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グランプリ・東京2016
第15回戦:瀧村 和幸(神奈川) vs. 清水 俊樹(山梨)
By 矢吹 哲也
予選ラウンド最終戦、トップ8入賞プレイヤーを決するときが来た。
これまでの戦いで1敗を守り通したプレイヤーは5人。そのうち4人はID(合意の上の引き分け)を選択し、トップ8入賞を確定させた。つまり、残る枠は4つ。それを2敗ラインまでで踏み留まっているプレイヤーたちで争うことになる。
プロツアー『戦乱のゼンディカー』王者、瀧村 和幸も、そのうちのひとりとして最後の戦いにやって来た。「ほとんど無理かな、奇跡的な確率」とトップ8入賞への見通しは厳しいことを認める彼だが、「黒緑サクリファイス」に白をタッチし《変位エルドラージ》と《血統の観察者》のコンボを加えたデッキを手に、最後まで戦うことを選んだ。
その対戦相手となる清水 俊樹は「オポネント見てないです。どちらにしてもやるしかないんで」と戦意を滾らせた。長年にわたりマジックを楽しむベテランは、プロツアー王者を前にしても気圧されず、ひと筋の光明にすべてを懸け、「白緑トークン」を駆る。
瀧村 vs. 清水。長い戦いに疲労はあるが、希望がある限り気力を振り絞り戦いを続ける。 |
瀧村 和幸(アブザン・サクリファイス) vs. 清水 俊樹(白緑トークン)
瀧村が1ターン目《壌土のドライアド》から2ターン目《謎の石の儀式》と繋ぎ、さらに《壌土のドライアド》を追加。2ターン目にして莫大なマナ加速を実現したものの、清水は即《石の宣告》で対応し、その後の動きを許さない。
これでクリーチャーを失った瀧村は一転、《謎の石の儀式》による恩恵を受けられず、色マナに困る展開に。その後2ターンにわたり動くことができず、その間に清水は《搭載歩行機械》を2体展開しそれぞれを強化していく。
清水の盤面へさらに《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が加わると、瀧村に残された時間は大きく縮まった。2体の《搭載歩行機械》による攻撃を受け、残りライフは9点。
清水のターン終了時に放った《集合した中隊》は《エルフの幻想家》と《ズーラポートの殺し屋》を瀧村に与えたが、《変位エルドラージ》を加えてターンを渡した瀧村に対し清水は《大天使アヴァシン》を降臨させ、《変位エルドラージ》も《石の宣告》で対処すると、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を含めた全軍で一斉攻撃に向かった。
痛烈なダメージを前に熟考した瀧村は、ブロック指定前に《集合した中隊》。だが《ナントゥーコの鞘虫》を2枚得たものの、残りライフ1点でこらえるのが精一杯だった。ターンをもらうなり「負けました」とカードを片付けることになった。
清水が見据えるはトップ8へ続く扉のみだ。 |
2ゲーム目、ダブル・マリガンを喫した清水に対して瀧村は《壌土のドライアド》、《エルフの幻想家》、《ズーラポートの殺し屋》と軽快なスタートを切り、4ターン目には《集合した中隊》も放った......が、これは《壌土のドライアド》のみという寂しい結果に。
瀧村が繰り出した《変位エルドラージ》は《石の宣告》で対処したものの、清水は盤面の構築速度で遅れを取った。《ラムホルトの平和主義者》と《不屈の追跡者》のみの盤面で瀧村の展開を見守ることになる。
瀧村は《難題の予見者》で清水の手札を暴いた。彼の手に残る5枚は、《大天使アヴァシン》2枚、《搭載歩行機械》2枚、《ドロモカの命令》という強力なもの。瀧村は《ドロモカの命令》を抜き去り、《ナントゥーコの鞘虫》を戦線に加えた。
そのターンの終わりに《大天使アヴァシン》を繰り出した清水は、迎えたターンにドローするなり5枚の土地をタップした――トップ・デッキした《悲劇的な傲慢》が、立ち並んだ瀧村のクリーチャーを一掃する。
瀧村はそれに対応して素早く計算を行い、クリーチャーを生け贄に捧げ始めた。《ズーラポートの殺し屋》の能力が次々と誘発し、31対6と大きなライフ差をつける。
《悲劇的な傲慢》で残った《大天使アヴァシン》が「変身」したものの、清水は《変位エルドラージ》を追加した瀧村の盤面を前に、心許ない残りライフで攻勢には出られない。彼が《搭載歩行機械》と《不屈の追跡者》を加えて守りを固めたところに、瀧村は《集合した中隊》で《薄暮見の徴募兵》と《変位エルドラージ》を追加する。
瀧村は《変位エルドラージ》の能力で《搭載歩行機械》を排除すると、《浄化の天使、アヴァシン》も戦闘に参加できない状態にして攻撃。瀧村のエルドラージ軍団が、清水の残りライフを削り切った。
現状を冷静に見つめつつ、希望を捨てず奮闘する瀧村。 |
3ゲーム目、清水は再びのマリガンに見舞われ苦笑を漏らすが、2ターン目《搭載歩行機械》、3ターン目《不屈の追跡者》と順調なスタートを切った。
一方の瀧村も2ターン目《薄暮見の徴募兵》、3ターン目《地下墓地の選別者》とスムーズな動き。清水が4ターン目にノーアクションでターンを渡すと、瀧村の《薄暮見の徴募兵》が「変身」し、クリーチャー呪文を唱えるコストが減った。
瀧村は《エルフの幻想家》を展開したのちに《爪の群れの咆哮者》で攻撃。清水は《ドロモカの命令》で《搭載歩行機械》を格闘させてこれを相討ちに取る。
清水が飛行機械・トークンで攻撃しターンを渡したところに、瀧村は《集合した中隊》で《ナントゥーコの鞘虫》と《ズーラポートの殺し屋》を獲得。さらに2枚目の《ズーラポートの殺し屋》と《変位エルドラージ》を盤面に加えた彼は、勝ちパターンとなる盤面を築いていく。
だが清水も「それは許さない」とばかりに《石の宣告》を2枚続けて放ち、瀧村に《ズーラポートの殺し屋》と《変位エルドラージ》を《ナントゥーコの鞘虫》で生け贄に捧げることを迫り、退場させた。
瀧村は盤面を眺め、戦場を指で叩きながら計算を始める。「黒緑サクリファイス」系のデッキを使うプレイヤーに必須の《ナントゥーコの鞘虫》と《ズーラポートの殺し屋》を絡めたダメージ計算のすえに、彼は《ナントゥーコの鞘虫》1体で攻撃した。
清水も盤面を吟味し、計算する。残り18点ある自身のライフは、まだ一度に削り切られる状況ではない――そう判断した彼は、この攻撃を通した。
――「1/1トークン」
と、瀧村が宣言し手札から見せたカードは、《歪める嘆き》!
与えるダメージに3点の上乗せを成功した瀧村は、見事ワンショットで清水を仕留めたのだった。
瀧村 2-1 清水
激戦を制した瀧村は、大きく息を吐いた。あとは、祈るのみだ。
※この後、瀧村は惜しくもオポネント落ちとなった。際どい状況の中テキスト・フィーチャーを快く受け、見事な戦いを繰り広げた両者に改めて感謝したい。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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