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グランプリ・上海2017

戦略記事

デッキテク:金川 俊哉の「青黒Marionette」~メタゲームの糸を断ち切って~

By Masashi Koyama


金川俊哉

 アジアのみならず海外のグランプリへ積極的に遠征している金川。ワールド・マジック・カップ2014日本代表の彼は、グランプリ・トップ8入賞は4度を数える強豪だ。

 金川は細川侑也と同じく構築のグランプリでは意欲作を持ち込むことが多く、昨年のグランプリ・クアラルンプール2016の段階で「ティムール・エネルギー」を使用していた先見の明の持ち主だ。

 今回は彼のストリーミング配信でユーザーからのコメントを見ながら組み上げたというデッキで参戦している。

 そんな彼に取材したいと申し出ると、BOØWYの「Marionette」を流し(わざわざアルバムを購入したらしい)、快く「青黒Marionette」について記事化を承諾してくれた。

金川俊哉の「青黒Marionette」

decktech_kanegawa2.jpg
金川 俊哉 - 「青黒Marionette」
グランプリ・上海2017 / スタンダード (2017年11月11~12日)[MO] [ARENA]
4 《
4 《
1 《異臭の池
4 《水没した地下墓地
4 《イプヌの細流
4 《霊気拠点

-土地(21)-

4 《査問長官
4 《探求者の従者
2 《帆凧の掠め盗り
4 《機知の勇者
1 《戦利品の魔道士
4 《マリオネットの達人
2 《金属製の巨像
4 《歩行バリスタ

-クリーチャー(25)-
4 《航路の作成
2 《アズカンタの探索
2 《巧みな軍略
4 《来世への門
2 《王神の贈り物

-呪文(14)-
3 《禁制品の黒幕
2 《人質取り
2 《スカラベの神
3 《致命的な一押し
2 《強迫
1 《霊気圏の収集艇
1 《ヴラスカの侮辱
1 《領事の旗艦、スカイソブリン

-サイドボード(15)-

 最初パッと見た時は「エスパー『王神』か...」と思ったのだが、実際にデッキを並べてもらうと《王神の贈り物》パッケージ以外は全く異なるデッキであった。

 このデッキの動きは以下の通りだ。

1.《マリオネットの達人》と《金属製の巨像》を墓地に落とす。
2.《王神の贈り物》を設置する。
3.《王神の贈り物》で《マリオネットの達人》を戦場へ戻し、3体のトークンを生み出す。
4.《マリオネットの達人》のトークン2体を生け贄に捧げて《金属製の巨像》の能力を起動。さらに能力解決前にもう1体のトークンと《王神の贈り物》を生け贄に捧げる。
5.《マリオネットの達人》は4/4になっているので対戦相手は16点のライフを失う。

(残り4点のダメージを《マリオネットの達人》本体で攻撃するなり、コンボを始動する前に他のクリーチャーを釣り上げるなりで頑張って削ると)対戦相手は踊り狂って死ぬ。

 一撃必殺(と少し)の魅力が詰まった豪快なコンボデッキだ。

「他の、例えば『ティムール・エネルギー』などのデッキは意識しましたか?」という質問に「していません!」と潔く言い切った金川。「楽しいこと」を押し付けるコンボデッキの特性上メインデッキ戦の勝率は高く、サイドボード後に相手が《否認》などコンボデッキ向けのカードを投入してくればこっちのもの。サイドボードに潜む《スカラベの神》や《人質取り》が大活躍することだろう。

 メインデッキの細かなカードに目を向けると、《探求者の従者》が見慣れないカードだ。「リミテッドみたいなカードが入ってます(笑)」と金川は苦笑するが、土地を伸ばすことも《金属製の巨像》などを墓地に落とすこともできる大切なパーツだそうだ。

 メインデッキに妨害手段が少ないため、サイドボードには《強迫》《致命的な一押し》などが搭載されている。

 最近流行の《暴れ回るフェロキドン》が《マリオネットの達人》でトークンを並べる都合上どうしても苦手だということで、今後はそこへの対策も必要となるだろう。

 とはいえ、魅力的な一撃に加え「わからん殺し」もあるこのデッキは、ぜひ一度回してみたい逸品だ。


 金川は来週もグランプリに参加予定だということで、引き続きこのデッキを使用することが予想される。

「今年は楽しむスタンスで行こうと思います!」

 金川は爽やかに言い切ってくれた。

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