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プレイヤーズコンベンション千葉2025

観戦記事

第9回戦:鈴木 涼平(千葉県) vs. 柿木 研人(岡山県) ~私の愛馬は凶暴です~

富澤 洋平(撮影者:瀬尾 亜沙子)


 総勢900名が参加した「世界最速級!! 『霊気走破』リミテッドオープン ~エーテル・フォーミュラ2025~ Supported by 楽天ブックス」(以下、リミテッドオープン)もいよいよ最終ラウンドとなった。この対戦の勝者が明日の決勝ラウンド、つまりは決勝ドラフトへと進出できることを意味する。

 ここまで1敗ラインで勝ち進んできたのは茨城県のピノキオや船橋のさ会で普段からリミテッドを中心にプレイしているという鈴木 涼平と、遥々岡山県から遠征してきた柿木 研人。柿木は地元のブックアイランド水島店でフライデーやリミテッドに興じているとのこと。

 泣いても笑ってもトップ8をかけた最後の一戦。その火ぶたが切って落とされた。

ゲーム1

 柿木は《捨て身のダイナマイト持ち》、鈴木は《風に削られた岩山》でスタート。そのまま柿木は《》、《平地》とおき、鈴木は《》と3色の意思表示から2マナ域を展開するも《稲妻の一撃》との交換に終わる。

 

 だが、柿木の《霊気飛蜂》の返しに展開されたのは強烈な《歴戦の獣騎兵》。鈴木は一気にボードの主導権を握ることに成功する。

 柿木が追加したのは《カメラ発射機》とコモンが続く。鈴木は《最優秀接続士》をプレイすると、《カメラ発射機》を《免れぬ激突》で対処する。そしてその勢いのまま、《歴戦の獣騎兵》をアタックへと送り出してしまう。

 

 柿木の場には《捨て身のダイナマイト持ち》と《霊気飛蜂》のみとダブルブロックしたとしても、見かけ上は3点しか入らないように見える。しかし、捨て身のダイナマイト持ち》はその命と引き換えに《歴戦の獣騎兵》へと追加のダメージを与え、除去に成功

 《捨て身のダイナマイト持ち》の誘発型能力を見落としてしまった鈴木と、わずかな隙を見逃さなかった柿木。二人の明暗はこの一手でハッキリとわかれた。

 その後、互いにクリーチャーと除去呪文、コンバットトリックの応酬により天秤は左右へ触れていたが、鈴木の手札が尽きたところを狙いすまして柿木が力強い一手を送り込む。

 

 柿木は推進力、サムト》をプレイし、エンジン始動!雑食のジビリック》と合わせて2体で攻撃へと向かう。《推進力、サムト》の先制攻撃により速度は2へと上昇し、《雑食のジビリック》のパワーはさらに上昇。このターンに10点のライフを削り、鈴木のライフは7まで落ち込んだ。

 鈴木は《エルフの補給者》でなんとか場を持たせようと、互いのターンで消尽を起動し育てていく。それでも柿木のアタックに対し、《雑食のジビリック》と相打ちに。《推進力、サムト》は止まらない。

 

 鈴木は思考を巡らせ、意味深に《エンドライダーの棘飛ばし》でアタック。柿木はブロックを宣言すると、そこへ《偉大なる賜物》がプレイされる。頼む通ってくれ、と鈴木の心の声が聞こえるような一手。

 

 慌てず騒がず柿木はスタックして《轢殺》をプレイすると、《推進力、サムト》はその名の通り推進力を維持したままゲームに幕をひいた

鈴木「《捨て身のダイナマイト持ち》の1点飛ばされるのを忘れてミスったな」

鈴木 0-1 柿木

ゲーム2

 先手後手は入れ替わり、鈴木が先手。《岩だらけの高地》、《平地》と早くも3色揃えながら《栄光荒野のオオヤマネコ》で攻勢をしかけるも、《稲妻の一撃》が待ったをかける。

 《》《》×2と白マナの出ない柿木は《エルフの補給者》をプレイ。鈴木は……動きなし。4マナもあるのに!?

 

 その答えは5ターン目に明らかになる。柿木が《起爆学者》を追加した返しにプレイされたのは、《守護の陽馬》!ハイスタッツの乗騎を前に、柿木は《ゴブリンの偵察員》でエンジンを始動するも歩みは止めるしかない。

 

 対して鈴木は《毒袋持ちのラガーク》と《速翼の襲撃者》をプレイ。守護の陽馬》へと騎乗して攻撃へと送り出すと誘発型能力で《睡蓮守りの信奉者》をサーチ、絆魂と破壊不能を付与し、鈴木24-15柿木とダメージレースをひっくり返す

 だが、柿木も伊達や酔狂でここまで勝ち進んできたわけではない。同じく《守護の陽馬》をプレイし返し、盤面の膠着を図る。

 しかしながら攻撃時にしか騎乗できない乗騎は先出しした方が圧倒的に有利であり、今回もその例にもれず、再騎乗した《守護の陽馬》は《速翼の襲撃者》とともにアタックへ向かい、《歴戦の獣騎兵》をサーチする。

柿木「ちょっと考えますね」

 脳内をよぎったのはゲーム1でみた《偉大なる賜物》。鈴木の手札は3枚、土地は6枚フルオープンの状況だ。

 柿木の回答は《起爆学者》と《エルフの補給者》でのダブルブロック。鈴木の手からコンバットトリックが繰り出されることはなく、《守護の陽馬》と《起爆学者》が相打つ。

 

 しかし、ホッとしたのも束の間、鈴木の手札からは2枚目の《守護の陽馬》!

 おまけに《歴戦の獣騎兵》の誘発型能力により全クリーチャーがアンタップし、攻防において一切の隙のないボードが構築されてしまう。

 ボード、ライフともに劣勢の柿木は手札を前に考える。ゲーム1でも活躍した《轢殺》で《守護の陽馬》を一方的に屠ると、クリーチャーが立ち並ぶ盤面を見つめる。《免れぬ激突》を《毒袋持ちのラガーク》へと打ち込み、乗騎した《守護の陽馬》を攻撃へと送り出す。鈴木はスルーし、ライフは19へと落ち込む。

 返すターンに鈴木は《速翼の襲撃者》と《歴戦の獣騎兵》の2体でアタック。

 

 柿木は悩みながらライフレースでの遅れを考慮し《エンドライダーの棘飛ばし》で《速翼の襲撃者》をブロック、予定調和に《歴戦の獣騎兵》の起動型能力を使用され、一方的に落とされる。《風に削られた岩山》を挟み、ライフは鈴木20-8柿木。

 鈴木の場には攻撃に特化したクリーチャーが増え、《歴戦の獣騎兵》のバックアップにより、隙のないボードが構築されてしまっている。

 悩む柿木。《機首乗りの専門家》をプレイすると、《エルフの補給者》で《守護の陽馬》へ騎乗する。《霊気飛蜂》をサーチし、上空にブロッカーを配備。少しでもライフレースのスローダウンを目論む。最後の手札であった《エンドライダーの触媒者》をプレイする。

 

 やっと最後の憂いが絶てた、鈴木はそう思ったに違いない。《歴戦の獣騎兵》の能力を起動すると《迂回知らずのナマケモノ》へと騎乗、《睡蓮守りの信奉者》、《速翼の襲撃者》と合わせて3体をアタックへと送り出す。

 

 悩みながらブロックした柿木へと提示したのは、ためにためた《偉大なる賜物》だった。トランプルが付与されることを確認すると勝負あり。

鈴木「ここまで自分が使う側だった《守護の陽馬》を出されて驚きました」

柿木「ここまできた(7-1)デッキとはいえ、《守護の陽馬》2枚目があるとは」

 互いにナヤの同色、《守護の陽馬》の被りから思わずため息が漏れる。

鈴木 1-1 柿木

ゲーム3

 先手の柿木は赤指定の《夜市》でゲームをはじめ、鈴木は2ターン目に《脱皮の世話人》をプレイ。

 

 柿木は3ターン目に3色揃えて《カメラ発射機》、鈴木はゲーム2を決めた《歴戦の獣騎兵》をプレイした。

 存在感のあるクリーチャーの登場に柿木は《起爆学者》を追加、鈴木はそのエンドに《脱皮の世話人》の起動型能力を使用し切削する。

 

 脱皮の世話人》の力で1ターン飛ばしで5マナへと辿り着くと、愛馬《守護の陽馬》をプレイ。《》こそないものの、《歴戦の獣騎兵》と《脱皮の世話人》のシナジーにより、毎ターンマナには不自由しない状況となる。

 柿木は《起爆学者》の軽減効果を活かし消尽を使いボードを強化。そのまま3/3となった《カメラ発射機》でアタックし、鈴木は4枚の手札を前に少考えながらも、テイクしライフは17へ。《雑食のジビリック》と《地区のマスコット》を追加する。柿木は頭数で、鈴木は質で勝負する。

 

 しかし、ここで鈴木の場へ《迂回知らずのナマケモノ》が追加されたことで一方的な攻撃態勢が確立されてしまう。騎乗された《守護の陽馬》は予定調和に《睡蓮守りの信奉者》をサーチし、1ターンで鈴木22-15とライフレースをひっくり返す。マナ、アタッカー、リソース源、ボード強化と鈴木に死角はない。

 柿木は《捨て身のダイナマイト持ち》でチャンプブロックしながら《脱皮の世話人》を、《稲妻の一撃》で《速翼の襲撃者》を除去し、少しずつではあるがマナやボードの差をつめていく。

 

 するとデッキも応えるように柿木の元へ推進力、サムト》が駆け付け、冷え切っていたエンジンを始動!パワーが2へと上がった飛行機械トークンで単身アタックすると、残ライフは鈴木18-13柿木。

 鈴木は丁寧に《迂回知らずのナマケモノ》のみでアタックし、柿木は《雑食のジビリック》でチャンプブロック。第二メインフェイズに《砂丘の危険》を追加した。そう、柿木の唯一の希望であった空さえも止めたのだ。

 柿木はパワー5の《カメラ発射機》単身でアタックし、《毒袋持ちのラガーク》と相打ち。お互い手札は1枚のみで、クリーチャーの頭数は同程度だが、歴戦の獣騎兵》分鈴木が優位である。土地とクリーチャーの数が多ければ多いほど、このカードは威力を発揮する。

 

 鈴木は《歴戦の獣騎兵》の起動型能力を使用し《迂回知らずのナマケモノ》へと乗騎、《守護の陽馬》、《睡蓮守りの信奉者》の3体でアタックし、サーチしてきたのは《クラウドスパイアの隊長》!!

 この予想外のボード強化には柿木もまいった。思考を巡らせると飛行機械トークンで《睡蓮守りの信奉者》を、《地区のマスコット》と《起爆学者》で《守護の陽馬》をダブルブロック。

 

 鈴木はこのブロックを受けて推進力、サムト》を対象に《轢殺》をプレイすることを選択

 柿木は《全損事故》で《迂回知らずのナマケモノ》を除去するも、一方的となってしまった盤面を前に敗北を認めたのだった。

鈴木 2-1 柿木

 勝利した鈴木はトップ8へ進出!

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