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EVENT COVERAGE
プロツアー『異界月』
準々決勝:Owen Turtenwald(アメリカ) vs. 高橋 優太(日本)
Chapman Sim / Tr. AOKI Chikara
2016年8月7日
オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwald(世界ランキング2位/ティムール昂揚)vs. 高橋優太(バント・カンパニー)
《約束された終末、エムラクール》がプレビューに現れた時、直前のブロックにコジレックとウラモグしかおらず「三位一体」がいつ完成するのか憂いていた我々は歓喜したものだ。13マナのカードはスタンダードにおいて重すぎるという疑念がある一方で、予見者たちのグループがその実現性を確かめていた。
「ジョン・フィンケルがあなたにエムラクールを使うように言ったって聞いたんです」 高橋が尋ねる。
「エムラクールは壊れてるって言われたんだ」 ターテンワルドはフィンケル信者であった、今でもそうかはわからないが。チーム「Pantheon」が《約束された終末、エムラクール》の使い道を見つけると、彼らはそのまま突き進んだ。
「そのデッキならコストを{7}まで減らせます?」
「{6}までだね。1枚だけ入っている《炎呼び、チャンドラ》を墓地に用意できれば」
このキーカードのタイミングを管理するのは非常に重要だったので、お互いの合意のもとに墓地のカード・タイプをダイスで数えることになった。新しいプレイヤー・オブ・ザ・イヤーはそのダイスの数値が上昇することに何ら異存はない。反対側の高橋はその逆を望む。
プロツアー『異界月』が始まる前のスタンダードで鬼っ子扱いされていたバント・カンパニーだが、いろいろなデッキがその支配を抑制するために「現出」してきた。もっとも重要な改革は《コジレックの帰還》の能力を以前よりもうまく使うことであり、多くのエルドラージ・クリーチャーを実際には7マナ以上あるマナ・コストを払わずに唱えられ、《コジレックの帰還》を墓地から誘発させるのだ。
このマッチアップは打ち消しで妨害できるテンポ・プレイができるからバント・カンパニーがとても有利であると主張する高橋。『異界月』のさらなるアツいカード、《呪文捕らえ》が墓地を肥やす《過去との取り組み》や《発生の器》、《群れの結集》を止めてターテンワルドの戦略を遅くする。
ゲーム展開
スイスラウンドの順位が高かった高橋は賢明に先手を選ぶが、初手を見て「すごく弱い」と、許容できる6枚を求めるために7枚をデッキに戻す。
最初の衝突はターテンワルドが2ターン目に《発生の器》を唱えた時に起きた。高橋は即座に《呪文捕らえ》で応える。土地が2枚のターテンワルドは《群れの結集》を唱えるが土地は手に入らない。
ターテンワルドの窮地に付け込みたい高橋は、次なる脅威として《不屈の追跡者》を送り込み、3回の調査をすべて手札に変える。6/5と2/3に殴られ始めたターテンワルドは未だ3枚目の土地にたどりつけない。高橋は手を緩めることなく第1ゲームを取った。
新しいルールを思い出す前に、ゲーム2に備えてサイドボードに手を伸ばした高橋。プロツアー『イニストラードを覆う影』から、5本制の試合だとサイドボーディングは第3ゲームから許される。
そんなわけで、お互いメインデッキを相手に提示して第2ゲームに備える。
ターテンワルドの《節くれ木のドライアド》は、《群れの結集》によって昂揚を達成すると3/3の脅威になるが、それは成されず。ライフが19点になった高橋は《薄暮見の徴募兵》を出す。《ニッサの巡礼》と《巡礼者の目》がターテンワルドのマナ問題を確実に解決してくれる一方で、今度は高橋が土地を置けない。
ありがたいことに《ヴリンの神童、ジェイス》が3枚目の土地を引かせてくれた。脅威に対して高橋は最善の努力を試みるが、手札に対応策はあるものの追いつくことができない。ターテンワルドは7マナに到達しようとしており墓地には5種類のカード・タイプがある。《約束された終末、エムラクール》はすぐそこまで来ている。実際に唱えられたエルドラージは《オジュタイの命令》で打ち消されるものの、その能力でターテンワルドは高橋の立場を壊せる。
高橋の手札に控える2枚の《不屈の追跡者》では影響を与えられず、《森の代言者》と《反射魔道士》も同様だ。ターテンワルドは《ヴリンの神童、ジェイス》で《節くれ木のドライアド》に向かって攻撃するだけでターンを返す。《不屈の追跡者》と《反射魔道士》を出した高橋だが、《老いたる深海鬼》で《コジレックの帰還》を「フラッシュバック」するターテンワルドには絶好の機会になった。
その後、《炎呼び、チャンドラ》が《ニッサの巡礼》を新しい2枚にしてくれて、《老いたる深海鬼》と《節くれ木のドライアド》が防御を担う。つづくドロー・ステップに3枚になったカードを新しい4枚にすると、そこには2枚目の《約束された終末、エムラクール》が!
ターテンワルドは高橋の全クリーチャーを特攻させ、《約束された終末、エムラクール》を《反射魔道士》して3度目を手助けした! あまりにも多くのことができるようになってしまったので、両者1本ずつを取ってサイドボード後のゲームに移ることになった。
第3ゲーム、高橋は《薄暮見の徴募兵》で開始、すぐに《爪の群れの咆哮者》に変身する。《崩れた墓石》、《ニッサの巡礼》、《節くれ木のドライアド》という最高のスタートを切ったターテンワルドは、《コジレックの帰還》で高橋が手掛かりを生け贄に捧げる前に《不屈の追跡者》を除去する。
7マナに到達したターテンワルドだが、墓地がほぼ空なので《約束された終末、エムラクール》にはもう数ターン掛かりそうだ。事態を好転させるべく唱えられた《群れの結集》は成功する。欲していたエルドラージを得た上に、墓地のカード・タイプを5種類まで増やす。そして《墓後家蜘蛛、イシュカナ》が第3ゲームを決定づける《約束された終末、エムラクール》までの防御を提供する。
だがしかし、高橋は《即時却下》を用意しており、《約束された終末、エムラクール》本体だけでなくその《精神隷属器》能力も追放してみせた!
ターテンワルドは《節くれ木のドライアド》を《呪文捕らえ》に捕らえられるが、代わりに《発生の器》を通す。このエンチャントが2枚目のエムラクールと高橋のクリーチャーを一掃する《コジレックの帰還》を墓地にまとめてもたらす。今度は《オジュタイの命令》で打ち消す高橋。今度はエルドラージの能力を止めることができす、ターテンワルドは《集合した中隊》で高橋の占術6を行い、《束縛なきテレパス、ジェイス》を[-3]して墓地に送る。
ガス欠になりそうだったターテンワルドだが、《過去との取り組み》をトップデッキすると、高橋含むテーブルの回りにいた全員が笑いながら促す。
「ナイス! 3回目の《約束された終末、エムラクール》?」
そりゃあターテンワルドはそうする。
ところが今回高橋の手札がすべて土地だったので、《諜報網》としてしか機能しない。《約束された終末、エムラクール》の影響後、高橋は《集合した中隊》からの《反射魔道士》で《約束された終末、エムラクール》を手札に戻し、総攻撃してターテンワルドのライフを6にする。
ターテンワルドが何も引けなければ高橋が第3ゲームを取れる。だが、ちょうど欲しかった《老いたる深海鬼》で一息つくと、4回目の《約束された終末、エムラクール》が。
「こんなの初めてだ。ここまでやらなくちゃいけなかったことなんてない。高橋は本当にうまく耐えたね」と、後にターテンワルドは感慨を込めた。
2勝1敗でターテンワルドがリードしており、高橋がマッチに勝利するには残り2ゲームを取る必要がある。ターテンワルドが《過去との取り組み》、《崩れた墓石》で加速すると、高橋は間髪入れずに《森の代言者》、《反射魔道士》でビートダウンを開始。
高橋は《不屈の追跡者》を、ターテンワルドは《巡礼者の目》と《節くれ木のドライアド》を自陣営に追加する。高橋はプランを遅れさせるものかと、2枚目の《反射魔道士》で接死持ちを手札に送り返す。《巡礼者の目》でブロックせず、ターテンワルドのライフは6、現出の兆候だ。
《不憫なグリフ》が現出すると、墓地からの《コジレックの帰還》が哀れな高橋の戦力を一掃してしまう。
ゲームは目まぐるしく動き、昂揚状態にある3体の《節くれ木のドライアド》は日本のプレイヤーの道が閉ざされていることを示し、続くターンの《約束された終末、エムラクール》が高橋のプロツアー『異界月』を終わらせた。
今回はプラチナ・レベルで満足せざるを得ない高橋はターテンワルドの次の試合の幸運を祈った。
オーウェン・ターテンワルドが高橋優太を3勝1敗で破って準決勝に進出。
高橋が握手をして、プロツアー・サンデーから退出する前に最後の質問をする。
「まだプロツアーは勝ってないんですよね?」
「そうだね。」
『まだ』。
ターテンワルドはそれを変えるべく。
4 《森》 4 《平地》 1 《島》 3 《梢の眺望》 3 《大草原の川》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 2 《伐採地の滝》 4 《進化する未開地》 -土地(25)- 4 《薄暮見の徴募兵》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《森の代言者》 4 《反射魔道士》 4 《呪文捕らえ》 4 《不屈の追跡者》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 -クリーチャー(26)- |
4 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 1 《オジュタイの命令》 -呪文(9)- |
1 《苛性イモムシ》 3 《ラムホルトの平和主義者》 2 《ランタンの斥候》 4 《否認》 2 《石の宣告》 2 《神聖なる月光》 1 《即時却下》 -サイドボード(15)- |
7 《森》 3 《島》 1 《山》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 3 《獲物道》 3 《シヴの浅瀬》 -土地(21)- 4 《節くれ木のドライアド》 3 《約束された終末、エムラクール》 3 《巡礼者の目》 2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 1 《不憫なグリフ》 3 《老いたる深海鬼》 -クリーチャー(16)- |
4 《発生の器》 4 《過去との取り組み》 4 《群れの結集》 2 《崩れた墓石》 4 《コジレックの帰還》 4 《ニッサの巡礼》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文(23)- |
2 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《棲み家の防御者》 2 《失われた業の巫師》 2 《払拭》 2 《焦熱の衝動》 2 《侵襲手術》 1 《翼切り》 1 《久遠の闇からの誘引》 1 《否認》 1 《即時却下》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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