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第29回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権

観戦記事

第29回マジック世界選手権 2日目の注目の出来事

Corbin Hosler

2023年9月24日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)

 「第29回マジック世界選手権」は、世界最高のプレイヤー105名を迎えて幕を開けた。いずれも何か月、何年と「世界選手権の舞台に立つ」という夢を追い続け、ついにその席につきカードをシャッフルするに至った者たちだ。この舞台は1年間にわたるマジックの競技シーズンの集大成であり、多くの選手が第一ドラフト卓に座ったそのとき、自身が世界選手権の舞台にいることを実感したことだろう。

 世界選手権の舞台で競い合うという経験は心躍るものであり、その舞台でトップ8に入賞するという経験は人生を変え得る。とりわけトップ8入賞の経験を優勝トロフィー獲得の経験に変えられるただ1人の選手は、人生が変わるだろう。その選手は「マジック世界王者」のタイトルと、100,000ドルの優勝賞金と、マジックの公式カードとして永遠にその肖像と名前が刻まれるという、このゲームに足跡を残した者にのみ与えられる栄誉を受け取れるのだ。

 2日目の競技は、初日を4勝3敗以上の成績で終えたプレイヤーで行われる。105人の招待選手は、ちょうど50人に数を減じた。これだけ厳しい大会で人数も少ないとなれば、何が起きてもおかしくない。

 だがトップ8入賞一番乗りを決めた選手に驚く者はいないだろう。今回の世界選手権での優勝候補の一角と目されていたのだから。

リード・デューク/Reid Duke

 リード・デュークが世界選手権最終日の舞台に帰ってきた。殿堂顕彰者にしてこのゲームのアンバサダーである彼は、2013年の世界選手権において準優勝を記録したことが印象的だろう。その決勝で敗れた相手が、世界選手権2連覇という快挙を達成し、いまだ破られない世界選手権優勝2回という記録を残したシャハール・シェンハー/Shahar Shenharだったのだ。

 デュークは2013年にこのゲームの「長老」の一員になる資格を得たかもしれないが、今回の世界選手権における圧倒的な活躍(や「プロツアー・ファイレクシア」での優勝)はある事実を明確に証明している。すなわちデュークはこのゲームの頂点に再び立っており、その名をマジックの歴史で最も名誉ある場所に刻むチャンスがあるということだ。そう、今大会で優勝すれば、彼が29人目のマジック世界王者となるのだ。

 デュークにすぐ続いたのは、サイモン・ニールセン/Simon Nielsenだった。彼は最初の2ラウンドを落としたものの、その後に怒涛の10連勝を挙げ、最終日の席を確保したのだ。そこから残る席も次々と埋まり、リミテッドとスタンダードの卓越したパフォーマンスを見せた8人が出揃った。

  • リード・デューク(ドメイン・ランプ)
  • サイモン・ニールセン(アゾリウス兵士)
  • 小坂 和音(エスパー・ミッドレンジ)
  • ロレンツォ・テルリッツィ/Lorenzo Terlizzi(エスパー・ミッドレンジ)
  • アンソニー・リー/Anthony Lee(ゴルガリ・ミッドレンジ)
  • グレッグ・オレンジ/Greg Orange(バント・コントロール)
  • ウィリー・エデル/Willy Edel(ドメイン・ランプ)
  • ジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Depraz(エスパー・レジェンズ)

 それでは、ここに至るまでの道のりを振り返ろう。

ドラフトのゆくえ

 今大会については、かねてより『エルドレインの森』ドラフト・ラウンドの重要性が叫ばれていた。世界選手権に参加するあるチームは大会前最後のリミテッド・ミーティングに6時間を費やしており、また予選ラウンドが14回戦ということもリミテッドのエキスパートたちを大きく後押しすることになった。

 このシーズンの頂点は混戦模様だった。チーム「Handshake」が今年のリミテッド・シーンを席巻していたのは確かだが、今大会では他のチームが差を詰めてきたようだ。ニールセンをトップ8に送り込むなど「Handshake」も一定の勝利は収めているものの、今大会唯一のドラフト・ラウンド全勝者は別のチームから輩出された。

「チーム内でのテストでは、黒赤が他を引き離して圧倒的にベストなアーキタイプであることを示していた」と、ドラフト・ラウンド最終戦でクリス・ファーバー/Chris Ferberを下し、今大会唯一のドラフト全勝者となったイーライ・カシス/Eli Kassisは語る。「このアーキタイプにおけるタフネス1のクリーチャーは、若き英雄の役割をつけてカウンターを得ていくのにうってつけなんだ。第1ドラフトも第2ドラフトも、その戦略が空いていたよ!」

#MTGWorldsのリミテッド・ラウンドでは、ただ1人が6-0のパーフェクト・レコードを達成しました。@Eli_Kassis選手、おめでとうございます! 2度のドラフト、お見事でした!

 ドラフトで好成績を残し上位に入ったチーム「CFB Ultimate Guard」所属プレイヤーは、カシスだけではない。デュークも5勝1敗でリミテッド・ラウンドを切り抜けており、その過程でわずか2ゲームしか落としていなかった。

 2日目のドラフト・ラウンド終了時点で、8勝2敗以上のプレイヤーは5人だった。デュークが早々にトップ8入賞を確定させると、残るプレイヤーは彼に続くための戦いを繰り広げることになった。2日目のラストスパートと最終日のゆくえを決める、スタンダードの決戦だ。

最終日に設えられたスタンダードの舞台

 ニールセンもまたトップ8入賞の可能性が高いプレイヤーとして挙げられていたが、直近18か月間におけるトップ8入賞回数は信じられないと言うほかない。昨年の世界選手権を制したネイサン・ストイア/Nathan Steueurはそこから歴史に残る歩みを見せたが、今度はニールセンが世界王者のタイトルを手にするときが来たのだろうか?

 彼は信じられないような復活劇でチャンスをものにした。開幕から2連敗は、彼のプランになかったはずだ。しかしチームメイトも称賛する彼の安定感と粘り強さは、最初に落ちた穴から抜け出すための戦いで存分に発揮された。第1ドラフトの最終戦で勝利を掴むと、彼は自信を持ってスタンダードに臨んだ。

 そして、その自信は本物だった。ニールセンは続くスタンダード4回戦ですべて勝利し、気分良く2日目へ進出。その完璧な走りぶりはそのまま続き、開幕2連敗の成績は10勝2敗に変わった。これでさらなるトップ8入賞と、世界選手権優勝のチャンスを掴んだのだ。

 一方デュークは午後3時に最終日の席を確保し、この週末に気がかりだったことを済ませる絶好のチャンスを得たようだ。

最高レベルの舞台で戦うプレイヤーだって、自分の中のヒーローを持ってはいけないわけではありません。リード・デューク選手をご覧ください。

 さらにもう1人、最終ラウンドを待たずしてトップ8の舞台に上がったプレイヤーが現れた――日本の小坂 和音だ。この1年ハイレベルなイベントに出場し続けた小坂は、世界選手権の舞台でついにブレイクスルーの瞬間を迎えた。2日間でわずか3マッチしか落とさない完璧な成績で、自身初のトップ8入賞を果たしたのだ。チームメイトから今大会の「隠れた優勝候補」と称されていた小坂だが、彼はその期待に確かに応えてみせた。そしてそこへ初日を先導したアンソニー・リーが続き、トップ8の席は半分が埋まった。

 4つが埋まり、残るは4つ。すべては第14回戦に委ねられ、激しい戦いの渦が巻き起こった。気が遠くなるほど複雑なゲームのすえに、以下の4名がトップ8の舞台に残ることになった。

  • 最終ラウンドでマット・フォアマン/Matt Foremanを打ち負かしたジャン=エマニュエル・ドゥプラ。
  • ケイン・リアンハード/Cain Rianhardを破ったグレッグ・オレンジ。
  • セゴウ ケンジとの長い1ゲームを制したウィリー・エデル。
  • ケン・タカハマ/Ken Takahamaを下したロレンツォ・テルリッツィ。

 これまでの戦いで、『エルドレインの森』のカードやスタンダードを彩る珠玉のカードが飛び交うのを目にしてきた。ローテーション間隔が3年に変更されたことで、世界選手権で使えるカードプールはこれまで以上に大きくなった。その結果、単色のアグロ・デッキに5色のランプ・デッキ、リアニメイト・デッキ、コントロール・デッキ、そして「エスパー・ミッドレンジ」とさまざまなデッキが登場するに至った。

 豆の木をのぼったかと思えば、墓地の奥深くからクリーチャーを復活させ、その頭上をアトラクサが舞う。今大会のトップ8には6種類ものアーキタイプが集った。残る8人のうち、誰が世界王者のタイトルを手にするのか。再びスタンダードに注目だ。

プレイヤー・オブ・ザ・イヤーに関する更新

 2023年のはじめに復活したプロツアーは、マジックで最も競技志向の強いプレイヤーたちの心に灯をともした。そして世界選手権が幕を下ろしたとき、もう1つ聞き慣れた言葉が戻ってくる――「プレイヤー・オブ・ザ・イヤー」の称号だ。

「プレイヤー・オブ・ザ・イヤー」が帰ってきます! 受賞者は#MCVegasで開催される「第29回マジック世界選手権」終了時に決定します。

このニュースは出場選手たちにも伝えられています。 詳細につきましては、#MTGWorldsを迎える頃にお伝えします。

 このタイトルを争うプレイヤーはラスベガスにも多くやってきたが、この週末にほとんどの者は脱落していった。残るは2人――デュークとニールセンだ。そう、ここに至り両者の戦いの舞台は、いよいよ究極の決着を迎えることになった。まるで世界選手権にかかるプレッシャーでは十分でなかったかのようだ。

すべては日曜日に

 こうして、トップ8の舞台が整った。残るは世界選手権の優勝者とプレイヤー・オブ・ザ・イヤーを決める戦いだ。デュークとニールセンはブラケットの反対側にいるため、最終的な決着が世界選手権決勝になる可能性もある。それは「第29回マジック世界選手権」の最高のエピソードとなり、プロツアーが復活した記念すべき1年を締めくくる最高のエンディングとなるだろう。

 すべては9月24日、日曜日に始まる。

「第29回マジック世界選手権」日本語放送情報
日程 放送日・放送時間 放送ページ
1日目 9月22日(金) 27:00~ YouTube
2日目 9月23日(土) 27:00~
3日目 9月24日(日) 26:00~

日本語版放送出演者

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