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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2018
『ラヴニカのギルド』でのチーム・シリーズの準備
2018年9月23日
「Hareruya Latin」と「Ultimate Guard Pro Team」が今週、今日のチーム・シリーズ・チャンピオンシップに向けての準備をできた時間は限られていた。彼らが初めて実践練習をする、その数時間前に全カードが公開されたところであり、両チームとも8時間のセッション(と、木曜日の3時間のセッション)を最大限に活用する必要があることを知っていた。15万ドル以上が懸かっていて、恐ろしいほどのものを得られる可能性があった。『ラヴニカのギルド』の最初のパックを剥いたとき、イベントの重みを感じたことだろう。
その後、元世界王者のカルロス・ロマオ/Carlos Romãoが突然歌いだしたことはかなりの驚きだった。
「ああ、あれは実際よくあることだよ」 ロマオのチームメイトのルーカス・エスペル・ベルサウド/Lucas Esper Berthoudは笑いながら言った。「あいつはいつも自分の音楽プレイヤーを持っていて、一人で歌うんだ。プロツアー『霊気紛争』のとき、うちのチームは2つの家に分かれたんだ。こっちは毎日8〜10時間プレイして、夕食を取って就寝した。静かで、プロ的だったよ。ある日、俺はもう一方の家を訪ねてみた。真夜中だったのに、あいつらはブリトニー・スピアーズ/Britney Spearsの曲を歌い、彼女とテイラー・スウィフト/Taylor Swiftのどっちがいいか騒いでたのさ」
もちろん、水曜日にカードが公表される前の「Hareruya Latin」の最終訓練を超えるものはない――6人による無差別戦のパックウォーズで、同盟は秒単位で結ばれては破られていく。それは何万ドルが懸けれるような真剣なイベントではなく、深夜プレリリースで見られるようなある種混乱した環境だった。
しかし、それこそがこのチームには有効なのだ。真剣さと、楽しみと――それが「Hareruya Latin」を表すものであり、彼らはその後者の部分をラスベガスへ、そしてチーム・シリーズ・チャンピオンシップへと持ち込んだのだ。
世界で最も実績を積んだベテランのプロを多数集めた「Ultimate Guard Pro Team」には、また別の物語があった。もちろん――ポール・リーツェル/Paul Rietzlのおかげだと言えるだろう――たくさんの楽しみはあったが、メンバーは可能な限り多くの練習用プールとマッチを手にするという目標を達成することを決意して集まっていた。
彼らは確かに試した。3人ずつのチームに分かれ――リード・デューク/Reid Duke、オーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwald、ウィリアム「ヒューイ」ジェンセン/William "Huey" Jensenの「Peach Garden Oath」と、ジョン・フィンケル/Jon Finkel、アンドリュー・クネオ/Andrew Cuneo、ポール・リーツェルの3人組――この新フォーマットで可能な限りのゲームを続けた。その試合数は、水曜日にはチーム・シールドの練習プールでの3ラウンドを4回、木曜にも1回行なったのだ。
このことから、この2つのチームの準備の大きな違いが見て取れた。「Hareruya Latin」はほとんどの時間を小さなグループ内でのデッキ構築と全体でのその構築についての議論に費やした。「Ultimate Guard Pro Team」はギルド同士の相性を詳細に記録していた。確かにサンプル数は少ないが、それでも彼らの印象を裏付けるデータとなったのだ。「Hareruya Latin」も同数の構築をしていたが、チームとしての理論構築のために時間を費やしていた。
「準備はとてもうまく行っていると思うよ」 ベルサウドは言った。「最初に組んだプールでは1時間半ぐらいかかったけど、木曜には15〜20分で組むようになっていた。できる限り多くのカードと構築を見たかったから、ひたすらパックを開け続けたんだ。カードの第一印象を掴むために1ラウンドはプレイしたけど、チームとしての選択肢を考えるのに時間を使いたかったんだよ」
方法はともあれ、両チームとも2日間の実践でかなりのことを学んだ。その収穫物の一部を紹介しよう。
- ゴルガリは、ブースタードラフトのようなものとは大きく違うチーム・シールド・フォーマットでは難しく、「宿根」からの強力な受益を準備するだけのカードを揃えることができないことも多い。
- イゼットは、構築が最も難しいギルドかもしれないが、上限も最も高い。「再活」のおかげでデッキがガス欠になることも非常にまれで、《静電場》や《弾けるドレイク》といったエンジンを準備するまで生き延びることができる。《ゴブリンの電術師》は特に傑出しているが、《急進思想》や特に《薬術師の眼識》といったカードはデッキを成り立たせるための鍵だ。
- もちろん、ゴルガリもイゼットも「諜報」と相性が良く、そのため青は複数のデッキで分け合うことが最も多くなる。ディミーアも人気で、今回は特に広いカードプールが使えるおかげで、「諜報」でカードを探し、「再活」と墓地シナジーがある青デッキが選択肢を失うことはまずありえなかった。1ゲーム中に《虚報活動》を3〜4回唱えることも珍しくなかった。
- 予想に反して、コントロール・デッキ同士の対戦では、複数のマッチで「諜報」と「再活」のおかげで毎ターン燃料は引いていてもリソースが尽き、ライブラリー切れがあり得るという状況になることがあった。
- その真逆に、ボロスは本当に馬鹿げた初速を見せることがあって、テストが進むにつれてチーム内での1マナの価値は上がっていった。《追われる証人》や《癒し手の鷹》はそれほどのものには見えないかもしれないが、《サンホームの重鎮》や《ボロスの挑戦者》などの2マナからの教導が何回か誘発すると、それらは1マナにしては非常に強くなるので、『ラヴニカのギルド』は1マナ・クリーチャーが普通よりも強いフォーマットになっている。
- 《狂った怒り》は、ボロス・デッキの強化と、対戦相手のブロック・クリーチャーの除去という2つの役に立っている。
- セレズニアはそれほど目立っていないが、《包囲ワーム》はその中で気を吐いている。
- チームが《ゴルガリの拾売人》のような、唱えるのは難しいが強力なカードを活かす方法を探していたので、ほとんどのデッキは2色にとどまっていた。タッチする場合には、青のカードをゴルガリ・デッキに入れて墓地を肥やしたり、黒の除去をイゼット・デッキに入れたりといった軽いものが一般的だった。
「カードやデッキの評価はもちろん上下したさ」 チームの最終実践セッションが終わったあとでデュークは言った。「かなり進歩したんだ」
初めて新しいカードを見た――プロでさえ新カードには練習が必要なのだ――仲間たちの楽しい集まりと、高額賞金の懸かった大会の重圧との組み合わせが、本当に独特の新セット体験を生み出した。そして両チームとも、ラヴニカへ戻る準備はできたという自信を見せたのだ。
(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)
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