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プレイヤーズコンベンション愛知2023
第11回戦:長谷川 翔一(東京) vs. 橋爪 勇人(東京) 〜最速は発見コンボにあらず〜
チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド1の第11回戦。今大会は初日の時点で64名に絞られることもあり、プレイオフ進出ラインや上位12位進出(プロツアー権利獲得)のラインが早い段階で確定しやすい。そのため、第12回戦ではID(両者任意による引き分け処理)が発生することも多く、最終ラウンドを控えたこの第11回戦が事実上のバブルマッチとなるシーンが多い。
そんな第11回戦でフィーチャーマッチテーブルに呼ばれるということは──長谷川 翔一(東京)と橋爪 勇人(東京)は、席につくや否や緊張した面持ちですぐさま対戦の準備を開始する。勝てばプレイオフ進出の夢に大きく近づく天国と地獄の分水嶺、どちらにとっても負けられない戦いだ。
長谷川の使用デッキは「ボロス召集」。《羽ばたき飛行機械》などを《上機嫌の解体》の餌にすることで2ターン目に《敬慕されるロクソドン》をプレイすることができる、環境屈指の超高速アグロデッキだ。
対する橋詰の使用デッキは「アゾリウス・ロータス」。《睡蓮の原野》と《演劇の舞台》のコンボを採用し、《ドミナリアの英雄、テフェリー》でこれらをアンタップすることで自分のターンにも相手のターンにもマナもカードも使い放題という状況を作り出すコントロールデッキだ。
高速アグロと古典的なコントロール。相反する理念のデッキ同士がぶつかるバブルマッチで、見事プレイオフへの架け橋へと歩みを進めるのはどちらのプレイヤーになるのか? ジャッジによるゲーム開始のコールがなされると、決戦の火蓋が切って落とされた。
ゲーム1
第2ターンに《厳しい試験官》から動き出す橋爪。これにより、ボロス召集の擁する最強クリーチャー《敬慕されるロクソドン》の能力を牽制する。対して後攻の長谷川は《スレイベンの守護者、サリア》をプレイ。
《スレイベンの守護者、サリア》の存在は痛いが、長谷川の最速の動きだけは防げている橋爪は猶予ターンを使って追加の1マナを支払いながら《衝動》で手札を整える。
対する長谷川は橋爪のエンドステップに《毅然たる援軍》をプレイすると、続いて《ヴォルダーレンの美食家》。さらに盤面のクリーチャーを全てタップし、「召集」で《敬慕されるロクソドン》をプレイ! 《厳しい試験官》に要求されるマナもしっかりと支払い、若干展開は遅れることとなったがしっかりと進撃準備を進めていった。
だが、橋爪はなおも悠然と《記憶の氾濫》で手札を整え、《至高の評決》を唱える! 無慈悲に一掃される長谷川のクリーチャーたち。これにより攻め手を失ってしまった長谷川はドローも振るわず、《上機嫌の解体》を連続して引くバッドラックに見舞われて失われた戦力を回復することができない。
この隙を見逃さず、橋爪は《ドミナリアの英雄、テフェリー》をプレイ。古今東西を問わず更地に登場するプレインズウォーカーは強いものだが、《ドミナリアの英雄、テフェリー》はその中でも別格だ。これによって天秤は一気に橋爪に傾く。
依然としてクリーチャーを引き込めない長谷川は仕方無しに《イモデーンの徴募兵》を出来事としてプレイ。2/2の騎士トークン2体を得るが、橋爪はもはや意にも介さず《睡蓮の原野》をセットし《ドミナリアの英雄、テフェリー》の能力でアンタップ。マナ、リソースともに長谷川に圧倒的な差をつけていく。
長谷川はじっくりと手札を手繰りながら逆転の可能性を探るが、6マナがオープンになっている橋爪と《ドミナリアの英雄、テフェリー》を前に悩む。《巨人落とし》をプレイしてクリーチャーを並べると召集で《イーオスの遍歴の騎士》をプレイ。
だが、橋爪はこれに《不連続性》。無常にも長谷川のターンがスキップされ、返す橋爪はメインステップに《記憶の氾濫》をフラッシュバックしてさらなるリソースを得て《ドミナリアの英雄、テフェリー》の能力によってマナも回復。もはや敗北の目はほとんどなく、ゆっくりと長谷川を追い詰めるだけという体勢だ。
こうなっては《ドミナリアの英雄、テフェリー》を相手にしている場合ではないとばかりに、長谷川は騎士トークンと《巨人落とし》を橋爪のライフ目掛けて攻撃させる。しかし、橋爪が2枚の土地(1枚は《睡蓮の原野》)を寝かせて手札からプレイしたのは《残骸の漂着》──!!
橋爪のアゾリウス・ロータスが長谷川のボロス召集を完全に捌き切って見事に勝利をおさめるのだった。
長谷川 0−1 橋爪
ゲーム2
橋爪「後手はハンドの要求値めっちゃ高いんだよなぁ」
長谷川「それはもう諦めてもらって(笑)」
橋爪「諦めらんない(笑)他のデッキ相手なら全然キープするハンドなんだけどな〜」
先のゲームは危なげなく橋爪が先取したが、それも先手後手の差と長谷川の不運が重なってのものだ。今度は長谷川が先攻ということで、橋爪はしっかりと長谷川に対応できる手札を探しにマリガンを行う。やがて1回のマリガンを終えて満足気に手札をキープすると、第2ゲームが開始された。
先攻の長谷川は第1ターンに《スレイベンの検査官》をプレイすると、第2ターンに《上機嫌の解体》と《羽ばたき飛行機械》を唱えて2ターン目に《敬慕されるロクソドン》をダンプ! 絶好のスタートを切って、3ターン目には10点クロックで橋爪を攻撃する。
橋爪は後攻2ターン目にプレイした《厳しい試験官》で《敬慕されるロクソドン》をチャンプブロックするが、続くターンの長谷川の攻撃は防ぎきれない。
事実上の3ターンキル……否、2ターン目にはほとんど勝負の趨勢は決まっていたと言っても過言ではない展開。環境最速のデッキは「発見コンボ」にあらずと言わんばかりにボロス召集が意地を見せ、第2ゲームの白星をもぎとった。
長谷川 1−1 橋爪
ゲーム3
後攻の長谷川は第1ターンに《スレイベンの検査官》、続く第2ターンに《ヴォルダーレンの美食家》と《上機嫌の解体》と続け、さらに《羽ばたき飛行機械》を追加して2ゲーム連続の2ターン目《敬慕されるロクソドン》!
対する橋詰は《失せろ》で《敬慕されるロクソドン》だけは除去するが、早くも長谷川の戦場に並んだ10点クロックへの回答を探しにメインフェイズに《衝動》をプレイする。
しかし、猶予は与えんとばかりに長谷川は《イーオスの遍歴の騎士》を召集でプレイ。これによって《スレイベンの守護者、サリア》と《羽ばたき飛行機械》を手札に加えて《スレイベンの守護者、サリア》をプレイする。
橋爪「あっ間に合わない……」
そう、この《スレイベンの守護者、サリア》が登場しては橋爪はもはや間に合わない。もしもこの先攻第4ターンに長谷川が《イーオスの遍歴の騎士》を展開するのではなく攻撃をしてくれていれば、《スレイベンの守護者、サリア》を探されることもなく手札の《至高の評決》が間に合った。しかし、長谷川もまたここまで勝ち進んできた剛の者。絶好の第2ターンを終えてもなお落ち着いて自身の負け筋を潰すことに1ターンを使ってきた。
橋爪は長谷川の盤面のクリーチャーの打点を数える。16点──ギリギリ一度は受けきれるか、と計算したところでターンを終えるが、返す長谷川は《イモデーンの徴募兵》を叩きつける。
大胆さと冷静さ、相反する2つのプレイを魅せた長谷川が華麗にマッチに勝利する瞬間だった。
長谷川 2−1 橋爪
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