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日本選手権2019
デッキテク:吉村 太佑の「ニヴ=ミゼット再誕」 ~ありったけの夢をかき集めて~
5色で派手な能力を持つカードは、プレイヤーに夢を感じさせる。
《ニヴ=ミゼット再誕》。戦場に出た瞬間にライブラリーの一番上10枚からカードをかき集める、5マナ6/6・飛行のド派手なクリーチャーだ。
『灯争大戦』カードプレビューで公開されたこのカードを見た際、何とかして使いたいと思ったプレイヤーは多いだろう。筆者もその一人で、発売直後、何人かの人々がこのカードを使ったオリジナル構成のデッキをプレイしていたのを良く覚えている。
とはいえ、5色のデッキ構築は相応に難しい。やがて《ニヴ=ミゼット再誕》を唱えるプレイヤーは筆者の前に現れなくなった。
時は経ち、『基本セット2020』が発売された。筆者の目の前の風景は、吸血鬼やエレメンタル、ゾンビが蔓延る世界に変容した。
しょせん、夢などというものは少年時代に見るようなものだったのか。そんなことを思い始めたその時、吉村 太佑が5色のドラゴンでカードをかき集める姿を見せてくれた。
1 《沼》 1 《神聖なる泉》 1 《氷河の城砦》 1 《神無き祭殿》 1 《静寂の神殿》 3 《聖なる鋳造所》 1 《断崖の避難所》 2 《寺院の庭》 3 《湿った墓》 1 《水没した地下墓地》 1 《蒸気孔》 1 《繁殖池》 1 《神秘の神殿》 2 《血の墓所》 1 《竜髑髏の山頂》 1 《草むした墓》 1 《疾病の神殿》 1 《踏み鳴らされる地》 2 《ギルド門通りの公有地》 -土地(26)- 4 《ニヴ=ミゼット再誕》 1 《狼の友、トルシミール》 1 《パルン、ニヴ=ミゼット》 1 《荒廃ワーム》 2 《ハイドロイド混成体》 -クリーチャー(9)- |
3 《暴君の嘲笑》 2 《アングラスの暴力》 2 《暗殺者の戦利品》 2 《溶岩コイル》 2 《思考消去》 1 《灯の燼滅》 3 《彩色の灯籠》 3 《轟音のクラリオン》 1 《ケイヤの誓い》 1 《時の一掃》 2 《豪奢 // 誤認》 2 《時を解す者、テフェリー》 1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 -呪文(25)- |
1 《秋の騎士》 2 《精鋭護衛魔道士》 1 《アングラスの暴力》 1 《灯の燼滅》 1 《溶岩コイル》 1 《思考消去》 3 《漂流自我》 1 《魔性》 1 《轟音のクラリオン》 2 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》 1 《時を解す者、テフェリー》 -サイドボード(15)- |
――すごいデッキですね。ほとんどのカードがFoil版なことも相まって、こだわりを感じます。なぜこのデッキを使おうと思ったのですか?
吉村「使いたいからです(笑)。きっかけは、『灯争大戦』発売時、アメリカのプレイヤーの記事で《ニヴ=ミゼット再誕》デッキを見つけたことがでした」
――参考にしたデッキがあったんですね。どのように手を加えましたか?
吉村「一番の変化点は《成長のらせん》と《思考消去》です。元のデッキでは4枚ずつ採用していたんですが、現在のメタには合っていないと感じました。『赤単』や『吸血鬼』が増えたことが原因ですね。全体的にアグロ・デッキが増えてきたので、それらを減らして除去を増やしています」
――《轟音のクラリオン》や《アングラスの暴力》など、さまざまな除去が採用されていますね。
吉村「はい。《アダントの先兵》が特に辛いので、それを倒せる《豪奢 // 誤認》も使っています」
――除去としてもそうですが、《ニヴ=ミゼット再誕》で手札に加えられない《溶岩コイル》も印象的です。
吉村「《隠された手、ケシス》対策です。《暴君の嘲笑》などでも除去することはできるのですが、追放する能力が重要だと考えています」
――なるほど。全体的にどのようなデッキに有利ですか?
吉村「各種のミッドレンジデッキや、《贖いし者、フェザー》を使ったデッキに強いです」
――《贖いし者、フェザー》デッキに強い《時を解す者、テフェリー》が3枚も入っていますね。
吉村「それは結果的に入った形なんですけどね(笑)。最初は1枚でしたが、単純にドロー+バウンス(手札に戻す)の能力が強いのと、コントロール対策として入れています。(《軽蔑的な一撃》のような)打ち消し呪文に弱いので」
――《ニヴ=ミゼット再誕》は戦場に出た時の能力ですから、打ち消し呪文には弱そうですね。それでは、不利なデッキタイプはなんでしょうか?
吉村「アグロ・デッキには弱いです。それから《隠された手、ケシス》デッキにも弱いですね。対策として《溶岩コイル》を採用しているのはお話ししましたが、他にもサイドボードに《漂流自我》を入れています」
――《パルン、ニヴ=ミゼット》のマナ拘束は辛くないですか?
吉村「1枚だけなので平気かな、というところです。イゼット・カラーは使いたいカードがなかなかなくて、《パルン、ニヴ=ミゼット》以外だと《ラルの発露》、《イゼット副長、ラル》あたりを試しました。でも、《ラルの発露》は結局4マナの3点火力呪文でしかありませんし、《イゼット副長、ラル》はインスタントやソーサリーがそこまで多くないので、あまり強くはないなと判断しました。これらの中途半端なカードを入れるよりは、出にくくとも強い《パルン、ニヴ=ミゼット》を使ったほうが良いと思います。
あとは、サイドボードに《天頂の探求者、カーリア》を入れていた時がありました。もちろん(ドラゴンなので)相性は良かったのですが、《天頂の探求者、カーリア》はサイドボードに入れるカードでもないなと思って抜きました(笑)」
――マナ・ベースも特徴的ですよね。《ギルド門通りの公有地》が2枚入っています。
吉村「一時期、4枚入れていたこともありました(笑)。今は、緑をタッチする形にしたので2枚にしています。除去呪文を増やしていった結果、緑マナはあまり使わなくなったので」
――事故率は高くないですか?
吉村「色事故はあまりしないですね。それよりも、土地が詰まる事故のほうが多いです」
――ズバリ、このデッキはおすすめですか?
吉村「カードをいっぱい引きたい人にはおすすめです(笑)。デッキトップを10枚めくって、手札が7枚に増えたりするのは楽しいですよ。『エルドレインの王権』も出てくるので、新しいカードにも期待できます。使えなくなるカードもほとんどありませんし」
――新たな多色カードに期待ですね。
吉村「候補の少ないイゼット・カラーやグルール・カラーに優秀なカードが来て欲しいですね(笑)。」
スタンダードのデッキをFoil版で統一することは普段していないものの、「愛着があるから」という理由で、吉村はFoil版の《ニヴ=ミゼット再誕》たちを集めている。
使用理由を尋ねれば、第一に「使いたいから」と話す彼の姿は、彼のデッキのように光り輝いて見えた。
日本選手権2019を舞台に、吉村の《ニヴ=ミゼット再誕》が、私たちの夢をありったけかき集めて羽ばたいた。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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