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プレイヤーズコンベンション横浜2024
スタンダードデッキピックアップ ~ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』~
『カルロフ邸殺人事件』発売から間もないタイミングで開催されたスタンダードの大型イベント「ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』 Supported by 楽天ブックス」。こちらはエスパー・ミッドレンジの優勝で幕を閉じたわけだが、トップ8にスゥルタイ・リアニメイトが入賞しており、新たなデッキの萌芽を目の当たりにした大会でもあった。
今大会の参加者は448名にのぼり、ボロス召集をはじめ、ドメイン・ランプやエスパー・ミッドレンジ、ラクドス・ミッドレンジに人気が集まっていた。既存のアーキタイプはデッキパワーが担保されており、ボロス召集にしても《戦導者の号令》、《ひよっこ捜査員》とわかりやすくパワーアップしているためだ。
対照的に独自の調整を施したデッキを持ち込み、戦果をあげたプレイヤーがいたのもまた事実だ。少ない調整時間で膨大なカードプールの中から新たな原石を発掘し、研磨してきたわけである。これらのデッキは今後のスタンダード環境を大きく揺るがす存在となり得るかもしれない。
本稿ではジャパンスタンダードカップの予選ラウンド(全12回戦)で6勝以上をあげたデッキの内、『カルロフ邸殺人事件』の影響を受けたデッキを紹介していく。本稿がデッキ構築の参考となれば幸いである。
スゥルタイ《陰謀の解明者》
3 《難破船の湿地》 4 《闇滑りの岸》 3 《地底の大河》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《天上都市、大田原》 1 《魂の洞窟》 2 《地底の遺体安置所》 3 《死天狗茸の林間地》 3 《夢根の滝》 1 《ラノワールの荒原》 2 《ヤヴィマヤの沿岸》 -土地(24)- 3 《ファラジの考古学者》 1 《貯蔵スカーブ》 3 《陰謀の解明者》 3 《偉大なる統一者、アトラクサ》 3 《大嵐の雄鹿》 -クリーチャー(13)- |
4 《第三の道の創設》 1 《押し出し // 引き抜き》 3 《浮き荷 // 捨て荷》 3 《切り崩し》 1 《苦々しい勝利》 2 《恐怖の潮流》 1 《多元宇宙の突破》 4 《もがく出現》 3 《ギックスの残虐》 1 《喉首狙い》 -呪文(23)- |
3 《強迫》 3 《危難の道》 2 《否認》 2 《毒を選べ》 1 《長い別れ》 2 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《未認可霊柩車》 1 《執念の徳目》 -サイドボード(15)- |
『カルロフ邸殺人事件』のプレビュー時から話題となった《陰謀の解明者》、《多元宇宙の突破》、《貯蔵スカーブ》の3枚によるライブラリーアウトコンボである。
序盤は切削効果を持つカードを利用して墓地を肥やしていき、《もがく出現》や《ギックスの残虐》による《陰謀の解明者》の早期着地を目指す。その後は同クリーチャーの証拠収集10を活用して《多元宇宙の突破》をプレイし、《貯蔵スカーブ》をリアニメイト→濫用で《多元宇宙の突破》を回収の過程を繰り返し、相手のライブラリーを枯渇させる。
今回の構築はコンボパーツは最小限に抑えられ、代わりに《浮き荷 // 捨て荷》や《第三の道の創設》などの切削カードが大量に採用されている。切削カードの増量により手札ではなく墓地にコンボパーツを集め、同時に証拠収集分のカードも貯める一石二鳥の構築となっている。
《浮き荷 // 捨て荷》はコンボパーツを集める切削カードでありながら、そのマナ総量は8と《陰謀の解明者》と抜群の相性を誇る点も見逃せない。
シミック・テンポ
5 《島》 1 《天上都市、大田原》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 4 《ヤヴィマヤの沿岸》 4 《夢根の滝》 3 《森》 3 《迷路庭園》 -土地(21)- 4 《神出鬼没のカワウソ》 4 《嵐追いのドレイク》 3 《怪しげな密航者》 3 《陽気な呪文盗み、アイヴィー》 4 《敬慕される腐敗僧》 -クリーチャー(18)- |
3 《王のもてなし》 3 《巨大化》 4 《戦闘研究》 3 《無鉄砲》 3 《排撃の変異》 1 《とんずら》 3 《謎めいた外套》 1 《呪文貫き》 -呪文(21)- |
3 《痛烈な質問》 1 《とんずら》 2 《かき消し》 2 《毒を選べ》 1 《呪文貫き》 2 《渦巻く霧の行進》 2 《タイヴァーの抵抗》 2 《進化した謎、ヴァニファール》 -サイドボード(15)- |
《嵐追いのドレイク》と《陽気な呪文盗み、アイヴィー》を軸に、《巨大化》などの「クリーチャーを対象とする」呪文を使って、効率良くダメージとアドバンテージを稼いでいく戦略である。
基本的には《王のもてなし》などの保護呪文を構えながら展開し、除去呪文などの干渉手段をいなしていく。デッキのほとんどがマナ総量1~2のカードであり、干渉手段とのマナ差分だけ有利な交換となる。さらに《戦闘研究》付きのクリーチャーを守っているだけで、手札の枚数にも差が生まれる。
対象とする呪文が多いため、《敬慕される腐敗僧》も相性が良く、戦闘ダメージを介さない毒殺を含めて攻めのオプションが多彩なデッキだ。自陣にクリーチャーが多数並んでいれば、《木立ちの報奨》との組み合わせは一撃必殺コンボとなりえる。非クリーチャー呪文も多く、《神出鬼没のカワウソ》のような果敢を持つクリーチャー自身も優秀なダメージソースとして機能する。
『カルロフ邸殺人事件』からは活躍が期待される装備品、《謎めいた外套》が採用されている。マナの続く限り戦力を補充できるため、消耗戦では頼もしい1枚だ。現在のカードプールには《削剥》に代表される汎用性の高いアーティファクト破壊はあるものの、エンチャント対策が優先される傾向にある。そのため採用率が低く、装備品自体が対処される心配はほとんどないのも追い風となっている。
ジェスカイ《マナ形成のヘルカイト》
1 《アダーカー荒原》 1 《魂の洞窟》 4 《さびれた浜》 1 《皇国の地、永岩城》 3 《島》 2 《山》 4 《平地》 3 《金属海の沿岸》 2 《シヴの浅瀬》 4 《嵐削りの海岸》 -土地(25)- 4 《マナ形成のヘルカイト》 -クリーチャー(4)- |
1 《渦巻く霧の行進》 1 《とんずら》 1 《失せろ》 4 《稲妻のらせん》 2 《勇敢な姿勢》 1 《攪乱プロトコル》 1 《感電の反復》 1 《否認》 2 《速足の学び》 3 《記憶の氾濫》 2 《大勝ち》 3 《銀の精査》 2 《太陽降下》 1 《告別》 1 《アイレンクラッグ》 2 《セレスタス》 1 《放浪皇》 2 《希望の標、チャンドラ》 -呪文(31)- |
1 《魂の洞窟》 2 《エルズペスの強打》 2 《石術の連射》 2 《軽蔑的な一撃》 1 《削剥》 2 《兄弟仲の終焉》 1 《太陽降下》 1 《ズルゴとオジュタイ》 2 《告別》 1 《否認》 -サイドボード(15)- |
再録された《稲妻のらせん》を使ったデッキを探していたところ、目についたのがこのデッキ。《マナ形成のヘルカイト》と各種インスタント/ソーサリーを組み合わせたコントロール戦略である。《稲妻のらせん》を筆頭に各種除去でゲームをコントロールし、《記憶の氾濫》で手札を潤していく。
ジェスカイの強さを全面に押し出した構築であるが、フィニッシャーとして選ばれたのはやや珍しい《マナ形成のヘルカイト》。単体でも4マナ4/4と高水準のスタッツではあるが、インスタントやソーサリーとの組み合わせ次第ではこれ1枚で攻防を支配してしまう。仮に手札が《記憶の氾濫》や《速足の学び》のようなドロー呪文の場合、手札を減らさずにブロッカーを用意でき、クリーチャー同士が相打っているだけで戦況は有利になっていく。
《マナ形成のヘルカイト》とのシナジーを重視しており、青いデッキにしては珍しく打ち消し呪文のような受動的なカードは最小限に抑えられている。《勇敢な姿勢》はこのデッキにとって致命的な《黙示録、シェオルドレッド》を対処しつつ、《マナ形成のヘルカイト》を守れるデッキに噛み合ったカードである。
5色人間レジェンズ
1 《天上都市、大田原》 4 《閑静な中庭》 1 《ラノワールの荒原》 1 《ジェトミアの庭》 1 《スパーラの本部》 4 《英雄の公有地》 1 《剃刀境の茂み》 1 《日没の道》 1 《森》 1 《平地》 1 《要塞化した海岸堡》 4 《魂の洞窟》 1 《コイロスの洞窟》 1 《ジアトラの試練場》 1 《沼》 -土地(24)- 2 《雑集家、ラグレーラ》 1 《華やかな支配者、テイサ》 3 《統べるもの、ジョダー》 3 《千番目の月、アニム・パカル》 2 《不屈の将軍、ジリーナ》 2 《忠実な護衛、ハジャール》 1 《名うての殺人鬼、虐殺少女》 2 《デジェルとハゾレト》 2 《敬虔な新米、デニック》 2 《太陽の執事長、インティ》 2 《ギックスに拾われし者、ミシュラ》 1 《肉体装置技師、アシュノッド》 2 《生ける治療、メリーラ》 1 《法の行使者、トミク》 1 《うろつく玉座》 1 《ジモーンとダイナ》 -クリーチャー(28)- |
4 《精霊信者の力》 2 《伝説の秘宝》 2 《パクト破りの事件》 -呪文(8)- |
1 《第三の道のロラン》 2 《痛烈な一撃》 1 《機械の母、エリシュ・ノーン》 1 《石の脳》 2 《復活したアーテイ》 2 《長い別れ》 2 《金線の酒杯》 1 《アガサの魂の大釜》 2 《救出専門家》 1 《夜の棍棒使い》 -サイドボード(15)- |
伝説の人間クリーチャーをベースにしており、その頂点には《統べるもの、ジョダー》が鎮座している。伝説のクリーチャー分の全体強化に加えて、ほかの伝説の呪文へ続唱に似た効果を付与する。《統べるもの、ジョダー》が戦場にいれば、後続の伝説の呪文は1枚で2枚分の効果となる。このデッキの場合、伝説のクリーチャーが仲間を呼び、それを《統べるもの、ジョダー》が強化することで、瞬時にゲームを終わらせるというわけだ。
キークリーチャーである《統べるもの、ジョダー》を守るべく、保護能力を有する《不屈の将軍、ジリーナ》、《忠実な護衛、ハジャール》、《生ける治療、メリーラ》が採用されている。これらのクリーチャーはマナ総量が2と軽く、《統べるもの、ジョダー》の誘発型能力から唱えられるのも利点である。
5色デッキながらクリーチャータイプを伝説の人間統一したことで可能となった、《魂の洞窟》と《閑静な中庭》、《英雄の公有地》から構成された安定したマナベースにも注目である。これらの土地が円滑な展開を可能にし、その上で打ち消し呪文への耐性まで付与してくれている。
伝説の人間であればすべて採用候補となるため、セットが増えるごとに選択肢が広がっていくことを意味している。『カルロフ邸殺人事件』からは《華やかな支配者、テイサ》、《名うての殺人鬼、虐殺少女》、《法の行使者、トミク》の3種類の伝説の人間クリーチャーが加わっている。いずれのクリーチャーもカードを引く効果を備えており、《統べるもの、ジョダー》がいない際の戦力増強が見込める。追加で引いたカードの中に《統べるもの、ジョダー》があれば、万々歳といえるだろう。
アゾリウス・コントロール
3 《島》 3 《平地》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 3 《アダーカー荒原》 2 《廃墟の地》 1 《ミレックス》 2 《行き届いた書庫》 4 《さびれた浜》 4 《不穏な投錨地》 2 《金属海の沿岸》 -土地(26)- 2 《探偵社社長、エズリム》 -クリーチャー(2)- |
4 《喝破》 4 《推理》 4 《攪乱プロトコル》 2 《失せろ》 4 《一時的封鎖》 4 《放浪皇》 4 《記憶の氾濫》 3 《太陽降下》 1 《告別》 2 《冥途灯りの行進》 -呪文(32)- |
4 《痛烈な一撃》 2 《否認》 1 《時間の旅人、テフェリー》 1 《船砕きの怪物》 1 《告別》 3 《ティシャーナの潮縛り》 1 《金属の徒党の種子鮫》 2 《謎めいた外套》 -サイドボード(15)- |
ここ最近ミッドレンジやランプにおされ気味だった純正コントロールが返ってきた!白の全体除去に青のドローと打ち消し呪文を組み合わせた防御的な戦略であり、ごく少数のフィニッシャーでゲームを終わらせる伝統的なアゾリウスカラーのデッキである。
序盤から中盤までの守りの要である《喝破》はアゾリウスのみの特権であり、《否認》や《本質の散乱》などと異なり、カードタイプを問わず対処可能。おまけ程度の追放も、《敬虔な新米、デニック》や《ギックスの残虐》がある環境では、決して無視できない。
《推理》はコントロールが陥りがちな序盤の土地事故を回避するに最適なカードだ。軽く、それでいて複数枚のカードに変換できるため、リソース勝負でも頼もしい新人となる。
《探偵社社長、エズリム》はこのデッキにおける絶対的なフィニッシャーであり、起動にマナとアーティファクトが必要ではあるものの、単体除去に耐性を持ち、ダメージレースを優位に進めることもできる。《推理》とも相性がよく、戦場に出たが最後、打ち消し呪文との組み合わせで簡単にゲームを終わらせてしまう。
メタゲームに合わせてカードを入れかえるだけで構築の最適化が図れるアーキタイプであり、今回のデッキはボロス召集メタで《一時的封鎖》をメインボードから4枚採用している。『カルロフ邸殺人事件』のカードを多数採用しており、新しいカードを使ってみたい方にもおススメの構築となっている。
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