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グランプリ・名古屋2014

観戦記事

第3回戦:覚前 輝也(大阪) vs. 酒井 雅樹(北海道)

By Tetuya Yabuki

 澄んだ朝の空気を運ぶ風が、春らしい彩りの木々を揺らす。今年も日本にグランプリがやって来た!

 5月2日に新セット『ニクスへの旅』を控え、現在の環境で行われるグランプリはこのグランプリ・名古屋2014で最後になる。1785名の参加者たちが、それぞれ『テーロス』の緑色のパック3つと『神々の軍勢』の赤色のパック3つを一斉に開封する音が会場に響くと、神と英雄と怪物の物語は第2幕の終幕へと進み出した。

 さて、今大会最初の観戦記事を飾るのは、覚前 輝也と酒井 雅樹の両名だ。日本選手権でのトップ8入賞経験がある覚前は、先日今大会と同じフォーマットでプロツアー予選を勝ち抜いた。しばらくマジックから離れていたそうだが、本格復帰するなりプロツアーへの切符を手に入れた、今後に期待したいプレイヤーだ。

 対する酒井はフィーチャー・マッチ初参戦。北海道出身の彼は現在東京に居を移し、北海道にいた頃からの仲間と共に日々研鑽を積んでいる。

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 大会は始まったばかりだ。ひとつずつ着実に、勝利を。

試合

 第1ゲームは《トリトンの財宝狩り》が英雄にふさわしい活躍を見せた。

 《渦潮の精霊》から《トリトンの財宝狩り》と展開する覚前。ここに《ナイレアの試練》をエンチャントし、「英雄的」でドローを得る。

 一方の酒井も土地を3色スムーズに揃えるが、戦場がやや心許ない。《悪意の幻霊》と《金床鋳込みの猛禽》が盤面を支えるものの、そこへ《》を引き込んだ覚前が《トリトンの財宝狩り》の「英雄的」を活かしつつ《槌の一撃》を撃ち込む。酒井は少し間を空け、《保護色》で《悪意の幻霊》を守った。

 攻撃には向かわないものの、次々とクリーチャーを追加していく覚前。《悪意の幻霊》を《破壊的な享楽》で退場させると、ついに攻勢に出る。《鞭の一振り》など除去を駆使してしのぐ酒井だが、覚前がふたたび《トリトンの財宝狩り》と《槌の一撃》を組み合わせると、立ち並ぶ覚前の軍勢を前に、酒井がとれる手はなかった。

鬼に金棒、英雄に金槌

 2戦目は、覚前が初手を見るなりマリガン。

 酒井の《ゼナゴスの狂信者》から立ち上がったこのゲームだが、マリガンを喫した覚前の土地が《》2枚で止まる。《前兆語り》の「占術」でなんとか道は見えたものの、酒井の攻め手が速い。

 《ゼナゴスの狂信者》に《ドラゴンのマントル》をつけて打点を上げると、さらに《スコラ谷の災い》を盤面に追加。そこへ《葉冠のドライアド》を「授与」して攻め込むと、《ネシアンの狩猟者》を戦列に加えた覚前は《ゼナゴスの狂信者》をダブル・ブロックに入る......が、しかし、そこに《定命の者の決意》が合わせられ、覚前の反撃の希望を断ち切った。


酒井 雅樹

 迎えた3ゲーム目は両者ともにダブルマリガン。襲いかかる不幸に笑うしかない両者だが、とにかく条件は同じだ。両者とも少ない手札からじっくりとゲームを作っていく。

 酒井の盤面を支えているのは、《不機嫌なサイクロプス》。これが「怪物化」する前に除去しようと、《ネシアンの狩猟者》を擁する覚前は《槌の一撃》を差し向ける。酒井はこれを《定命の者の決意》で防ぎ、《不機嫌なサイクロプス》の「怪物化」を待った。

 突破口を探したい覚前は《前兆語り》を戦場へ。土地が3枚で止まっていた彼にとって、この「占術」が勝負どころだった。熟考を重ねた末、2枚ともライブラリーの下へ送ることを選択。酒井の《不機嫌なサイクロプス》が「怪物化」を迎え、攻撃が始まる。

 覚前の不利を覆したのは、《歓楽の神、ゼナゴス》だった。《ネシアンの狩猟者》のサイズを倍にすると、一気呵成に反撃する。酒井は続くターン《不機嫌なサイクロプス》を立たせ、次の攻撃は相討ちに取った。《サテュロスのニクス鍛冶》を盤面に追加するが、これには《稲妻の一撃》。

 これで盤面を守るものがなくなった酒井。最後はエンチャントをまとった《戦いの柱》が《歓楽の神、ゼナゴス》の加護を受け、覚前に勝利をもたらした。

覚前 2-1 酒井


覚前 輝也

 試合後、覚前はゲームの決め手となった《前兆語り》の「占術」を振り返る。

「あのとき、めくれたのが土地とバウンスでした。かなり悩んだんですけど、《歓楽の神、ゼナゴス》を早く出しても《ネシアンの狩猟者》が除去されたら後続がいなかったので、そっちを探しにいきました」

 こうして、彼は最後まで差し切ることに成功したのだった。

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