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プレイヤーズコンベンション愛知2023

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チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド1 初日 メタゲームブレイクダウン

Hiroshi Okubo

 「チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド1」がいよいよ幕を開けた。

 新シーズンを迎えたチャンピオンズカップファイナルもまた、昨シーズン同様に予選ラウンドを勝ち抜いた日韓のプレイヤーたちがパイオニアフォーマットで競う。上位に入賞した12名のプレイヤーは、すべての競技プレイヤーが目指す高みであるプロツアーへと進出することができる、いわば競技プレイヤーたちにとっての登竜門だ。

 去る2023年6月のチャンピオンズカップファイナル サイクル1の大会と比べ、今大会でのメタゲームはどのように動いているのか? ここではさっそくメタゲームブレイクダウンを見ていこう。

チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド1 メタゲームブレイクダウン

デッキタイプ 使用者数 割合
発見コンボ(《クイントリウス・カンド》) 44 18.2%
発見コンボ(《地質鑑定士》) 27 11.2%
ラクドス・ミッドレンジ 25 10.3%
ボロス召集 23 9.5%
アゾリウス・コントロール 13 5.4%
イゼット・フェニックス 11 4.5%
アゾリウス・ロータス 10 4.1%
アブザン探検コンボ 10 4.1%
アブザン脂牙 10 4.1%
イゼット独創力 6 2.5%
ジャンド異形化 6 2.5%
白単人間 6 2.5%
ラクドス・サクリファイス 6 2.5%
エニグマ・ファイアーズ 5 2.1%
緑単信心 5 2.1%
アゾリウス・スピリット 4 1.7%
グルール機体 4 1.7%
その他 27 11.2%

※使用者2名以下のデッキは「その他」に計上しています。
※ラストチャンストライアル通過者4名は集計に含まれていません。
※デッキ登録段階の集計のため、数字にズレがある可能性があります。ご了承ください。

新デッキ「発見コンボ」の台頭

 「ディミーア・インバーター」のキーカードである《真実を覆すもの》禁止以降、長らく「ラクドス・ミッドレンジ」「アゾリウス・コントロール」「緑単信心」の3デッキを筆頭に多くのデッキが群雄割拠の様相を呈していたパイオニア環境だが、ここにきて新勢力である「発見コンボ」が圧倒的なシェアを誇っている。

 メタゲーム上位2位までに君臨する「発見コンボ(《クイントリウス・カンド》)」と「発見コンボ(《地質鑑定士》)」は、いずれも大きな括りでは「発見コンボ」というデッキ名ではあるが、キーカードを異にする点からデッキの性質は微妙に違ったものとなっている。

Akaike Yo - 「発見コンボ(《クイントリウス・カンド》)」
チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド1 / パイオニア (2023年11月25〜26日)[MO] [ARENA]
3 《草むした墓
2 《踏み鳴らされる地
2 《平地
2 《
1 《
2 《
1 《
2 《インダサのトライオーム
1 《ゼイゴスのトライオーム
1 《ラフィーンの塔
2 《ジェトミアの庭
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《サヴァイのトライオーム
1 《ラウグリンのトライオーム
4 《寓話の小道
-土地(26)-

1 《シェフェトのオオトカゲ
4 《灯の分身
4 《Beanstalk Giant
4 《嘶くカルノサウルス
3 《賢いなりすまし
-クリーチャー(16)-
4 《執念の徳目
4 《群れの渡り
4 《力線の束縛
4 《クイントリウス・カンド
1 《覆滅 // 複製
1 《豪奢 // 誤認
-呪文(18)-
1 《豪奢 // 誤認
1 《巨智、ケルーガ》(相棒)
3 《覆滅 // 複製
3 《思考のひずみ
2 《シェフェトのオオトカゲ
3 《大群退治
2 《龍王ドロモカ
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 最も多い《クイントリウス・カンド》型のコンボでは、《クイントリウス・カンド》の[−3]能力を用いることでデッキから《賢いなりすまし》か《灯の分身》を探し出し(マナ総力が4以下のカードはこれらしか採用されていないため必ずこれらがヒットする)、コピーした《クイントリウス・カンド》でさらに[−3]能力を使用することで連続して呪文を唱え、《クイントリウス・カンド》自身の誘発型能力でライフを削り切るというものだ。

 《クイントリウス・カンド》を1枚出すだけで、対戦相手からの妨害さえなければたちまちゲームが終わるというお手軽コンボであり、このコンボへの妨害手段を持たない「緑単信心」は一気にトップメタから凋落することとなってしまった。

Ichikawa Yuuki - 「発見コンボ(《地質鑑定士》)」
チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド1 / パイオニア (2023年11月25〜26日)[MO] [ARENA]
1 《天上都市、大田原
4 《踏み鳴らされる地
1 《
1 《
1 《マナの合流点
2 《蒸気孔
3 《奔放の神殿
4 《河川滑りの小道
1 《
2 《カープルーザンの森
3 《魂の洞窟
2 《岩山被りの小道
-土地(25)-

2 《奔流の機械巨人
4 《地質鑑定士
4 《玻璃池のミミック
1 《大狸
1 《ドゥームスカールのタイタン
1 《暴走暴君、ガルタ
4 《嘶くカルノサウルス
-クリーチャー(17)-
4 《異界の進化
3 《豪奢 // 誤認
4 《創造の発露
4 《マグマ・オパス
2 《徙家 // 忘妻
1 《覆滅 // 複製
-呪文(18)-
1 《巨智、ケルーガ》(相棒)
1 《豪奢 // 誤認
2 《覆滅 // 複製
4 《シェフェトのオオトカゲ
1 《二重視
3 《龍王ドロモカ
1 《大狸
1 《有角の湖鯨
1 《平地
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 対して《地質鑑定士》を利用する形の「発見コンボ」は《クイントリウス・カンド》よりもキルターンが1ターン速いことが強みだ。

 《地質鑑定士》をプレイして《異界の進化》をめくることで《嘶くカルノサウルス》を出し、再び誘発する「発見5」から《地質鑑定士》を出して……といった動きを繰り返し、最終的に《異界の進化》で《ドゥームスカールのタイタン》を出してクリーチャーに速攻を付与して一斉攻撃して勝利する。よくこんなカード見つけたな……。

 キーカードが《クイントリウス・カンド》よりも1マナ軽い分キルターンが速いのが持ち味だが、反面でクリーチャー除去で止まってしまうという弱点も存在する。

 『イクサラン:失われし洞窟』発売からわずか2週間で発見されたこの2つのコンボデッキによって大きく揺るがされることとなったパイオニア環境。これらのデッキに対し、既存デッキはどのように対抗しているのか見ていこう。

「ラクドス・ミッドレンジ」
Mori Noriyuki - 「ラクドス・ミッドレンジ」
チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド1 / パイオニア (2023年11月25〜26日)[MO] [ARENA]
4 《血の墓所
4 《黒割れの崖
4 《荒廃踏みの小道
1 《バグベアの居住地
2 《目玉の暴君の住処
2 《憑依された峰
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《不穏な火道
1 《
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
2 《硫黄泉
2 《変わり谷
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
-土地(26)-

4 《砕骨の巨人
4 《税血の収穫者
3 《黙示録、シェオルドレッド
2 《墓地の侵入者
2 《苦難の影
1 《太陽の執事長、インティ
1 《分派の説教者
-クリーチャー(17)-
4 《思考囲い
2 《強迫
4 《鏡割りの寓話
2 《塔の点火
3 《致命的な一押し
1 《勢団の銀行破り
1 《パワー・ワード・キル
-呪文(17)-
2 《衰滅
1 《強迫
2 《碑出告が全てを貪る
2 《ヴェールのリリアナ
1 《絶望招来
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
2 《真っ白
4 《乱動する渦
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 パイオニアの代名詞とも言える元祖トップメタの「ラクドス・ミッドレンジ」。クリーチャー、除去、アドバンテージのいずれも一級品のカードが揃い、マジック:ザ・ギャザリングというゲームで勝つために必要なことのほとんどすべてが詰め込まれた環境屈指のグッドスタッフデッキだ。

 「発見コンボ」に対し、「ラクドス・ミッドレンジ」側は除去や手札破壊といった妨害手段で臨むこととなる。コンボ自体を妨害する手段に富んでおり、「発見コンボ」への有力な対抗馬と言えるだろう。

 しかし、ゲームが長引けば「発見コンボ」側もまた別のゲームプランで対抗することとなる。《クイントリウス・カンド》型であれば素で《豆の木の巨人》をプレイしたり《執念の徳目》でアドバンテージに差をつけたりといった重いカードで「ラクドス・ミッドレンジ」を苦しめる。

 また、《地質鑑定士》型も《マグマ・オパス》で盤面を作ったり《詭謀 // 奇策》のリアニメイトモードで二度三度とコンボを決めに行ったりと、コンボルートと中盤〜終盤戦の波状攻撃で攻めてくる。

 前回大会から一転してチャレンジャーサイドに回ることとなった「ラクドス・ミッドレンジ」は今大会で過去のトップメタデッキの威厳を取り戻すことができるのか?

「アゾリウス・コントロール」
Hosokawa Yuya - 「アゾリウス・コントロール」
チャンピオンズカップファイナル シーズン2 ラウンド1 / パイオニア (2023年11月25〜26日)[MO] [ARENA]
4 《さびれた浜
1 《皇国の地、永岩城
3 《廃墟の地
4 《神聖なる泉
4 《連門の小道
3 《
1 《天上都市、大田原
3 《平地
4 《不穏な投錨地
-土地(27)-
 
-クリーチャー(0)-
4 《失せろ
1 《魂の仕切り
2 《方程式の改変
3 《ドビンの拒否権
3 《吸収
4 《記憶の氾濫
4 《至高の評決
2 《かき消し
3 《サメ台風
3 《放浪皇
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー
1 《多元宇宙の警告
-呪文(33)-
2 《ナーセットの逆転
3 《クチルの側衛
4 《ポータブル・ホール
3 《即時却下
1 《サメ台風
2 《領事の権限
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 過去の三強の一角である「アゾリウス・コントロール」もまたメタゲーム・ブレイクダウンの5位につけている。

 打ち消し・ドロー・白の万能除去という組み合わせによって構成される古典的なコントロールデッキで、以前は「ラクドス・ミッドレンジ」に対して五分〜やや不利な立ち位置を強いられていたが、その他のデッキに対して強いというポジションだったデッキだ。

 「発見コンボ」が特定のキーカードに依存したコンボデッキである以上、「アゾリウス・コントロール」の豊富な妨害手段はコンボ成立を大いに妨げる。いかに相手の出鼻をくじき、反撃の芽を摘むかというゲームプランは「アゾリウス・コントロール」にとって十八番とも言えよう。

 ただし、「ラクドス・ミッドレンジ」同様に「アゾリウス・コントロール」もフェアなゲームプランを取る関係上ゲームが長引いたときに「発見コンボ」側に重いカードを連打されてしまうといった異なるゲームプランを取られることがある。

 まだ「発見コンボ」が発見されて日が浅いことも「アゾリウス・コントロール」のような対応する側のデッキにとっては若干苦しいところだ。単純に確率の問題として、もう少し環境の究明が進んでいれば「アゾリウス・コントロール」のようなデッキにとってもより的確なアプローチを取れる確率は上がる。この不利を覆すデッキが誕生しているかどうかもコントロールファンにとっては目が離せないところだろう。


 ここでは紹介できなかったが、《スレイベンの守護者、サリア》や《エメリアのアルコン》といったヘイトベアーでコンボを対策できる「ボロス召集」や『エルドレインの森』で《錠前破りのいたずら屋》という新カードを得て強化された「イゼット・フェニックス」など、今大会にも様々なデッキが参加している。

 はたしてこの中で"勝ち組"となるのはどのデッキなのか? 今後の戦いからも目が離せなくなりそうだ。

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