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グランプリ・京都2013
チームを率いた魔王・三原 槙仁のチームドラフト
By Masami Kaneko
チームドラフト。トーナメントで行われることがそう多くないフォーマットゆえ、ほとんどの人が精通していない......かと思いきや。ここにその道の鬼がいる。
「チームドラフトなんて、しょっちゅうやってますよ。暇さえあればやってると言っても過言ではないですね。いつものことなんで、いつもどおりに勝ちます。」
そう語るは「魔王」こと三原 槙仁。実際、グランプリやプロツアーの会場で、時間を見つけてはドラフトに興じる彼の姿をよく見る。名手のドラフティングを見ていこう。
左手前からHron、山本、Hayne。右手前から三原、Hoaen、板東。 |
Pack 1
1st Pick
《運命の三人組》
その他の候補:《一口の草毒》
初手は少々寂しいパックから、ある程度のパワーカードであるレアを。
悪くはないが良くもない、なんとも微妙な初手となった。
2nd Pick
《先見のキマイラ》
その他の候補:《炎語りの達人》《悪意の幻霊》《アクロスの重装歩兵》
色々な方向性のありえるパックから、一番安定した戦力となりそうな《先見のキマイラ》をピックした。既に三色にまたがってしまっているが、初手は状況次第では切り捨てる想定だろう。
3rd Pick
《蒸気の精》
その他の候補:《トリトンの財宝狩り》
青の流れの中から、重要な2マナ域をピックした。
4th Pick
ここまた選択肢が青くらいしか無い。初手のことは考えず、今はとにかく流れに身を任せる。
5th Pick
《ネシアンの狩猟者》
その他の候補:《恩寵の重装歩兵》
ターニングポイントその1。
ここにきて青の流れがストップ。緑に行くのか白の英雄的に行くのかの選択は、緑に舵を切った。
6th Pick
《彼方の工作員》
青緑へと舵を取っていく三原。このまま進んでいけるのか。
7th Pick
《蘇りし者の密集軍》
しかし暗雲立ち込める。一周してきたパックは、ほぼ青黒専用ともいうべきこのカードが唯一の選択肢だった。青は確定と考え、ここから青緑と青黒を天秤にかけていく。果たしてこれからどちらに舵を切っていくのだろうか。
8th Pick
9th Pick
《海岸線のキマイラ》
10th Pick
《エレボスの加護》
11th Pick
《毒蛇座の口づけ》
12th Pick
13th Pick
《はじけるトリトン》
14th Pick
《沈黙の職工》
青だけを確定させ、青緑と青黒を天秤にかけた状態で終えた1パック目。
この時点ではどちらになるか確定はしていない。流れが良いほうをやることになるだろう。
Pack 2
1st Pick
《英雄の破滅》
ターニングポイントその2。
強力な除去呪文を引いたためピックした三原。青黒方向へ舵を取った。
実際のところ他のカードが弱くこれ以外の選択肢がほぼ無い状態のパックだったため、流れに乗ったとはいえないものの、引いたカードというのは色を決める重要な要素だろう。
2nd Pick
《血集りのハーピー》
これまたほとんど選択肢の無いパック。他の色のカードにさえ選択肢が無い状態であり、仕方なく、といった感じのピックだ。
3rd Pick
《思考囲い》
先ほどまでとは打って変わって選択肢の多い強力なパック。
ここから三原は何にでも対処が可能な《思考囲い》をピック。
4th Pick
ターニングポイントその3。
青黒のカードが存在しない。三原は検討したうえで、青白マルチカラーの強力カードをピック。
《運命の三人組》も含め、この時点で青黒に白をタッチすることを決めたとのことだ。
5th Pick
《骨読み》
アドバンテージ獲得手段でありデッキの安定を図れるドローソースを。
6th Pick
《旅行者の護符》
他の候補:《死者の神、エレボス》!
注目のピック。
上手く使えるなら強力な《死者の神、エレボス》が流れてくるも、見向きもせずに《旅行者の護符》をピック。現時点で3色を決めており、「信心」も溜まりそうにない神に用はない。堅実な三原らしいピックだ。上家もどうせ黒などやっていないから、流したところで使われようもない。
そもそも三原自身が「魔王」なのだから、「神」に対して祈っている場合ではないのだろう。
7th Pick
《死の国からの救出》
単体で強いカードではない。ではないが、例えばこれから《アスフォデルの灰色商人》なんかが取れれば選択肢に入ってくるだろう。
8th Pick
《石殴りの巨人》
他の候補:《槍先のオリアード》
カットくらいしかやることがない。しかしチームドラフトにおいてはカットは強力な戦術。仲間の誰かが当たる相手なのだから。
9th Pick
《洞窟のランパード》
10th Pick
《エレボスの加護》
11th Pick
《戦識の武勇》
12th Pick
《毒蛇座の口づけ》
13th Pick
《魔心のキマイラ》
14th Pick
《アクロスの十字軍》
青黒タッチ白という方針の固まった2パック目。
デッキの完成を目指し必要なものピックしていく堅実さ、三原の実力が伝わってくる。
ここからはデッキの完成度を高めつつ、カットを行っていくことになるだろう。
Pack 3
1st Pick
《捕海》
他の候補:《ヘリオッドの使者》《波濤砕きのトリトン》《ファリカの療法》《ネシアンのアスプ》
あまり選択肢の無かった1,2パック目と比較し、選択肢だらけの3パック目。
「英雄的」を起動できる《ヘリオッドの使者》や軽い除去の《ファリカの療法》も喉から手が出る程に欲しいカードだが、ここは堅実な《捕海》を。
2nd Pick
《高木の巨人》
注目のピック。
自身の色でとりあえずはデッキに入りそうなカードを無視し、カットだけのためにこのカードをピック。
「下のHronが緑をやっている可能性は高く、他の候補のカードはデッキに絶対必要というわけではないのに対して、《高木の巨人》は相手に使われた時に負ける理由になりえるカードだから。」とは三原の弁。
なるほど実際に下家のHronは緑白をピックしており、的確な読みだ。なんともチームドラフトらしいピック。
3rd Pick
《蒸気の精》
デッキを整える一手。飛行クリーチャーによるビートダウンというコンセプトに合致した大切なカードだ。
4th Pick
《静寂の神殿》
3色の三原にとっては、このカードが出たことがラッキーと言っても良い。
5th Pick
《先見のキマイラ》
6th Pick
《海檻の怪物》
7th Pick
他の候補:《波濤砕きのトリトン》
8th Pick
《災いの印》
9th Pick
《災いの印》
10th Pick
11th Pick
12th Pick
《水跳ねの海馬》
13th Pick
《反論》
この順目で優秀なサイドカードが取れたのは僥倖か。
14th Pick
《タッサの褒賞》
8 《島》 6 《沼》 2 《平地》 1 《静寂の神殿》 -土地(17)- 2 《蒸気の精》 1 《蘇りし者の密集軍》 1 《血集りのハーピー》 1 《はじけるトリトン》 1 《メレティスのダクソス》 1 《エイスリオスの学者》 1 《波濤砕きのトリトン》 1 《洞窟のランパード》 1 《海岸線のキマイラ》 1 《運命の三人組》 2 《先見のキマイラ》 1 《海檻の怪物》 -クリーチャー(14)- |
1 《エレボスの加護》 1 《思考囲い》 1 《旅行者の護符》 2 《災いの印》 1 《戦識の武勇》 1 《英雄の破滅》 1 《骨読み》 1 《捕海》 -呪文(9)- |
2 《毒蛇座の口づけ》 1 《アクロスの十字軍》 1 《反論》 1 《彼方の工作員》 1 《悪魔の皮のミノタウルス》 1 《ネシアンの狩猟者》 1 《魔心のキマイラ》 1 《水跳ねの海馬》 1 《蘇りしケンタウルス》 2 《死の国からの救出》 1 《高木の巨人》 1 《受勲したグリフィン》 1 《セテッサのグリフィン》 1 《沈黙の職工》 1 《石殴りの巨人》 1 《タッサの褒賞》 -サイドボード(18)- |
堅実なドラフトを重ねた三原のデッキは、青黒タッチ白の飛行ビートダウンデッキになった。
「デッキ自体が強い!というわけではないですが、勝ち筋のあるデッキが出来上がったと思います。6人チームドラフトっぽいデッキですね。」
と三原が話す通り、デッキがとても強いわけではない。カードプールが少なくカットも頻繁に行われやすい6人チームドラフトは、通常の8人ドラフトよりデッキが弱くなるのが常だ。そんな中勝ち筋が見えるデッキが出来上がっている。
相手チームの色配置も想定の通りでありカットは的確、となると現状ピックは三原個人としても、チームとしても成功したといえよう。
チームの仲間の山本・板東、ともにそこそこのデッキを組み上げており、色の配置や流れたカードから想定すると、相手のチームよりは強いデッキがドラフトできたと考えているとのこと。これは決勝戦に期待が持てる。
決勝戦に挑む者として、今勢いに乗っているチームとして、マジックのプロプレイヤーとして、一家の大黒柱として、ぜひとも優勝してもらいたい。
なお、最後に三原の奥さんに、旦那の目標成績について訊いてみた。
「もちろん優勝しなきゃダメ。......まぁ準優勝なら家には入れてあげるけど。」
ここは決勝戦。どうにか家に入ることはできそうである。
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