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グランプリ・東京2016

観戦記事

準々決勝:Carlos Ballester(スペイン) vs. 齋藤 鷹也(新潟)

By Masashi Koyama

 わずか0.24%弱。

 今ここに残っている8名はその狭き門をくぐり抜け、さらにここから決勝ラウンドというふるいにかけられることとなる。

 齋藤鷹也はグランプリ・新潟2009以来、7年越しのグランプリトップ8入賞を決めた。あの時は叶わなかったグランプリ制覇の道が今もう一度目の前に開けている。ここからは白黒人間デッキを手に、頂点までの道を一歩一歩突き進むだけだ。

 そしてその反対側に座るのは、遠路はるばる情熱の国スペインからやってきたカルロス・バジェステル/Carlos Ballesterだ。齋藤と同じく2度目のグランプリトップ8入賞(1度目はグランプリ・セビリア2015)となる彼もまた、グランプリ制覇、そしてその先のプロプレイヤーという夢を追いかけている。

 スイスラウンド上位の齋藤が「Play first」と力強く宣言し、お互いに「Good luck」と声を掛け合い、さあプレイオフ開始だ。陽気なバジェステルに釣られるように、齋藤も少し笑みを浮かべながらマッチへと臨む。


バジェステル(写真左)と齋藤(写真右)は共に2度目のグランプリプレイオフへ挑む。
ゲーム1

 齋藤が渋い顔でダブルマリガンを宣言すると、バジェステルがハハッと笑いリシャッフルを始める。これには思わず齋藤、そしてギャラリーも笑い声をこぼす。

 1ゲーム目だというのに既に3度目の「Good luck」が飛び交い、新たに手にした5枚の吟味を始め、結局、ともに5枚からのスタートを決断する。

 齋藤は2枚の《乱脈な気孔》《スレイベンの検査官》というスタート。対するバジェステルは《ニッサの誓い》から《平地》を入手する。

 早々に殴り切りたい齋藤は《スレイベンの検査官》の片方に《グリフの加護》をエンチャントし、2点のクロックを刻み始めるが、バジェステルは3ターン目に《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》を叩きつけ、盤面の構築にとりかかる。

 だが、この《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》は《スレイベンの検査官》の攻撃で退けられ、さらに齋藤からは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が。

 バジェステルは《森の代言者》を追加し、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》に向けて攻撃する。一見、《ドロモカの命令》が匂うアタックだが、齋藤は《スレイベンの検査官》とトークンでブロック。バジェステルの手札から《ドロモカの命令》は......無し!

 これで勢いに乗った齋藤は《町のゴシップ屋》を追加し、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》の紋章を得て、《乱脈な気孔》を含め、マナがフルオープンのバジェステルに対し全軍で突撃する。ここには注文通り《大天使アヴァシン》が飛び出してくるが、バジェステルのライフを大きく削り、残りは7。そして続くターンに追加の《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》から2個目の紋章を手に入れ、4/5となった《スレイベンの検査官》で攻撃。

 ブロッカーを呼び出すことができないバジェステルに対し、《町のゴシップ屋》が変身し、《グリフの加護》までエンチャントされてしまう。バジェステルはドローしたカードをそのままライブラリーに戻し、サイドボードへと手を伸ばした。

バジェステル 0-1 齋藤


齋藤の攻勢にゲームを落としたバジェステル
ゲーム2

 バジェステルが《森の代言者》から《ラムホルトの平和主義者》、齋藤は2連続の《白蘭の騎士》で土地を伸ばし、一気に《サリアの副官》まで繋げ序盤から攻勢に出る。

 バジェステルは《石の宣告》で2体の《白蘭の騎士》を除去し、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》で紋章を得ると《森の代言者》と《ラムホルトの平和主義者》が齋藤に牙を剥く。《コイロスの洞窟》で3点のダメージを受けていた齋藤のライフは一気に10まで減少する。

 だが、齋藤は《苦渋の破棄》で《ラムホルトの平和主義者》を、《石の宣告》で《森の代言者》をそれぞれ追放し、《永遠の見守り》で手札を使い切りながら攻勢を緩めない。

 だが、ここまで土地が4枚で止まっていたバジェステルが《ニッサの誓い》で5枚目の土地を手に入れると、手札に眠っていた《大天使アヴァシン》たちが満を持して登場する。

 1枚目の《大天使アヴァシン》こそ齋藤のトップデッキした《苦渋の破棄》で葬り去られるが、自身のターンは土地を置いて......ターンエンド。

 これを見た齋藤は苦悩する。《大天使アヴァシン》がバジェステルの手札にある可能性は高いが、すり減った自身のライフは《大天使アヴァシン》の攻撃には耐えられない。

 しかし、齋藤が取り得る手段は、前へ突き進むのみだ。《乱脈な気孔》をクリーチャー化すると全軍でアタック。そして、ここには当然《大天使アヴァシン》が。

 齋藤は警戒を持つ《乱脈な気孔》からマナを生み出し、手掛かり・トークンで1枚ドロー。

 これで《石の宣告》を引き込むことができれば、手札の《平地》をセットして《大天使アヴァシン》を除去することができる。

 齋藤はライブラリートップを恐る恐る覗きこむ......が、《平地》を置くまでもなくゲームは3本目へ。

バジェステル 1-1 齋藤


齋藤は3ゲーム目へと向けて突き進む
ゲーム3

 3ゲーム目にして初めて悩むことなくキープを宣言した齋藤は、《町のゴシップ屋》から《ハンウィアーの民兵隊長》《永遠の見守り》と素晴らしい序盤の展開を見せる。

 《森の代言者》をコントロールするバジェステルは、これをスルーすると返すターンに《ドロモカの命令》で《永遠の見守り》と《ハンウィアーの民兵隊長》を一気に墓地に送り、齋藤の攻勢を捌いていく。

 齋藤は《スレイベンの検査官》を2体追加するが、ひとまず攻勢を緩めざるを得ない。バジェステルの《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》こそ《苦渋の破棄》で追いやるが、追加できるのは更なる《スレイベンの検査官》のみだ。

 手掛かり・トークンを順々に生け贄に捧げ、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を引き込んだ齋藤は横にこそ戦線は伸ばせるものの、バジェステルの《ラムホルトの平和主義者》《森の代言者》という防御網を突破することができない。

 そしてバジェステルは5マナに到達する。

 《大天使アヴァシン》をメインフェイズで召喚すると、仕上げは《搭載歩行機械》をX=0で。

 これで《大天使アヴァシン》が怒りを剥き出しにし《浄化の天使、アヴァシン》へとその姿を変えると、齋藤の人間たちを根絶やしにする。

機械を失った天使が人間へと怒りの矛先を向ける

 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》がこの凶暴な天使に落とされ、怒りを収める術を手に入れられなかった齋藤は、《浄化の天使、アヴァシン》の前にひれ伏す他なかったのだった。

バジェステル 2-1 齋藤

カルロス・バジェステルが準決勝進出!

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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