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グランプリ・静岡2017秋
第12回戦:チーム 石村/三原/清水 vs. チーム 高須/檜垣/山岡
By Genki Moriyasu
「誰にでも弱点があるわ。」~《確実な一撃》フレイバーテキストより~
第12回戦は8勝3敗ラインより、チーム 石村/三原/清水 と チーム 高須/檜垣/山岡がフィーチャー席についた。
シールド・マスターこと石村信太朗、殿堂顕彰者にして「魔王」の二つ名を持つ三原槙仁、そしてシミックの王子・清水直樹。
一癖も二癖もある伝説のプレイヤーたちが結託してチーム・シールド戦に乗り込んできていた。
高須/檜垣/山岡チームでB卓に座る檜垣貴生も知る人ぞ知る広島の強豪プレイヤーだ。
今年の復活開催がすでに告知されている「The Finals」の2001年、2002年大会で「連続準優勝」という類を見ない経歴を持つ。
優勝まであと一歩の運が足りない......と称されたこともあるようだが、逆を言えばその実力は間違いなくプロ・クラスだ。
山岡宣行も広島勢としてRPTQ(プロツアー地域予選)突破などの戦績を持つ競技プレイヤーで、今回は高須勇介の3人ともども広島勢としての参加だ。
A卓 石村(白黒吸血鬼) vs. 高須(緑白赤恐竜) ゲーム1
C卓の山岡を除いて、5人がマリガンでゲームを始めるという事態となった。
三原が、唯一7枚をキープした山岡に対して「みんなでマリガンしようよ」と冗談を取り交わす。
初手6枚で始めた石村は、《司教の兵士》から《深海艦隊の船長》とスムースに動きだす。
対する高須が展開した《葉を食む鞭尾》は《弱者成敗》で破壊され、《帝国のエアロサウルス》も《崇高な阻止》で無力化される。
高須はパワー2のアタッカー2体にライフを急速に奪われてゆくが、崖っぷちのところで《貪欲な短剣歯》という好カードをドローし、展開した。
残りライフは2。2点のダメージを受け2点回復するので差し引きでライフは変わらない計算......に見えるが、激昂のライフ回復は絆魂と異なり誘発型能力であるため、一瞬ながら高須のライフは0となってしまった。
石村 1-0 高須
石村 信太朗 |
A卓 石村(白黒吸血鬼) vs. 高須(緑白赤恐竜) ゲーム2
石村2ターン目の《指名手配の獄道者》が《稲妻の一撃》で葬られる。
「それだけはいやだった」
石村の悲痛めいた声を受けながら、高須は2つの宝物を生け贄に、3ターン目に《輝くエアロサウルス》を召喚。《稲妻の一撃》にも耐えるボディの恐竜を展開して、高須が攻勢を取る。
高須 勇介 |
しかし石村の手札にあった呪文がそこに噛み合う形となった。土地を置いてからの《弱者成敗》が、《輝くエアロサウルス》を打ち倒す。
結果としてみれば、お互いにカードを1枚使って、お互いのクリーチャーを1体倒す、という普通の交換となった。
1対1交換を続けた後の展開は、石村に利があった。《軍団の飛び刃》を種に強襲し続け、《巧射艦隊の拷問者》《遺跡の略奪者》を展開する。ダメージソースと手札破壊を同時に連続して仕掛けた。そして《這い回る心止虫》を追加しての、横広がりの戦線だ。
大きく動けず、手札も盤面も空ながらマナだけは潤沢にあるという形となった高須。ここで何も引かなければライフがなくなるというシーンでのドローが、《恐竜との融和》。
「あ、ちょっとまずい気がする」 石村がこぼす。
そして《恐竜との融和》で見た5枚から探し出されたのは、《焼熱の太陽の化身》。
「フラグだったかあ」
数少ない、この戦況に応える1枚だ。
《這い回る心止虫》は焼き払い、《巧射艦隊の拷問者》を止める。《軍団の飛び刃》だけしか攻撃に参加できないようにした。わずか1点ばかりのクロックだ。
しかしそれは、すでにライフを2にまで落とし込んでいた高須には依然として致命的なクロックであった。
次なるドローで飛行対策が引けることを願ったが、かなわず。
石村 2-0 高須
B卓 三原(赤緑恐竜) vs 檜垣(赤青海賊) ゲーム1
三原の《葉を食む鞭尾》を、強襲している《風雲艦隊の空中要員》と《確実な一撃》の組み合わせで撃退した檜垣。
恐竜にサイズで劣る海賊は、こうした小回りの利くコンバット・トリックで大型に対抗していく戦法がとられやすいようだ。
しかし三原は5ターン目にして「技より力」と言わんばかりの大振りな展開。
戦場に一瞬で追加された7点のダメージソースは、速やかにゲームを終わらせた。
三原 1-0 檜垣
三原 槙仁 |
B卓 三原(赤緑恐竜) vs. 檜垣(赤青海賊) ゲーム2
三原が、《開花のドライアド》から4ターン目《レギサウルスの頭目》へ繋げる最大のぶん回りロケットスタート。このまま再び一瞬にしてゲームが決まるのか。
それほど圧倒的にして暴力的なムーブであったが、檜垣はあきらめなかった。
《勇敢な妨害工作員》から《風雲艦隊のスパイ》と続け、《反復連射》で恐竜・トークンを打ち落とす。
《風を跨ぐ者》も追加して、《レギサウルスの頭目》を戦闘で打ち取ると、三原のエンジンは完全にガス欠の様子だ。
三原の《開花のドライアド》と《葉を食む鞭尾》では横に並んだ海賊たちを押しとめきれず、逆転を許す形となった。
三原 1-1 檜垣
檜垣 貴生 |
C卓 清水(青緑マーフォーク) vs. 山岡(白黒吸血鬼) ゲーム1
山岡の白黒吸血鬼デッキは非常に贅沢であり強力であった。レアやアンコモンが非常に多く、チームをして明確にエース・デッキとして捉えていたようだ。
対する清水の使用デッキはマーフォーク。山岡が「期待を裏切らないですね」と述べるように、シミック(青緑)カラーだ。
《イクサーリの守り手》から《自然形成師》、《嵐を変容する者》と続ける。悪くない順調な立ち上がりだろう。
しかし山岡の手札が、その上を行った。
《アルゲールの断血》と絆魂吸血鬼たちとのコンボで、実質的に手札が減らなくなる。
《自然形成師》には《弱者成敗》を当て、《嵐を変容する者》には《崇高な阻止》を貼り、失ったライフを取り戻す《駆り立てる僧侶》は《イクサーリの守り手》と相打ちになってから、《再誕の司教》の能力でリアニメイトするという、全てへの回答を含んだ動きを示した。
さらには《饗宴への召集》からの《聖域探究者》というコンボめいた動きもみせたところで、清水は盤面を凌ぐための手段を枯らしていた。
清水 0-1 山岡
山岡 宣行 |
C卓 清水(青緑マーフォーク) vs. 山岡(白黒吸血鬼) ゲーム2
清水は2ターン目に召喚した《深根の勇者》を育てるというプランを採用してビートダウンをはじめた。コンバット・トリックに機体、+1/+1カウンターと、むくむく《深根の勇者》を育てていく。
これが6/6になるころには《崇高な阻止》で止められこそしたが、十分にダメージは稼いだうえに搭乗要員としてはいまだ機能する。
山岡は受け身に回りがちな展開だ。《這い回る心止虫》で《小綺麗なスクーナー船》を止めてから、ゴリっと減ったライフを《駆り立てる僧侶》で取り戻す。これで少しの余裕をようやく持てた。
清水 直樹 |
ここからはどちらが先に大きく盤面に影響するカードを引けるか、というところで清水の展開は《クメーナの語り部》、《見習い形成師》と小粒なものが続く。
逆に山岡は《不死の古き者》《選定された助祭》、そして《依頼殺人》と重くも激しいカードを展開し続ける。
盤面はハッキリと逆転した。
今度は清水が耐えしのぐべき手番だが、間に合わなかった。
清水 0-2 山岡
B卓 三原(赤緑恐竜) vs 檜垣(赤青海賊) ゲーム3
三原が4ターン目に《巨大な戦慄大口》をプレイ。このために《大物群れの操り手》と《起源の柱》を設置していた。
檜垣はこの圧倒的サイズを前に、+1/+1カウンターが置かれた《セイレーンの見張り番》に《風と共に》を貼り、《風雲艦隊の空中要員》とともに2マナを立ててターンエンドの宣言だ。
盤面だけでは合計パワー5と、《巨大な戦慄大口》を食い止めるにはサイズが足りていない。
それにも関わらず、先に仕掛けてのライフレースをするのではなくブロックに回すというからには手札にサポートスペルがあるはずだ、というのが三原・石村2人の自然な読みだ。
石村「《稲妻の一撃》か+3先制(《確実な一撃》)で落ちるよね」
三原「+3先制はさっき見たよ。あるよね」
《確実な一撃》。ゲーム1で自らの《葉を食む鞭尾》を撃ち落とした呪文だ。
一方的な打ち取られとなってしまうことを懸念し、《巨大な戦慄大口》は攻撃に行かないことを選んだ。
事実、檜垣は手札に《確実な一撃》を握っていた。
檜垣は三原のアタックの牽制にこそ成功したが、逆に自らのクリーチャーもアタックに向かえない。
先に追加となる手立てを用意したのは、三原だ。
それも、非常に強力な手立ての1枚、《轟く棘背びれ》。
毎ターン生み出される4/4の恐竜・トークンが、檜垣の海賊たちのブロックを飲み込んでゆく。
それでも起死回生の一打を狙って凌いでいた檜垣であったが、《アゾカンの射手》と《結束した角冠》が同時に展開されて空中も地上もダメージが通らないようになったことを確認すると、ゲームを畳んだ。
それは、マッチを敗北したことも意味した。
三原 2-1 檜垣
三原 vs. 檜垣のゲーム3。
《確実な一撃》がキーとなってゲーム展開を支配していたのは間違いない。感想戦の論点はそこに絞られていたようだ。
より攻撃的なタイミングで使えるタイミングはなかったか。
より効果的に、手札にないように見せる手段はなかったか。
「誰にでも弱点があるわ。」
《確実な一撃》のフレイバーテキストに書かれているように、三原の展開も完璧ではなかった。効果的に食い込める瞬間があったはずではないか。
高須/檜垣/山岡は今しばらく席を立たず、3人で進めた試合を振り返る。事実、食い込めたであろうタイミングを発見したようだ。
しかし彼らはそれを試合中に見つけることはできなかった。
誰にでも弱点がある。しかし、誰にでも弱点が突けるわけではない。後悔と反省の意をこめて、高須/檜垣/山岡チームは残りの試合を勝ち続けることを改めて誓った。
石村/三原/清水ももちろん、ここを越えて残りの試合に負けるつもりは毛頭ないようだ。3人は感想戦もそこそこに前を向き、次戦に備えて休息に向かった。
チーム 石村/三原/清水 Win!
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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