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グランプリ・名古屋2018
第8回戦:チーム高谷/神戸/大森 vs. チーム岡田/杉山/高橋
(編集より:髙谷 翔一選手のお名前は、正式には「髙」ですが、記事中では「高」の表記を使わせていただきます。)
いよいよグランプリ・名古屋2018も初日の最終ラウンドを迎えた。初日の最終戦となるこの最後のゲームで勝利を収め、2日目のスタートに大きく弾みをつけることができるのはどちらのチームになるのか!?
ここまでの長い戦いの疲れも感じさせないさわやかな笑みを浮かべながら6人が握手を交わすと、最終戦のゴングが鳴り響いた。
B席:神戸 小次郎 vs. 杉山 修成
《平地》から《追われる証人》、と1ターン目から勢いよく動き出す神戸。さらに続くターンに《速太刀の擁護者》を戦線に送り込み、《狂った怒り》をエンチャントして猛烈に攻め立てる。
対する杉山は一手遅れつつも《初々しい補充兵》を送り出し、《裁きの一撃》で《速太刀の擁護者》を除去する。ライフレースはここまで神戸優位に進んでいるが、杉山の手札に控える《正義の模範、オレリア》さえ戦場に出てしまえばまだゲームになるはず……。
だが、杉山の算段もむなしく神戸の攻め手は途切れず、攻撃はますます苛烈さを増していく。《ウォジェクの護衛》が「教導」を誘発させ、戦線をさらに強化する。杉山が《刃の教官》で相打ちを狙うと、神戸の狙いすましたかのような《確実な一撃》が杉山の防衛線を破る。
もはや一刻の猶予もない杉山は《正義の模範、オレリア》をプレイして《初々しい補充兵》をレッドゾーンへと送り込むが、神戸がダメ押しとばかりに《軍勢の切先、タージク》をプレイして杉山を屠った。
さて、一方的な惨殺劇のようにも見える第1ゲームだったが、実際のところもしも先手と後手が違っていたら、逆の展開が起きていたはずだった。そして、それは実際に起こった。
《初々しい補充兵》、《報奨密偵》、《希望の夜明け》、《ロクソドンの修復者》と毎ターン脅威を展開する杉山。神戸がプレイした《軍勢の切先、タージク》は《光明の縛め》によって止め、《希望の夜明け》でリソースの差をつけていく。
こうなるとデッキの想定しているレンジの差が如実に盤面に顕在化してくる。神戸のデッキは《軍勢の切先、タージク》をキーとした前のめりなアグロデッキであり、長期戦を戦い抜くのは不向きだ。対する杉山は《正義の模範、オレリア》や《希望の夜明け》といったカードで中盤以降の巻き返しも可能なデッキになっている。
第1ゲームとは打って変わって厳しい展開を強いられる神戸はそのまま第2ゲームの勝利を明け渡すこととなり、続く第3ゲームでも杉山の粘りの前に膝を屈することとなるのだった。
神戸 1-2 杉山
A席:高谷 翔一 vs. 岡田 陸
B席の神戸と杉山のボロス対決は毎ターンのコンバットで戦況が揺れ動く「動」のゲームだったのに対し、A席の高谷と岡田のマッチはまさに「静」のゲームだった。
高谷の盤面にはここまで圧倒的なパフォーマンスを発揮して勝ち進んできたのも納得の《協約の魂、イマーラ》、《議事会のギルド魔道士》、《獣に囁く者》といった優秀なクリーチャーたちが並んでいる。
もちろん岡田も負けてはおらず、《生皮収集家》、《群集のギルド魔道士》、《獣に囁く者》といったクリーチャーが並ぶ。さらに《優しいインドリク》で高谷の《獣に囁く者》を除去し、自身の《獣に囁く者》で一方的にアドバンテージを得られる体制を作り上げる。
依然盤面が膠着していることに変わりはないが、アドバンテージエンジンである《獣に囁く者》でカードを引き続けることができる分だけ岡田がリードしている。やがて環境屈指のボムレアである《地底王国のリッチ》までが呼び出されると、高谷からは逆に「デッキつよ……(笑)」と笑いが漏れる。
やがて岡田がライブラリーを引き切って(ドローが《地底王国のリッチ》によって置換されるため敗北はしない)クリーチャーを展開しきると、《群集のギルド魔道士》の黒の起動型能力によって威迫を得たクリーチャーたちが無残に高谷を屠っていった。
高谷 0-1 岡田
C席:大森 翔平 vs. 高橋 瑛一
さて、A席がまだマッチの途中だが、並行してC席も第2ゲームへと差し掛かっていた。こちらはイゼットのミラーマッチだが、デッキを構成する要素は完全に高橋が大森を凌駕しているようで、すでに第1ゲームは高橋が勝利を収めていた。
大森のプレイする《ピストン拳のサイクロプス》や《弾けるドレイク》は《高熱仮説》や《悪意ある妨害》といった妨害に阻まれ、合間に高橋が《薬術師の眼識》と……2枚目の《薬術師の眼識》でアドバンテージ差をつけていく。
大森「2枚もあるのか。アンコモン多すぎ、完璧なコントロールイゼット……」
呪文も通らず、盤面にクロックも残らない悲惨なゲーム展開に思わず大森が嘆く。だが高橋はその後も油断することなく、高橋の2/1クリーチャー、《気難しいゴブリン》でさえも盤面から片づけて完封勝利を目指していく。ただでさえ完璧なコントロールイゼットを操る高橋が、しかも一切の隙を見せないとあればどこに勝ち目が挟まる余地があるのだろう。
それでも望みを捨てず、火力呪文によってライフを詰めて差し切ろうと画策する大森。苦しい展開だが、高橋もここまでゲームをコントロールするのに必死だったこともありライフはまだ残されていた。あと1ターンあれば、トップデッキ次第でなんとかなるかもしれない……そんな淡い希望を抱き、大森のクリーチャーへと《原因不明の消失》をプレイするが――
高橋の《悪賢い隠蔽》が、そんな大森の肩を叩いた。
大森 0-2 高橋
A席:高谷 翔一 vs. 岡田 陸
第2ゲームで白星を取り返して第3ゲームに臨んでいた高谷だったが、隣から大森の「負けです」という悲痛な声が聞こえてきたためにマッチ自体は手打ちとなってしまった……
のだが。試合時間はまだまだ残されており、対戦相手である岡田もまんざらでもない様子。ならばすべきことは一つだ。敗れ去ったチームメイトたちの一矢報いんと(マッチの勝敗記入用紙をジャッジに渡したあと)岡田との最後の勝負に臨む。懸かっているものはチームのプライドのみ。しかし、それを守ることこそが今日の高谷に残された最後の命題なのだ。
《協約の魂、イマーラ》、《議事会の騎兵》、《薔薇たてがみのケンタウルス》と次々に脅威を並べたて、軽快に岡田を攻め立てる高谷。これはもしかすると?と、試合を見つめる大森と神戸の視線が熱を帯びる。
だが、岡田もここまで勝ち進んできたチームの一員だ。《獣に囁く者》や《千の目、アイゾーニ》といったパワーカードをふんだんに叩きつけ、簡単には高谷に勝利を譲らない。
しかし、高谷の序盤の攻撃が功を奏してライフレースは高谷が大きくリードしていた。防戦一方となる岡田は《地底王国のリッチ》まで投入してなんとか盤面を維持するが、そのライフはやがて《地底王国のリッチ》の疑似再生能力も使えないような危険水域へと達することとなる。
しかし。《地底王国のリッチ》が数ターン生き残ったおかげで、《切断された糸》や《致命的な訪問》といった除去に辿り着いた岡田が徐々に盤面を取り戻していく。
やがて叩きつけられる《ゴルガリの拾売人》。その能力によって回収された《腐れ巨人》がマナ・コスト軽減能力の恩恵を受けてわずか3マナで戦場に降り立つと、イーブンだった形勢は一気に岡田に傾く。
高谷&神戸&大森「「「こ、構築かよ~!!」」」
岡田のパーフェクト・ゴルガリデッキによるカードパワーの暴力にさらされた3人は、仲良くツッコミを入れながらも自らのチームの完敗を認め、改めてこの戦いの勝者たち――チーム岡田/杉山/高橋の勝利を祝した。
チーム高谷/神戸/大森 0-3 チーム岡田/杉山/高橋
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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