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戦略記事

世界最速級!! 『霊気走破』リミテッドオープン ~エーテル・フォーミュラ2025~ Supported by 楽天ブックス:決勝ドラフト雑感

富澤 洋平(撮影者:瀬尾 亜沙子)


 「世界最速級!! 『霊気走破』リミテッドオープン ~エーテル・フォーミュラ2025~ Supported by 楽天ブックス」(以下、リミテッドオープン)は、遂に8名まで絞られた。これより始まる決勝ラウンドは『霊気走破』3パックを使用したドラフトである。初日のシールド戦からわずか一夜と時間はほとんどなく、ほとんど練習する時間もなく、未知のドラフト環境に違いない。

 一口にリミテッドといってもシールドとドラフトは似て非なるもの。これまでの経験値とシールド戦で得た直観を頼りに、ドラフトしていくことになる。果たして彼らのドラフトデッキはどのようなものになったのだろうか。

 ここではトップ8プレイヤーそれぞれの決勝ドラフトの初手とカラーコンビネーション、意気込みをいただいた。

 席順はスイスラウンド1位の水谷から時計回りに以下のとおりだ。

 水谷→関本→鈴木→松本→川口→安東→清水→森山

 

スイスラウンド1位:水谷 直生(埼玉県)

1パック目 1stピック
 
デッキの色

 5色

決勝ラウンドへの意気込みを教えてください

 今日を生きぬく


 過去に世界選手権への出場経験を持ち、独自の構築力とドラフト眼で知られる古豪水谷。初日のシールドデッキこそ綺麗な2色デッキであったが、決勝ドラフトでは水谷節全開となった。

 運命の決勝ドラフトでは上家の森山が青黒、下家の関本が黒緑とポジションに恵まれたが、自身の得意とする5色戦略へと舵を切った。初手の《崇められし擬態の原形質》、《灯を追う者、チャンドラ》を筆頭にレアカードは豊富に揃っている。

 複数の多色土地に支えられたマナベースは水谷の真骨頂であり、事故とは無縁の完成度となっている。本人曰く「2色土地は2手目でピックした」と語る通り、慣れた手つきでマナベースとその他のカードを天秤にかけてドラフトしていく姿はまさに歴戦の強豪。

 5色デッキで決勝ドラフトを走破できるだろうか。

スイスラウンド2位:清水 直樹(神奈川県)

1パック目 1stピック
 
デッキの色

 緑青(サイドボードからタッチ赤)

決勝ラウンドへの意気込みを教えてください

 Decks, be Ambitious!!


 「シールド戦で大活躍だった《ルクサの体現、サブ=スネン》を明日も引く」と大胆に宣言していた清水は、神に、いやシミックに愛されしプレイヤーだった。開封したパックからはまさにその《ルクサの体現、サブ=スネン》が現れたのだから。

 上家の安藤が白青、下家の森山が青黒と青に挟まれたが、緑軸の構築であり、生物の質、呪文、とバランスの良いグッドスタッフに仕上がっている。《ルクサの体現、サブ=スネン》を引けたことを含めて、80点とかなりの高得点となった。

スイスラウンド3位:川口 貴志(東京都)

1パック目 1stピック
 
デッキの色

 黒赤

決勝ラウンドへの意気込みを教えてください

 ここまでこれただけで望外なため、楽しみます。また、リミテッドの大規模な大会が開催されて嬉しく思います。 ありがとうございます。感謝。


 黒赤というカラーボードからエンジン始動!を軸にしたテンポ感の良いデッキかと思われた。しかし、川口の構築したデッキはまったく別のものだった。

 川口は「速度ではなく、手札を捨てるシナジーに寄せたデッキ」とのこと。1パック目途中まで黒赤緑の3色を天秤にかけていたが、赤の流れが良く、かつ緑が枯渇していたことから黒赤へと突き進んだ。流れてきた《墓所呼びの戦車》を信じた先に待っていたのは、2枚目の《墓所呼びの戦車》、《エンドの首領、ファー・フォーチュン》、《咆吼部隊の重量級》とレアに恵まれたデッキの完成だった。

 《墓所呼びの戦車》の相方となる《雷頭の砲手》も2枚あり、強力なシナジーが構築されている。綺麗なマナカーブを描きながら、手札の不要牌を入れかえていくだけで自然と強固なボードが構築されていく。95点という本人評価も納得の完成度も頷けるもの。

スイスラウンド4位:安東 吉平(大阪府)

1パック目 1stピック
 
デッキの色

 白青

決勝ラウンドへの意気込みを教えてください

 新環境トップに立てるようにがんばります。


 2枚ずつの《ボヤージャーの急速溶接機》と《帰還航路》が象徴的な白青親和を構築したのは安東だ。

 上家の川口が黒赤、下家の清水が青緑と良ポジションであり、上上家の松本と色こそ被っているものの、戦略は異なる。

 単体のカードパワーは多少低くとも、アーティファクトが織りなすシナジーはそれを覆すのに十分である。《帰還航路》《船体漂い》とリソースを伸ばすカードは豊富に揃っているため、いかに軽量アーティファクトを展開できるかが、焦点となりそうだ。

スイスラウンド5位:鈴木 涼平(千葉県)

1パック目 1stピック
 
デッキの色

 緑白

決勝ラウンドへの意気込みを教えてください

 がんばります


 上下と1色ずつ被っているものの、《アラクリアの魂、ラゴリン》2枚と前のめりなテンポデッキの構築に成功した鈴木。複数枚の1~2域をピックしており、展開力で圧倒する。

 1マナのコンバットトリック《光盾での受け流し》をピックできなかった点を残念がっていたが、ほかのマナ域のものは充実しており、追放除去が4種類と中盤以降に壁役が出てきても止まらないデッキに仕上がっている。

 また、カラーボードからリソースゲームでは圧倒的に不利と予想されたが、《牙ドルイドの召喚士》から《大地の暴君、テリアン》という強力なパッケージを内蔵している。《大地の暴君、テリアン》はダメ押しの1枚となりそうだ。

スイスラウンド6位:松本 友樹(東京都)

1パック目 1stピック
 
デッキの色

 白青

決勝ラウンドへの意気込みを教えてください

 できる限りがんばります


 難解なドラフトながら上下との色被りをさけ、見事なデッキを構築したかと思われたが、松本評価は55点と低め。白を軸にドラフトしながらも青と赤のいずれかへ舵を切るかは環境初期にしては高度な決断力を求められた。白赤になるべきだったと、ピックすべき色のミスを悔やんでいた。

 とはいえ《守護の陽馬》を筆頭に、《迂回知らずのナマケモノ》など重量級の乗騎が揃っている。ひとたび天秤が傾けば、主導権を握ることはできるはずだ。

 《守護の陽馬》の攻撃回数が勝敗に直結することから《ハウラーの重量級》や《光盾での受け流し》などのコンバットトリックを複数ピックしている。

スイスラウンド7位:関本 寛大(大阪府→3月から沖縄県)

1パック目 1stピック
 
デッキの色

 黒緑

決勝ラウンドへの意気込みを教えてください

 走りきります!


 「走りきります!」とまさに走破を口にした関本だが、デッキを一目見てなるほどと納得できた。充実の低マナ域と除去呪文、《屑転がし》を含めたフィニッシャーと隙はない。1パック目で《不気味なガラクタ》をはじめとした除去をかき集めることに成功したと教えてくれた。

 ポジション取りに成功したことは2パック目で革新へと変わった。2パック目1手目では《轟雷のブルードワゴン》を流して《屑転がし》をピックしたところ、何と9手目に残っていたのだ。

 マナフラッド受けとして、消尽持ちや《獣乗りの先兵》をピックし、粘り強く戦えるデッキに仕上がっている。

スイスラウンド8位:森山 優(神奈川県)

1パック目 1stピック
 
デッキの色

 青黒

決勝ラウンドへの意気込みを教えてください

 いけるところまでやります


 初手で《悪魔憑きエンジン》というボムレアに巡り会えた森山は、流れてくる《スピン・アウト》をピックし続け、カードパワーの高い青黒を作り上げた。

 序盤をかためる《エンジンのネズミ》、《真夜中の圧搾車》、リソースを伸ばし速度も進める《危険な近道》、3枚の《スピン・アウト》が揃っており、コントロール色の強いデッキといえる。

 点数自体は初ドラフトのため不明と控えめな回答であったが、優勝も十分狙えるはずだ。
 

ドラフト席順ごとのカラーコンビネーション

 最後に決勝ドラフトの席順と、各プレイヤーがピックしたデッキのカラーコンビネーションを記載しよう。

 水谷(5色)→関本(黒緑)→鈴木(緑白)→松本(白青)→川口(黒赤)→安東(白青)→清水(緑青)→森山(青黒)

 綺麗に住み分けしており、とても『霊気走破』環境初期とは思えないドラフトとなった。

 リミテッドオープンの決勝ラウンドの配信などのご参考にしていただければ幸いだ。

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