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日本選手権2017
新レベル3ジャッジ 長島 明日香さんインタビュー ~広がる未来の可能性~
by Masashi Koyama
パウロ・ヴィター・ダモダ・ロサ選手が2度目の優勝を遂げ、喜びに湧いたプロツアー『破滅の刻』。
その裏で、日本のマジック界にとって大きな出来事が起こっていました。
新たなレベル3ジャッジ誕生。
マジックの認定ジャッジはレベル1からレベル3に分かれており、それぞれのレベルに応じて役割が異なっています。
店舗単位のジャッジであるレベル1から、より大きな地域に活躍の幅を広げるレベル2。そして最高位であるレベル3ジャッジになると、国を越えての活動となり持つ責任もより大きくなるのです。
そのレベル3ジャッジに新たに昇格したのが、長島 明日香さんです。
現在、日本では4人が活動しているレベル3ジャッジに、その5人目として名を連ねた長島さん。(編注:文章を修正しました。)
お忙しい中、お時間を割いていただきインタビューをお願いしました。
レベル3ジャッジ 長島 明日香さん インタビュー
――まずは、レベル3ジャッジへの昇格おめでとうございます。昇格から1か月が経過しましたが、今はどのような気持ちでイベントに臨まれていますか?
長島「ありがとうございます。合格した瞬間っていうのはやはりテンションが上がるもので、周りのジャッジも祝福してくれる空気もありましたし幸せでした。今日に関しては、それから1か月が経過したこともあり落ち着いています。レベルが変わったからと言ってやることが急に変わるわけではありません。レベル2のときから(気持ちの上では)『レベル3であれ』と思って活動していましたので、大きく変わったことはないです」
――どれくらいの期間ジャッジをされているのでしょう?
長島「認定ジャッジになったのが2010年3月なので、7年半ほどになりますかね。認定されたころは仙台に住んでいました」
――元々は仙台でプレイヤーをされていたのですか?
長島「カジュアルには遊んでいたのですが、プレイヤーからジャッジになるまでの期間がすごく短かったんですね。DCI番号を作ったのが2009年7月なので。DCI番号を作る前も1年くらいは友人とカジュアルに遊んではいました」
――初めて公認イベントに出られてから半年ぐらいですか。確かにかなり短いですね。
長島「そうですね。DCI番号を作って公認イベントに出ているうちに『自分のルール知識に間違いがあるな』と感じました。ゲームは正しいルールで遊びたい性分なので、試しにルールを読んでみたところ面白いなと思いまして。それから2~3回ほどイベントに出た後に、当時仙台で三浦さんという方が『五城楼杯』というイベントをされていたので、お願いしてスタッフとして参加させていただきました。それから半年後くらいのグランプリ・横浜2010でお話をいただいて、認定ジャッジになることができました」
――それからもずっと仙台でジャッジをされていたのですか?
長島「いえ、そこから関東に一度移って、今は札幌市に住みながら活動しています」
コミュニティを変えながらの活動
――なるほど。最初は仙台、関東、札幌と活動の場を変えるにあたって、コミュニティが変わる不都合などはなかったのでしょうか?
長島「あまりそういった障壁はなかったですね。関東から札幌に移る時期には、グランプリなどである程度活動していたので。仙台から関東の時には、私の方が『教えてください』という姿勢を持っていたので温かく迎えていただきました」
――それぞれのコミュニティで違いなどは感じましたか?
長島「関東という所は少し特殊なのかな、とは感じます。やっぱり人口が多いことは多様性に繋がりますから。仙台であれば競技志向の人、カジュアルに楽しむ人と言うくらいの分布なのですが、関東はプレイヤー層の分布の幅もそうですし、マジックへの関わり方も多様性が大きくなっていますよね。『関東は選択肢の幅が広いな』というイメージは持ちました」
――なるほど、そういう形で経験を積まれて今は札幌にいらっしゃるわけですね。経験を積んでレベルが上がったことにより、今度は長島さんがコミュニティを育てる、という形になるのかなと思うのですが。
長島「さっきも言ったのですが、レベルが上がったからといってまだ自分の中では大きく切り替わったということはなくて、レベル2の時からレベル3の役割を与えられて活動していましたので、内面として変わったことは大きくはありません。(レベルが上がって)できることは増えましたので、皆さんから信頼していただけるよう活動しつつ『どんなことをしようかな』って考えていきたいと思っています」
さまざまな人と接して広がる無限の可能性
――なるほど。そう言えば、長島さんはよく海外のグランプリへも遠征されているイメージがあります。
長島「そうですね、アジアやヨーロッパのグランプリに行っていますね」
――言語の問題もあり日本よりも海外の方がレベル3ジャッジの数が多いと思うのですが、そういった方々から学んだことはあるのでしょうか?
長島「一口にレベル3ジャッジと言っても、その中でもいろいろと役割があるんですね。私のようにジャッジプログラムを育てる方向で活動をしたり、ヘッドジャッジを目指す方向だったり、地域のリーダーをする方向だったり......それこそ、数え切れないくらいに。レベル3ジャッジになりたての私はいろんな方向に道が見えている状況です。そう言った意味で、いろいろな方向性に向かっている方からお話を聞けたり、それぞれの役割の人がどのように人と接しているかを見ることができたのはすごく有用なことでした」
――そう言った方々と接して、これからの方向性を決めていくということですね。今の段階でこれからどのように活動されていこうと思っていますか?
長島「まずは楽しみたいです! ジャッジってマジックの楽しみ方のひとつだと思っているので、楽しむことを前提にしながら、よりよいジャッジになることを目指していこうと思います。現状、私がすぐに『この方向に行って』と言われることもないので、今やっているジャッジの活動領域を広げていくための業務に集中しながらいろんなことを学んでいきたいと思っています」
――「楽しむこと」が前提なのですね。長島さんにとってジャッジの楽しさとはどういうこところにあるのでしょうか?
長島「ジャッジってマジックのフォーマットのひとつだと思うんです。スタンダード、レガシー、モダン、ドラフトと同じような。なので、ジャッジを仕事や義務だと思っている人は少なくて、みんな楽しみながらやっているんですね。そしてその中でもグランプリのような大きいイベントを成功させることを目標とする人、地域のお店でプレイヤーに楽しんでもらうことに喜びを感じる人、ゲームを正しく遊んでもらうことを主眼にしている人......とそれぞれの楽しみ方があります。私は縁の下から支えて、ジャッジコミュニティが円滑に動くようにというのが楽しいですね」
――マジックは楽しいものですもんね。ジャッジコミュニティと言えば、皆さん長く活動されていますよね。
長島「ジャッジになったからと言って、プレイヤーとしてイベントに出られなくなることはないんです。むしろプレイヤーとしてトーナメントに参加することが推奨されているんです。ジャッジが地域に少ないようなところでは『ジャッジコミュニティを育ててみんながプレイできるようにしよう』というのも目標とされているところなんです。なので、『このシーズンはプレイヤーとして楽しもう』『グランプリがあるからジャッジをしよう』と言った切り替えもできるんです」
――ありがとうございます。これからジャッジになりたい方はどうすればよいのでしょう?
長島「まずはお近くの店舗に認定ジャッジの方がいれば、そこに声をかけてみてください。もし、お近くにジャッジがいなければ、お手数ですが地域コーディネーターの牧野さん( rc@jpjudge.com )に連絡を取っていただければきっとサポートできると思います」
――ありがとうございました!
インタビューを終えると、長島さんはジャッジを呼んでいるプレイヤーを見つけ、駆け出していきました。
長島さんは眼前に広がる可能性を模索しながら、ジャッジとしてさらなる活躍をされていくことと思います。
「楽しみたい!」
その気持ちを根底に持ちながら――。
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