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EVENT COVERAGE
グランプリ・台北2016
第7回戦:鹿釜 秀康(埼玉) vs. 渡辺 雄也(東京)
By 矢吹 哲也
今大会、グランプリ・台北2016は、793人の全参加者のうち267人が日本人プレイヤーという、海外ライターも「GP Japan」と冗談を飛ばすほどの割合を日本人プレイヤーが占めた。
だから必然、いたるところで日本人同士の戦いが発生する。
今大会の第7回戦でフィーチャー・マッチを見せてくれるのは、鹿釜 秀康と渡辺 雄也だ。「普段遊んでいる仲間と都合が合わなくて」と、初めての海外グランプリにひとりで参戦した鹿釜は、「白赤人間」を率いて1敗を喫したのみでこの場へやって来た。ここで彼が体験するのは、このゲームの頂点のひとりである渡辺 雄也との戦い。しかも、もはや彼の代名詞となるほど手に馴染んだ「バント人間カンパニー」との対峙だ。
先日行われたワールド・マジック・カップ2016・大阪予選の直前という「みんなが最も喜ぶタイミング(渡辺談)」で、自身の手の内をすべてさらけ出すかのような詳細な記事を公開したことは記憶に新しい。彼はその後も自信作の研究を怠らず、今大会でも予想される環境に合わせた万全の調整を加えてきた。
まさに「鬼に金棒」状態の渡辺 雄也に鹿釜 秀康が挑む。大金星なるか? |
ゲーム展開
両者とも「マリガン」の声をかけあい、初期手札6枚でのスタートなった第1ゲーム。鹿釜は1ターン目《探検隊の特使》で早々に渡辺のライフを削ると、《スレイベンの検査官》、《町のゴシップ屋》と展開。渡辺も《薄暮見の徴募兵》、《ラムホルトの平和主義者》で盤面を固めたが、鹿釜の《サリアの副官》が彼の軍勢を強化する。
しかし渡辺も《スレイベンの検査官》と《サリアの副官》を繰り出し、盤面の優位を渡さない。両者とも地上戦力を十分に揃え、ここからは盤面の削り合いになる。
先に仕掛けたのは鹿釜。《扇動された民衆》2体での攻撃を繰り出し、渡辺のブロックに合わせて《扇動された民衆》の能力を起動。相討ちを狙った。しかし渡辺が《集合した中隊》を放つと、《反射魔道士》が鹿釜の狙いを阻む。
対する渡辺はじっくりと盤面を築いていった。こうなるとクリーチャーのサイズに劣る鹿釜の「白赤人間」は徐々に盤面を押される。《グリフの加護》によって空中からの攻め手も絡めた鹿釜だが、彼にとって予想の外にあった《大天使アヴァシン》を前にそのプランは崩された。
《不屈の追跡者》によるカード・アドバンテージも獲得し続けた渡辺に対し、鹿釜が「次いきましょう」と声をかけるまでに時間はかからなかった。
盤石の布陣を築き上げた渡辺。強者の風格。 |
2ゲーム目も鹿釜が1ターン目《探検隊の特使》から《スレイベンの検査官》、《サリアの副官》と展開し、序盤の攻勢を握る。渡辺の繰り出した《白蘭の騎士》にも《石の宣告》を当てて早くも渡辺のライフを危険域まで引きずり落とすと、4ターン目には《白蘭の騎士》から「怒濤」で《無謀な奇襲隊》、という暴風のごとき動きを見せた。
これには渡辺も苦笑を隠せず、《集合した中隊》でこの攻撃に耐えるすべを探しにいくが、肩をすくめてカードを片付けるしかなかった。
凄まじい攻勢で渡辺の反撃を許さない鹿釜。 |
3ゲーム目、再びマリガンを喫した鹿釜は1ターン目に《スレイベンの検査官》を繰り出したが、渡辺の2ターン目《薄暮見の徴募兵》に対してアクションを起こすことができず、「変身」を許した。このまま渡辺が攻勢を維持するかと思われたが、鹿釜が《白蘭の騎士》でそれを阻むと一転、土地にトラブルを抱え展開が滞った渡辺を後目に次々と人間を繰り出し、あっという間に盤面の優位を取った。
渡辺は《ドロモカの命令》で鹿釜の攻撃を2度にわたりしのぎ、耐えた――そしてついに放たれた《集合した中隊》。《反射魔道士》と《ラムホルトの平和主義者》が窮地を救う。
再び一転、今度は手札を使い切った鹿釜が苦しい。有利を奪われた盤面を《悲劇的な傲慢》でリセットしたものの、渡辺の手札には序盤に撃てなかった《集合した中隊》が複数枚残されていた。
難なく再展開に成功した渡辺は、鹿釜を攻め立てる。それをさらにひっくり返す手立ては、鹿釜に残されていなかった。
鹿釜 1-2 渡辺
試合後の感想戦にて、渡辺は《大天使アヴァシン》の採用について語る。
「(環境上位の)『白緑トークン』や『バント・カンパニー』、『白単人間』に対して《オジュタイの命令》が効きにくく、とりわけ『バント・カンパニー』と『白単人間』に強い《大天使アヴァシン》に変えてきました。以前までのリストは十分に知られているので、《集合した中隊》を構えていると思わせて繰り出すこともでき、奇襲的な効果も期待できるかなと」
グランプリ・静岡2015から大型トーナメントに出始めたという比較的経験の浅い鹿釜に、この試合渡辺はルール上の注意点やゲームの感想など積極的に声をかけ、鹿釜の緊張をほぐしていた。頂点を知った鹿釜は、「こういう場でプロの方と戦えるなんて、いい経験をさせていただきました」と笑顔でフィーチャー・マッチ・エリアを去っていくのだった。
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