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戦略記事

ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』 メタゲームブレイクダウン

富澤 洋平

 新環境で最大級のスタンダードイベント、「ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』 Supported by 楽天ブックス」が始まった。

 発売間もない『カルロフ邸殺人事件』が既存デッキと組み合わさり、どのような化学変化を起こすのか、今から楽しみでならない。オープンイベントということで誰もが参加可能であり、上位入賞者には次期チャンピオンズカップファイナルへの参加権利も付与される。誰しもが気軽に、楽しく、そして真剣にスタンダード向き合えるイベントなのだ。

 さっそく「ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』 Supported by 楽天ブックス」のメタゲームブレイクダウンをお送りしていこう。

ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』 メタゲームブレイクダウン
デッキタイプ 使用者数 割合
ボロス召集 63 14.2%
ドメイン・ランプ 52 11.7%
エスパー・ミッドレンジ 49 11.0%
ラクドス・ミッドレンジ 41 9.2%
ゴルガリ・ミッドレンジ 25 5.6%
ディミーア・ミッドレンジ 23 5.2%
赤単アグロ 15 3.4%
アゾリウス・テンポ 13 2.9%
アゾリウス・コントロール 12 2.7%
バント毒性 9 2.0%
アゾリウス・メンター 7 1.6%
グルール・アグロ 6 1.3%
グルール恐竜 6 1.3%
オルゾフ・ミッドレンジ 5 1.1%
ボロス人間 5 1.1%
5色レジェンズ 4 0.9%
エスパー・コントロール 4 0.9%
ジャンド・ミッドレンジ 4 0.9%
白単ミッドレンジ 4 0.9%
ディミーア・ブリーチ 4 0.9%
ボロス・アグロ 4 0.9%
アゾリウス象形 3 0.7%
イゼット象形 3 0.7%
ジェスカイ・コントロール 3 0.7%
スゥルタイ・ミッドレンジ 3 0.7%
ラクドス・ブリーチ 3 0.7%
(2名以下) 75 11.2%
合計 445 -

※ラストチャンストライアル通過者4名は集計に含まれていません。
※デッキ登録段階の集計のため、数字にズレがある可能性があります。ご了承ください。

ボロス召集
Sapoa - 「Boros Aggro」
Standard Challenge 32 / 7th Place, 6-2(2024年2月10日)[MO] [ARENA]
4 《戦場の鍛冶場
2 《皇国の地、永岩城
3 《ミレックス
4 《
3 《平地
2 《反逆のるつぼ、霜剣山
3 《日没の道
-土地(21)-

2 《魅力的な悪漢
4 《イモデーンの徴募兵
4 《イーオスの遍歴の騎士
4 《ひよっこ捜査員
4 《毅然たる援軍
4 《ヴォルダーレンの美食家
4 《内なる空の管理人
-クリーチャー(26)-
4 《門道急行の事件
1 《失せろ
4 《上機嫌の解体
4 《戦導者の号令
-呪文(13)-
2 《祭典壊し
3 《失せろ
4 《ゴバカーンへの侵攻
2 《痛烈な一撃
2 《石術の連射
2 《魔女跡追いの激情
-サイドボード(15)-
MTGGOLDFISH より引用)

 

 今大会で最大勢力となったのは、新鋭ボロス召集である。パイオニアでお馴染みの同アーキタイプはこれまでのスタンダートにごく少数いたものの、打点を上げる《敬慕されるロクソドン》の不在に悩まされていた。

 しかしながら《戦導者の号令》を得たことで、横に広げた戦線を倍化することで一気に攻撃力がアップ。明確なフィニッシャーを手に入れ、弱点は解消されたこととなった。

 ボロス召集はその名の通りクリーチャーを並べて「召集」コストを稼ぎ、早期に《イーオスの遍歴の騎士》を着地させて戦力を補充。その後、《イモデーンの徴募兵》や《戦導者の号令》をプレイしてバフをかけ、3~5程度でゲームを終わらせる早さが魅力のデッキだ。

 地味ながら《ひよっこ捜査員》も見逃せない強化ポイントである。《ヴォルダーレンの美食家》と同じく戦場に出たときにアーティファクトトークンを生成するため、《上機嫌の解体》の対象にでき、これにより安定してトークンを生成できるようになった。

 クリーチャーを並べて戦線を作るカード、ダメージを増強するフィニッシャーと両軸のカードを得たことで、大幅に強化されトップメタへと躍り出たのである。

ドメイン・ランプ
Kedrip - 「Domain」
Standard Challenge 32 / 6th Place, 6-2(2024年2月10日)[MO] [ARENA]
1 《耐え抜くもの、母聖樹
4 《魂の洞窟
3 《
1 《
4 《ジェトミアの庭
1 《
3 《平地
4 《スパーラの本部
1 《
4 《ジアトラの試練場
-土地(26)-

4 《怒りの大天使
3 《偉大なる統一者、アトラクサ
4 《装飾庭園を踏み歩くもの
-クリーチャー(11)-
2 《集団失踪
4 《群れの渡り
3 《ゼンディカーへの侵攻
4 《力線の束縛
1 《向上した精霊信者、ニッサ
4 《太陽降下
1 《一時的封鎖
4 《豆の木をのぼれ
-呪文(23)-
2 《金属の徒党の種子鮫
2 《邪悪を打ち砕く
4 《痛烈な一撃
1 《石術の連射
2 《否認
1 《強情なベイロス
3 《一時的封鎖
-サイドボード(15)-
MTGGOLDFISH より引用)

 

 ドメイン・ランプはマナ加速呪文を使って土地を増やし、早期に高コストカードをプレイすることを目的としたデッキである。《装飾庭園を踏み歩くもの》や《ゼンディカーへの侵攻》で7マナを目指し、しかる後に《偉大なる統一者、アトラクサ》や《怒りの大天使》のカードパワーをもって相手を圧倒する。

 《スパーラの本部》を利用して基本土地タイプを揃えることで恩恵を受けられる版図システムを採用しており、《力線の束縛》を最序盤からプレイすることも可能である。単体除去に加えて、クリーチャーを並べるデッキに対しては《太陽降下》が降り注ぐ。これらによる圧倒的なボードコントロール力も魅力であり、そこへ《豆の木をのぼれ》が組み合わされば対戦相手を圧倒するのに十分すぎるほどのカードをもたらしてくれる。

 デッキパワーは環境随一であり、豪快なゲームコントロールも魅力のデッキである。マナコストの差から生まれるカードパワーの差を利用してゲームを進めるため、ミッドレンジなどの中速デッキを得意としている。

エスパー・ミッドレンジ
Mogged - 「Esper Midrange」
Standard Challenge 32 / 26th Place, 4-3(2024年2月10日)[MO] [ARENA]
3 《コイロスの洞窟
4 《闇滑りの岸
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
1 《平地
2 《ラフィーンの塔
4 《不穏な投錨地
3 《金属海の沿岸
4 《砕かれた聖域
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
3 《地底の大河
-土地(27)-

4 《大洞窟のコウモリ
3 《敬虔な新米、デニック
1 《第三の道のロラン
1 《下水王、駆け抜け侯
4 《策謀の予見者、ラフィーン
2 《ティシャーナの潮縛り
-クリーチャー(15)-
3 《切り崩し
2 《邪悪を打ち砕く
2 《喉首狙い
3 《喝破
2 《放浪皇
2 《忠義の徳目
4 《婚礼の発表
-呪文(18)-
1 《苦痛ある選定
1 《切り崩し
1 《邪悪を打ち砕く
2 《軽蔑的な一撃
2 《門衛のスラル
1 《喉首狙い
1 《痛烈な一撃
1 《第三の道のロラン
1 《否認
2 《危難の道
2 《覆われた羊飼い
-サイドボード(15)-
MTGGOLDFISH より引用)

 

 エスパー・ミッドレンジは2~3マナ域のクリーチャーを《策謀の予見者、ラフィーン》や《婚礼の警備兵》でバックアップしていく攻撃的な中速デッキ。打ち消しや除去、《放浪皇》とインスタントトリックが多彩であり、展開と妨害の両立こそがこのデッキの目指すゲームプランである。

 《喝破》や《かき消し》、《喉首狙い》、《ティシャーナの潮縛り》とインスタントスピードで動ける選択肢が多く、相手の裏をかいてトリッキーに立ち回る。対戦相手はエスパー側の手札を見極めながら、自身のゲームプランを通す肩身の狭い戦いをしいられることとなる。

 メタゲームに合わせたカード選択が可能と構築の自由度の高いアーキタイプであり、上記の構築ではボロス召集とミラーマッチを読み、メインボードから《第三の道のロラン》が採用されている。《戦導者の号令》と《婚礼の発表》を狙いうったわけだ。

 前環境からドメイン・ランプと並び人気アーキタイプの一つであったが、『カルロフ邸殺人事件』加入後も変わらぬ人気を誇っている。インスタントスピードを武器に、どこまで勝ち進むのか。

ラクドス・ミッドレンジ
Than - 「Rakdos Midrange」
Standard Challenge 32 / 22nd Place, 4-3(2024年2月10日)[MO] [ARENA]
3 《黒割れの崖
3 《魂の洞窟
4 《憑依された峰
2 《
4 《不穏な火道
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
3 《硫黄泉
5 《
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
-土地(26)-

1 《最深の裏切り、アクロゾズ
4 《税血の収穫者
4 《大洞窟のコウモリ
4 《地質鑑定士
1 《ヨーグモスの法務官、ギックス
4 《分派の説教者
3 《黙示録、シェオルドレッド
4 《嘶くカルノサウルス
-クリーチャー(25)-
1 《苦痛ある選定
2 《切り崩し
2 《喉首狙い
1 《長い別れ
3 《ギックスの残虐
-呪文(9)-
2 《削剥
1 《苦痛ある選定
2 《切り崩し
3 《強迫
2 《真実の抽出
1 《喉首狙い
2 《ヴェールのリリアナ
2 《危難の道
-サイドボード(15)-
MTGGOLDFISH より引用)

 

 ラクドス・ミッドレンジは、高スタッツのクリーチャーを除去でサポートしながら押し込む攻め手の厚い中速デッキ。攻撃へ赴くたびにリソースを伸ばしてくれる《分派の説教者》やプレイするだけで追加のカードを発見してくれる《地質鑑定士》とスタンダードのパワーカードが揃っている。

 ラクドス・ミッドレンジの定番である《切り崩し》と《喉首狙い》の単体除去コンビも当然のように採用されており、ボードを捌きながら、自分の攻め手を押し付けていく。

 《長い別れ》は《分派の説教者》や《名もなき都市の歩哨》など《切り崩し》では対処できない範囲をカバーしながら、それでいて《策謀の予見者、ラフィーン》を護法の上からテンポ良く除去していく。

 《嘶くカルノサウルス》単体では飽き足らず、《ギックスの残虐》まで採用し、使いまわすことで対ミッドレンジ戦を優位に狙いがある。

 各マナ域の優秀なカードの集合体であるラクドス・ミッドレンジは1対複数交換が狙えるカードが多く、端から順にカードを使っていくだけで自然とリソースに差が生まれ、有利になっていく。クリーチャー戦、特にミッドレンジタイプに強いミッドレンジがラクドス・ミッドレンジなのである。


 メタゲームは新鋭ボロス召集を筆頭に、ドメイン・ランプ、エスパー・ミッドレンジ、ラクドス・ミッドレンジが追従するかたちとなっている。とはいえ、どのデッキも使用率は10%台であり、さまざまなアーキタイプがみられる。環境初期らしい群雄割拠の大会となっている。

 果たして、勝ち組となるのはどのアーキタイプか。熱戦が続くジャパンスタンダードカップの戦いの模様は、各対戦カバレージでご覧いただきたい。

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