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『カルドハイム』チャンピオンシップ

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『カルドハイム』チャンピオンシップ 2日目の注目の出来事

Corbin Hosler

2021年3月27日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)

 200名以上のプレイヤーが『カルドハイム』チャンピオンシップに参戦したが、そこで参加者を待ち受けていたのは生まれ変わったヒストリックと多様化したスタンダードのメタゲームだった。15回戦の激しい争いの後、日曜日へと進んでタイトルを争うトップ8が残った。

 『カルドハイム』チャンピオンシップ2日目が、どのようにその結果へと至ったのかを見ていこう。

無敗の宿命

 初日が終わった時、無敗で残ったプレイヤーは2名だった。アンドリュー・クネオ/Andrew Cuneoとアルネ・ハッシェンビス/Arne Huschenbethはどちらも7勝0敗でフィニッシュし、土曜日朝のポールポジションを獲得したのだ。12勝に達したところでプレイヤーは自動的にトップ8入りが確定するが、この2名はあと5勝すればそこにたどり着く。

 クネオは2日目が始まったときご機嫌で、まさにミュージカルのようだった。

 

 どちらもトップ8には入ったが、簡単にはいかなかった。2人はこの日の初戦で戦うことになり、ただひとりの無敗として残ったのはハッシェンビスだった。

 

 しかしその後、状況は悪化し始めた。ハッシェンビスは第9回戦でハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguezとの接戦に苦しみ、第11回戦ではシャハール・シェンハー/Shahar Shenharとの天下分け目の戦いを落としてしまう。土壇場に立たされた彼は、トップ8を確定させるための最終戦で再びドミンゲスと対決することになる。

 

 クネオは2日目が始まってすぐに2連敗してしまうという自身の苦闘に向き合い、その後はアントニオ・デル・モラル・レオン/Antonio Del Moral Leónと 佐藤 啓輔に勝利。敗北を乗り越え戦った彼は、最終戦で熊谷 陸を破りトップ8の座を獲得したのだ。

トップ8決定

 3名のプレイヤー、シャハール・シェンハーと八十岡 翔太、そしてアルネ・ハッシェンビスが、12勝を挙げて直接トップ8入りした。残りは多くの11勝4敗プレイヤーの中から選ばれるわけだが、結果として9名中5名だけがダブルエリミネーションで行われるスタンダードのトップ8ブラケットへと進む。

 これが最終的なトップ8進出者だ。

khmchamps_top8.jpg Kaldheim-Championship-Top-8-Double-Elimination-Bracket-01.jpg

 世界選手権優勝3回分、年間最優秀選手、(将来入るであろう分も含めた)殿堂顕彰者、そして連続して上位入賞を果たしているプレイヤーなど、挙げきれないほどの栄光を手にしているスター選手ぞろいのトップ8となった。

 使われるデッキは「スゥルタイ根本原理」デッキが3つ、「ティムール・アドベンチャー」が2つ、そして「ディミーア・ローグ」「グルール・フード」と「赤単アグロ」だ。これらはおおむねこのイベントで見られたスタンダードのメタゲームを反映しており、最も人気のデッキが勢力差をつけてはいるものの、この戦いがどうなるかはまだまだ分からない。

 11勝4敗の成績で終えたメンバーのうちマルシオ・カルヴァリョ/Márcio Carvalho、オースティン・バーサヴィッチ/Austin Bursavich、エヴァン・カプラン/Evan Kaplan、そしてジョアン・モレイラ/João Moreiraがタイブレークにより決勝を逃し、残りが最終的にトップ8へと進出した。

 トップ8に残ったデッキのうち、最も興味深いのは茂里 憲之の「グルール・フード」だ。ほとんどのプレイヤーは《出現の根本原理》か《願いのフェイ》を採用して上位に残ったが、茂里は全く異なる方向へと進んでいた。

 『エルドレインの王権』で登場した食物エンジンは登場以降フォーマットを定義してきたもので、彼のスタンダード・デッキと彼がヒストリックに持ち込んだ「ジャンド・フード・サクリファイス」デッキには多くの類似点が見られる。

茂里 憲之 - 「グルール・フード」
『カルドハイム』チャンピオンシップ トップ8 (2021年3月26~28日) / スタンダード[MO] [ARENA]
7 《
4 《
2 《ケトリアのトライオーム
4 《岩山被りの小道
4 《ギャレンブリグ城
4 《寓話の小道
-土地(25)-

4 《金のガチョウ
1 《漁る軟泥
4 《砕骨の巨人
4 《カザンドゥのマンモス
4 《恋煩いの野獣
4 《意地悪な狼
2 《長老ガーガロス
2 《貪るトロールの王
1 《巨大猿、コグラ
1 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス
-クリーチャー(27)-
1 《魔女のかまど
3 《パンくずの道標
2 《グレートヘンジ
1 《髑髏砕きの一撃
2 《エンバレスの宝剣
-呪文(9)-
1 《漁る軟泥
3 《ガラクの先触れ
2 《運命の神、クローティス
1 《レッドキャップの乱闘
3 《乱動する渦
2 《火の予言
2 《アクロス戦争
1 《解き放たれた者、ガラク
-サイドボード(15)-

 《長老ガーガロス》や《グレートヘンジ》といった総じてパワフルなカードで食物エンジンを支援した茂里のデッキは、予想外の勢いで予選を勝ち上がっていった。日曜の彼はスタンダードで最も強力なデッキリストたちを撃破するためにすべてを正しくやり遂げることだろう。

世界チャンピオンの先導

 シャハール・シェンハーは、2013年と2014年に連続してマジックの世界チャンピオンの座に就いたことでマジックの歴史を作り出し、6年間に5つのトーナメントで優勝するというとんでもない戦績を築き上げた。しかし彼は2019年のミシックチャンピオンシップⅢで上位入賞するまで、マジックで数多くの勝利を目指すことからは少し離れていた。

2021-MPL-Sharhar-Shenhar-Front.png
シャハール・シェンハー

 

 今週末のシェンハーは絶対的な支配者だった。彼はスタンダードを無傷の7勝0敗で終え、そしておそらくもっと重要なこととして、他のトップ8のライバルたちに対しても5勝0敗と無敗なのだ。彼は1位通過で日曜に進み、自信に満ちている。

トップ8入りを決めた #KHMChamps は、スタンダードをティムールで無敗、ヒストリックを対ジャンドのアブザン・ヨーリオンで1敗だった。トップ8でもここまでと同じように駆け抜ければトロフィーは私のものだね(頼むぞ)

 シェンハーのスタンダード・デッキもよくやってくれたが、彼のチームによって編み出された、ヒストリックのメタゲームを狙い撃ちにした「アブザン・ミッドレンジ」が彼を最終戦へと導いたのだ。デッキ・デザイナーである(だけでなく殿堂顕彰者でもありマジック・プロリーグのメンバーでもある)ガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassifにちなんで「ガブザン/Gabzan」と呼ばれたこのデッキは、さまざまな解答を使い分け、この環境下の他のデッキに対して優位に立った。そのおかげでシェンハーは、元々「ジャンド・サクリファイス」を打倒するための《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》や《屍呆症》といったカードを、ドミンゲスとの対戦で終盤に重要な役割を果たすものとして活用することができたのだ。彼は、彼のチームが勝つのは「不可能」だと語っていたアンドリュー・クネオの「ディミーア・コントロール」デッキとの対決にすら勝利してみせた。

 

 

Shahar Shenhar - 「ティムール・アドベンチャー」
『カルドハイム』チャンピオンシップ トップ8 (2021年3月26~28日) / スタンダード[MO] [ARENA]
2 《
2 《
2 《
4 《ケトリアのトライオーム
4 《樹皮路の小道
4 《岩山被りの小道
4 《河川滑りの小道
4 《寓話の小道
-土地(26)-

4 《エッジウォールの亭主
4 《砕骨の巨人
4 《厚かましい借り手
4 《カザンドゥのマンモス
4 《恋煩いの野獣
4 《黄金架のドラゴン
-クリーチャー(24)-
1 《唱え損ね
1 《棘平原の危険
2 《襲来の予測
1 《神秘の論争
3 《アールンドの天啓
2 《グレートヘンジ
-呪文(10)-
1 《獲物貫き、オボシュ
-相棒(1)-

2 《運命の神、クローティス
3 《アゴナスの雄牛
2 《長老ガーガロス
1 《唱え損ね
1 《レッドキャップの乱闘
2 《神秘の論争
1 《悪魔の稲妻
1 《襲来の予測
1 《魂焦がし
-サイドボード(14)-
Shahar Shenhar - 「アブザン・ミッドレンジ」
『カルドハイム』チャンピオンシップ トップ8 (2021年3月26~28日) / ヒストリック[MO] [ARENA]
2 《平地
1 《
2 《
4 《インダサのトライオーム
4 《陽光昇りの小道
4 《神無き祭殿
4 《枝重なる小道
4 《寺院の庭
4 《闇孔の小道
4 《草むした墓
1 《ロークスワイン城
-土地(34)-

4 《花の壁
4 《秋の騎士
4 《鎮まらぬ大地、ヤシャーン
3 《空を放浪するもの、ヨーリオン
-クリーチャー(15)-
4 《思考囲い
4 《不可解な終焉
4 《精神迷わせの秘本
2 《ネスロイの神話
2 《ケイヤの誓い
4 《古き神々への拘束
4 《絶滅の契機
3 《エルズペス、死に打ち勝つ
2 《エメリアの呼び声
2 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ
-呪文(31)-
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン
-相棒(1)-

3 《変容するケラトプス
2 《領事の権限
4 《軍団の最期
1 《屍呆症
2 《ヤヘンニの巧技
2 《精霊龍、ウギン
-サイドボード(15)-

マジックを一晩中プレイする

 リモート・オンライン・トーナメントの現実的要素の1つは、時差だ。例えばヨーロッパが朝ならアメリカは深夜なわけだが、アジア圏のプレイヤーにとっては深夜に――そして翌朝まで――トーナメントが行われるというさらに困難な道のりとなっている。

 そんな中での八十岡 翔太、茂里 憲之、そして熊谷 陸の偉業はことさら印象的だ。予選がすべて終了したのは日本時間で日曜の午前10時だったが、彼らは疲労を乗り越えトップ8入りを果たした。

///
(写真左から) 八十岡 翔太、茂里 憲之、熊谷 陸

 

 

 

そのほかのベストなもの

 土曜日に見ることができるトップ8入りへの追い込みは、トーナメントの中でも最も情熱的かつ刺激的な時間帯の1つであり、そこには話題に加えるべき素晴らしい瞬間が常にある。

 セドリック・フィリップス/Cedric Phillipsが分析ツールを強化することで経験できた純粋な喜びを話題に加えなかったとしたら、それは我々の怠慢だろう。

 

 我々はこの週末で《出現の根本原理》について散々語ってきたが、それには相応の理由がある。これは唱えるのが困難な爆弾カードだが、プレイヤーはスタンダードとヒストリックのどちらであってもこれを用いての勝利に興味を持っていて、ほとんどの状況でエキサイティングな瞬間を生み出し、そしてすぐさま勝利が続いたのだ。

 

 

今後の展望

 『カルドハイム』チャンピオンシップは、プレイヤーに多くの利益と損失を与えた。このトーナメントの結果は、マジック・プロリーグとライバルズ・リーグの順位に影響を与える。このイベントでリーグ・プレイヤーは、年末のガントレット・トーナメント参加権を獲得するために年間を通して行われているレースでの得点を最大で4ポイント稼ぐか、あるいは他者にポイントを稼がれることでリーグからの降格に直面することとなる。

最終戦は @death_snow の緑白アグロを倒して10勝5敗でトーナメントを終えた。これは3ゲーム目の対戦相手のターン中の状況でアンタップインで出せる土地も見つからなかったんだけど、とにかくライフ1点の状態からぎりっっっぎり勝った。やばいね。 #KHMChamps

ニヴは奪いたもう。今週末のヒストリックでは予想外のものとばかり対戦し、ニヴはそのどれに対してもよかったものの、スタンダードの5勝2敗と合わせて9勝6敗となるヒストリックの4勝4敗という成績は、もう1ポイント得るには足りなかったよ。 #KHMChamps

9勝5敗。@kushiro_mtg による2度の3ターン目コルヴォルド(と、マクサスで女看守1枚だけのめくれ)は私を倒すのに十分だった。トップ8の夢はついえた、最終戦で勝って2ポイント目を狙ってみよう #KHMChampionship

最終戦の結果は……10勝5敗! @Grotfang_ のジャンドに対してとんでもないマクサスが勝ちをくれた。16位で2ポイントと2500ドル、悪かない! 2週間後の次回のリーグ・ウィークエンドで会おう :) #KHMChamps

 残された今年のリーグ戦はまだたくさんあるが、まずはこのトップ8についてだ。プレイヤーは太平洋時間の午前9時に再び集まり、ダブルエリミネーションのスタンダード・ブラケットで戦う。そしてそれは『カルドハイム』チャンピオンシップの勝者のための新しい英雄譚を紡ぐことで終わるのだ!

(Tr. Yuusuke "kuin" Miwa)

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RESULTS

対戦結果 順位
最終
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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