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神河チャンピオンシップ
神河チャンピオンシップ 2日目の注目の出来事
2022年3月12日
(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)
「神河チャンピオンシップ」の初日は、最高峰の場で登場したアルケミー・フォーマットが耳目を集め、この日は各プレイヤーが新たなデッキを持ち込んで順位を競い決戦を繰り広げる新フォーマットの祭典となった。
2日目は、トップ8を目指して戦うプレイヤーに焦点が当たった。そこではこの日の最初に行われたアルケミー4回戦で、未踏のフォーマットを最も巧みに駆け抜ける者がその労をねぎらわれた。4名のプレイヤーがアルケミーを7勝0敗と完勝で決め、ヒストリックで行われる最後の直線を全力で駆け抜けてようやく戦線は収束した。
まあ、ジム・デイヴィス/Jim Davisを除いてね。
多作で知られるコンテンツ・クリエイターであり、またトーナメント常連でもある彼は金曜から好調を維持し、12勝0敗で最初にトップ8を確定させてこの日の戦いを終えたのだ。この無敗街道は、オンドレイ・ストラスキー/Ondřej Stráskýによる「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」スイス戦12勝0敗の快進撃や、10年以上前の「プロツアー・サンディエゴ」で殿堂顕彰者ルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasが成し遂げた伝説の予選16勝0敗などの過去に見られた圧倒的な実力の発露を彷彿とさせるものだった。
Just wanna say thanks to everyone for all the support, I love y'all. Looking forward to tomorrow and very happy to have these last three rounds off! #NEOChamps @CoolStuffInc @CoalesceAD @BCWSupplies @UntappedGG #MTGA https://t.co/FYKrPjstsn
— Jim Davis (@JimDavisMTG) March 12, 2022
サポートしてくれた皆に感謝を伝えたい、みんな大好きだ。明日が楽しみだし、最後の3回戦をやらずに済むのはとても助かるよ! #NEOChamps
@CoolStuffInc @CoalesceAD @BCWSupplies @UntappedGG #MTGA
このアメリカ人は日曜の本命のひとりジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Deprazとともににトップ8に加わった。このフランスのスーパースターは、早くからその席を確保していた唯一のプレイヤーで、独自の道を歩んできた。スーパーチームや大規模な調整グループが数多く見られるこの場で、ドゥプラはアルケミーとヒストリック両方が求められるこのトーナメントのために独力で準備を整えてきたのだ。
その結果、《暁冠の日向》を中心として構築を練りこんだアルケミー・デッキと、ほかにもう1人しか使用者のいないヒストリックの「アゾリウス親和」を練り上げて持ち込んできた。最終的に12勝を挙げてトップ8入りし、彼にとって5度目となる上位入賞を果たした。
トップ8の残りの枠は最終戦の激突でようやく決定し、11勝4敗で並んでいる11人のうち6人が入賞を逃すという信じられない展開となった。トップ8入賞者は、日曜の朝にアルケミーで行われるダブルエリミネーションの場に再び集結し、「神河チャンピオンシップ」の優勝者と「第28回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」へ送り出す6名のプレイヤーを決定するために戦う。
- ジム・デイヴィス (グリクシス・ミッドレンジ)
- ジャン=エマニュエル・ドゥプラ (ジェスカイ日向)
- ブレント・ヴォス/Brent Vos (オルゾフ・ダンジョン)
- 宮野 雄大 (エスパー・クレリック)
- ジョニー・グットマン/Jonny Guttman (白単アグロ)
- ザック・ダン/Zach Dunn (マルドゥ・ミッドレンジ)
- ヂィ・イーミン/Zhi Yimin (マルドゥ・ミッドレンジ)
- イーライ・カシス/Eli Kassis (オルゾフ・ダンジョン)
ここに至るまでの経緯を見ていこう。
ジムのハレの日
チャンピオンシップのトップ8に入る最短の道は、12連勝することだ。それが最も簡単な道でないことは確かだが、連勝こそが日曜のプレイオフの席を確保する最速の道となる。
「プロツアー」常連から「SCGインビテーショナル」勝者からコンテンツ・クリエイターから「チャンピオンシップ」競技者へと転身したJim Davisは、金曜と土曜あわせて12連勝を達成した。
「2000年代後半の『プロツアー』に何度も参加し、トップ32や賞金圏内を何度か経験したものの、マジックで成功できるほどの大躍進を果たせず、結局マジックから離れる結果になった」と彼は言った。「SCG Tour」がアメリカのプレミア・イベントとして登場すると、デイヴィスは復帰して足場を固め、2011年の「SCGインビテーショナル」で優勝するまで戦い続けた。
競技イベントの内容とその参加機会は年々変化してはいるが、デイヴィスは競技重視からパワフルなストリーマーへと変貌し、自身のTwitchチャンネルやオンライン・コンテンツを通じてゲームへの愛情を――そして技術を――共有している。そして今、彼はMTGアリーナの競技プレイを通して、マジックで最も権威のあるイベントの1つで再びトップへと返り咲いたのだ。
「競技プレイから離れてコンテンツ作成を主とするようになった身ではあるかもしれないが、ようやく上位入賞を果たせて最高の気分だよ」
「継続は力なり」という格言が必ずしもその通りになるとは限らないが、Davisが絶え間なく行っていたマジックのためのコンテンツ事業は、彼に再び機会が訪れたときの準備は整っているという意味だった。そして初のトップ8を獲得した今、彼は次のステップへと目を向けることができる。
トップ7+ジャン=エマニュエル・ドゥプラ
Jean-Emmanuel Deprazがトップ8に入っている、あるいは入るかどうかを競っているとしてもほとんど驚かないだろう。最近行われているマジック最高峰のイベントを視聴していないなら話は別だが。
We really should just rename it to Top 7 + @JEDepraz
— Magic Esports (@MagicEsports) March 13, 2022
#NEOChamps pic.twitter.com/PkOeBvQeHq
トップ7+ @JEDepraz に名称を変更する必要がありますね。
#NEOChamps
このフランスの選手は2017年にブレイクした。「グランプリ・ワルシャワ」優勝に始まり「プロツアー『イクサランの相克』」では7位に収まって新興勢力となったのだ。彼はそこから信じられないほど高い水準で実績を残し続けている。
- 「ワールド・マジック・カップ2018」主将としてチームを優勝に導く
- 「2019ミシックチャンピオンシップⅢ」トップ8入賞
- 「2019ミシックチャンピオンシップⅤ」準優勝
- 「2020プレイヤーズツアー・オンライン2」準優勝
- 「2021MPLガントレット」トップ8入賞
- 「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」準優勝
その過程で、ドゥプラは慎重かつ思慮深い競技者として対戦相手から称賛され、常にトーナメントで見られる最高のデッキの一部を精力的に調整して用いている。今週末は誰も「アゾリウス親和」を意識していなかったが、ドゥプラが成功したことでヒストリックの名簿に明記され、今後は警戒されることになる。
1 《平地》 1 《島》 4 《神聖なる泉》 2 《さびれた浜》 4 《連門の小道》 4 《産業の塔》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 4 《宝物庫》 -土地(22)- 2 《羽ばたき飛行機械》 4 《エスパーの歩哨》 4 《巧妙な鍛冶》 4 《思考の監視者》 -クリーチャー(14)- |
1 《トーモッドの墓所》 4 《月罠の試作品》 4 《ポータブル・ホール》 3 《魂標ランタン》 4 《金属の叱責》 1 《影槍》 4 《イラクサ嚢胞》 3 《ウルザの後継、カーン》 -呪文(24)- |
2 《真髄の針》 2 《練達飛行機械職人、サイ》 3 《ドビンの拒否権》 3 《ガラスの棺》 1 《神秘の論争》 1 《影槍》 2 《勢団の銀行破り》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 -サイドボード(15)- |
彼が「グランプリ・ワルシャワ」でトロフィーを掲げてからしばらく経つが、最高峰の競技イベントで世界最高のプレイヤーたちを前にしてなお驚くほど一貫している彼のプレイを見れば、再びタイトルを獲得するのも時間の問題である、と言えよう。
「神河チャンピオンシップ」は彼にとって5度目の上位入賞となり、おそらく最終的にすべてを獲得する場となるのだろう。
アルケミーについて
マジックで全く新しいフォーマットの登場を目の当たりにできることはめったにないが、200人以上のプレイヤーがアルケミー環境を解読しようと最善を尽くし、他のチームがデジタル限定の新カードや調整カードを既存のマジックにかけ合わせてどのように仕上げるのかを予測しようと試みた。まさにそれこそ「神河チャンピオンシップ」で求められたことだ。
結果として、「神河チャンピオンシップ」におけるアルケミーを最も的確に要約するものは、上位13名中で使用されたデッキが11種類ある、という状況だ。「白単アグロ」が《ルーン鍛えの勇者》に対して強烈に干渉することが判明したため、話題の「ナヤ・ルーン」デッキはその性能が大幅にダウンさせられていた。「白単アグロ」の伝統的かつ積極的な戦略は初日で最も成功を収めたものの、戦線が狭まった土曜日は「マルドゥ・ミッドレンジ」と「オルゾフ・ダンジョン(ベンチャー)」が「白単アグロ」を抑えてトップに立った。
「オルゾフ・ダンジョン」はアルケミーで有効なデッキの模範として完璧だ。調整後の《A-勝利した冒険者》と《A-急な落下》が、マ・ノア/Ma Noahとイーライ・カシスをアルケミー7勝0敗と完勝に導く力をデッキに与えている。
「マッチは落とさなかったし、ゲーム単位でもほぼ負けなかった」とカシスは端的に評した。「チームはこの構成でうまくやったので、私は間違いなくこれを使い続けるね」
3 《平地》 1 《沼》 4 《砕かれた聖域》 4 《陽光昇りの小道》 1 《針縁の小道》 3 《目玉の暴君の住処》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《A-ダンジョンの入口》 4 《見捨てられた交差路》 -土地(23)- 1 《剛胆な敵対者》 1 《嘘の神、ヴァルキー》 4 《エメリアのアルコン》 4 《無私のパラディン、ナダール》 2 《忘れられた大天使、リーサ》 4 《街追いの鑑定人》 4 《A-勝利した冒険者》 -クリーチャー(20)- |
4 《A-急な落下》 3 《強迫》 2 《消失の詩句》 1 《冥府の掌握》 1 《冥途灯りの行進》 1 《パワー・ワード・キル》 3 《ハグラの噛み殺し》 2 《放浪皇》 -呪文(17)- |
2 《血の長の渇き》 1 《黎明運びのクレリック》 1 《聖戦士の奇襲兵》 4 《墓地の侵入者》 1 《強迫》 1 《スレイベンの除霊》 2 《真っ白》 2 《食肉鉤虐殺事件》 1 《勢団の銀行破り》 -サイドボード(15)- |
アルケミーで7勝0敗した他のプレイヤーは、《漆月魁渡》を採用した点が特徴的な「グリクシス・ミッドレンジ」を起用したデイヴィス、それと革新的な「イゼット・ライブラリーアウト」デッキを使用した八十岡翔太だ。それはいつもの八十岡スタイルでトーナメントに驚きと嵐をもたらし、彼にアルケミーの完勝とトップ8にほぼ等しい成績をもたらした。
1 《島》 2 《山》 4 《嵐削りの海岸》 4 《河川滑りの小道》 2 《日没の道》 4 《針縁の小道》 1 《ストーム・ジャイアントの聖堂》 1 《バグベアの居住地》 3 《見捨てられた交差路》 -土地(22)- -クリーチャー(0)- |
3 《棘平原の危険》 2 《電圧のうねり》 3 《安堵の火葬》 3 《表現の反復》 2 《削剥》 2 《感電の反復》 2 《ジュワー島の撹乱》 1 《轟く叱責》 3 《ターシャズ・ヒディアス・ラフター》 1 《プリズマリの命令》 4 《予想外の授かり物》 4 《災厄招来》 1 《家の焼き払い》 2 《告別》 4 《A-ゼロ除算》 1 《公式発見》 -呪文(38)- |
4 《くすぶる卵》 2 《軽蔑的な一撃》 2 《否認》 1 《轟く叱責》 2 《勢団の銀行破り》 1 《環境科学》 1 《アルカイックの教え》 1 《家の焼き払い》 1 《マスコット展示会》 -サイドボード(15)- |
チャンピオンシップの光景
アルケミーのメタゲームは極めて多様で、トップ8にはおなじみの顔ぶれとデジタル・ファースト世代なマジック競技プレイヤーからの新顔が並び立ち(参考記事:英語)、今やなじみのフォーマットとなったヒストリックにもいくつかの革新が見受けられた。ジョニー・グットマンはここ数年、MTGアリーナにおいてのメタゲームの革新を大いに牽引してきたが、今回はデッキビルダーとしてのみならずトップ8競技プレイヤーとしての名を残す機会をつかみ取った。
「トップ8ということは、『世界選手権』の出場権のためにプレイできるということだ」と彼は振り返った。「もし優勝したらどうしよう、インタビューで何を言おう、というようなことを空想していた。今やそれらはすべて現実的なものだけど、史上最高のプレイヤー3人を打倒して『チャンピオンシップ』のトップ8に入ったことはまだ現実だと思えないよ。逆に現実離れしてるよね」
デッキの革新は、宮野 雄大にトップ8を獲得させた新たなる「ラクドス・サクリファイス」から起こった。それは『神河:輝ける世界』で加わった《鬼流の金床》と《実験統合機》を軸とすることで、すでに頼りにしている《大釜の使い魔》と《魔女のかまど》というコンボの王様に別の高性能エンジンを追加したものだ。
1 《沼》 4 《血の墓所》 4 《憑依された峰》 4 《荒廃踏みの小道》 4 《花盛りの湿地》 3 《踏み鳴らされる地》 1 《バグベアの居住地》 1 《目玉の暴君の住処》 -土地(22)- 4 《大釜の使い魔》 4 《貪欲なるリス》 4 《ヴォルダーレンの美食家》 -クリーチャー(12)- |
4 《致命的な一押し》 4 《思考囲い》 4 《実験統合機》 4 《魔女のかまど》 4 《命取りの論争》 4 《鬼流の金床》 2 《食肉鉤虐殺事件》 -呪文(26)- |
1 《夢の巣のルールス》
-相棒(1)- 4 《強迫》 4 《魂標ランタン》 4 《電圧のうねり》 2 《真っ白》 -サイドボード(14)- |
波を起こすもう1つの新カードは《皇の声、軽脚》だった。これは「オーラ」デッキにエンチャントを補充するための新たなツールとなり、独自のデッキ構築判断へと導く結果となった。《告別》と《冥途灯りの行進》はコントロール・デッキに新しいツールを与え、《魔女のかまど》と《パンくずの道標》の蔓延に対処する助けとして働いた。また一方でジャン=エマニュエル・ドゥプラは「アゾリウス親和」で皆の度肝を抜いた。そして、もちろん、《弧光のフェニックス》もいつも通り投入された。
しかし土曜日の主役はアルケミーだった、少なくともマリア・バーソルディ/Maria Bartholdi、コーリー・バウマイスター/Corey Baumeister、そしてライリー・ナイト/Riley Knightが舞台に上がるまでは。
先を見据える
2日間の戦いが終わり、すべての目は優勝と「第28回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」の6つの空席をめぐるトップ8の戦いに向けられる。
(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa)
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