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ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019

戦略記事

ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019 初日メタゲームブレイクダウン

Meghan Wolff
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2019年2月22日

 

 『ラヴニカの献身』がスタンダードに新たな波を起こして1か月、環境の頂点に立ち話題を独占するデッキは毎週のように変わってきた。ミッドレンジからアグロ、「ネクサス」デッキ、「ドレイク」デッキまで、ミシックチャンピオンシップ・クリーブランド2019へ持ち込むデッキの選択肢は、山ほど(あるいは島ほど)ある。

 そして、参加者たちの決断は以下のようになった。

アーキタイプ 使用者数 使用率
スゥルタイ・ミッドレンジ 107 21.5%
ネクサス 71 14.3%
白アグロ 62 12.4%
青単テンポ 60 12%
エスパー・コントロール 45 9%
イゼット・ドレイク 30 6%
赤アグロ 28 5.6%
ラクドス・ミッドレンジ 18 3.6%
セレズニア・トークン 10 2%
グルール・ミッドレンジ 10 2%
ティムール「荒野の再生」 9 1.8%
イゼット・フェニックス 7 1.4%
エスパー・ミッドレンジ 5 1%
グリクシス・ミッドレンジ 5 1%
ゲート・ミッドレンジ 4 0.8%
マルドゥ・アグロ 4 0.8%
アブザン・天使 3 0.6%
ゴルガリ・ミッドレンジ 3 0.6%
マーフォーク 3 0.6%
シミック・ミッドレンジ 3 0.6%
バント・ミッドレンジ 2 0.4%
ディミーア・ミッドレンジ 2 0.4%
ジャンド・ミッドレンジ 2 0.4%
ディミーア・テンポ 1 0.2%
ジェスカイ・コントロール 1 0.2%
ジェスカイ・ドレイク 1 0.2%
ナヤ・ミッドレンジ 1 0.2%
オルゾフ・ミッドレンジ 1 0.2%
スゥルタイ「荒野の再生」 1 0.2%

 この週末に特に好まれたのは、ミッドレンジだった。「スゥルタイ・ミッドレンジ」が、その親戚である「ゴルガリ・ミッドレンジ」の座を奪い、環境の頂点に立ったのだ。《ラノワールのエルフ》や《翡翠光のレインジャー》、《ビビアン・リード》、《採取 // 最終》などの「ゴルガリ・ミッドレンジ」の主力に加え、《人質取り》や『ラヴニカの献身』の人気カード《ハイドロイド混成体》を採用した「スゥルタイ・ミッドレンジ」は、高い打撃力と多彩な除去のバランスを見事に成立させている。またサイドボードからは、そのバランスを損ねることなく《否認》も扱えるようになっている。

 ミッドレンジ第一位の座を占めたのは「スゥルタイ」だが、他の形を手に取ったプレイヤーも相当数いる。「グリクシス」を用いて《思考消去》や《破滅の龍、ニコル・ボーラス》のような妨害手段を獲得した者もいれば、「エスパー(白青黒)」や「バント(緑白青)」、「ナヤ(赤緑白)」を選択して《第1管区の勇士》と多色カードを駆使する者もいる。

 「ラクドス・ミッドレンジ」は、先週末のグランプリ・メンフィス2019でジョディ・ケイス/Jody Keithが使用し、優勝を果たした。まだ主流になっていなかったデッキの驚くべき結果に、プレイヤーの注目が集まっている。《溶岩コイル》や《喪心》といった除去に《帆凧の掠め盗り》のような妨害手段、そして《再燃するフェニックス》や《炎鎖のアングラス》、《包囲攻撃の司令官》のような脅威を持ちあわせるこのデッキは、さまざまな角度から環境へ攻め込んでいるのだ。

 ミッドレンジに続けて人気を博したのは、《水没遺跡、アズカンタ》と《荒野の再生》による強力なエンジンを搭載した「ネクサス」系デッキだ。中でも特に「シミック・ネクサス」が好まれ、43人の使用者を集めた。以前の構築では敬遠されていた《エリマキ神秘家》や《悪意ある妨害》のような干渉手段が採用されているが、打ち消し呪文の数が増えている現環境においては、必要な変化だと認識されているようだ。

 他には、「ゲート・ネクサス」と呼ばれるタイプのものも14人の使用者を集めた。《燃え立つ門》や《ギルド会談》のような「ギルド門」に注目したカードを用いて、盤面の制圧や手札の充実をはかるデッキだ。加えて、「バント」や「ティムール」の形もわずかながら存在する。このようにさまざまな形がある「ネクサス」系デッキだが、その勝ち手段としては《ハイドロイド混成体》が大多数からの支持を受けている。その一方で、《発展 // 発破》も人気の1枚だ。

 昨年11月のプロツアー『ラヴニカのギルド』を席巻した「白アグロ」は、『ラヴニカの献身』でも追加戦力を獲得し繁栄を続け、今大会でも使用率12%超えを記録している。「アゾリウス・アグロ」を使用する者の多くが《拘留代理人》のメイン採用を控えつつあるが、サイドボードの《否認》と《軽蔑的な一撃》は健在だ。小型クリーチャーで盤面を埋め尽くし、その後打ち消し呪文で戦線を維持する戦略が、コントロールに対して有効なのだ。この形は「白単」の使用者数を14人も上回る人気を集め、今大会における「白アグロ」系の旗手となっている。

 なお、「ボロス・アグロ」を選択したプレイヤーも2名いた。メインから赤をタッチして《英雄的援軍》を採用し、サイドボードには《実験の狂乱》や《正義の模範、オレリア》を搭載したものもあるが、それでも赤のカードの比率は少なく他の「白アグロ」系デッキと構成が似通っているため、ここでは「白アグロ」に分類している。

 この1か月間は環境に入るか入らないかの位置に留まっていた「青単テンポ」だが、ここクリーブランドにてついに舞台の中央に躍り出るときがきた。2月のはじめにアレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayneが「MTGアリーナ」でこのデッキを操り、ミシック・ランク1位を達成したことで、特にここ数週間は人気を集めている。回避能力を持った軽量クリーチャーに《執着的探訪》を付け、《セイレーンの嵐鎮め》や《潜水》でそれを守ったり《呪文貫き》や《魔術師の反駁》で干渉手段を打ち消したりしていくのが、このデッキの最大の狙いだ。素早いクロックに圧倒的なまでのドロー。この週末を駆け抜けるためには、これが最善の方法だと考えるプレイヤーは多いようだ。

 コントロール・デッキは、ここ数か月の間に色の構成が移り変わってきた。「アゾリウス」、「ジェスカイ(青赤白)」、「イゼット」、「エスパー」とさまざまな形が、そのときどきでコントロールを先導してきたのだ。『ラヴニカの献身』で《ケイヤの怒り》が加わってからは、コントロール・デッキのほとんどが「エスパー」に落ち着いた。黒は《屈辱》や《渇望の時》、《ヴラスカの侮辱》といった軽く使いやすい除去をもたらし、青を用いることでドローと打ち消し呪文、そしてもちろん《ドミナリアの英雄、テフェリー》の助けを借りることができる。また「エスパー・コントロール」には《肉儀場の叫び》も加わり、《不屈の護衛》や《アダントの先兵》に対する解答となっている。

 「イゼット・ドレイク」は、引き続きスタンダードの空を脅かしている。軽量呪文が燃料となり高打点の飛行クリーチャーを生み出すこのデッキは、予想外のところから一度か二度の攻撃でゲームを決着させることも多々ある。巨大なドレイクへの対処を困難にし、ゲームを勝ち取るまでの時間を稼いでいるのが《潜水》だ。また、多くはサイドボードへの採用だがメイン採用の形も見受けられる《パルン、ニヴ=ミゼット》も、コントロール・デッキをはじめとする除去や打ち消しを繰り出すデッキに対抗する手段となっている。

 「赤アグロ」は「MTGアリーナ」での人気には及ばないものの、それでもかなりの使用者数を集めている。大半は「赤単」だが、緑を加えてサイドボードに《燃えがら蔦》を採用する形が7名、《興行 // 叩打》や《災いの歌姫、ジュディス》を用いる「ラクドス」の形が2名いる。一方、ミッドレンジの「グルール」も勢力を伸ばしており、《グルールの呪文砕き》や《成長室の守護者》が居場所を見つけることになった。「グルール」の脅威の選択は、《ザル=ターのゴブリン》のような軽量クリーチャーと《再燃するフェニックス》や《包囲攻撃の司令官》のようなもう少し重めのものに分かれている。


 スタンダード環境は多様性にあふれ、どのデッキにも頂点に立つチャンスがある。今週末の覇者をめぐる戦いはtwitch.tv/magicにてお届けするので、お見逃しなく!

(Tr. Tetsuya Yabuki)

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RESULTS

対戦結果 順位
16 16
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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