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イニストラード・チャンピオンシップ

観戦記事

イニストラード・チャンピオンシップ トップ8ラウンド ハイライト

Corbin Hosler

2021年12月5日

 

(編訳注:埋め込み動画は英語実況のものです。)

 参加者252名で始まった「イニストラード・チャンピオンシップ」もいよいよ3日目、最後に残った8名による戦いが幕を開ける。優勝トロフィーを懸けた最後の舞台に上がるのは、ヒストリックとスタンダードの2フォーマットで15回戦にわたる厳しい戦いを勝ち抜いてきた8名だ。

 この決勝ラウンドには多くのものが懸かっている。現世界王者の高橋 優太を除く7名は、今大会の王者の称号に加えて、今シーズンの最後に待ち受ける「第28回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」の席を懸けて戦うのだ。ダブルエリミネーション形式で行われる決勝ラウンドで1マッチ勝てば、世界選手権への扉が開く。ゆえにその1勝が、これまで以上に大事なものになっている。

 決勝ラウンドを戦う8名は以下の通りだ。

  • 予選1位:クリスティアン・ハウク/Christian Hauck(イゼット・フェニックス)
  • 予選2位:斉藤 徹(ゴルガリ・フード)
  • 予選3位:市川 ユウキ(ゴルガリ・フード)
  • 予選4位:ザカリー・キューネ/Zachary Kiihne (イゼット・フェニックス)
  • 予選5位:サイモン・ゴーツェン/Simon Görtzen(イゼット・フェニックス)
  • 予選6位:高橋 優太(イゼット・フェニックス)
  • 予選7位:熊谷 陸(ゴルガリ・フード)
  • 予選8位:赤池 庸(ジェスカイ独創力)
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サイモン・ゴーツェン(左写真)、市川 ユウキ(右写真)
 

 最終的に、「プロツアー・サンディエゴ2010」王者のサイモン・ゴーツェンが勝者側ブラケットを突き進み、日本の市川 ユウキを王者決定戦の舞台で迎えることになった。だがそこへ至るまでの道は、決して平坦なものではなかった。

世界選手権への道

 王者決定戦の舞台を整える前に、まずは「第28回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」の席を争う大事な戦いがあった。

 決勝ラウンドはダブルエリミネーション形式で行われ、少なくとも1マッチ勝利した6名は、次回の世界選手権への切符を手にする。「第27回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」から連続で決勝ラウンドの舞台に上がった高橋 優太は、すでに次回の世界選手権への参加権利を有しているため、彼がここで勝った場合は裁量枠が1つ作られる。

 ブラケット上位は日本人対決の様相になった。日本勢が組み上げた「ゴルガリ・フード」はイニストラード・チャンピオンシップで猛威を振るい、多くのプレイヤーがトップ8に進出したのだ。スタンダードでも練り込まれた「イゼット天啓」を使い勝利を重ねた今大会における日本チームは、プロツアーの歴史を見ても他に類を見ない活躍を見せ、日曜日の舞台に4人を送り出したのだった。

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赤池 庸(左写真)、クリスティアン・ハウク(右写真)
 

 だが準々決勝第1試合で輝きを見せたのは、もう1人の日本人プレイヤー、赤池 庸が操る「ジェスカイ独創力」だった。赤池は予選1位通過のクリスティアン・ハウクが操る「セレズニア人間」を圧倒し、ヒストリックの幅広さを見せつけた。

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サイモン・ゴーツェン(左写真)、ザカリー・キューネ(右写真)
 

 続いて、サイモン・ゴーツェンとザカリー・キューネによる、こちらもトップ8に複数のプレイヤーを送り込んだ「イゼット・フェニックス」デッキ同士の対決。呪文が飛び交うこの同系戦を制したゴーツェンは、勝者側ブラケットを埋め尽くす日本人プレイヤーたちとの戦いに突入する。

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高橋 優太(左写真)、市川 ユウキ(右写真)
 

 唯一決勝ラウンドが始まる前から世界選手権への参加権利を持っていた高橋 優太だったが、彼の「イゼット・フェニックス」は市川 ユウキを相手にまさかの2連敗を喫した。これで3人目の世界選手権出場選手が決まった。

 

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熊谷 陸(左写真)、斉藤 徹(右写真)
 

 準々決勝を締めくくるのは、熊谷 陸と斉藤 徹による終わりの見えない「ゴルガリ・フード」同系戦だった。その長さは、ゲーム内のタイマー管理が重要になるほどだ。呪文を駆使するイゼット系デッキを消耗戦で破るべく組み上げられたこのデッキは、自身との同系戦が泥沼化しやすい傾向にあった。この斉藤と熊谷の戦いを皮切りに、「猫オーブン」同士の長期戦は今大会の決勝ラウンドを通して1つのテーマになった。

 チームメイト同士の対決は、ゲームを決定づけるエンジン、すなわち《パンくずの道標》と《大釜の使い魔》、《魔女のかまど》、《夢の巣のルールス》を揃えることを目指す両者によって、盤面の取り合いが繰り広げられた。

 そして最後には熊谷がこれを制し、「第28回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権」の席を確保したのだった。

 

 4つの試合を終え、次は今大会の王者決定戦の舞台に立つ者を決める戦いが始まった。勝者側ブラケット準決勝では再び「ゴルガリ・フード」の同系戦が行われ、熊谷はチームメイトの市川を下し勝者側ブラケット決勝へ進出。もう1つの準決勝で赤池の「ジェスカイ独創力」を破ったサイモン・ゴーツェンと対峙する。

 ゴーツェンはそれまで、トップ8のうち3つを占める「ゴルガリ・フード」との対戦を回避していたが、王者決定戦の席を懸けた勝者側ブラケット決勝の舞台でついに、フードの王たる熊谷を相手に腕試しの機会が訪れた。

 ゴーツェンはフード・デッキとの相性について、自分のデッキを倒すのに最適なデッキだと素直に認めた。しかしかつてプロツアーを制した者が操る「イゼット・フェニックス」は別物だ。今大会のヒストリック部門で最高の結果を出した2つのデッキによる対決で、ゴーツェンは勝利を引き寄せた。接戦を制したゴーツェンが、王者決定戦の舞台に一番乗りを決めたのだった。

 

敗者側ブラケット

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 勝者側ブラケットが決着した今、次に目を向けるべきは敗者側ブラケットで始まる世界選手権への参加権利を懸けた戦いだ。キューネの「イゼット・フェニックス」対ハウクの「セレズニア人間」と、現世界王者高橋の「イゼット・フェニックス」対斉藤の「ゴルガリ・フード」に注目が集まる。

 今大会最後の1人になるまで無敗を貫いたハウクは、ヒストリック1番人気の「セレズニア人間」の力を見せつけた。

 

 しかし勝利には手が届かず。予選ラウンドを力強く進んできたハウクだが、決勝ラウンド序盤で無念の敗退となった。一方のキューネはマジックの競技の舞台でついに躍進を果たす大きな一歩を踏み出し、世界選手権でさらなる高みを目指すチャンスを手にしたのだった。

 

 もう1つの試合では高橋がまたも2連敗を喫することになったが、すでに世界選手権への出場は決まっていることと、プレミア・イベント2連続上位入賞で敗北の痛みは多少は和らいでいるだろうか。

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 斉藤の勝利により、今大会で授与される世界選手権の6つの席は埋まった。残るは、ゴーツェンが待つ王者決定戦の舞台に上がる者を決める戦いだ。

 決戦の火蓋を切ったのは、市川の「ゴルガリ・フード」とキューネの「イゼット・フェニックス」だった。今大会を通して見られた光景だが、練り上げられた「ゴルガリ・フード」は《弧光のフェニックス》の理不尽な動きにも対応できた。市川は2連勝でキューネを下したのだった。

 もう1人のゴルガリ使いである斉藤は、赤池がこの週末を通して結果を出してきた《不屈の独創力》デッキに挑んだ。

 一進一退の勝負の先には、「イニストラード・チャンピオンシップ」を象徴する光景が広がった――戦場には《大釜の使い魔》や《パンくずの道標》とともに、《魔女のかまど》が4枚並んだのだ。大量の誘発が解決され、斉藤が赤池との勝負を制した。

 

 敗者側ブラケットも決着に向かって加速する。「フード」で始まった戦いは「フード」で終わった。決戦で相まみえる市川と斉藤――チームメイトとしてデッキを共有し、ともに世界選手権への切符を掴んだ両名は、あと少しで優勝を手にする位置まで来ていた。

 勝者は1人だけ。そして61/61の《貪欲なるリス》を持つ側が勝者に「なれなかった」!

 

 3ゲームにわたり大量の誘発が飛び交う一進一退の長期戦を経て、この同系戦の勝者となったのは、市川だった。

 その報酬は? もう1人のチームメイト熊谷との、王者決定戦進出を懸けた同系戦だ。

 

 両者による1回目の戦いでは熊谷が市川を圧倒したが、より大事な2回目を市川が制した。試合は市川の2連勝で比較的早く決着し、こうして王者決定戦の舞台が整った。それは奇しくも、この週末を定義した2つのデッキによる決戦となった。

 「イゼット・フェニックス」vs.「ゴルガリ・フード」。果たして、「イゼット・フェニックス」を操るサイモン・ゴーツェンがタイトルを手にするのか? それとも市川 ユウキの手によって、「ゴルガリ・フード」が日本の圧倒的活躍を最高の結果で締めくくるのか?

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