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マジックフェスト・京都2019
第10回戦:加藤 健介(東京) vs. 石田 龍一郎(静岡) ~古代兵器、ここに復活!~
石田「初日2種類のデッキしか当たらなくて……青と緑しか当たらなかったんですよね」
加藤「まあいろいろデッキありますけど、結局当たり方が大事ですからね」
グランプリ・京都2019、2日目の初戦。初日を全勝で終えた7名同士がそれぞれフィーチャーマッチで激突する中で、「BIGs対決」も実現していた。
日本選手権2011王者、石田 龍一郎。デッキはビートダウンを得意とする自身のスタイル通りの、赤単タッチ黒アグロ。
対する加藤 健介は、グランプリ・東京2016でトップ8、グランプリ・京都2018でトップ4、グランプリ・静岡2018(スタンダード)10位と、ここ3年の国内グランプリでかなり高いアベレージを誇っているわけだが、そんな加藤が選択したデッキが……なんとジェスカイ・コントロール。
しかも《宝物の地図》+《パルン、ニヴ=ミゼット》型という、『ラヴニカの献身』発売前の環境から掘り起こしてきたようなデッキなのだ。
実際加藤のデッキは、グランプリ・静岡2018(スタンダード)で10位に入賞したときのものがベースとなっている。しかし当時は5個しかフィーチャーされていなかったギルドが『ラヴニカの献身』で10個に増えた今、はたして同じコンセプトが通用するのだろうか。
石田「緊張する……」
加藤「初戦だからね。別にこれで負けて何かが変わるわけじゃないし。勝てば嬉しいし」
初日全勝とはいえ、2日目はまだ6回戦ある。トップ8に向けてのボーダーは、いつも通りならおそらく4勝2敗というところだろう。つまり、2回しか負けられない。初日を全勝してすら、そうなのだ。
2日目の好不調を占う大事な初戦。第10回戦のフィーチャーマッチが、幕を開けた。
加藤 健介 vs. 石田 龍一郎 |
ゲーム1
「キープで」「マリガンします」
後手でマリガンスタートとなったのは石田。だが《神聖なる泉》タップインに対し、まずは快調に《狂信的扇動者》を送り出す。
一方、これに対して加藤は《硫黄の滝》から《溶岩コイル》を惜しげもなく放っていく。マナカーブの都合があるのだろう、1点クロックだろうと躊躇はしない。
返す石田は《ヴィーアシーノの紅蓮術師》。そして加藤が《島》セットゴーなのに対し、2体目の《ヴィーアシーノの紅蓮術師》をプレイして畳みかける。
だが、ここに突き刺さる《吸収》!
赤いアグロにとってはこの3点ゲインがあまりにも重い。さらに加藤は残る《ヴィーアシーノの紅蓮術師》も《裁きの一撃》で処理し、クロックを石田の場に定着させない。
石田も《ゴブリンの鎖回し》で何とか食らいつくが、何と言ってもまだ加藤のライフは17点もあるのだ。
それゆえ、加藤のアクションには余裕がある。メインの《薬術師の眼識》で手札を補充しつつ、引き込んだ5枚目の土地である《硫黄の滝》をセットしてエンド宣言。そしてエンド前の《ショック》は《呪文貫き》で退ける。
だがそれでも、結果として加藤はフルタップ。もしここで石田が《実験の狂乱》を引き込めれば、ゲームはまだわからない。
石田 龍一郎 |
ドロー……しかし、ここで《実験の狂乱》はない。千載一遇のチャンスに、《ゴブリンの鎖回し》がただ攻撃するのみ。
一方、加藤は《宝物の地図》を設置しつつマナを立ててターンエンド。石田のドローはなおも芳しくなく、《ゴブリンの鎖回し》の2度目の攻撃が加藤のライフを11まで落とし込む。さらに《遁走する蒸気族》を追加する石田。
そしてここで、加藤の切り札が降臨する。すなわち、《パルン、ニヴ=ミゼット》!
返しでようやく《実験の狂乱》を設置できた石田だが、残り1マナでは呪文の大量プレイも難しく、ターンを返すしかない。
加藤「アップキープ……そのままで」
無事ターンが返ってきた加藤は、《パルン、ニヴ=ミゼット》の能力を最大限活用していく。通常ドローの1点を《ゴブリンの鎖回し》に飛ばしつつ、6マナから《発展 // 発破》の《発破》「X=2」!《遁走する蒸気族》も落とし、石田のクロックを再び灰燼に帰していく。
だが返すターン、石田も《実験の狂乱》をフル活用できるときが来た。ライブラリートップからセットランド、さらに《稲妻の一撃》を《パルン、ニヴ=ミゼット》に打ち込んで、トップからの2点火力にすべてを賭ける。
続くトップは《狂信的扇動者》。プレイ。そして。
加藤「どんどんいこう。もう3点打ってる以上、あと2点飛ばせるまでやるしかない(笑)」
石田「まあ、それで止まっちゃったんだけど……」
狂乱が、止まる。
それはすなわち、石田がこれから行われるであろう《パルン、ニヴ=ミゼット》による暴虐を、もはや見届けるしかなくなってしまったということを意味していた。
ターンが返ってきた加藤は、《轟音のクラリオン》を「3点オール」「絆魂」の両方のモードで宣言する。予想通りの暴虐を前にして、石田はすぐさま「投了します」と明瞭に宣言した。
加藤 1-0 石田
ゲーム2
再びマリガンとなってしまった石田。《ギトゥの溶岩走り》からの立ち上がりだが、2ターン目に1点アタックした後に続いたのは……「終わります」という言葉のみ。2枚目のセットランドが、ない。
《宝物の地図》に対してはエンド前《魔術師の稲妻》からのメイン《ショック》で《ギトゥの溶岩走り》を2/2にして加藤のライフを12点まで一気に落とすのだが、ここで加藤の《拘留代理人》が石田のクロックを完全に消滅させる。
加藤 健介 |
なおも石田は土地を引けない。《ギトゥの溶岩走り》に対しては《溶岩コイル》が当たり、加藤が《宝物の地図》の目印カウンターを溜めながらひたすらに変身の時を待っているのを、ただ眺めていることしかできない。
石田「……ふぅ」
それでも、ここでようやくドローは2枚目の《山》。《稲妻の一撃》で《拘留代理人》を除去し、追放領域から帰ってきた《ギトゥの溶岩走り》で加藤のライフを10点まで追い詰める。
だが、それは所詮まやかしの希望に過ぎなかった。
土地2枚の石田に対して降臨する、《黎明をもたらす者ライラ》!
石田「……はい」
それでもゲームを諦めない石田は《遁走する蒸気族》を送り出し、さらに《黎明をもたらす者ライラ》に殴られた返しで《軍勢の戦親分》をも着地させる。
しかし、もはやこのゲームはどこまでも加藤の手の内にあった。
戦闘フェイズ中に《万全 // 番人》の《万全》で《遁走する蒸気族》を対処しつつ石田のドローを固定した加藤は、なおも返しのターンで《宝物の地図》をアップキープに起動して「変身」させる。
そして再び降臨する《パルン、ニヴ=ミゼット》!
石田「……ないな」
返しのドローを見るまでもなく、石田は潔く右手を差し出した。
加藤 2-0 石田
加藤「みんな『古代兵器』とか呼んでるけど、意外と新しいカード入ってるんですよ」
実のところ、加藤のデッキは単なる旧環境の遺産というわけでもなかった。『ラヴニカの献身』は《神聖なる泉》のほかにも、《吸収》や《拘留代理人》など、さまざまな部分でジェスカイ・コントロールを強化していたからだ。
加藤「単色デッキを全部殺しにきました(笑)」
石田「殺されました……」
スゥルタイ・ミッドレンジ。青単。赤単。白単。ネクサス。エスパー。メタ上位のデッキの影に隠れてはいたが、実は今こそジェスカイ・コントロールの時代なのかもしれない。
無論それでも、「スゥルタイに勝てるのか?」「ネクサスにはボコされるのでは?」といった疑問は残る。
だが。
石田「勉強になりました。決勝でまたお会いしましょう……いや、決勝でも当たりたくないな(笑)」
少なくとも「単色デッキを殺しにきた」という言葉の信用性だけは、石田のセリフが物語っているはずだ。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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