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プロツアー『異界月』

観戦記事

第12回戦:Luis Scott-Vargas(アメリカ) vs. Jacob Wilson(カナダ)

青木 力
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Ray "blisterguy" Walkinshaw / Tr. AOKI Chikara

2016年8月6日


ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargas(バント・カンパニー) vs. ジェイコブ・ウィルソン/Jacob Wilson(黒緑昂揚)

「君をひも(バント)で固く縛ってあげよう。」 世界第5位のルイス・スコット=ヴァーガスが対面に座るジェイコブ・ウィルソンに笑いかける。「今季は何ポイントためたんだい?」

「40。」

「ならこのマッチはとても大事だね。」

「ええまぁ。」

 スコット=ヴァーガスは正しい。ウィルソンが今季プラチナ・レベルになるには最低でも11勝4敗1分けの成績が必要で、ふたりとも現在は9勝2敗同士であり、残りをうまくやればなんとか到達できそうである。世界選手権への殿堂枠レースをリードしているスコット=ヴァーガスは、もしこのプロツアーを優勝するようなことがあれば、オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwaldが12勝4敗未満の成績の時に限りプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを大外から一気にまくる。だが当のターテンワルドは現在10勝1敗で順位表の一番上におり、ほぼ幻想と言っていいだろう。

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ルイス・スコット=ヴァーガスがジェイコブ・ウィルソンをひも(バント)で固く縛ろうとする。

 スコット=ヴァーガスがウィルソンを「紐で縛る」としたのは今週末のスタンダードのデッキが「バント・カンパニー」だからであり、それは現時点での倒さなくてはならないデッキ(Deck to Beat)筆頭と考えられている。ウィルソンは黒緑「昂揚」デッキを使っており、スコット=ヴァーガスが《集合した中隊》を活用できないように祈っている。

ゲーム展開

 ダイスロールに勝ったスコット=ヴァーガスは《死の重み》で《薄暮見の徴募兵》を失う。お互いに《森の代言者》を出しあい、4ターン目にスコット=ヴァーガスが4枚目の土地を出して何もせずにターンを返すとふたりともクスクスと笑う。

 ウィルソンが《巨森の予見者、ニッサ》を唱えると、スコット=ヴァーガスが《集合した中隊》で対応し、《不屈の追跡者》が出てくるものの1枚だけ。《巨森の予見者、ニッサ》で《》を持ってきてターンを終えるウィルソン。

 これこそウィルソンの望んだ《集合した中隊》の形だったが、再び何もせずに自分のターンを終えたスコット=ヴァーガスはもう1枚持っていそうだ。ついてないウィルソンは何もできず、スコット=ヴァーガスは2枚目の《集合した中隊》で2体目の《不屈の追跡者》と《無私の霊魂》をヒット。

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ルイス・スコット=ヴァーガスはいい会社(カンパニー)に勤めている。

 ウィルソンは6枚目の土地を置いて《森の代言者》に力を与えるが、スコット=ヴァーガスは3枚目の《集合した中隊》で2枚の《反射魔道士》を呼び出す。ウィルソンにできるのは《風切る泥沼》をスコット=ヴァーガスの攻撃クリーチャーと相打たせることぐらいだが、攻め手は続く。スコット=ヴァーガスがウィルソンを「固く縛り上げる」と言ったのは冗談ではなかった。

 第2ゲーム、マリガンしたウィルソンはスコット=ヴァーガスの《集合した中隊》が《森の代言者》と《不屈の追跡者》を呼び出すのを眺めていた。《最後の望み、リリアナ》で守りを固めようとするものの、スコット=ヴァーガスは6枚目の土地を引いて《森の代言者》を大きくし、《実地研究者、タミヨウ》も追加する。

 ウィルソンは最善を尽くして攻撃クリーチャーを追い返すが、スコット=ヴァーガスの《呪文捕らえ》が《死の重み》を捕らえ、2体控えている《反射魔道士》がとどめを刺した。

ルイス・スコット=ヴァーガスがジェイコブ・ウィルソンを2-0で下す。

 このラウンドの勝利によって、スコット=ヴァーガスはプロツアー3連続トップ8(その昔ジョン・フィンケル/Jon Finkelが達成したとか)に幾分近づいた。ウィルソンはこの敗北で勢いを失ったかもしれないが、残り4ラウンドを2勝1敗1分できればプラチナ・レベルになれる。

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RESULTS

対戦結果 順位
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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