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グランプリ・京都2017
佳境!プロツアー・チームシリーズのチームキャプテンにインタビュー!
by Masashi Koyama
プロツアー『霊気紛争』から導入されたプロツアー・チームシリーズ。
現在、「Musashi」が首位を独走しており、世界選手権2017の舞台で行われる決勝戦(上位2チームのみ進出)への進出が有望視されている。
本記事では、決勝戦へ進むべく京都の地に集まった、海外勢チームのキャプテンにインタビューを試みた。
「MTG Mint Card」キャプテン リー・シー・ティエン/Lee Shi Tian (香港)
香港の雄、リー・シー・ティエン。彼がキャプテンを務める「MTG Mint Card」はアジア太平洋地域のプレイヤーを主に結成されており、現在チームシリーズレースで3位と好位置につけている。ともすれば「Musashi」とアジア勢によるチームシリーズ決勝戦となるかもしれない。
リー「我々の目標はチームシリーズトップ2に入り、世界選手権でのプレイオフに進出することです。個人としてプロツアーで良いパフォーマンスを発揮して世界選手権へ出場できれば結果的にはうれしいですが、より重要なのは、ファン・ハオ=シャン(台湾)とサイモン・ニールセン/Simon Nielsen(デンマーク)をゴールド・レベルまで連れて行くことです。彼らは良き友人であり、良きマジックプレイヤーです。来週末に向けて、私はより努力するつもりです」
これぞチームスピリッツ! リーの努力が実るのか、「MTG Mint Card」のメンバーを見守りたい。
「DEX Army」 ティアゴ・サポリート/Thiago Saporito (ブラジル)
「DEX Army」キャプテンのウィリー・エデル/Willy Edelが今大会に参加していないため、チームメイトのティアゴ・サポリートに話を伺った。
サポリート「僕たちはプロツアー『霊気紛争』でマルシオ・カルヴァリョ/Maricio Carvalhpが準優勝したおかげでいいスタートを切れたのだけれど、次のプロツアー『アモンケット』は散々だったから......。個人的には5敗でプロツアーを終えて、世界選手権へなんとか参加できればと思う」
と、サポリートにとって今シーズンのチームシリーズは不本意なもののようだ。それでも彼はこの新しいプログラムが大好きなようで、
サポリート「本当にチームシリーズを楽しめているし、友人たちと旅をして素晴らしい体験をともにできる。そしてもうひとつ重要なことは、僕が正しいプレイをできない時に、チームメイトがそれを教えてくれるんだ。もっとも重要なことは、喜びをともに味わうことさ」
サポリートはチームシリーズで躍進することはできないかもしれない。だが、チームシリーズの決勝戦はチームのひとつの目標に過ぎない。「DEX Army」のメンバーは大西洋を隔てた遠い距離に散らばっているが、その友情こそが本当に重要なものなのだ。
「Face to Face Games」キャプテン アレクサンダー・ヘイン/Alexander Hayne (カナダ)
「Face to Face Games」のチームを引っ張るキャプテンはカナダのプロツアー王者、アレクサンダー・ヘインだ。
ヘインに加え、同じくカナダの若きスター、ジェイコブ・ウィルソン/Jacob Wilson、プロツアー『マジック2015』チャンピオンのイヴァン・フロック/Ivan Floch(スロバキア)など、豪華メンバーが揃うチームだ。
現在、チームシリーズレースでは63点の9位と事前の予想からは少し下振れており、チームシリーズ決勝進出条件上位2チームに入るのは厳しい状況だが、ヘインはこのチームシリーズを好意的に捉えていた。
ヘイン「マジックにとって、とてもいいプログラムだと思う。参加プレイヤーたちはよりチームのために戦うようになって、その結果、結束が高まるしね」
これまでも名目上のチームは存在したが、チームシリーズのような運命共同体と言えるような組織ではなく調整チームであった。今回、新たなプログラムとしてスタートしたチームシリーズにより、自身のためだけでなく、チームのためという方向性ができたことに新鮮味を感じているようだ。
......が、チームシリーズができたことにより新たな問題も発生したようだ。
ヘイン「チームシリーズ前はチームメイトがプロツアーで変なデッキを使おうとしても『どうぞどうぞ』って感じだったんだ。でも、今チームメイトがそんなことをしたら『やめてくれ!』って必死で止めるんだ(笑)」
確かに、プロツアーのデッキ選択の結果は個人だけでなくチームにも影響を及ぼすこととなる。思いがけないデッキの登場もプロツアーの魅力なのだが、これからはそういった機会が減る可能性もある。
ヘイン「個人的なシーズンの目標はプロツアー『破滅の刻』で16位以内に入って、来年もプラチナ・レベルを維持すること。チームシリーズは、知っての通り『Musashi』が飛び抜けていて、なんとか2位に滑り込めればいいんだけれど......。そうなれば『いいゴール』だと言えるだろうね」
今シーズン、個人でもチームでもベストなパフォーマンス、とまではいかないヘインだがきっと来シーズンもプロシーンで彼の姿を見ることはあるだろう。奮起が期待される。
「Genesis」キャプテン ブラッド・ネルソン/Brad Nelson (アメリカ)
現在、「Musashi」に次ぐ2位の座につけている「Genesis」。ブラッド・ネルソンはキャプテンとして、チームシリーズ決勝進出を懸けてプロツアー『破滅の刻』へ挑む。
ネルソン「俺は好きだな。今、チームリミテッドなんかのグランプリはあるけれど、チームでの競技ってのはもっと増えてもいい。そういう意味で、もっと盛り上がって欲しいね。そうすりゃもっと世界中にチームメイトと連れ立って行くこともできるしな」
ネルソンもまた、チームで・シリーズを好意的に捉えており、今後の発展に期待しているようだ。
ネルソン「個人の目標はいつも通りさ。ベストを尽くす。それだけだ。プロツアーの順位とかじゃなく、より良いプレイをする。チームシリーズはもちろん決勝に行ければいいんだけれど、チームメイトは共により高みに登る存在だ。お互いに切磋琢磨し、結果としてチームメイトがプロツアーでトップ8に残れば嬉しいね」
ネルソンはチームメイトがいるからこそ、より切磋琢磨し合える、と強調する。
ただベストを尽くす。
その結果、プロツアー『破滅の刻』を終えて、ネルソンと「Genesis」がどうなっているかに注目だ。
「Massdrop East」キャプテン パスカル・メイナード/Pascal Maynard (アメリカ)
メイナード「今シーズン、僕のチームは『全員プラチナ』とか『世界のベストプレイヤー』ってチームじゃないし、順位的にも『2位に入る!』とは言えないかな...」
と現在11位につける「Massdrop East」のキャプテン、パスカル・メイナードは切り出した。
確かに、スターが集うチームに比べれば見劣りするが、メイナードはそういった個別のチームレベルではなく、このプログラム自体に期待を感じていると言う。
メイナード「よりマジックをe-sportsに近づけてくれる試みだと思う。ファンからすればより応援の目的ができて、結果より多くのスポンサーがつくだろう。マジックを取り扱う店舗だけでなく、Puzzle Questみたいな形でスポンサーがつけばもっと盛り上がるだろう」
メイナードいわく、「チームシリーズはマジックの競技イベントがより大規模になるための重要なステップだ」と感じている。
だからこそ「個人としてはプラチナ・レベルに到達してトップ・レベルでの戦いに身を置きたい」とメイナードは語るが、「とはいえ、プロツアー『破滅の刻』でトップ8進出が必要なんだけどね」とのことで、その道程は厳しそうだ。それでもチームシリーズの目標について問いかけると「もし、チームでケミストリーを起こして、チームシリーズの決勝戦に進出できれば最高だね」と力強く答えてくれた。
「Massdrop East」がケミストリーを爆発させて、大逆転を起こすことはあるのだろうか。メイナードとチームメイトに注目だ。
「Puzzle Quest」キャプテン リード・デューク/Reid Duke (アメリカ)
チームシリーズ実施前、最も注目を集めていたチームがこの「Puzzle Quest」だ。ジョン・フィンケル、オーウェン・ターテンワルド、ウィリアム・ジェンセン、アンドリュー・クネオ、ポール・リーツェル、そしてキャプテンのリード・デュークと「オールスター」と言える陣容のチームだ。
現在、チームシリーズレースは5位と出遅れているが、全員がプロツアートップ8に進出してもおかしくない爆発力を秘めている。
デューク「チームシリーズの前後で大きく変わったことはありません。練習相手は変わりませんし、以前からの良き友人たちとチームを組んでいるわけですから」
デュークはチームシリーズがローンチされた後も、彼自身は大きく変化を感じることはないという。ただ、ファンにとってチームシリーズができたことで大きな変化ががあると考えている。
デューク「チームメイト、良き友人と勝利の喜びを分かり合える素晴らしいプログラムで、僕たちプレイヤーだけでなく、見ているファンの人々にとっても面白い試みだと思います。例えばジョン・フィンケルのファンであれば、彼がトーナメントで奮わない場合に興味を失っていたでしょうが、チームシリーズのおかげで『フィンケルのチームメイトに注目しよう!』と、トーナメントを観戦する理由ができていますよね」
メイナードと同じく、デュークも「よりファンがトーナメントを観戦し続ける目的ができる」ということが重要だと考えているようだ。
デューク「プロツアーで1人、いえ2人がトップ8に進出して、チームシリーズ決勝戦に進出できればと思います」
プロツアー『破滅の刻』ではデューク、そして「Puzzle Quest」が誇るスーパースターから目が離せない。
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