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マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2017
決勝:William Jensen (アメリカ) vs. Javier Dominguez (スペイン)
Meghan Wolff / Tr. Keiichi Kawazoe / TSV Yusuke Yoshikawa
2017年10月8日
ウィリアム・ジェンセン/William Jensen(世界ランキング12位/ティムール・エネルギー) vs. ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez(世界ランキング17位/ラムナプ・レッド)
実況のマーシャル・サトクリフ/Marshall Sutcliffeは、この世界選手権が始まる前、「ヒューイ・ジェンセンと戦う以上に恐ろしいことなど存在しない」と評した。彼に近いプレイヤーたちによれば、他の誰よりもこの週末に向けて入念な準備をしてきたというのだ。
サトクリフによれば、ジェンセンの今年の世界選手権への集中と専心は、それまでの戦績と合致するという。昨年プロ・マジックの世界に復帰し、殿堂顕彰者の貫禄を見せつけたかと思うと、今年に入ってグランプリ9つでトップ8に入賞し、プロツアーでも1回トップ8を成し遂げた。これは、「恐ろしい」という言葉が適切だろう。
ジェンセンが戦うハビエル・ドミンゲスは、今年の新しい殿堂顕彰予定者を準決勝で破ったばかりだ。スペインのフルタイム・プロプレイヤーである彼は、この週末が始まる前は自らを格下だと思っており、「7勝7敗で終われれば満足だ」と言っていた。しかし、彼は今や本当に素晴らしい結末が地平線まで昇ってきていることを感じている。彼は不運に直面し、期待することに及び腰になっていた。この2年間で2度も、プロツアーで9位に終わった彼にとって、無理もない話であった。
しかし、世界選手権の第14回戦でドミンゲスは勝利を収め、ジェンセンを倒したたった2人のうち1人となり、彼は課題を克服した。そして彼はその勝利によって、トップ4の一角を手にしたのだ。
組み合わせはジェンセンの「ティムール・エネルギー」と、ドミンゲスの「ラムナプ・レッド」となった。この両者はどちらも環境で最も活躍しているデッキであり、互いにどう戦うべきかについてもよく知っていた。世界選手権出場者たちは、この組み合わせでは「ティムール・エネルギー」が若干有利だという意見で概ね一致していた。
ジェンセンのリストは《暗記 // 記憶》や《慮外な押収》、そして《本質の散乱》といったカードをメインから採用するという革新的な構成だった。これらのカードは主に「ティムール・エネルギー」のミラーマッチを念頭に置いたものだったが、チームメイトのオーウェン・ターテンワルド/Owen Turtenwaldとレイド・デューク/Reid Dukeはそれが「ラムナプ・レッド」――特に最大の脅威である《熱烈の神ハゾレト》に対して有効であることを発見した。
一方のドミンゲスの「ラムナプ・レッド」は標準的な構成で、1マナ域8枚と12枚の火力呪文を使っている。ドミンゲスはミッドレンジやコントロールよりアグロの方が回していて気分が良いので、自らにこのデッキが向いていると感じていた。チームメイトのクリスティアン・カルカノ/Christian Calcanoはドミンゲスを「永遠の赤魔道士」と呼んでいるほどだ。そして今日、ドミンゲスはその二つ名の通り、世界選手権決勝の場で「ラムナプ・レッド」を駆っている。
ジェンセンは昨日の負けを取り返すための5ゲームを、ドミンゲスは昨日の勝利を繰り返すための5ゲームを戦うのだ。両者は握手を交わし、互いの幸運を祈った。
ゲーム展開
ドミンゲスは、果敢能力で相手のブロックを思いとどまらせられる、対クリーチャーデッキに対し非常に有効な《損魂魔道士》を1ターン目に展開した。しかしドミンゲスは3枚目の土地を引き込めないばかりか、《損魂魔道士》と《ボーマットの急使》はどちらもジェンセンの除去呪文に排除されてしまった。
ジェンセンの《つむじ風の巨匠》はあえなく倒れたが、その後の《牙長獣の仔》はドミンゲスの火力2枚を吸い込み、ドミンゲスはジェンセンの2枚目の《つむじ風の巨匠》に対する回答を出せなかった。《つむじ風の巨匠》は赤いアタッカーに対するブロッカーを半永久的に生産できるカードであり、「ラムナプ・レッド」にとっては頭痛の種なのだ。
しかし、ドミンゲスはここで最後の望みを繋ぐ土地を引き当てた。これにより、《熱烈の神ハゾレト》を唱えられた。最大の脅威のひとつであり、不要なカードを種に相手に直接ダメージを与える手段でもある。
ドミンゲスが《熱烈の神ハゾレト》を唱えた時点で、その手札にはまだ3枚のカードがあった。これでは、このアモンケットの神はまだ戦闘に参加できない。しかし次のターン、ドミンゲスは《反逆の先導者、チャンドラ》を唱え、2番目の[+1]能力からマナを出して、《アン一門の壊し屋》を唱えた。
ジェンセンは《蓄霊稲妻》を《アン一門の壊し屋》に向けた。これでドミンゲスの攻め手は《熱烈の神ハゾレト》のみとなった。神の攻撃は通らないまでも、ジェンセンに毎回エネルギーを費やした飛行機械でブロックすることを強いた。数ターン、《熱烈の神ハゾレト》が攻撃し、《つむじ風の巨匠》が飛行機械を生成してチャンプ・ブロックに回す展開が続いた。
一方、ジェンセンもまた、《牙長獣の仔》を含めた大軍でチャンドラに対して攻撃を仕掛け、退場させることができた。ドミンゲスがダメージを押し込むための軍勢を用意できずにいる間に、ジェンセンはクリーチャーを追加し続け、結局ドミンゲスを圧倒しゲームを取った。
「土地が足りないハンドをキープせざるを得なかったんだ」 第2ゲームに向けたシャッフルをしながら、ドミンゲスはぼやいた。
「なるほど、赤単にたまにあるやつだな」 ジェンセンも頷いた。
序盤から《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》、《牙長獣の仔》への《削剥》、そして2体の《地揺すりのケンラ》と繋いだドミンゲスは、4ターン目にジェンセンのライフを11まで押し込んだ。
ドミンゲスが5ターン目に《熱烈の神ハゾレト》を追加して合計10点の攻撃を仕掛け、ほぼゲームは決まったかに見えたが、ジェンセンはブロックし残り3点で踏みとどまった。しかし、次のターンにドミンゲスはハゾレトの能力を起動し、その後の攻撃でライフを削りきり、6ターン目にしてゲームを決めた。
サイドボード後の最初のゲームとなる第3ゲームで、ジェンセンは《霊気圏の収集艇》のようなカードを、またドミンゲスは《チャンドラの敗北》や《栄光をもたらすもの》、《暴れ回るフェロキドン》などを手に入れる。
ゲームの序盤は除去が飛び交う展開となった。最終的に、ドミンゲスの戦線には《暴れ回るフェロキドン》、《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》、そして《地揺すりのケンラ》が残り、一方ジェンセンには《ならず者の精製屋》、《導路の召使い》、《牙長獣の仔》が残された。《牙長獣の仔》はエネルギーの供給を受け、ドミンゲスのクリーチャーを圧倒するサイズへと成長し始めていた。
チャンドラがドミンゲスのリソースを回復させようとし、6ターン目には《栄光をもたらすもの》を追加しようとした。しかし、ジェンセンはそれに《本質の散乱》で対処し、ドミンゲスの盤面はさらに細っていった。
その「奥義」を避けるべく、ジェンセンが攻撃の手をプレインズウォーカーにも割かなければならなくなったため、さしづめチャンドラはドミンゲスのライフのバッファーのように機能した。ドミンゲスが《熱烈の神ハゾレト》と《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》、そして《ボーマットの急使》を2ターンの間に盤面に追加し、ジェンセンの容赦ない飛行機械に倒される前に最後の反撃を行う機会を得たかに見えた。
《地揺すりのケンラ》の永遠能力を起動し、チャンドラでさらに別のブロッカーを排除し、ジェンセンに除去がなければ勝てる状況を作り上げた。ドミンゲスは祈りながら、全クリーチャーで総攻撃を仕掛けた。
しかし、ジェンセンは《マグマのしぶき》を持っており、ドミンゲスの作戦は成就しなかった。ジェンセンがゲームを取り、2-1とした。
第4ゲーム、ドミンゲスは赤単にとって素晴らしい、《損魂魔道士》から《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》という動きを見せた。対するジェンセンは《マグマのしぶき》から《導路の召使い》とこれに対抗する。
ドミンゲスにとって不運だったのは、ジェンセンが《つむじ風の巨匠》を2枚持っていたことだ。ドミンゲスは1体には対処できたが、もう1体を処理できなかった。また、ドミンゲスは《山》を引けていなかったため、呪文を唱えるたびに、唯一の赤マナ供給源である《ラムナプの遺跡》からダメージを受けていた。
ドミンゲスは《暴れ回るフェロキドン》を出したが、これは返しにジェンセンが出した《牙長獣の仔》に対抗できるものではなかった。サイズに勝るクリーチャーを武器に、ジェンセンはドミンゲスの残り少ないライフを削りにかかった。
なんとか《ラムナプの遺跡》と砂漠でジェンセンのライフを残り1まで追い込んだが、そのために5枚目の土地を使ってしまった。ゲームに勝つためには、さらなる土地か本体火力を引くしかない。
ドミンゲスは、勝負をかけて最後のカードをゆっくり引き――そして手札に引き入れた。
彼は手に入れることができず、ドミンゲスは握手を求めたのだった。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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