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日本選手権2018
第6回戦:斉田 逸寛(東京) vs. 原根 健太(東京)
初日のスタンダード・ラウンド5回戦が終わり、ドラフト・ラウンドに移行した。
そして決勝ラウンドへの芽を残す1敗ラインのドラフト卓では、原根 健太、山本 賢太郎、瀧村 和幸、斉田 逸寛という強豪ひしめく卓ができていた。
やがて対戦組合せが発表され、強豪同士の対決が実現となった。
プレイヤー紹介とそれぞれのデッキ
斉田 逸寛 vs. 原根 健太 |
原根 健太。(写真、右)
わずか4年という短い経歴で、3度のグランプリ・トップ8とプロツアー12位の成績を誇る「新世代」の英雄だ。この前回の日本選手権王者は「ディフェンディング・チャンピオン」として今大会でも1敗を保ち、第6回戦となるドラフト・ラウンドに突入している。
彼が結果を残したグランプリのフォーマットから、スタンダードとレガシーに注力しているプレイヤーと思われがちだが、混合フォーマットで開催されているプロツアーでのリミテッド経験はもちろん積んでいる。マジック特有ともいえるリミテッドを存分に楽しんでおり、オールラウンド・プレイヤーとしての一面も持ちあわせている様子だ。
今回組んだデッキは赤青果敢。《奇怪なドレイク》と《エイヴンの風魔道士》を中心に、スペルと相性の良い飛行クリーチャーでダメージレースを仕掛ける形だ。
その軸となる《奇怪なドレイク》も《エイヴンの風魔道士》も複数枚取れている。「除去は《ショック》2枚と、ちょっと弱い《道迷い》くらい」と話すが、《突破》や《予言》などドロー呪文に関してはベストといえるほどの組み合わせでピックできているようだ。
対する斉田 逸寛(写真、左)もオールラウンド・プレイヤーとして名の知れた競技プレイヤーだ。
BIGMAGIC Open vol.8ではスタンダードにおいて岡井 俊紀らを打ち破りつつ優勝し、先日のリミテッド・フォーマットで開催されたグランプリ・千葉2018でも12勝3敗の成績を収めている。
決め手は先々週のエターナルウィークエンド・アジア2018で、レガシー選手権において堂々の準優勝、とフォーマットを問わず好成績を残し続けている。
斉田は青緑タッチ黒のカラーリングで立ち向かう。原根の赤青とは青被りだが、緑が主体とあって戦法は異なる。《緑探しのドライアド》や《前兆語り》でドローを安定させつつ、展開を絶やさない継続力をテーマにしていた。最強クラスの2マナと噂高い《旅立った甲板員》も2枚ピックできていて、序盤から仕掛けるプレッシャーは他色に劣らない。
斉田「とんでもないところに座ってしまったと思った」
斉田が笑う。原根、山本、瀧村。日本を代表するプロ・プレイヤーが集結した卓だ。
原根「始まる直前に卓を見渡したら、斉田さんもいた」
原根も笑う。
山本も瀧村ももちろんだが、斉田も要注意プレイヤーとして原根は認識していた。
席の位置的には2人のプレイヤーが間にいて、デッキは互いに分からないという。
試合展開
ゲーム1の先手をとったのは、原根だ。
だが《ヴィーアシーノの紅蓮術師》からスピーディな仕掛けをするも、斉田は《旅立った甲板員》2体展開とより強烈な動きを見せた。
《予言》で有効牌を引きたい原根だが、続けた《斉射の古参兵》は残念ながら撃ち落とせる対象がいない。
斉田は《排斥する魔導士》で《斉射の古参兵》を跳ね返し、テンポをもぎ取って勇猛に攻撃を押し込んでいく。原根の虎の子の1枚である《火山のドラゴン》を斉田が《垂直落下》で撃ち落とすと、ゲーム1の趨勢は決まった。
斉田 逸寛 |
ゲーム2は原根のデッキの真価が発揮される展開となった。
斉田の動きが鈍いところで《厄介なドラゴン》を着地させ、《鏡像》で2体目を用意。さらに《火山のドラゴン》を加えてドラゴン3体での攻撃を仕掛けると、《緑探しのドライアド》などで細かくアドバンテージを確保しようとしていた斉田は展開を始める前にカードを畳むこととなった。
原根 健太 |
取って取られての後のゲーム3は、一転して差し合いだ。
一方ドロー呪文を重ねてから《奇怪なドレイク》を着地させた原根。
この《奇怪なドレイク》が原根に有利な戦闘の盤面をもたらし続けた。小粒のシステムクリーチャーと《旅立った甲板員》の合計3体の横並びを続ける斉田に対し、《奇怪なドレイク》と《エイヴンの風魔道士》を並べた原根が、1ターン差を差し切った。
斉田 1-2 原根
試合後
この試合の一部始終を見ていた八十岡 翔太が駆け寄った。
次いで、試合を終えたばかりの同卓・瀧村も様子を見にきた。
「俺もヤマケン(山本 賢太郎)も勝ったから、多分どっちかと当たるね(笑)」
瀧村の報告を受けて、たった今勝利を収めたばかりの原根は、続く強豪との闘いの予感に嘆くが、「最初、3ターン目に3色(《島》《森》《沼》)置かれて、なんじゃこりゃと思ったよ。こちらも完成度に不安があったけど、(ゲーム3みたいに)差し合いの展開になるとチャンスが生まれるね。合計2勝1敗できたらラッキーかなあ」と、試合を振り返りつつ、デッキの総評に触れてくれた。除去の少なさから完成度の低さを明言したが、赤青果敢に必要な部分は取れているとも話す。
八十岡「ゲーム3は選択肢が多すぎたね」
敗北を喫した斉田に対し、八十岡が盤面を再現しつつ助言していた。
選んだプレイに対して、どのような裏目があったか。選ばなかったプレイを挙げて、どのような利点があったか。斉田もカードを動かしながら、そのとき何を考えていたのかを言語化しながら、八十岡の助言を呑んでいた。
斉田の選択が何手か順序が違えば、結果は明確に違っただろう。八十岡も、そして対した原根もそう語った。しかしそれは斉田がミスプレイのなかで自滅した、というよりも原根が的確に斉田の動きを読み切った勝利でもある。
ドラフトにおいてアーキタイプの完成形を見出すこと、そして自らのデッキを客観的に評価することは練習のみによってしか培われない感覚だ。
原根は「2勝できたらラッキー」と話したが、別のシーンでは「ラッキーパンチできてるときにしっかり勝てるようにしたい」と話す姿もあった。
確かな実力を土壌に、幸運も味方につけて原根はドラフト3勝を目指す。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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