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マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2022
マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2022 予選ラウンド メタゲーム・ブレイクダウン
『団結のドミナリア』、ついに発売。
つい先日、9月9日(金)に発売されたばかりの新セット、『団結のドミナリア』。だがそれは、スタンダード・フォーマットにとっては大規模なローテーション(使用可能カードの変動)を意味する。
9月10日現在、スタンダードで使用可能なのは『イニストラード:真夜中の狩り』『イニストラード:真紅の契り』『神河:輝ける世界』『ニューカペナの街角』『団結のドミナリア』の5セットのみ。1か月前とはまるで様変わりした未知の新環境が、プレイヤーたちを待ち受ける。
そんな新環境の覇者を決める大会が、MTGアリーナで開催されるこのマジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2022というわけだ。
優勝賞金50万円を目指すべく集まったプレイヤーの数は総勢687名。この大舞台に、参加者たちはどのようなデッキを用意してきたのか。ここではデッキリスト公開制によりすでに公開されている参加者たちの初日通過デッキリストを見ながら、本大会のメタゲーム・ブレイクダウンをお届けしよう。
マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2022 予選ラウンド メタゲーム・ブレイクダウン
デッキ名 | 使用者数 | 割合 |
---|---|---|
グリクシス・ミッドレンジ | 122 | 17.8% |
黒単ミッドレンジ | 108 | 15.7% |
ラクドス・ミッドレンジ | 67 | 9.8% |
ジャンド・ミッドレンジ | 65 | 9.5% |
エスパー・ミッドレンジ | 54 | 7.9% |
オルゾフ・ミッドレンジ | 37 | 5.4% |
マルドゥ・ミッドレンジ | 24 | 3.5% |
エスパー・コントロール | 15 | 2.2% |
赤単アグロ | 12 | 1.8% |
グリクシス・コントロール | 10 | 1.5% |
その他 | 173 | 25.2% |
合計 | 687 | 100.0% |
※使用者数9名以下のデッキは「その他」に計上
※「黒単アグロ」「黒単ミッドレンジ」「黒単コントロール」は実際上似たような構成であることがほとんどだったのでミッドレンジに統合して計上(たまに本当にアグロなデッキもあったがここでは区別しない)。「グリクシス・ミッドレンジ」「グリクシス吸血鬼」に関しても同様にミッドレンジに統合して計上。
※デッキ登録段階の集計のため、数字にズレがある可能性あり。ご了承ください
「MoMaの冬」「エルドラージの冬」といった表現にならって言うならば、「黒の秋」と言っていいほどの圧倒的な(※フィールドの7割以上)黒さとなった。さらにことごとくミッドレンジばかりというのもうひとつの特徴で、カードプールが狭いとはいえ、5色のバランスがここまで極端なのもなかなか珍しい。
グリクシス・ミッドレンジ
2 《沼》 1 《山》 4 《ザンダーの居室》 1 《ラフィーンの塔》 4 《難破船の湿地》 2 《憑依された峰》 3 《硫黄泉》 3 《嵐削りの海岸》 3 《シヴの浅瀬》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(26)- 4 《税血の収穫者》 2 《しつこい負け犬》 4 《死体鑑定士》 2 《復活したアーテイ》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 4 《穢れたもの、ソルカナー》 -クリーチャー(17)- |
3 《電圧のうねり》 1 《呪文貫き》 2 《冥府の掌握》 2 《かき消し》 1 《否認》 4 《鏡割りの寓話》 2 《食肉鉤虐殺事件》 2 《勢団の銀行破り》 -呪文(17)- |
2 《黙示録、シェオルドレッド》 3 《強迫》 1 《切り崩し》 2 《削剥》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《魂転移》 1 《食肉鉤虐殺事件》 1 《勢団の銀行破り》 1 《未認可霊柩車》 1 《不笑のソリン》 -サイドボード(15)- |
「グリクシス・ミッドレンジ」はローテーション以前からの基盤が最も多く残されていた、言い方は悪いが「留年組」で、《死体鑑定士》《鏡割りの寓話》というリソース確保に長けた2種の強力な3マナ域から4~5マナ域のビッグアクションへとつなげるのが特徴となっている。
『団結のドミナリア』からの新戦力《穢れたもの、ソルカナー》は出してから3ターン後には対戦相手のコントロール下へと裏切ってしまうが、レジェンド・ルールによって自ら処理するのが比較的容易なこともあり、利確しながらも早急にライフプレッシャーをかけるというこのカラーリングならではの役割を担うために採用されている。
また、《復活したアーテイ》は非常にトリッキーな能力を持っており、どんな場面でも活躍しうるがゆえに使い手の技量が試されるカードだ。
総じてどんなマッチアップに対しても安定が約束されており、それだけに新しいデッキタイプにとってはこのデッキと対等以上に戦えるかどうかが環境で通用するかどうかの試金石になりそうだ。
黒単/ラクドス・ミッドレンジ
23 《沼》 2 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《道路脇の聖遺》 -土地(26)- 4 《進化した潜伏工作員》 4 《しつこい負け犬》 4 《墓地の侵入者》 4 《黙示録、シェオルドレッド》 -クリーチャー(16)- |
2 《切り崩し》 4 《冥府の掌握》 4 《勢団の銀行破り》 4 《絶望招来》 2 《食肉鉤虐殺事件》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(18)- |
4 《強迫》 2 《切り崩し》 2 《八方塞がり》 2 《魂転移》 1 《食肉鉤虐殺事件》 2 《未認可霊柩車》 2 《不笑のソリン》 -サイドボード(15)- |
ローテーションの影響は多岐にわたるが、やはり「マナベースの大幅な弱体化」が最も大きい。特に3色以上のデッキはミッドレンジであるにもかかわらず《硫黄泉》などのいわゆる「ダメージランド」を採用せざるをえない状況であり、また最も使われている除去が《冥府の掌握》であることもあって、平均的なライフ水準は18点前後になりがちである。
そこで登場したのが環境のミッドレンジの中でも特に攻撃的なこちらの「黒単ミッドレンジ」だ。
《進化した潜伏工作員》はこれまでの《運命の大立者》系列(《始まりの木の管理人》《隆盛するスピリット》など)とは違って最終形がアドバンテージをとる能力となっており、しかも複数回起動可能なため長期戦に強い1マナ域となっている。
《黙示録、シェオルドレッド》は普通のミッドレンジでの採用だとアドバンテージ面での利確要素がないためやや微妙に見えるが、攻撃的なミッドレンジにおいてはライフ面での利確要素が真綿のようにじわじわと相手を締め上げる。また、環境を定義する1枚でもある《鏡割りの寓話》のⅡ章能力を咎める役割もあり、かつて《包囲サイ》がスタンダードで暴れまわった歴史に鑑みても、今後も継続的な活躍が見込まれるカードと言えるだろう。
他方、《ヴェールのリリアナ》はこの攻撃的なデッキにおいてコンセプト上は必要とされるカードではないが、たとえば「黒単絶対倒すマン」のような尖った相手に対してしっぺ返しを食らわせるような、いわば弱点を補う役割を担っており、単色でありながらも簡単には攻略できない理由のひとつとなっている。
また、ほぼこの構成に《税血の収穫者》と《鏡割りの寓話》を足しただけの「ラクドス・ミッドレンジ」も合わせると、約25%で「グリクシス・ミッドレンジ」を抜いて実質的な最大勢力となる。すなわち誰もが意識すべき相手であると同時に、今からスタンダードを始めるなら、新環境の出発点としては申し分ないデッキだ。
ジャンド・ミッドレンジ
3 《沼》 3 《山》 1 《森》 2 《ジアトラの試練場》 4 《土建組一家の監督所》 4 《硫黄泉》 3 《死天狗茸の林間地》 3 《落石の谷間》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 1 《耐え抜くもの、母聖樹》 -土地(26)- 4 《税血の収穫者》 2 《土建組一家の調達者》 3 《茨橋の追跡者》 3 《ウィンドグレイスの魂》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 3 《産業のタイタン》 -クリーチャー(16)- |
3 《電圧のうねり》 3 《冥府の掌握》 4 《鏡割りの寓話》 1 《土建組一家の魔除け》 3 《ギックスの残虐》 1 《食肉鉤虐殺事件》 3 《勢団の銀行破り》 -呪文(18)- |
1 《茨橋の追跡者》 2 《切り崩し》 2 《強迫》 2 《窃取》 1 《冥府の掌握》 1 《魂転移》 2 《豪火を放て》 2 《食肉鉤虐殺事件》 2 《未認可霊柩車》 -サイドボード(15)- |
昨年末のRed Bull Untapped 2021 日本大会の優勝者である手塚も選択した「ジャンド・ミッドレンジ」は、最強色である黒と《鏡割りの寓話》の赤に《産業のタイタン》の緑を混ぜ込み、黒系の同型対決における消耗戦をカードパワーで制することに主眼を置いた構築となっている。
新カードである《ウィンドグレイスの魂》はマナ加速面で利確要素があり、《土建組一家の監督所》と組み合わさると継続的なライブラリー圧縮にもなる。
また、《ギックスの残虐》はこれ自体ミッドレンジにおいて有用な「英雄譚」でありつつ、いざという時には「先読」を生かして《鏡割りの寓話》で捨てた《産業のタイタン》を墓地から釣り上げるコンボパーツにもなる。
黒系の中ではリソース交換の先を見据えた比較的後ろ向きなコンセプトだが、ライフ・手札・墓地とあらゆるリソース管理の能力が問われ、土地1枚をセットするかどうかまで悩めそうという点で、いわゆる「マジックしてる感」は一番強く感じられるデッキかもしれない。
エスパー・ミッドレンジ
1 《平地》 1 《島》 1 《沼》 4 《ラフィーンの塔》 2 《さびれた浜》 2 《アダーカー荒原》 3 《砕かれた聖域》 4 《コイロスの洞窟》 4 《難破船の湿地》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《天上都市、大田原》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 -土地(25)- 2 《進化した潜伏工作員》 2 《毅然たる援軍》 1 《しつこい負け犬》 4 《策謀の予見者、ラフィーン》 2 《セラの模範》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 4 《夜明けの空、猗旺》 -クリーチャー(16)- |
2 《切り崩し》 1 《呪文貫き》 2 《冥府の掌握》 2 《かき消し》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《勢団の銀行破り》 3 《婚礼の発表》 1 《食肉鉤虐殺事件》 1 《漆月魁渡》 2 《ヴェールのリリアナ》 3 《放浪皇》 -呪文(19)- |
2 《心悪しき隠遁者》 2 《魅せられた花婿、エドガー》 3 《強迫》 1 《切り崩し》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《魂転移》 1 《婚礼の発表》 1 《食肉鉤虐殺事件》 2 《未認可霊柩車》 1 《勢団の銀行破り》 -サイドボード(15)- |
The Finals 2018王者は、こちらも「グリクシス・ミッドレンジ」と同様に新カードは少なめでローテーション前からの基盤を生かした「エスパー・ミッドレンジ」で予選ラウンド全勝を達成した。
《セラの模範》は3/3サイズを止められるタフネスがありつつ「スノーボール・エフェクト」(積み重ね効果)で対戦相手に対処を迫れる1枚であり、除去と交換するだけになってしまわないようにするためには6~7マナ圏での運用が主になるため4枚採用は難しいものの、「護法」で相手のテンポを崩せる《策謀の予見者、ラフィーン》との組み合わせは嫌らしいことこの上ない。
また、こちらは新カードというわけではないが、《消失の詩句》の退場によって注目されるようになった《夜明けの空、猗旺》は、黒系のデッキにとってはかなり対処しづらいクリーチャーとなっており、今後もさらに活躍の場を広げていきそうなカードである。
赤単アグロ
20 《山》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 -土地(21)- 4 《ファルケンラスの闘技士》 4 《血に飢えた敵対者》 4 《炎の媒介者》 4 《ラーダの扇動者》 3 《本能を穢すもの》 -クリーチャー(19)- |
4 《熊野と渇苛斬の対峙》 4 《火遊び》 4 《稲妻の一撃》 4 《勝負服纏い、チャンドラ》 -呪文(16)- |
1 《山》 4 《削剥》 4 《引き裂く炎》 2 《未認可霊柩車》 4 《焦熱の交渉人、ヤヤ》 -サイドボード(15)- |
《稲妻の一撃》がスタンダードに帰ってきたことで、「赤単」も黒に対抗する勢力として存在はしている。
1マナ域の弱さはどうにも否めないが、《熊野と渇苛斬の対峙》から《ラーダの扇動者》につながると《しつこい負け犬》すらもブロック不可にしながら大ダメージを叩きこめる。《本能を穢すもの》も強力な新カードだ。
とはいえ、それでもやはり《黙示録、シェオルドレッド》が課題となっている感は否めない。採用枚数が多くなりがちな「黒単/ラクドスミッドレンジ」の趨勢が、これからの活躍のカギを握りそうだ。
トップ64 メタゲーム・ブレイクダウン
そして初日の9回戦が終わり、687名が64名にまで絞られた結果は以下のようになった。
デッキ名 | 使用者数 | 2日目進出率 |
---|---|---|
黒単ミッドレンジ | 14 | 13.0% |
エスパー・ミッドレンジ | 13 | 24.1% |
グリクシス・ミッドレンジ | 11 | 9.0% |
ジャンド・ミッドレンジ | 7 | 10.8% |
ラクドス・ミッドレンジ | 6 | 9.0% |
マルドゥ・ミッドレンジ | 3 | 12.5% |
オルゾフ・ミッドレンジ | 3 | 8.1% |
ボロス・ミッドレンジ | 2 | 50.0% |
イゼット・テンポ | 1 | 100.0% |
セレズニア・エンチャント | 1 | 16.7% |
ゴルガリ・ミッドレンジ | 1 | 14.3% |
グリクシス・コントロール | 1 | 10.0% |
赤単アグロ | 1 | 8.3% |
合計 | 64 | 9.3% |
上位メタの中では「エスパー・ミッドレンジ」がかなり好成績を収めている印象だが、「イゼット・テンポ」や「セレズニア・エンチャント」など気になるローグの姿もある。
はたして、優勝を掴むのはどのアーキタイプとなるのか。戦いの模様は、各対戦カバレージでご覧いただきたい。
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