デッキといったかつての人気デッキを見直すことになった。この週末に到るまでは余り重視されていなかったが、その展望通りの能力を証明したデッキである。アダム・ボイド/Adam Boydがグランプリ・オマハのトップ16に食い込んだ後、プロツアー屈指のテスト・チームは感染をデッキとして選択したのだ。
アグロと言うよりもコンボ寄りのこのデッキは、序盤に《ぎらつかせのエルフ》の類の感染クリーチャーを出し、《巨森の蔦》などの効率的な強化呪文を使って毒カウンターを積んでいくことを狙う。《強大化》は、それまでに使った呪文をさらに使って素早く毒を載せるための手段となり、このデッキのパワーを飛躍的に増加させたのだ。
さらに、殿堂顕彰者のズヴィ・モーショヴィッツ/Zvi Mowshowitsが第2ドラフトの最終ラウンドでマーティン・ミュラー/Martin Mullerとの対戦中に食らったように、これは「普通の」ダメージにも働く。《強大化》は『タルキール覇王譚』のトランプル・クリーチャーと組み合わせるといつでも脅威となるが、『運命再編』の《ティムールの激闘》と組み合わせると、どのクリーチャーもただ強力になるというだけではなく致命的な脅威になるのだ。モーショヴィッツを突然葬り去ったことで、これらのカードのブースタードラフトにおける価値は急上昇したのだった。
第2位 《原始のタイタン》
再び原始の時代が訪れ、巨大クリーチャーはかつてないほどに強力となった。
これまで登場した中で最強の6マナ・クリーチャーと広く目されている《原始のタイタン》は、準優勝者ジャスティン・コーエン/Justin Cohenや16位入賞のサミュエル・ブラック/Samuel Blackの使っていた、「アミュレット・ブルーム」と呼ばれるコンボデッキのキー・カードの1つである。《精力の護符》を伴って《原始のタイタン》が戦場に出たとき、大量のマナを生み出すことになる。《原始のタイタン》で、もう1枚の土地を戻せるラヴニカの土地と《トレイリア西部》を出して《トレイリア西部》を手札に戻し、そしてその状況に相応しい0マナ呪文を探すのだ。
ジャスティン・コーエンは、ジェシー・ハンプトン相手の準決勝の第3試合で綱渡りの状況にあった。《原始のタイタン》を持ってはいたものの、その強力な教示者能力はハンプトンの《エイヴンの思考検閲者》に封じられていた。コーエンの残りライフは2点、対するハンプトンは9点。コーエンがこのターン勝利できなければ、間違いなく負けてしまう。追い詰められて、《原始のタイタン》で攻撃し、ライブラリーの上から4枚に必要なカードが入っている可能性に賭けるしかなかった。
そして奇跡的に、コーエンは《処刑者の要塞》と《ヴェズーヴァ》を見つけたのだ。《ヴェズーヴァ》を使って《ボロスの駐屯地》をコピーし、両方を《精力の護符》でアンタップ、そして《軍の要塞、サンホーム》と《処刑者の要塞》を起動した。これでトランプルと二段攻撃のついた8/6クリーチャーが攻撃していることになる。ハンプトンの戦場にいたクリーチャーのタフネスは合わせて6点、ハンプトンはほぼ勝利を手中にしていた局面からの大逆転を食らってしまったのだった。
《原始のタイタン》の力が制限されている状況でさえ逆転の一撃を放つことができることがある。また、便利な土地を探すことができる6/6トランプル・クリーチャーというだけでも充分なこともあるのだ。
第1位 《欠片の双子》
プロツアー『運命再編』に向けて準備するプレイヤーは皆、この環境がどれほど変わったのかということを意識していた。カードを引く呪文2種類が禁止され、環境の中心にいた《出産の殻》も禁止されて、モダンはまったく新しい環境になったように思われた。
そして、そこに残ったのは《欠片の双子》、史上初のモダンのプロツアー、プロツアー・フィラデルフィアで優勝したデッキが再び天下を取ったのだ。アントニオ・デル・モーラル・レオン/Antonio Del Moral Leonが今回使ったこのデッキは、トーナメントを制覇する能力を再び証明したのだった。また、殿堂顕彰者のイェルガー・ウィルガーズマ/Jelger Wiegersmaは彼自身5回目となるプロツアー・トップ8を無限フェアリーと奇妙な『エルドラージ覚醒』のオーラで掴み取っている。
『運命再編』は未来を変化させるために過去を変更するという話だが、《欠片の双子》は、物事が変われば変わるほど、変わらないものも多いことがあるのだ、ということを証明したと言えよう。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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