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グランプリ・東京2016
第13回戦:渡辺 雄也(東京) vs. 加藤 健介(東京)
By 宮川 貴浩
ともに1敗で第13回戦に臨むのは、日本が誇るトッププロの渡辺と、近年数々の強豪プレイヤーをマジックシーンに送り出している「チーム豚小屋」の実力者、加藤だ。
渡辺が操るのは、独自のチューンを施した《集合した中隊》入りのバント人間デッキ。一方の加藤は、この大舞台にグリクシス・コントロールを選択した。
勝利へのアプローチがまったく異なる2つのデッキのぶつかり合いは、見ごたえのあるものになるだろう。その完成度も、ここまでの成績が保証している。両者のプレイングとあわせて、細かいカード選択にも注目だ。
ゲーム1
《スレイベンの検査官》、《ラムホルトの平和主義者》と上々の立ち上がりを見せる渡辺に対し、加藤は《コラガンの命令》で応じる。2点火力のモードで《スレイベンの検査官》が除去され、ディスカードのモードでもう1枚の《スレイベンの検査官》も墓地に送られた。
戦場に残った渡辺の《ラムホルトの平和主義者》は《ラムホルトの解体者》に変身。加藤はこのアタックを受け、《精神背信》を唱えた。
あらわになった渡辺の手札は、《反射魔道士》、《オジュタイの命令》、《平地》、《ヤヴィマヤの沿岸》。この中から、加藤は《オジュタイの命令》を追放する。
攻勢に転じた加藤は、《ゲトの裏切り者、カリタス》を戦場に送り出す。渡辺は手掛かり・トークンでドローを進めながら《反射魔道士》で《ゲトの裏切り者、カリタス》を戻しつつ、アタックで加藤のライフを10とした。
《骨読み》、《コラガンの命令》、《ゴブリンの闇住まい》、《ゲトの裏切り者、カリタス》、《光輝の炎》と手札が充実している加藤は、《ゴブリンの闇住まい》で《精神背信》を使いまわすことを選択。
これで《不屈の追跡者》を抜かれると、渡辺の手札は土地だけに。いよいよリソースが尽きてきた。
常に丁寧かつ的確なプレイングで渡辺のカードに対処し、有利な場を築いていく加藤 |
渡辺はドローした《白蘭の騎士》を戦場に送り出すが、《ゲトの裏切り者、カリタス》が再び着地した後に《光輝の炎》を撃たれると、《スレイベンの検査官》、《白蘭の騎士》、《反射魔道士》が戦場を去り、加藤のもとにはゾンビ・トークンが3体もたらされる。
この盤面を覆す手段は、渡辺には残されていなかった。
渡辺 0-1 加藤
ゲーム2
渡辺は1ターン目《進化する未開地》から2ターン目に《スレイベンの検査官》、《大草原の川》と続き、ややゆったりした立ち上がり。サイドボーディング後はロングゲームになることを見据えているのかもしれない。
実際、渡辺の手札には《不屈の追跡者》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》と、アドバンテージの獲得に優れるカードが控えている。
一方の加藤も、《光輝の炎》、《破滅の道》、《闇の掌握》と、これを十分に受けられる手札をキープしていた。
序盤の攻防を二、三繰り広げただけで、 両者の頭の中には何ターンも先の光景が描かれていることだろう |
加藤は《ヴリンの神童、ジェイス》を戦場に送り出し、《不屈の追跡者》は《闇の掌握》、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》は《破滅の道》で即対処し、ゲームをコントロールしはじめる。
戦場に残った加藤の《ヴリンの神童、ジェイス》が加藤の手札の質を高めていき、ついに《束縛なきテレパス、ジェイス》へと変身すると、盤面は膠着状態に入った。
加藤の《ゲトの裏切り者、カリタス》は渡辺の《反射魔道士》が手札に返し、渡辺の《棲み家の防御者》は加藤が《ゴブリンの闇住まい》からの《闇の掌握》で除去する。互いに決定的な動きがないままターンは経過し、この間にも加藤の《束縛なきテレパス、ジェイス》の忠誠値が高まってゆく。
先に仕掛けたのは渡辺だった。《白蘭の騎士》に加えて《薄暮見の徴募兵》を戦場に送り出し、状況を打破しにかかる。これに、加藤は《コラガンの命令》の火力モードで《薄暮見の徴募兵》を除去、クリーチャー回収モードで捨てていた《龍王シルムガル》を回収、と対応した。
渡辺が2枚目の《薄暮見の徴募兵》を出すと、加藤はついに《光輝の炎》をキャスト。渡辺はしばらく考えた後、何もせずにこれを解決させた。
渡辺の選択は、余らせたマナでの《オジュタイの命令》のプレイ。《白蘭の騎士》の回収と1ドローのモードで巻き返しを図るが、これは加藤の構えていた《シルムガルの命令》に打ち消される。
渡辺は新たな戦力として《優雅な鷺、シガルダ》を送り出すが、加藤は《ゲトの裏切り者、カリタス》を出してから《束縛なきテレパス、ジェイス》で《破滅の道》を再利用。ゾンビ・トークンのおまけつきでこれを処理した。
今や、渡辺の戦場にあるのは土地のみ。対して加藤の戦場には《束縛なきテレパス、ジェイス》、《ゴブリンの闇住まい》、《ゲトの裏切り者、カリタス》、ゾンビ・トークンが並んでいる。渡辺にとって、状況は絶望的かと思われた。
だが、ここから渡辺はまだ粘りを見せる。まずは《不屈の追跡者》を出して即ドローを進めると、温存していた《ドロモカの命令》で《不屈の追跡者》と《ゲトの裏切り者、カリタス》を格闘させ、まずは加藤の《ゲトの裏切り者、カリタス》を倒すことに成功した。
どんなに複雑な状況になろうとも、渡辺が勝利への道筋を見失うことはない |
加藤は、すかさず2体目の《ゲトの裏切り者、カリタス》を展開。さらには《束縛なきテレパス、ジェイス》の能力で《コラガンの命令》を使い、《不屈の追跡者》を除去しつつ、《ゲトの裏切り者、カリタス》を回収する。
最後のクリーチャーとなった《スレイベンの検査官》に《焦熱の衝動》が撃たれると、渡辺は意を決して《集合した中隊》をキャスト。ここで駆け付けたのは......2枚の《サリアの副官》。《スレイベンの検査官》を《焦熱の衝動》から守りつつ、クリーチャーを人間に寄せた構成ならではの爆発力で、一気に3/4、3/3、3/3のクリーチャーが並んだ。
しかし、渡辺も知っているとおり、加藤の手札には《龍王シルムガル》がある。今大会の各所で活躍しているこのカードで《スレイベンの検査官》が奪われると、戦況は大きく加藤へと傾く。
渡辺の最後の望み、《棲み家の防御者》で回収していた《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》が加藤の《否認》に打ち消されると、粘りに粘った渡辺もついに力尽き、長いゲームにとうとう終止符が打たれた。
渡辺 0-2 加藤
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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