- HOME
- >
- EVENT COVERAGE
- >
- マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2017
- >
- 準決勝:Javier Dominguez (スペイン) vs. Josh Utter-Leyton (アメリカ)
EVENT COVERAGE
マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2017
準決勝:Javier Dominguez (スペイン) vs. Josh Utter-Leyton (アメリカ)
Frank Karsten / Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru
2017年10月8日
ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez(世界ランキング17位/ラムナプ・レッド) vs. ジョシュ・アター=レイトン/Josh Utter-Leyton(青黒コントロール)
世界選手権2017の準決勝第2試合は、スペインで生涯プロ・ポイント1位のハビエル・ドミンゲスと、11月のプロツアー『イクサラン』でプロツアー殿堂入りが予定されているジョシュ・アター=レイトンの対戦だ。
今シーズンのプロ・ポイント上位者として世界選手権に招待されたドミンゲスにとって、このトップ4が初めての最終日参加となる。プロツアーでタイブレークによる9位経験が2回あったが、プロツアーでのトップ8入り経験はなかったので、この世界選手権でトップ4に残ったときは「ついにやった」と感じたという。アグロの達人である彼は、このフォーマットで最強かどうかはわからなくとも、彼にとって最高のデッキであると感じた「ラムナプ・レッド」でここにたどり着いたのだ。
ジョシュ・アター=レイトンは今年のMagic Online王者として世界選手権に参加している。長年に渡り、彼はチーム・ChannelFireballのデッキの立役者として知られていた。生涯プロ・ポイント401点、合計獲得賞金額256,125ドル、プロツアーでのトップ8入賞5回と、彼はすでにマジックにおいてかなりの成功を収めている。しかし、世界王者の称号だけは持っていなかった。このトップ4入りに際して、アター=レイトンは彼の母親のバーバラ/Barbaraからサプライズなサポートを受けた。この朝、カリフォルニアからの夜行便で彼を応援しに来てくれたのだ。
この対戦に関しては、ドミンゲスのほうが少し有利に見えた。彼は前日のスタンダード・ラウンドですでにアター=レイトンを破っており、彼の「ラムナプ・レッド」にはアター=レイトンの遅い青黒デッキを打ち破る能力がある。特に、アター=レイトンのチームがコントロールでは『イクサラン』最強のカードの1枚だと考えている《アズカンタの探索》はこの対戦ではやや遅すぎるのだ。ただし、アター=レイトンは《ヴラスカの侮辱》や《本質の摘出》といったライフを得る呪文を使うことができ、ドミンゲスのメインデッキにはほぼ使い物にならない除去呪文が複数入っているので、どちらに傾くか予想もつかない対戦となる。
ゲーム展開
第1ゲーム、早いターンにドミンゲスが脅威を出し、アター=レイトンは対策を出した。《ボーマットの急使》は《致命的な一押し》に倒れ、《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》は《本質の散乱》で防がれ、《熱烈の神ハゾレト》も同じく《本質の散乱》で打ち消された。《ラムナプの遺跡》までも《廃墟の地》で破壊された。アター=レイトンにとって、これはまさに彼の望んだ展開だった。戦場に何も残さないまま2桁のライフを保って長期戦に入れれば、彼の強力なクリーチャーやドロー呪文で圧倒できる。
しかし、出てきたのが《損魂魔道士》だった。《稲妻の一撃》も放たれて、第5ターンにアター=レイトンのライフは11点まで削られ、さらに《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》が解決される。ライフは11点あり、対峙する相手は1/2と1/3各1体という状況で、アター=レイトンは安全だと見てタップアウトして《スカラベの神》を唱える。
それを受けてドミンゲスは切り札を切った。彼のデッキでおそらく最強のカード《熱烈の神ハゾレト》が解決される。さらなる攻撃でアター=レイトンのライフは3点まで削られた。《ヴラスカの侮辱》で赤の神を対処できず、アター=レイトンにはもはや勝ち目はなかった。ドミンゲスの《ショック》で、勝ちが決まった。
第2ゲームでは、ドミンゲスは2体の《ボーマットの急使》で大量の荷物を準備し、アター=レイトンは数枚のインスタントをサイクリングしてドローを整えた。彼の手札には《ヴラスカの侮辱》が2枚あり、《熱烈の神ハゾレト》に対しては完璧な対処になるところだったが、ドミンゲスの序盤のクリーチャーに対して割のいい交換になるものではなかった。
アター=レイトンが《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》を対象に《ヴラスカの侮辱》を唱えると、ドミンゲスはそれに対応して自分のクリーチャーに《削剥》を唱えてライフ獲得を阻止する。火力呪文に続く《ボーマットの急使》2体による攻撃で、アター=レイトンのライフは6点。アター=レイトンが《スカラベの神》をブロッカーとして出すと、ドミンゲスは手札の残り2枚が《稲妻の一撃》と《アン一門の壊し屋》であると見せ、ゲームは終わった。
2人はサイドボードに手を伸ばしたが、アター=レイトンはこの時点で2ゲーム差で負けており、崖っぷちに追い込まれていた。さらに、サイドボードもドミンゲスにとって有利になる。彼の不必要な火力呪文をさらなる脅威に入れ替えることができるのだ。
ドミンゲスは《ショック》4枚、《削剥》4枚、《稲妻の一撃》と《損魂魔道士》を数枚抜き、《暴れ回るフェロキドン》や《ピア・ナラー》、《栄光をもたらすもの》、《反逆の先導者、チャンドラ》を入れた。一方、アター=レイトンができたのは、《アズカンタの探索》3枚と《天才の片鱗》1枚を抜き、《禁制品の黒幕》3枚と《本質の摘出》1枚を入れるという、わずかな変更だけだった。
第3ゲームに、アター=レイトンは望みのスタートを切った。戦場を空に保ってライフは20点だった。しかしドミンゲスは4枚目の土地を出し、賢くも《熱烈の神ハゾレト》ではなく、アター=レイトンの《本質の散乱》を回避して《反逆の先導者、チャンドラ》を唱えた。
アター=レイトンはこのプレインズウォーカーにうまく対処することができず、彼の取れる最善の手段は《奔流の機械巨人》を出し、運を天に任せて《反逆の先導者、チャンドラ》を攻撃することだった。
しかしドミンゲスは1回チャンプブロックし、手札にはまだまだ脅威が残っていた。戦場の土地が6枚になり、手札には《熱烈の神ハゾレト》が2枚、《栄光をもたらすもの》1枚が残っていた。
ドミンゲスはアター=レイトンの手札に打ち消し呪文が残っていないと予想して《栄光をもたらすもの》を唱えることを選んだ。実際はアター=レイトンの手札に《本質の散乱》があったので、そのターンに2枚《熱烈の神ハゾレト》を唱えるほうがよかったとはいえ、まだドミンゲスのほうが有利だった。今やアター=レイトンの手札は完全に空である。
《奔流の機械巨人》が攻撃して、《反逆の先導者、チャンドラ》の忠誠度は2となり、次のターンに《熱烈の神ハゾレト》が登場した。アター=レイトンのライフは実質13点なので、ドミンゲスは《反逆の先導者、チャンドラ》を守るよりも攻撃することを選んだ。これは賢明な判断だった。アター=レイトンのライフは8点となり、使えるカードは手札にはなかった。《奔流の機械巨人》で《反逆の先導者、チャンドラ》を攻撃することすらできない状況に追い込まれたのだ。
《奔流の機械巨人》は《熱烈の神ハゾレト》に対するブロッカーとして残らねばならず。ドミンゲスは毎ターン《熱烈の神ハゾレト》と《反逆の先導者、チャンドラ》の起動型能力で4点のダメージを与えることができる。死の危険が迫る中、アター=レイトンは《ヴラスカの侮辱》を引くしかなかったが、引いたのは《沼》だった。とどめとなる《熱烈の神ハゾレト》の起動型能力がスタックに置かれた時点で、アター=レイトンは手札を公開して負けを認めた。
3-0で完封して決勝に進んだのだとようやく理解して、ドミンゲスは得意げに大きな安堵のため息をついたのだった。
ハビエル・ドミンゲスが3勝0敗でジョシュ・アター=レイトンを下し、決勝に進出!
15 《山》 4 《ラムナプの遺跡》 4 《陽焼けした砂漠》 1 《屍肉あさりの地》 -土地(24)- 4 《ボーマットの急使》 4 《損魂魔道士》 4 《地揺すりのケンラ》 3 《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》 4 《アン一門の壊し屋》 4 《熱烈の神ハゾレト》 -クリーチャー(23)- |
4 《ショック》 4 《削剥》 4 《稲妻の一撃》 1 《反逆の先導者、チャンドラ》 -呪文(13)- |
4 《暴れ回るフェロキドン》 3 《ピア・ナラー》 2 《栄光をもたらすもの》 2 《チャンドラの敗北》 1 《霊気圏の収集艇》 3 《反逆の先導者、チャンドラ》 -サイドボード(15)- |
6 《島》 5 《沼》 4 《異臭の池》 4 《水没した地下墓地》 4 《進化する未開地》 3 《廃墟の地》 -土地(26)- 2 《スカラベの神》 3 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー(5)- |
4 《致命的な一押し》 4 《検閲》 4 《本質の散乱》 3 《アズカンタの探索》 4 《不許可》 2 《本質の摘出》 4 《ヒエログリフの輝き》 3 《ヴラスカの侮辱》 1 《天才の片鱗》 -呪文(29)- |
3 《禁制品の黒幕》 2 《多面相の侍臣》 4 《強迫》 2 《否認》 1 《アルゲールの断血》 1 《宝物の地図》 1 《本質の摘出》 1 《廃墟の地》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
RANKING ランキング
NEWEST 最新の記事
-
2024.11.12観戦記事
The Week That Was: 熱烈な勇者の帰還|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.27観戦記事
第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権 決勝戦|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.26トピック
第30回マジック世界選手権 トップ8プロフィールとデッキリスト|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.26観戦記事
Magic World Championship 30 Day Two Highlights|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.25観戦記事
Magic World Championship 30 Day One Highlights|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権
-
2024.10.25戦略記事
The Spiciest Decklists of Magic World Championship 30|第30回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権