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戦略記事

スタンダード情報局 in 横浜 -『カルロフ邸殺人事件』-

富澤 洋平

 2月9日に発売されたばかりの最新セット『カルロフ邸殺人事件』は、過去に発売された「ラヴニカ/Ravnica」を舞台としている。本セットはお馴染みのギルドをフィーチャーしたセットでこそないが、多色のカードが多数収録されており、それは既に多色デッキの多いスタンダードへさらなる拍車をかけることを意味している。

 既存の2~3色デッキのアップデートはもとより、『カルロフ邸殺人事件』の加入により早くも新たなデッキの息吹が生まれつつある。本日開催される「ジャパンスタンダードカップ:『カルロフ邸殺人事件』 Supported by 楽天ブックス」では、そこかしこで新たなテクニックが披露されることだろう。

 本稿では、『カルロフ邸殺人事件』よりスタンダードへ変化を与えるカードを4枚に絞り、紹介していこう。
 

カード紹介

戦導者の号令

 口火を切るのはボロスカラーの《栄光の頌歌》こと《戦導者の号令》。白のお家芸である全体強化に加えて、後続クリーチャーへ直接ダメージ効果を付与するアグロ戦略に噛み合う1枚となる。

 1ターン目からクリーチャーを展開するアグロや《上機嫌の破壊》や《毅然たる援軍》といった1枚で複数のクリーチャーを用意できる戦略にマッチしたカードといえる。

 従来の白系アグロであれば全体除去などで戦場をリセットされてしまうと押し切ることが難しかったが、《戦導者の号令》の直接ダメージ効果は残った数点のライフを削りきるには十分すぎるおまけとなっている。

喝破

 コントロールフリークが求めていた1枚が、ついにスタンダードへと返ってきた。汎用性の高く、安価な打ち消し呪文は序盤の守り、中盤の牽制としてゲームプランを確立する助けとなる。《かき消し》も同レベルのカードではあったが、アゾリウスに限ってはそっくりそのまま入れ替えとなる。

 全体除去の《太陽降下》、大量にカードを引ける《記憶の氾濫》、攻守を支える《放浪皇》と大枠はかたまっていたアゾリウスコントロールへとすんなりと採用される。

 ほかにも兵士や《地底のスクーナー船》に代表される機体系などアゾリウスカラーのデッキには軒並み採用されるだろう。

長い別れ
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 序盤の守りを《切り崩し》と《喉首狙い》の2種類のインスタントに頼っている黒系ミッドレンジにとって、昨今のクリーチャーの質の向上は無視できないレベルに到達している。こと3マナクリーチャーは《分派の説教者》や《名もなき都市の歩哨》など《切り崩し》の範囲外あり、ここで《喉首狙い》を使用してしまうと、後続の《黙示録、シェオルドレッド》に苦しめられるジレンマに陥っていた。

 《長い別れ》はまさにこの穴を埋めてくれる除去呪文であり、3マナクリーチャーに対して2マナとテンポ良く軽快に切り返し、それでいて貴重な《喉首狙い》の温存に繋がる。《策謀の予見者、ラフィーン》の護法すらも無視できるため、黒系ミッドレンジにとっての新たな除去呪文の選択肢となり得る1枚である。

逃走する暗号破り

 使用できるセット数が増えるに連れて各デッキともにブラッシュアップされていくわけだが、それは何も多色デッキに限ったことではない。スタンダードきってのダメージ効率をほこる赤単アグロは、序盤のクリーチャーに新戦力を得ている。《逃走する暗号破り》は速攻と果敢のアグロ戦略が最も欲する2つの能力を有しており、《ロノムの発掘家、フェルドン》や《魅力的な悪漢》、《穢れた敵対者》ら優秀な2マナ域へと割って入るだけのカードパワーを持っている。

 序盤は《僧院の速槍》とともに火力のサポートを受けてダメージレースを牽引するが、中盤以降はもうひとつの役割を持っている。変装により裏向きでプレイし、表にすることで追加のリソースをもたらしてくれるのだ。しかも表にするコストは墓地にあるインスタントとソーサリー分だけ軽くなるため、《火遊び》や《稲妻の一撃》を持つ赤単アグロの方向性とも噛み合っている。

 序盤のダメージソースでありながら、中盤以降のリソース不足を解消してくれる二役を兼ねたクリーチャーといえる。
 

おわりに

 今回は『カルロフ邸殺人事件』よりスタンダードで活躍が期待されるカードをご紹介しました。これらのカードを採用した新しい戦略、既存デッキのアップデートが予想されます。軽量カードの活躍が目立っており、特に《戦導者の号令》はボロスカラーのクリーチャー戦略を大きく後押しする必須の1枚になります。

 どのデッキが一歩抜きんでるのか、その答えは本日の「ジャパンスタンダードカップ」にて明かされることでしょう。

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