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グランプリ・京都2017

観戦記事

第15回戦:矢田 和樹(千葉) vs. William Jensen(アメリカ)

By 矢吹 哲也

 今大会2日目の会場の様相は、普段の日本のグランプリとは大きく異なっていた。

 第2ドラフト開始時点で、上位8人による「第1ポッド」に座るプレイヤーの中に日本人プレイヤーの姿は見えず、トップ8入賞のチャンスがある位置にいる者もごくわずかだった。来週のプロツアー『破滅の刻』へ出場するために遠征してきた海外の強豪たちに、多くのプレイヤーが苦渋をなめさせられることになったのだ。

 だがその中で、奮闘を続ける日本人プレイヤーもいる。

 グランプリ・東京2016にて自身初のグランプリ・トップ8入賞を果たした矢田 和樹は、並み居る強豪との戦いを切り抜け、日本人最高位の暫定4位で予選最終ラウンドを迎えた。今回のグランプリでこれだけの成績を残していることは、彼の競技経験を鑑みれば驚くべきことだ。

 しかし彼が挑むべき「試練」は最後の最後まで続く。

 この最終戦で対峙するウィリアム・ジェンセン/William Jensenは、それこそ「レジェンド」と呼ばれるべき殿堂顕彰者。彼は今大会でもここまで2敗で留まっており、ここで勝利すればトップ8入賞へ大きく躍進する。

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矢田 和樹(写真左) vs. ウィリアム・ジェンセン(同右)。トップ8入賞を懸けた「最後の試練」開幕。

 この試合は予選最終戦にふさわしく、極めて強烈なものとなった。すなわち、両者とも環境最強クラスのレアを複数持ち、それらがその力を遺憾なく発揮したのだ。

 荒れ狂うレア・パワーで二転三転するこの試合、最後まで目を離せない。

矢田 和樹(緑多色) vs. ウィリアム・ジェンセン(緑多色)

 素早く初手を確認しキープを宣言したジェンセンに対し、矢田も7枚の手札を見て「キープ」と発声。試合開始のアナウンスを待つ緊張した時間がしばし流れたのちに、互いに「Good Luck」を送り合い、予選ラウンド最終戦が始まった。

 矢田が《旅行者の護符》から3ターン目に《マナリス》を設置すると、ジェンセンも3ターン目に《楽園の贈り物》を貼り、両者ともじっくりとマナ基盤を組み立てる。

 そしてそこから繰り出されるジェンセンの《苦弓の名射手》が、戦いの始まりを告げる号令となった。

 続くジェンセンの攻撃に対し、矢田は《砂爆破》で応じる。ジェンセンは《シェフェトのオオトカゲ》を盤面に追加し、矢田は《機知の勇者》と《うろつく蛇豹》で対抗する。

 ジェンセンは《不屈の砂漠》と《熱烈の砂漠》を立て続けに「サイクリング」して手札を回転させると、《気性の荒いクーズー》を加えてターンを渡した。

 矢田は《強制的永眠》で《シェフェトのオオトカゲ》を対処すると、《うろつく蛇豹》で攻撃。さらに《栄光半ばの修練者》を加えて攻勢を維持する。

 しかしジェンセンが《選別ワーム》を着地させると、占術後のライブラリー・トップに見えたのは、この環境最強レアの一角《王神の贈り物》!

 《黄昏のピラミッド》を設置した矢田だが、ジェンセンの《王神の贈り物》を止めるすべはなく、《苦弓の名射手》が「永遠衆」と化し矢田に襲いかかる。

 矢田はこれをブロックして《機知の勇者》を墓地へ送り、迎えたターンに「永遠」を起動して手札を強化した。しかしジェンセンは《強制的永眠》の能力を起動して《シェフェトのオオトカゲ》も墓地へ送り、その後の戦闘で「永遠衆」に変えて矢田へ差し向ける。矢田のクリーチャーは相討ちとはいえ、次々と倒れていった。

 だがここで、矢田が起死回生の一手を見せた。土地をすべてタップしてマナを生み出した彼が繰り出したのは、《圧倒的輝き》!

 これでジェンセンのクリーチャーはすべて1/1となったが、彼は構わず攻撃を続け、矢田のライフは残り4点。それでも矢田は《混沌の大口》を着地させ、全体に3点のダメージを与えてジェンセンの盤面を一掃する!

 次はジェンセンの応じ手だ。《翦草+除根》で《混沌の大口》を除去して攻撃を続け、これで矢田の残りライフは1点に。

 これに矢田は《賞罰の天使》で応じ、さらに《オアシスの祭儀師》で守りを固めた。

 だがしかし、ジェンセンが《徹頭》で盤面を横に広げると、《王神の贈り物》による追加の攻撃手を含めて、《圧倒的輝き》の状況下でなお矢田のライフを削り切ることに成功したのだった。


爆弾レアが飛び交う壮絶なロング・ゲームを制したジェンセン。

 ジェンセンの《王神の贈り物》への対策を中心に、矢田は《没収の曲杖》と《俗物の放棄》をサイド・イン。対するジェンセンは青をタッチして3枚もの《相殺の風》を投入し、矢田のレア攻勢に備える。

 第2ゲーム、消耗戦を見越した矢田は後手を選択。再び《旅行者の護符》でゲームを始めると、ジェンセンは2ターン目に《黄昏のピラミッド》を設置した。

 矢田も迎えたターンに《黄昏のピラミッド》を置くと、ジェンセンが小さく鼻息を漏らす。ジェンセンの側の《黄昏のピラミッド》は、矢田の《俗物の放棄》を受けて追放された。

 続けてジェンセンが《オアシスの祭儀師》を展開すると、矢田も鏡合わせのように《オアシスの祭儀師》。今度は矢田の側の《オアシスの祭儀師》が《致死の一刺し》を受け、退場することになる。ここまではまだ小競り合い。やはりこの勝負を決するのは、両者のレアが登場してからのようだ。

 矢田は《栄光半ばの修練者》を繰り出し、ジェンセンは《糾弾の天使》を戦場に舞い降りさせた――すると矢田はさらに上位の天使たる《賞罰の天使》を召喚する。

 だがジェンセンは《翦草+除根》でその矢田の盤面を一掃。スリリングなパワーカードの応酬に、ギャラリーも沸き立つ。


強力なレアの応酬に敢然と立ち向かう矢田。

 矢田は2枚目の《オアシスの祭儀師》と《扇持ち》を繰り出し盤面を維持するが、ジェンセンの《糾弾の天使》が止まらない。彼はさらに《苦弓の名射手》を盤面に加えると、残りライフ14点の矢田にプレッシャーをかけていく。矢田が《黄昏のピラミッド》と「サイクリング」でこの状況を打破する手段を探しにいくが、《扇持ち》で時間を稼ぐことしかできない。

 ジェンセンは《糾弾の天使》の「督励」で矢田のクリーチャーを追放し、盤面の優位を築いていった。矢田も《苦弓の名射手》を繰り出すものの、ジェンセンは《徹頭》で攻め手を増やすと、さらに《不屈の神ロナス》をも盤面に降臨させる。

 それでも矢田は《待ち伏せ》と《強制的永眠》でジェンセンが持つ最大の脅威――《糾弾の天使》と《不屈の神ロナス》を対処した。ジェンセンは《徹尾》を「余波」して矢田の《オアシスの祭儀師》を除去。さらに盤面を支えていた《扇持ち》も、《最後の報賞》で退場させた。

 ジェンセンはさらに《待ち伏せ》を放ち最後に残る《苦弓の名射手》を除去すると、一挙8点のダメージを矢田に与えた。追い詰められた矢田は《機知の勇者》でドローを進め、《抑え難い渇き》で命をつなぐ......

 しかしジェンセンの盤面には、《強制的永眠》を受けてクリーチャーとしての機能は失ったものの、他のクリーチャーを強化してトランプルを付与する能力が生きた《不屈の神ロナス》がいる。

 神の加護を受けたジェンセンの軍勢を止める手立ては、矢田にはなかった。

矢田 0-2 ジェンセン

 試合時間をほとんど使い切る長期戦のすえに膝を屈した矢田だが、望みはまだ完全に失われたわけではなかった。その直後に発表されたトップ8入賞プレイヤー。その最後に――矢田 和樹の名前が呼ばれたのだ!!

ウィリアム・ジェンセン、矢田 和樹、両者ともトップ8入賞!
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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