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グランプリ・名古屋2016

観戦記事

第3回戦:渡邉 恵介(岐阜) vs. 諸藤 拓馬(福岡)

By 矢吹 哲也

 誓いを立てろ、世界を救え!

 新セット『ゲートウォッチの誓い』発売からわずか1週間。この週末はカナダ、メキシコ、そして日本の3ヵ所で同時に、新セット発売後初のグランプリが開催される。

 中でも時差の関係で、ここ名古屋でのグランプリが一番槍。今大会では世界に先駆けて、新たなカードの数々がその力を披露することになる。1週間後にはプロツアーも控えている今、今大会の動向はこの最新セットを測る貴重な物差しとなるだろう。

 2回戦の不戦勝が明け、テキスト・フィーチャーの席にスポットライトが当てられた。この試合で対峙する両名は、「王者とチャレンジャー」の構図だ。

 グランプリ・神戸2015王者、諸藤 拓馬。日本で行われた直近のグランプリを勝ち取った彼は今日も笑顔で、国内グランプリ連覇を目指して戦いに臨む。「デッキ弱くて恥ずかしい」としきりに言う彼だが、与えられたプールは活かしきっているようだ。

 渡邉 恵介は岐阜でマジックを楽しむプレイヤー。大型イベントの経験は少ないらしくやや緊張した様子を見せるが、試合を見守る仲間たちに声援を送られると明るく言葉を返し、諸藤との試合前のトークも弾んだ。「胸を借りるつもりで」と挑戦者として戦うことを宣言した彼だが、ここまで不戦勝なしで2回戦を戦い2勝と、快調なスタートを切っている。


渡邉 vs. 諸藤。渡邉が競技シーンに慣れ親しんだ王者・諸藤に挑戦する。

それぞれのデッキ

 試合前の両者にこの環境のシールドにおける理想の色の組み合わせを尋ねると、諸藤は「白黒」を挙げた。この組み合せは強力な除去呪文の数々を扱うことができ、同盟者のシナジーも強固だというのがその理由だ。実際に今回使用しているのは、「白緑」のクリーチャー戦略に黒の除去をタッチした形。マナカーブを軽い方へ寄せ、展開力と同盟者のシナジーで戦う。

 渡邉はあまり練習できなかったと前置きをしつつ、「黒と緑でエルドラージを使いたい」と答えてくれた。大型のクリーチャーを扱える緑が好きだと語る彼だが、今大会では「赤黒」のビート戦略を選択。軽量クリーチャーと《怒りの具象化》を攻めの中心に据え、除去でテンポを取る形になっている。

ゲーム展開

 渡邉がマリガンを喫し始まった1ゲーム目、先手の諸藤が2ターン目《オラン=リーフの発動者》から盤面の展開を始めるが、渡邉は火力でそれを対処。諸藤は《網投げ蜘蛛》から《石鍛冶の見習い》と展開を続け、「唯一の装備品なんですよこれ、引いちゃったんで《石鍛冶の見習い》の能力意味ないですね!」と《甲殻の外套》も戦場へ。

 渡邉は《怒りの具象化》で盤面を作り出し、「上陸」で土地をクリーチャー化して攻撃。しかし諸藤のクリーチャーが《甲殻の外套》をまとって防御を固めると、攻め入ることができなくなった。

 諸藤は攻防両面で装備品を活かし、渡邉を攻め立てる。クリーチャーのサイズで上回られた渡邉だが、《炎套の魔道士》で《怒りの具象化》とクリーチャー化した土地の攻撃を通し、一挙7点。

 この時点で諸藤の残りライフは9点、渡邉が7点。渡邉がもう一度「上陸」を達成し全軍に「威迫」をつければ、諸藤のライフは削り切られる。攻撃を吟味した諸藤はやがて、ブロッカーを1体立たせて反撃、渡邉のライフを残り2点とした。

 そして返しのターン、渡邉の手札には追加の土地と......《ズーラポートの鎖魔道士》!

 渡邉は力を込め、諸藤を仕留める9点を差し向ける――だがそこへ、諸藤の残り1枚の手札が繰り出された。

 あと一歩及ばず。激しいライフ・レースは、僅差で諸藤に軍配が上がったのだった。


同盟者を率いて戦場を駆ける諸藤。

 2ゲーム目は両者とも初手に6枚の土地を引き込み、マリガンを選択。

 《オンドゥの戦僧侶》からゲームを始めた諸藤は続けて《コーの鎌使い》を繰り出し、素早い展開を見せた。一方の渡邉は再び初動が《怒りの具象化》となり、展開が後手に回ってしまう。

 諸藤は《ギデオンの誓い》で同盟者・トークンを2体盤面に追加し、《オンドゥの戦僧侶》での回復を毎ターン行える体勢を作った。さらに《マキンディの巡回兵》が加わると、攻防一体の同盟者軍団が渡邉をじわじわと追い詰めていく。


思うような動きができず厳しい挑戦になったが、渡邉は王者を相手に堂々と戦う。

 《戮力協心》でさらに盤面を押し込む諸藤に対し、渡邉は有効な手が打てない。クリーチャーを展開して諸藤の攻撃を懸命にブロックするが、《抗戦》が諸藤の攻勢を支え、渡邉の希望を断ち切ったのだった。

渡邉 0-2 諸藤

 試合後、「記念に」と諸藤にカードへのサインを求めた渡邉。デッキの内容についても意見を交わし、「勉強になりました」と頭を下げる。普段顔を合わせることのないプレイヤーと戦えるのも大型イベントの魅力。渡邉のチャレンジはまだ続く。

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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