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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2018

戦略記事

世界選手権2018・スタンダード メタゲームブレイクダウン

Marc Calderaro
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2018年9月21日

 

 マジックの1年を締めくくる世界選手権2018では、波にさらわれる砂のようにシーズンを通して変化を続けてきたフォーマットでの戦いが繰り広げられている。『ラヴニカのギルド』という大波によって、スタンダード環境は間もなく刷新される。今はその直前の引き潮のときだ。ここラスベガスで行われる現環境の最終戦に挑むプレイヤーたちは、スタンダードがときに停滞しながらも決して進化を止めないフォーマットであることを証明するようなデッキの数々を用意してくれた。

 バターの香りと美味しそうな音を届けるのはこれくらいにしよう――お待ちかねのメイン・ディッシュをどうぞ。

現行スタンダードの物語は赤と黒に始まり……

アーキタイプ 使用者数
赤黒アグロ 13
青黒ミッドレンジ 2
白青「王神の贈り物」 2
赤単アグロ 1
貯蔵器コンボ 1
ターボ・フォグ 1
青黒コントロール 1
青単「大嵐のジン」 1
白青コントロール 1

 「赤黒アグロ」が最も多くの使用者を集めたことに驚きはないが、その内訳はここ数か月と比較して揺らいでいる。{R}{R}{R}の《ゴブリンの鎖回し》が率いる「赤黒アグロ」は、長きにわたり現環境の「ベスト・デッキ」であると知られてきたが、メタゲームを占める割合は収まってきた。今大会でも13個ものデッキリストに《竜髑髏の山頂》がフル投入されているのは、このデッキの勢力の強さを物語っている。

 だがここ数か月でついに、コントロール・デッキが環境内の他のデッキへのガードを下げないまま「赤黒アグロ」に対抗するすべを見つけた。その結果「赤黒」側も対応を迫られ、他のアグレッシブなデッキを倒せるよう速度を落とした形や、コントロール・デッキを倒せるよう速度を上げた形に分かれることになったのだ。

 速度を落とした形の「赤黒」には、4マナ域が多く詰め込まれている。《熱烈の神ハゾレト》、《栄光をもたらすもの》、《反逆の先導者、チャンドラ》、《再燃するフェニックス》(《ウルザの後継、カーン》まで1~2枚採用したものもある)。一方、速度を上げた形の「赤黒」には《魔術師の稲妻》や大量の1マナ域が採用され、中には《ケルドの炎》も取り入れたもの(「赤単ケルド」のような形のもの)もあった。

または

 内訳のほとんどが、前者の「速度を落とした形」だ。同系戦でのトップデッキ勝負を意識して洗練された堅実な戦略に仕上がったこの形は、《屑鉄場のたかり屋》に対する《マグマのしぶき》も搭載しており、ゲームを終わらせる最上級の攻撃力も持っている。今大会における「赤黒」の使用率を見るに、同系戦に強いこの形は有利と言えるだろう。

 しかしながら、有利な位置を狙うデッキは他にもある。

……だがその結末は書かれていない。

  • 青黒ミッドレンジ
  • 白青「王神の贈り物」
  • 赤単アグロ
  • 貯蔵器コンボ
  • ターボ・フォグ
  • 青黒コントロール
  • 青単「大嵐のジン」
  • 白青コントロール

 もちろん、「青黒ミッドレンジ」、「青黒コントロール」、「白青コントロール」の姿も少数ながら見受けられる――いわゆる「3不戦勝持ちのメタゲーム」における主力デッキたちだ。(「3不戦勝持ちのメタゲーム」とは、グランプリにおいて予選ラウンド15回戦のうち3回戦までの不戦勝を持つプロ・プレイヤーたちによるメタゲームのこと。)これらを選択したプレイヤーたちは「赤黒」との対戦をしっかり意識し、今大会でも毎ラウンド「アグロ対コントロール」の激戦を演じている。

 そしてまた別のアプローチで頂点の座を狙う見事なデッキもある。

 まずは「ターボ・フォグ」。クリーチャーを主体としたアグレッシブなデッキに対して驚異的な勝率を誇るデッキだ(ネタバレ注意:《濃霧》系のカードを放ち続けると攻撃的なデッキに効果的なのだ)。今大会ではマット・ナス/Matt Nassがメタゲームを正確に捉え、狙い撃ちにした。コントロール・デッキとの対戦に備えてサイドボードは打ち消し呪文で埋めることになるものの、《運命のきずな》がスタンダードに与えた影響は世界選手権にまで広がったようだ。

 それから、「貯蔵器コンボ」。意外にも、ブラッド・ネルソン/Brad Nelsonがこのデッキを選択した。それだけに目が離せない。ここ数か月にわたり、《霊気貯蔵器》と《鼓舞する彫像》、《逆説的な結果》、そして大量の小型アーティファクトがスタンダードのテーブルを盛り上げてきた。他のアーキタイプに対する弱点はあるものの、相手がひとたび対処を誤れば、大量のカードを引き込み、とんでもない量のライフを回復し、とても防ぎ切れない50点ものダメージの雨を降らせることができる。

 特に興味深いのは、《練達飛行機械職人、サイ》の存在の大きさだ。適切なタイミングで戦場に出せれば大量の飛行機械・トークンを生成でき、「ターボ・フォグ」のごとく対戦相手の攻撃を完封できる。

 最後に「赤単アグロ」。環境を支配する「赤黒アグロ」から派生したこのデッキは、コントロールやミッドレンジだけでなく「赤黒アグロ」よりも速さを求めたものだ! そして「赤黒」が4マナ域を増やしていくにつれて、このデッキが活躍するチャンスは増している。《ショック》や《稲妻の一撃》、《魔術師の稲妻》、《マグマのしぶき》といった火力呪文を豊富に搭載したこのデッキだが、特筆すべきは《帆綱走り》の採用だろう。これといった特徴もなく見落とされがちだった海賊に、ここにきて新たな光が当たった。先制攻撃を持つこのカードは、「赤黒」に欠かせない主力のひとつである《ボーマットの急使》を止められるのだ。

 さて、今回は以上かな。もう面白いアーキタイプは紹介し尽くしたね? もし世界最高のプレイヤーの一角がこの世界選手権の舞台で予想外のデッキを手に戦っていたら、そのリストを見逃すなんてありえないし……

ken-drake.jpg
{R}{R}{R}に{U}{U}{U}で対抗する行弘 賢。
 

 どうやらこのデッキについては、のちほど詳しく取りあげる必要がありそうだ。

(Tr. Tetsuya Yabuki)

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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