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EVENT COVERAGE
マジック:ザ・ギャザリング世界選手権2015
「PAX Prime2015」特派員記事:集いし同盟者たち!『戦乱のゼンディカー』イベントレポート
by 「イゼ速」タソガレ
例年、大型ゲームイベント「PAX Prime」の新セットプレビューでも多くのイベントに趣向が凝らされていたが、今回の『戦乱のゼンディカー』イベントで行われたガンスリンガーはその中でも随一だ。
ガンスリンガーとは通常、プロプレイヤーやウィザーズ・オブ・ザ・コースト(以下、ウィザーズ)の関係者などが一般プレイヤーと対戦するエキシビションマッチのようなものなのだが、今回は特にユニークな仕掛けが用意されていた。一般プレイヤー側が勝てば勝つほどポイントがたまり、一定数に届くと10月発売の大型セット『戦乱のゼンディカー』で収録される新カードが順次公開されるのだ。
『戦乱のゼンディカー』はエルドラージの脅威からゼンディカーの次元を救うべく立ち上がる世界観のセット。ウィザーズの関係者をエルドラージ陣営、一般プレイヤーをゼンディカー陣営に見立ててぶつかり合うという刺激的かつ魅力的なイベントを前に、会場には勇敢なプレインズウォーカー......いや、同盟者たちが長蛇の列を作った。
ガンスリンガー開始アナウンスが鳴り響く。プロレスばりのコールとともに登場する著名人たち。ビデオ「Walking the Planes」の人気者ネイサン・ホルトや元女性プロプレイヤーにしてウィザーズ・オブ・ザ・コーストへと入社したメリッサ・デトラ、そして当然愛すべき偉大な人物マーク・ローズウォーターなど、そうそうたるメンバーが次々と席についてゆく。そして戦いが始まった。
モニターにはエルドラージ・ドローンが表示され、ゼンディカー陣営が勝利するごとにその体が徐々に赤色へと変化していった。最初の1体が染まりきった時、会場が一気に沸き立つ。
最初に公開されたのは《連射する暴君》。《幽霊火》がキーワード化した能力「欠色」を持つ新たなるエルドラージだ。生け贄に捧げた無色クリーチャーのパワー分のダメージを飛ばすこのカードは、今まで収録されてきた切り札級のエルドラージのサイズを思い出せばその強力さはお分かりいただけるだろう。『タルキール覇王譚』ブロックにて収録された能力「変異」「大変異」と併用すれば、ダメージこそ心許ないものの、デッキの汎用性は高まることだろう。
2番目に公開されたのは《霧の侵入者》。欠色に続いて新能力「嚥下」を有している。どうやら今回は追放領域を参照するカードが多く存在するらしく、今後シナジーが高まればマナ域の低いこのカードにも当然お呼びがかかることと思われる。飛行によって相手のトップのカードを確実にさらってゆく。
と、ここで劣勢に陥ったゼンディカー陣営のプレイヤーに『マジック・オリジン』でその生い立ちが語られた5人のプレインズウォーカーたちが助太刀に入った。背景ストーリーと同じように、参加者は彼らとともに戦いエルドラージを蹴散らしてゆくのだ!(何人かはゼンディカーに来てないじゃないか!というツッコミはなしで)ジェイスが華麗にマントを翻すと全員に1枚ドローの恩恵が与えられた。あのギルドパクト、少し強すぎやしないか?
3番目のカードは《荒廃を招くもの》。ついに《忘却蒔き》と同じく追放領域を参照するテキストの登場だ。これらのカードによって今後、《絹包み》《停止の場》などの追放除去がよりメリットを有するようになるのかもしれない。なにより注目していただきたいのはこのクリーチャーが生み出すトークンは「落とし子」ではなく「末裔」なのである。パワー0とパワー1にどれほどの差があるか、マジックプレイヤーならば容易に理解していただけるだろう。
4番目はついに同盟者の登場だ。《ゴーマ・ファーダの英雄》は自身や他の同盟者が出るたびに自軍に破壊不能を付与するタフガイで、今後この辺りのマナ域をフィニッシャーに据えた同盟者アグロが登場する可能性は高い。
5番目は再び末裔を生み出すエルドラージ・ドローン、《培養ドローン》だ。構築フォーマットでは若干の頼りなさを感じるものの、リミテッドフォーマットにおいては序盤・中盤・終盤隙がないカードとなるだろう。
6番目はマジックプレイヤー全員が大好きなハイドラに新たなお仲間《オラン=リーフのハイドラ》が参戦。「上陸」能力の再登場に興奮を覚えた方も多くいることだろう。私もその一人である。『タルキール覇王譚』で再録された各種フェッチランドとの相性も抜群だ。
7番目はいよいよ新たな全体火力呪文《光輝の炎》のお披露目である。「収斂」という新たな能力語を持ち、支払われたマナの色の総数分ダメージを振りまく。「占術土地がスタンダード落ちするのに多色コントロールなんて組めるのか?」そう疑問に感じるプレイヤーもいるかもしれない。安心してほしい、次のスタンダード環境のマナ基盤は盤石だ。我々は直後のプレビューショーにてその根拠を知ることになった。
8番目に登場するのはお待ちかね、《英雄の破滅》の代打となりうる《破滅の道》の登場だ。ソーサリータイミングというもどかしさはあるものの、見ていただきたい。新能力「覚醒」が付いているではないか。しかも数値は4。重コントロールデッキであれば序盤の除去と終盤のフィニッシャーを兼ねる強力な1枚となると思われる。
9番目に登場した《タイタンの存在》は今後のスタンダードやリミテッドを予見させるに十分なテキストを有している。おそらく台頭するであろうエルドラージ・ランプと呼ばれるアーキタイプの主要除去の一角となるだろう。
さて、全てのエルドラージ・ドローンは勇猛なる同盟者たちによって打ち倒された。これでゼンディカーに平和が訪れたのだろうか?......いいや違う、未だこの次元には「ヤツ」が残っているではないか。強大なる三柱のうちの一柱、邪悪なる調和、無限の体現。
大地が揺れ、会場は一瞬の静寂に包まれた。そう、ヤツが帰ってきたのだ。全てを喰らい尽くすために。
最後に公開されたカードは《絶え間ない飢餓、ウラモグ》。10マナ10/10という常識を逸脱した数値を有し、唱えるだけで2つものパーマネントをその種類を問わず消滅させる。破壊不能というこのサイズのクリーチャーが備えるにはあまりにも理不尽な能力を持ち、そして攻撃の度に防御プレイヤーのライブラリーを一気に20枚も飲み込んでいくのだ。スタンダードでは重量級デッキのフィニッシャーを担うことになるだろうし、モダンにおいてもトロンなどに採用される可能性は大いにあるだろう。まさに質量的絶望、まさに宇宙的恐怖。
ゼンディカーの同盟者たち、そしてプレインズウォーカー達はこの脅威を乗り越えることが果たして本当にできるのだろうか。その行方、その結末は『戦乱のゼンディカー』、および次のセットにおいて徐々に明らかとなっていくに違いない。
サプライズも終了し、これにてイベントはお開きとなった。しかし、この直後に我々は再び驚愕し、そして狂喜の渦に包まれることとなる。その様子についてはアノアデザインさんが書かれいてる『戦乱のゼンディカー』プレビューショーの記事を見ていただければ分かるはずだ。
それでは諸君、再びゼンディカーでお会いしましょう!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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