2018年8月5日

（編訳より：埋め込み動画部分は英語実況・解説のものとなります。日本語版ニコニコ生放送タイムシフト・Twitchビデオ（前半・後半）もあわせてご覧ください。）

　「マジック25周年記念プロツアー」には、スーパースター揃いのチームがいくつも集まった。プロツアー王者、殿堂顕彰者、世界の第一線で戦う現役プレイヤー……それらのチームは、その実績にふさわしい活躍を見せている。マジックのカードを操る世界最高のプレイヤーたちは、最高のプレイヤー同士でチームを組むのが常なのだ。

　そんな強力なチームをもってしても、ほとんどがトップ４入賞にあと一歩届かなかった。だからこそ、ここで対峙する２チーム――チーム「Hotsauce Games」のアレン・ウー/Allen Wu、ベン・ハル/Ben Hull、グレゴリー・オレンジ/Gregory Orangeの３人と、クリストフ・グレゴーア/Christophe Gregoir、ブランコ・ネランク/Branco Neirynck、トマス・ファン・デア・ペルト/Thomas Van Der Paeltのベルギー軍団――の成功には目をみはるものがある。彼らはスーパー・チームだらけの今大会を渡り歩き、そして今、決勝進出と記録的な賞金を懸けた戦いに臨んでいるのだ。

　チーム戦では、３本先取で行われる３試合のうち２試合を勝ち取ったチームの勝利となる。スタンダード卓ではオレンジの「白青コントロール」と、ファン・デア・ペルトをトップ４入賞へ導いた「王神の贈り物」がぶつかり合った。レガシー卓とモダン卓は、序盤から高速の試合展開だった。ウーの「デス＆タックス」が稲妻のごときスピードで第１ゲームを奪取した一方で、ネランクの「人間」もまた「虚ろな者」を素早く打ち倒した。

　レガシー卓とモダン卓の戦いは、「クリーチャー・デッキ同士の殴り合い」という実にシンプルな展開になった。それらのフォーマットには珍しく、勝負のゆくえを決めるのは戦闘ステップでのプレイングだった。

　スタンダード卓に目を向けると、ゲームは長期戦の様相を見せていた。コントロール・デッキを操るオレンジに有利な展開だ。それでもファン・デア・ペルトは、決して諦めず《王神の贈り物》を唱え続け、《復元》を使い続けた。そしてその決意はついに実り、彼は《王神の贈り物》を設置することに成功したのだった。

　しかし残念ながら、それでもまだ不十分だった。

　盤面を支配したのはオレンジだったが、ファン・デア・ペルトには奥の手があった。彼は隙を突いて《イプヌの細流》を起動し、ライブラリー・アウトによる勝利を狙ったのだ。

　一方、その他の試合は予想通りというべきか、レガシー卓ではウーがグレゴーアに対してを２勝１敗でリードし、モダン卓ではネランクの「人間」がハルの「虚ろな者」を圧倒していた。《虚ろな者》は《幻影の像》や《反射魔道士》といったカードに対してはあまりに無力であるため、コストなしで唱えられるにも関わらずハルはそれを捨てるほどだった。

　しかし壁際まで追い込まれても、ハルは辛抱強く攻撃を続けネランクのライフを残り３点まで追い詰めた。ネランクがチームに１勝をもたらすためには、次のターンに回答を引き込まなければならない。そしてそのターンは、この準決勝で最も注目すべき瞬間となった。『基本セット2019』の傑物が、状況をひっくり返したのだ。

　再びスタンダード卓に戻ると、第２ゲームも第１ゲームと同じように長期戦になっていた。グレッグ・"Citrus Assassin"・オレンジが大量の打ち消し呪文と除去でコンボ・デッキ相手に時間を稼いだのだ。一方レガシー卓は、ウーが《梅澤の十手》に大量の蓄積カウンターを乗せ、「エルドラージ」デッキが繰り出すあらゆる脅威を封殺した。こうして、準決勝第１試合の結末はスタンダード卓に委ねられることになった。

　サイドボーディング後も、ファン・デア・ペルトにとって厳しい戦いが続いた。彼も打ち消し呪文を使えるようになったものの、オレンジも同じく《王神の贈り物》を能力誘発前に除去できる《俗物の放棄》という武器を加えていた。ファン・デア・ペルトは攻めの姿勢を崩さなかったが、《王神の贈り物》が戦闘開始ステップまで戦場に残ることはなかった。オレンジは爆発力のあるコンボ・デッキを完封し、チームを「マジック25周年記念プロツアー」決勝戦へ導いたのだった。

チーム「Hotsauce Games」のアレン・ウー、ベン・ハル、グレゴリー・オレンジがクリストフ・グレゴーア、ブランコ・ネランク、トマス・ファン・デア・ペルトのベルギー軍団を２勝１敗で下し、決勝へ！