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マジックフェスト・横浜2019
グランプリ・横浜2019王者 小林 崇人 インタビュー
見事、「鱗親和」を駆って優勝を果たした小林選手。2日間で計18回戦にのぼる試合を複雑なデッキで戦い抜き、お疲れのところではありましたが快くインタビューに応じていただきました。
またマジックがやりたくて
――まだ優勝の実感はわいていないかと思いますが、今のお気持ちはいかがですか?
小林「とにかく、プロツアー(ミシックチャンピオンシップ)の権利を取れたっていうのが一番うれしいですね。以前、何回かプロツアーに出た時は、瀬畑さん(市川ユウキ)とかと一緒で、そのころは瀬畑さんもまだプロツアー出たてのころで……。今、また同じラインに立てるようになったっていうのが、感慨深いです」
――その昔、「Magic Online(MO)の申し子」といった感じで記事に取り上げられ、市川ユウキさんと一緒に撮影させてもらったのを覚えています。そのころ、MOのプロツアー予選を何度も抜けていたんですよね。
小林「あれは『ラヴニカへの回帰』ブロック~『テーロス』くらいの時期ですね。MOのPTQや関東のPTQを抜けて、プロツアーに何回か出ました。もともと北海道に住んでたんですけど、高2のときにPTQ(プロツアー予選)を抜けて、2006年のプロツアー・神戸に初めて出たんです。そこでもっとマジックやりたいと思って、大学で関東に来てがっつりやっていた時期です。大学卒業後は北海道に戻って、リアルのマジックからはちょっと離れました。たまにMOをやったりはしてたんですけど」
――復帰したきっかけは?
小林「ずっと遊び程度にMOをやってたんですが、去年の9月にMOのPTQで3没(決勝敗退)しまして。久しぶりに負ける悔しさを味わって、またマジックやりたいなと思って、12月に上京してSekappy(マジックプレイヤーからなるIT会社)に入った感じです」
――そしたら、いきなり結果を出したと。
小林「ずっとリアルのマジックをやってなかったのでプレインズウォーカーポイントも全然ないから、ノーバイ(不戦勝なし)スタートで、まさかここまで勝てるとは……」
――やはり、入社してマジックプレイヤーだらけの環境になったことがよかったんでしょうか。
小林「そうですね、僕としてはもっと競技プレイヤーが多いのかなと思っていたら、実際にはカジュアル志向の人も多いんですが、社内の川崎慧太さん(BIG MAGIC所属プロ)や石川錬さん(2007年日本選手権準優勝など)が、けっこう相談に乗ってくれたのがかなり大きかったですね。石川さんは今は大会に出てないですけど、ほかの社員たちとすごい練習して、アドバイスや指導をしてるんです。僕も前のグランプリ・京都2019ではデッキのゲームプランやサイドボードを練ってもらいました」
デッキを丸ごと貸してくれたり、応援してくれたりした会社の皆さんも配信に登場して祝福 |
鱗親和の長所
――モダンはどれくらいやっていらっしゃいますか?
小林「構築で一番好きなのがモダンです。復帰するまでの時期、MOで適度に遊ぶには、スタンダードはちょっとついていきづらくて、モダンがちょうどよかったので」
――鱗親和は昔から使い込んでいるんですか?
小林「使ったのは、Sakappyに来てからです。デッキを選んだ理由は、今回デッキを貸してもらった内藤さんが持っている中で、一番マシだったからです(笑)。で、12月のモダン神挑戦者決定戦に出たら、準優勝できて。これを使っていると、僕の中では当たり前にやってるガチャガチャした動きが、ほかの人から『そんなにできるのはすごい』って言われたりして、自分に向いてるのかなと思いました」
――確かに、いろいろなシナジーがあって難しそうですが、自分としては使いやすく手になじむと。このデッキの好きなところはどこですか?
小林「このデッキを相手にする側から見ると、3~4ターンで毒殺という点が注目されがちなんですけど、使ってる側としては、それはこのデッキの一面でしかなくて、《活性機構》だったり《ゲスの玉座》だったりを利用した、長期戦を見据えたどっしりしたデッキだと思ってるんです」
――相手は早いゲームで負けるのを警戒しているかもしれないけど、実際は長いゲームプランで戦える点が長所なんですね。自分なりの調整ポイントはありますか?
小林「環境的に弱い《鋼の監視者》を《ゲスの玉座》に替えました。これはMVPカードと言っていいと思います。『鱗親和』対『イゼット・フェニックス』は『イゼット・フェニックス』が有利って言われているんですけど、《ゲスの玉座》があれば《氷の中の存在》のカウンターを増やして、変身されないまま勝ったりできる部分があるので。正直、それでも相性が改善したわけではないんで、あまり当たりたくはないんですけど……」
――今回はその「イゼット・フェニックス」に当たりましたか?
小林「2回当たって、勝ちました。それも、僕の中では長めのレンジでゲームプランを描いていたのに対して、相手側は3ターン目に即《氷の中の存在》をひっくり返して攻撃、みたいな短いゲームプランを取ってきたのが勝因です。それだと7/8クリーチャーが場に残るだけなので、トークンでチャンプして生き延びて、こっちのペースに持ち込んで勝つっていう流れなんです」
――なるほど、やはり長期戦によって勝てたと。
小林「あと僕はMOメインで調整してたんですけど、MOではロンドンマリガン(今度のミシックチャンピオンシップで試験運用されるマリガン方式)が導入された影響で、ちょっとデッキがゆがんだ部分があるんですよね……《ペンデルヘイヴン》が2枚になったんです。重ね引くと無駄になってしまうリスクを負ってでも、引けたらすごく強いので2枚に増やしたんです。ロンドンマリガンだったら2枚目はライブラリーに戻せるので問題ないんですけど、今回は2枚にしたことが実際にどれくらい意味があったのか……。MOならではのデッキ構築を、そのまま持ち込んでしまったかなというところはあります」
――それは難しい問題ですね。まあ勝ったので、結果オーライということで(笑)。
優勝が決まった瞬間、拍手に包まれ天を仰ぐ小林選手 |
今日からその先へ
――昨日は不戦勝なしからの9戦全勝ということでしたが、今日の成績は?
小林「今日は4勝2敗です。負けた2戦の相手が、準決勝のもう一方で戦ってた辻川(大河)さんと髙橋(哲大)さんだったんですよ。どっちが上がってきてもイヤだなと思ってました」
――確かに、決勝の時に「今日2回目ですね」と話していましたね。じゃあ、決勝ではあまり勝てるとは思ってなかったですか?
小林「そうですね、『バント・スピリット』はきついです。相性は3:7くらい……」
――そんなにですか! 勝因は何でしたか?
小林「1ゲーム目は……《金属ミミック》で盤面的に押せたのがよかったですね。ただ《金属ミミック》は、2日間通して2回くらいしか使わなかったんです(笑)。《鋼の監視者》よりはマシだろうってことで入れてて、基本的にサイドアウトする枠だったんですけど、決勝ではうまくハマって活躍してくれました。
2ゲーム目は相手も妨害を入れてくるサイドプランで、こっちが考えてたゲームレンジだったので、それなら長期戦でってことで。飛行クロックが止まらないので、もっと早いターンでガンガン出されてたらきつかったと思います」
――このたびグランプリを優勝し、またミシックチャンピオンシップに出るという夢もかなったわけですが、次の目標は何でしょうか?
小林「プロツアーのシステムが以前と変わりすぎていて、何を目指せばいいのかがはっきりイメージできてないところがあるんですが……毎年、プロツアーに出られるくらい勝てればいいかな、と。『全部のプロツアーに出るぞ!』くらい言えればいいんですけど、そこまではまだ達してないと思うので。たまにプロツアーで見かけるな、というくらいの立ち位置のプレイヤーになりたいですね」
――今後もぜひ頑張ってください! それでは、今日はどうもお疲れさまでした。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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