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グランプリ・静岡2018(スタンダード)
デッキテク:棚橋 雅康の「一味違うゴルガリ・ミッドレンジ」
1960名が参加したグランプリ・静岡2018 (スタンダード) 。初日の8回戦を全勝で終えた13名の中に、その男の姿はあった。
プロツアー京都2009でのトップ8経験のほか、グランプリ・静岡2017春でのトップ4をはじめとして3度のグランプリトップ8経験を持つ、新潟の雄。
棚橋 雅康。
強いデッキをより強く使うことに定評のある棚橋が選択したのは、トップメタであるゴルガリ・ミッドレンジ。だがその75枚の中には、独特のチョイスが光るカードがいくつも搭載されていた。
はたして棚橋のカード選択はどのような理由に基づいて行われたのか。早速インタビューで明らかにしていこう。
−−「棚橋さんはこのゴルガリ・ミッドレンジというデッキをずっと使われているんでしょうか?」
棚橋「そうですね、このデッキは一緒にRPTQ (プロツアー地域予選) を抜けた小林 友哉くんと2人で調整したもので、プロツアー『ラヴニカのギルド』にも数枚違うだけのレシピで出場してました。ただそのときはメタゲームを読み違えて、あそこまで白ウィニーが隆盛するとは思っておらず、対策が不十分で成績はふるわなかったのですが、今回はきちんと対策をとっています」
−−「メインボードの時点でいくつか珍しいカードが目を引きますね。《探知の塔》と、これは……《地底王国のリッチ》ですか。……えーとこいつ、能力なんでしたっけ?(笑)」
棚橋「《探知の塔》は《殺戮の暴君》対策として最近ちょくちょく採用されていますね。僕の場合、土地を25枚にしてスペル枠として採用しています。《地底王国のリッチ》は、ドローの質を上げてくれる能力と、破壊不能になる能力を持っていますね」
−−「普通のゴルガリだと《破滅を囁くもの》とかが入っているスロットだと思いますが、どうしてあえて《地底王国のリッチ》なんでしょうか?」
棚橋「《破滅を囁くもの》だと、同型戦は《喪心》や《貪欲なチュパカブラ》《ビビアン・リード》に引っかかってしまってあまり強くないんですよね。その点《地底王国のリッチ》は《ヴラスカの侮辱》でしか対処できないという強みがあります。それにイゼット系のデッキに対しても、向こうの除去はダメージ系がほとんどなので破壊不能が突き刺さります。さらにドローが強くなるので、同型戦の肝である『重いカードを探しにいく』アクションがとれます。それにこのカード、ドローを置換するので《真夜中の死神》や《ゴルガリの女王、ヴラスカ》とも地味にシナジーがあったりするんですよ」
−−「おぉ、それはすごいですね。そんなに強いのなら、1枚と言わず2枚くらい入れてもいいのでは?」
棚橋「プロツアーのときは2枚入れていたのですが、このカード、白ウィニーに対しては本当に何もしないんですよね……それでもゴルガリとイゼットには強いので1枚は入れたいところですね」
−−「サイドボードにも、あまり見かけないカードが入っていますよね」
棚橋「《秘紋のアルマサウルス》と《原初の死、テジマク》ですね。この2枚は小林くんが『これ、強いですよ!』と言って勧めてくれたカードなんです」
−−「目の付け所がすごいですね」
棚橋「ただ、『そうなんだ』と思ってMagic Onlineで試してみたら確かに強かったので『強かったよ』と報告したら『ホントですか!?』と返ってきて、お前絶対試してないなぁ!?という一幕もありました(笑)」
−−「これらのカードはどういった役割でサイドボードに採用されているんでしょうか?」
棚橋「《秘紋のアルマサウルス》は対白ウィニー用で、見た目通りとにかく固いんですよね。《アダントの先兵》が止まる上に《溶岩コイル》でも死なないので。それにこのマッチアップはよく消耗戦になるんですが、《軍団の上陸》が変身した《一番砦、アダント》を起動しようとすると誘発するので、長期戦にも強いんですよ。あとはマニアックなところだと、《包囲攻撃の司令官》とか《進化する未開地》の起動でもカードが引けたりしますね」
−−「《原初の死、テジマク》の方はいかがでしょう?」
棚橋「こちらはゴルガリ同型用ですね。盤面にとにかく小粒なクリーチャーが並びますし、お互い手札のクリーチャーには干渉できないので、頃合いを見計らって『チラッ』とやって、こっちのタイミングで一方的に殲滅できるんです。《探知の塔》を引いていれば《殺戮の暴君》にもカウンターを乗せられますし、いざとなれば素出しして接死で止められるのも頼もしいですね」
−−「予測が付かないカードばかりで、対戦相手としてはやりづらいでしょうね」
棚橋「環境が後半になってくるとレシピが固まってくるので、そこであまり知られていないカードを出すと相手の計算を狂わせることができて、差が付けられるので良いんですよ」
−−「たとえばゴルガリ同型相手だと、どういったサイドボードをするんでしょうか?」
棚橋「基本的には《野茂み歩き》を減らして《最古再誕》と《原初の死、テジマク》を入れる感じですが、これはお互いに《野茂み歩き》を減らす前提のサイドボードで、もし相手が《野茂み歩き》を多く残しているようだったり、あるいは《僧帽地帯のドルイド》まで入っている形だったりすると、《煤の儀式》も入れたりしますね。とにかく、相手の形やサイドボーディングによると思います」
−−「ありがとうございました」
環境初期から多くのプレイヤーによって研究が進み、すでに行き着くところまで行き着いた感のあったゴルガリ・ミッドレンジ。しかしそれでも、細部にはまだなお工夫できる点が残っていた。
棚橋の手によって一味違う進化を遂げたこのデッキで、他のゴルガリ・プレイヤーと差を付けてみてもいいかもしれない。
8 《森》 5 《沼》 4 《草むした墓》 4 《森林の墓地》 2 《愚蒙の記念像》 1 《探知の塔》 1 《ゴルガリのギルド門》 -土地(25)- 4 《マーフォークの枝渡り》 4 《野茂み歩き》 2 《探求者の従者》 4 《翡翠光のレインジャー》 3 《真夜中の死神》 3 《貪欲なチュパカブラ》 1 《ゴルガリの拾売人》 1 《地底王国のリッチ》 2 《殺戮の暴君》 -クリーチャー(24)- |
2 《採取 // 最終》 3 《喪心》 3 《ヴラスカの侮辱》 1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》 2 《ビビアン・リード》 -呪文(11)- |
4 《強迫》 2 《貪る死肉あさり》 2 《黄金の死》 2 《打ち壊すブロントドン》 1 《秘紋のアルマサウルス》 1 《煤の儀式》 2 《最古再誕》 1 《原初の死、テジマク》 -サイドボード(15)- |
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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