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グランプリ・上海2014

観戦記事

第4回戦:Park Jun Young(韓国) vs. 市川ユウキ(日本)

By Masami Kaneko

 Park Jun Youngは、韓国の強豪プレイヤー。先日のモダンのグランプリ・ミネアポリス2014優勝は記憶に新しい。近場であるアジア圏のグランプリだけでなく、プロツアーに合わせてアメリカのグランプリなどにも遠征する、「Play the Game, See the World!」の体現者だ。

 対するは、プロツアー2連続トップ8からのグランプリ・神戸2014トップ8と波に乗っている市川ユウキ。BIG MAGICとプロ契約も結び、今年の活躍に期待したいプレイヤーだ。

 日本語で会話し、試合前は仲良く談笑する2人。しかし、最後に笑うのは1人だけだ。


左:Park Jung Young(韓国) 右:市川ユウキ(日本)

ゲーム1

 お互いが2色、3色の出る土地を並べ合う、この環境「らしい」スタート。

 Parkはさらに《風に削られた岩山》《茨森の滝》と並べ、とてもカラフルなデッキの様子だ。市川も《境界の偵察》がファーストアクションで、お互いに攻めの気配がない。

 Parkの《ジェスカイの風物見》がこのゲーム初めてのダメージソースとなったが、Parkの土地は3枚で止まってしまった。

 《境界の偵察》で墓地を増やした市川は早速《よろめく従者》を「探査」により4マナで展開。しかしこれにはすぐに《停止の場》によって対処されてしまった。


グランプリ・ミネアポリス2014チャンピオン、Park Jun Young

 《まばゆい塁壁》を展開する市川。しかし攻め手は用意できない。それに対して《苦々しい天啓》で手札を整えるPark。攻め手を用意できていない市川にはこのハンドアドバンテージは厳しい。《ラクシャーサの死与え》を出してみるものの、これは《消耗する負傷》で除去され、さらに《ジェスカイの風物見》が追加されてしまう。

 お互いのクリーチャーを出しては除去、といった展開を繰り返し、少しずつ減っていく2人の手札。

 このままお互いの手札を使い尽くす展開になるか......と思いきや、市川の《頭巾被りのハイドラ》がX=9で現れた!

X=9!

 消耗戦に強い、いや、強すぎるこのクリーチャーの登場に、Parkの顔も歪む。市川もどこかほっとした顔をしている。

......が、それ以上にParkの手札は完璧だった。《宝船の巡航》でカードを求め、《頭巾被りのハイドラ》の攻撃には、《必殺の一射》。蛇トークン9体現れ、市川はこのトークンを《増え続ける成長》で強化するが、《弧状の稲妻》で盤面を整理していく。

 そして最も大きくなった蛇トークンを《大物潰し》すると、市川の攻撃の手は止まってしまった。市川の追加の《グドゥルの嫌悪者》も《焼き払い》で即座に対処。

 あまりの長期戦に、お互いのライブラリ枚数をしきりに気にする市川。Parkの場に《アブザンの戦僧侶》が現れるが、市川は既にParkのライフは問題にしていない。......が、この市川の山札狙いを、Parkの《軍族の解体者》が打ち砕く。

 この強力なダメージソースを前に《包囲サイ》でどうにか1ターン延命するも、市川に相手のライフを削り切る手段は存在しなかった。

Park 1-0 市川

ゲーム2

 かなり悩んでマリガンを宣言した市川に対して、軽くキープを宣言したPark。

 市川のスタートが《》《平地》と並べてエンドに対して、1ターン目に《マルドゥの悪刃》を展開するPark。

 《休息地の見張り》を表で展開し航空戦力を用意した市川、さらに「変異」を追加する。攻め立てられれているPark、展開するカードを吟味したうえで、《血染めのぬかるみ》から《雪花石の麒麟》を展開。見た目上は市川の攻撃を止めた。

 が、市川は気にせず《休息地の見張り》と「変異」で攻撃。Parkはこれを通さざるをえない。市川はさらに《牙守りの隊長》を追加し、攻め手を緩めない。Parkもいったん手を止め、土地をアンタップしたまま市川にターンを返した。


日本のライジングスター、市川ユウキ。

 マナのあるParkに対してうかつな攻撃はできない市川、こちらもターンを返す。そしてParkのターン終了時に《松歩き》が表になり、市川のメインに《挑発の咆哮》が唱えられた。

 これに対して《スゥルタイの魔除け》を合わせようとするPark。しかしこれを《抵抗の妙技》! その後の攻撃によってParkのクリーチャーは全滅。《松歩き》自体こそ《焼き払い》で対処するものの、次の攻撃に《焼き払い》を合わせてみれば《熊の覚醒》でかわされ、Parkのライフはゼロになったのだった。

Park 1-1 市川

ゲーム3

 Parkの先手でゲームが始まるが、土地が2枚で止まってしまう。なんとか次のターンには土地を引いたが、先手後手は入れ替わってしまった。

 市川の「変異」を受け止めるべく《マルドゥの悪刃》を展開するも、これは《休息地の見張り》で《まばゆい塁壁》を見せつつ攻撃されてしまう。

 仕方なくParkも《マルドゥの悪刃》で攻撃のうえ、《マルドゥの軍族長》。

 土地が引けず、手札に呪文を抱えた状態となってしまったPark。《弧状の稲妻》が《休息地の見張り》と《高地の獲物》に向けられるが、ここには《抵抗の妙技》が合わせられ、逆に空からのダメージが3点に増えることとなってしまった。

 さらに展開した《わめき騒ぐマンドリル》が、《挑発の咆哮》によりParkの盤面を一掃。さらに《牙守りの隊長》も追加され厳しいPark。あっというまにライフが6まで削られ、さらに《包囲サイ》! Parkの残りライフは3になってしまう。

 しかしマナスクリューから回復しつつあるParkに対して、土地ばかり引いてしまいマナがフラッド気味の市川。《贈賄者の財布》をX=9で唱え、戦線の突破を目指していくが、Parkはまだまだ手札を抱えている。

 Parkがついに市川の《アブザンの鷹匠》を《焼き払い》で対処し、《ジェスカイの風物見》も展開し、さらには《アブザンの戦僧侶》! 《塩路の巡回兵》が「長久」し、次のターンから回復する構えだ。Parkのライフは、多色土地の力によって5まで回復している。

 ......が、市川は一瞬その隙を逃さなかった。展開によって白マナがなくなったParkに対して、《まばゆい塁壁》が、《贈賄者の財布》が、そして手札から《凶暴な殴打》が、順番にParkのブロッカーを削っていく。そして、《凶暴な殴打》によってパワーが6になった《包囲サイ》に対して、《ジェスカイの風物見》だけでは、残り5点のライフは守りきれないのだった。

Park 1-2 市川

市川 「ずっとカード自体は握ってて、《必殺の一射》を警戒してたんですよね。白マナもなくなったし、《包囲サイ》なら《スゥルタイの魔除け》は大丈夫ですし、行くならここ!と。正直このままずっと守られてたら、ほぼ負けてたんじゃないかと思います。」

 飽くなき勝利への反省が見られたわけでもなく、プレイマットの真ん中は赤くなかったが、市川の忍耐力と、その冷静な判断が光った勝利だ。

市川ユウキ Win!
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