Adam Styborski / Tr. Yusuke Yoshikawa

2015年10月16日

マグナス・ラント/Magnus Lantto（エスパー・プレインズウォーカーズ） vs. 玉田 遼一（ジェスカイ）

　2014 Magic Online チャンピオン、マグナス・ラントは勢いに乗っている。タイブレークで世界選手権2015のトップ４を逃した後、彼はグランプリ・マディソンの決勝を戦い、このプロツアー『戦乱のゼンディカー』に至っていた。この場に見合う成績を引っさげて、シーズン開幕戦のプロツアーに乗り込んできたのだ。

　日本選手権とグランプリのトップ８入賞２回ずつで知られる玉田遼一は、プロツアーでのブレイクを追い求めていた。世界でのパフォーマンスは、彼の日本における成功とプレイヤーとしての尊敬に見合うほどではまだなかったのだ。今、対戦相手ラントと同じ６勝１敗の成績で席についている。２日目へ、トップ８への足場を固めるチャンスだ。

　彼の熱は、ラントに寒気を催させるに十分だったかもしれない。

それぞれのデッキ

　ラントが取り組んだ「エスパー・プレインズウォーカーズ」は、過去のスタンダードの「エスパー・ドラゴン」の直系の子孫といえるものだ。現在は《乱脈な気孔》と新しい「バトル・ランド」によって強固なマナ基盤を得て、《苦い真理》、《破滅の道》、《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》といった『戦乱のゼンディカー』からの新戦力をメインデッキに詰め込んでいる。一連の手札破壊と打ち消しによって戦場の優位を得た後は、ドラゴンの代わりに《真面目な訪問者、ソリン》がゲームを終わらせる役を担っている。

　玉田は純正のジェスカイ・デッキを持ち込んでいた。《黄金牙、タシグル》と他の強力な黒のカードを追加するものとは異なり、玉田は《カマキリの乗り手》、《道の探求者》、《ジェスカイの魔除け》といった古典的なジェスカイの中核を４枚フル投入することに賭けたのだ。そこに『マジック・オリジン』の傑物《搭載歩行機械》と《ヴリンの神童、ジェイス》、そして４枚の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を加えている。脅威と除去を詰め込んで、玉田は圧力をかけ続けることを狙う。

ゲーム展開

　第１ゲームは、双方のプレイヤーが序盤のターンを準備に費やした。ラントは青マナを生成する土地をプレイできず、《苦い真理》でカードを２枚引くに留まった。玉田の初動は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》だった。

　ラントの《黄金牙、タシグル》は《ジェスカイの魔除け》に遭い、玉田はビートダウン・モードに入る。《カマキリの乗り手》が戦線に加わり、次の攻撃でラントのライフを８点にまで落とす。ラントはＸ＝１の《搭載歩行機械》で《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の次の攻撃を止め、墓地を全力活用して唱えた《残忍な切断》で空の脅威を排除した。

　再び《苦い真理》で２枚のカードを引くと、こちらも再びとなる《黄金牙、タシグル》を呼び出した。しかし玉田は《焦熱の衝動》で飛行機械・トークンを排除すると、《カマキリの乗り手》の２体目で攻撃し、《ジェスカイの魔除け》でラントの残りライフを削りきったのだった。

　第２ゲームではラントが青マナを早々に引き当て、第２ターンの《ヴリンの神童、ジェイス》につなげた。玉田はこれに《絹包み》で応えると、自身の《ヴリンの神童、ジェイス》を出す。今度は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がラントの側に現れ、騎士・同盟者・トークンが生成され始めた。

　《ヴリンの神童、ジェイス》でライブラリーを掘った後、玉田は《カマキリの乗り手》を突入させる。しかしラントも、《真面目な訪問者、ソリン》で打撃を強化して圧力をかけ続ける。玉田は２体目の《カマキリの乗り手》で《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を倒し、《真面目な訪問者、ソリン》の忠誠度もわずか２に落とした。

　ラントは《苦い真理》で３枚カードを引きに行き、ライフを18に落とすが、次の攻撃ですぐさま21に戻す。玉田の《カマキリの乗り手》が《真面目な訪問者、ソリン》を排除し、次にはラントを攻撃し始める。さらにはＸ＝２の《搭載歩行機械》も加わった。ラントのＸ＝３《搭載歩行機械》が玉田の《絹包み》で落とされると、戦線が崩壊し始めた。

　《完全なる終わり》で《カマキリの乗り手》の一方を落とし、さらなる《搭載歩行機械》で巻き返しを試みるラント。玉田はこれを《ジェスカイの魔除け》でライブラリーの一番上に置くと、同時にラントが並べていた《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を攻撃した。

　《ヴリンの神童、ジェイス》の能力と《宝船の巡航》による補充によって、玉田はすべてを手にしていた。《カマキリの乗り手》で《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を倒し、自身のギデオンを加える。それで十分だった。

「グッドゲーム」 ラントは言った。騎士・同盟者・トークンの小さな軍勢では、大きく育った玉田の《搭載歩行機械》に対して力及ばないのだった。

ラント ０－２ 玉田

　デッキリストの公開は、第16回戦開始後となります。