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マジック:ザ・ギャザリング ジャパンオープン2022
トップ32決めマッチ:手塚 陽 vs. 吉田 宏起 ~今北産業!~
687人いた参加者も64人にまで絞られ、ここからはたった1回のマッチ敗北も許されないシングルエリミネーション・トーナメントとなる。
このトップ64にまで勝ち残っているという時点で、6勝3敗ラインでもオポネント上位10名しか通過できなかったほどの過酷な初日を突破した、強者の中の強者であることは疑いようもない。
そしてそんな強者たちの中からフィーチャーマッチに選ばれたのは、昨年末にMTGアリーナ上で開催された同様の形式の大会であるRed Bull Untapped 2021 日本大会で優勝した手塚 陽。デッキはメタゲーム・ブレイクダウンでも紹介した「ジャンド・ミッドレンジ」だ。
対する吉田もミシックチャンピオンシップⅣに出場した経験のある古参プレイヤー。デッキは今大会の実質トップメタ、「黒単ミッドレンジ」を使用している。
ミッドレンジ環境は、特にプレイヤーの腕が問われる。どの手札をどんな順番で展開し、どの除去を相手のどのリソースと交換するか……そのすべての判断が勝因になりえると同時に、はたまた一歩間違えれば敗着となる。
優勝までは6連勝縛りという過酷な道のり。タイトロープを渡りきるのは、はたしてどちらか。
ゲーム1
ダブルマリガンの憂き目にあった手塚の初動が3ターン目《勢団の銀行破り》だったのに対し、吉田は2ターン目《勢団の銀行破り》から3ターン目に《墓地の侵入者》を展開して「搭乗」4点アタックで攻め立てる。
4枚目の土地が引けていない手塚は《茨橋の追跡者》を立てるが、なおも吉田は4枚目の土地をセットするとまずは再び「搭乗」アタック、手塚がこれをスルーして4点のライフを削り、第2メインには2枚目の《勢団の銀行破り》を展開する。
土地が引けない手塚は《茨橋の追跡者》で攻撃後に《土建組一家の調達者》を出すが、吉田はみたび《勢団の銀行破り》で攻撃し、これは手塚の《勢団の銀行破り》と相打ちになるも、戦闘後に《不笑のソリン》の[-2]能力で2/3飛行の吸血鬼・トークンを出して攻めの姿勢を継続する。
返す手塚も《茨橋の追跡者》と《土建組一家の調達者》の2体アタックで《不笑のソリン》を即座に落とし、《税血の収穫者》を出すのだが、ターンが回ってきた吉田は《魂転移》で《茨橋の追跡者》を破壊すると、「搭乗」した《勢団の銀行破り》と吸血鬼・トークンで6点アタック、手塚のライフを残り5点まで追い詰める。手塚はターンエンド前に血・トークンを起動するが、ドローは《産業のタイタン》で土地が詰まっている現状に全くかみ合っていない。
それでも通常ドローでようやく4枚目の土地をトップデッキして、《ウィンドグレイスの魂》を立てるのだが、戻したかった墓地の《土建組一家の監督所》は最序盤の《墓地の侵入者》によって追放されてしまっており、戦場に出たときの能力が発動できない。さらに唯一の赤マナ源が《硫黄泉》だったことで、残りライフはすでに4点。
そして吉田の《勢団の銀行破り》と吸血鬼・トークンによる攻撃に対し、手塚が《ウィンドグレイスの魂》を相打ちに差し出しつつ残りライフ2点とした戦闘後に2枚目の《不笑のソリン》が[-2]能力でもう1体の吸血鬼・トークンを生成すると、対処手段のない手塚は投了に追い込まれてしまった。
手塚 1-0 吉田
ゲーム2
2ターン目《勢団の銀行破り》から3ターン目能力起動とゆっくりとした立ち上がりの手塚とは対照的に、吉田は1ターン目《進化した潜伏工作員》→2ターン目《しつこい負け犬》→3ターン目《墓地の侵入者》というロケットスタートで攻め立てる。
返す手塚は特に能力発動のない《ウィンドグレイスの魂》を立てるが、なおも吉田はこれに《ヴェールのリリアナ》の[-2]能力を合わせる。手塚は《勢団の銀行破り》に「搭乗」だけして《ウィンドグレイスの魂》を生け贄に捧げ、このターンの大ダメージだけは防ぐ。
それでも、5ターン目を迎えても手塚のアクションは土地を置いてブロッカーとして《土建組一家の調達者》を出すのみ。一方、これを好機と見た吉田はフルアタックし、手塚が除去のリスクをケアして《勢団の銀行破り》には「搭乗」せずに《墓地の侵入者》との相打ちを選択した結果、《進化した潜伏工作員》が3/3接死となって6点が通り、手塚のライフは残り8点。
さらに吉田は戦闘後に《ヴェールのリリアナ》[+1]から《しつこい負け犬》までをも送り出し、ゲームの主導権は完全に吉田の側にあると思われた。
だが、先ほど《土建組一家の調達者》のブロックで宝物・トークンを生んでおいたのは手塚の布石だった。返す6ターン目、マナジャンプした先のアクションは《産業のタイタン》!
4/4のサイ・戦士・トークンを出しながら5点ゲインし、さらに《勢団の銀行破り》への「搭乗」アタックで《ヴェールのリリアナ》に攻撃。これには吉田もたまらず《しつこい負け犬》でチャンプブロックするしかない。
それでも吉田は《ヴェールのリリアナ》[-2]能力をまずは起動し、手塚がタップ状態の《産業のタイタン》を生け贄に捧げたところで、なおもサイ・戦士・トークンも《冥府の掌握》で処理し、視界が開けたところに《進化した潜伏工作員》を4/4にまで育てつつ《しつこい負け犬》との7点アタックで手塚のライフを再び残り6点まで追い詰める。
しかし、返す手塚のアクションは《ギックスの残虐》!「先読」によるⅢ章で《産業のタイタン》が墓地から舞い戻り、再びのサイ・戦士・トークン生成と5点ゲインで戦況を保ちにいく。
吉田もさらなる《冥府の掌握》で《産業のタイタン》を処理しつつ5/5になれる状態の《進化した潜伏工作員》で攻撃するが、手塚は《勢団の銀行破り》で操縦士・トークンを生み出してサイ・戦士・トークンとダブルブロック。これには吉田も接死に任せて能力起動はせず、代わりに《しつこい負け犬》を出してターンエンド。
それでも、ここにきて手塚もさすがにリソースが尽きかけていた。アクションは《鏡割りの寓話》のみで、返す吉田はここぞとばかりに《しつこい負け犬》を墓地から「奇襲」して《しつこい負け犬》3体で攻撃。6点が通って手塚のライフは残り5点。
こうなると手塚の頼みの綱は《鏡割りの寓話》のⅡ章。土地2枚を捨てて手札をリフレッシュするが、アクションはさらなる《鏡割りの寓話》のみ。手塚も必死だ。
これを見て吉田は《ヴェールのリリアナ》を出して[-2]でゴブリン・トークンを処理しつつ《しつこい負け犬》1体で攻撃。だが《豪火を放て》が飛び、ついに吉田の盤面からクロックが消失する。《勢団の銀行破り》を出すが、2枚の《鏡割りの寓話》が盤面を制圧するまで時間がない。
そして手塚が《税血の収穫者》を出しつつ《反逆のるつぼ、霜剣山》の「魂力」で《ヴェールのリリアナ》を処理しながら《しつこい負け犬》へのチャンプブロッカーも用意すると、いよいよ吉田も打つ手がない。
《墓地の侵入者》を出しつつ《勢団の銀行破り》に「搭乗」しての攻撃は手塚の《勢団の銀行破り》と相打ちになり、変身したばかりの《キキジキの鏡像》だけはどうにか《魂転移》するが、すでに手札は0枚。
返すターン、手塚の2枚目の《鏡割りの寓話》が《キキジキの鏡像》へと変身しつつ《ウィンドグレイスの魂》までもが定着し、なおも3枚目の《鏡割りの寓話》が着地する。切り返しの5点アタックで、吉田のライフも気づけば残り10点。
ここで吉田も《冥府の掌握》をトップデッキして、ちょうど《しつこい負け犬》が「奇襲」で走る6マナもあるのだが、《ウィンドグレイスの魂》を除去して《墓地の侵入者》の攻撃時に1点ドレインしたとしても、どうやっても手塚を倒しきれずに逆に返しでライフを削りきられてしまうことが確定している盤面だ。
やがて吉田が放った「グッドゲーム」のエモートが、長かった2ゲーム目についに決着をもたらしたのだった。
手塚 1-1 吉田
ゲーム3
マリガンながらも《しつこい負け犬》スタートの吉田に対し、手塚は《土建組一家の調達者》。盤面を止めながら宝物・トークンを出せる動きが良い牽制となっている。
迂闊に突っ込めない吉田はセットランドのみでターンエンド。対し手塚は3点アタックから《茨橋の追跡者》を召喚。これは吉田が「調査」に対応して《切り崩し》で除去し、お返しの3点アタックの後に《黙示録、シェオルドレッド》を送り出す!
これに対し、黒マナの出る土地を引けていない手塚はさらに2体目の《土建組一家の調達者》を立たせてターンエンド。吉田はこの隙に攻めたいところだが、戦線に追加したのは《勢団の銀行破り》。
一方、手塚はターンエンド前に手掛かり・トークンを起動。そして《黙示録、シェオルドレッド》にライフを11点まで蝕まれつつも、ついに待望の黒マナ源である《硫黄泉》にたどり着く。
はたして黒マナを手に入れた手塚のアクションは、《豪火を放て》で《黙示録、シェオルドレッド》と《勢団の銀行破り》を一度に処理というビッグプレイ!
対し、マナフラッド気味の吉田はそれでも返しに《不笑のソリン》を送り出すが、《土建組一家の調達者》が《不笑のソリン》へと攻撃しにきたのをブロックせざるを得ず、宝物・トークンの生成を許してしまう。
そしてその宝物・トークンにおかげで、手塚の《産業のタイタン》が突如として着地する!!
盾カウンターとサイ・戦士・トークン生成が選択されると、なおも土地ドローが続く吉田に解答がない。《不笑のソリン》の[+1]も土地で、7マナを立ててターンエンドするしかない。
さらに吉田は唯一のブロッカーだった吸血鬼・トークンも《冥府の掌握》で除去されてしまうと、《不笑のソリン》を落としながらの痛烈な本体11点アタックをもろに食らっただけでなく、《茨橋の追跡者》までもが戦線に追加されてしまう。
《見捨てられたぬかるみ、竹沼》で《黙示録、シェオルドレッド》を拾ってみるものの、どうやっても押し切られてしまうことは明らか。
かくして、とても三行にはまとめられないほどの濃厚な応酬の果てに、手塚がマッチの勝利をもぎ取ったのだった。
手塚 2-1 吉田
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