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グランプリ・神戸2017

観戦記事

準々決勝:鈴池 史康(東京) vs. 香川 武史(兵庫)

By Masashi Koyama

 2,802人から8人へ――

 過酷な15回戦を経て残った8人は、ここからさらに1戦1戦ふるい落とされることになる。

 ともに初のグランプリトップ8入賞に滑り込んだ鈴池史康と香川武史は、お互いが環境を象徴する無色のデッキを選択してここまで勝ち上がってきた。

 鈴池が駆るのは、環境を席巻する「エルドラージ・トロン」だ。圧倒的な高スペックを誇る各種エルドラージを「ウルザランド」=《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》の力を借りて高速展開するデッキだ。

 対する香川は《メムナイト》《大霊堂のスカージ》に代表される軽量のアーティファクト・クリーチャーを展開し、《頭蓋囲い》や《エーテリウムの達人》で対戦相手を押しつぶす「親和」を手にしている。

 果たして、この準々決勝でより速く対戦相手のライフを削り取るデッキは、プレイヤーはどちらになるのか。


鈴池 史康(写真左) vs. 香川 武史(写真右)

 握手を終えると、決勝ラウンドが速やかに始まった。

ゲーム1

 香川が《ダークスティールの城塞》《バネ葉の太鼓》《オパールのモックス》《大霊堂のスカージ》から2ターン目に《エーテリウムの達人》というロケットスタート!

 鈴池は《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》から《精神石》でマナジャンプするが、さらに2体の《大霊堂のスカージ》を追加した香川の超速の攻勢に全く間に合っていない。

 鈴池は《難題の予見者》で香川の手札が《オパールのモックス》であることを確認し、わずか3ターン目にして土地を畳む結果となったのだった。

鈴池 0-1 香川


「ブン回り」で香川が1ゲーム目を先取
ゲーム2

 先手の鈴池はマリガン後、《探検の地図》から《虚空の杯》をX=0で設置するが、土地が1ターン止まってしまい、先手後手が入れ替わる形になってしまう。

 香川は《バネ葉の太鼓》から《信号の邪魔者》、3ターン目には先ほどゲームを決めた《エーテリウムの達人》の強力なクロックを突きつける。

 1ターン遅れて2マナに到達した鈴池は《漸増爆弾》をプレイ。カウンターをひとつ貯め《信号の邪魔者》を処理し、《エーテリウムの達人》も《四肢切断》で葬り、ひとまずは盤面を落ち着かせる。

 が、香川は《エルドラージの寺院》2枚、《幽霊街》と並べた鈴池に対し、これも強烈な《血染めの月》!

 さらに《電結の荒廃者》《大霊堂のスカージ》と並べ、鈴池を楽にさせない。

 が、このゲームを落とせない鈴池も粘る。《歩行バリスタ》をX=1で2体に加え、《呪文滑り》を展開し、小粒な親和のクリーチャーを押しとどめる防波堤とする。

 《大霊堂のスカージ》は《歩行バリスタ》で落とすが、勢いの衰えない香川は2枚目の《エーテリウムの達人》を唱え、なんとか脅威を継続して送り出す。《血染めの月》が有効な今、なんとか頭数を揃え鈴池のライフを削り切りたい。

 ......のだが、鈴池が《難題の予見者》で香川の手札を確認すると、そこには《羽ばたき飛行機械》が2枚に《溶接の壺》と、《虚空の杯》により無力化されているカードばかりだった。

 香川は5/5の《エーテリウムの達人》で攻撃を仕掛けるが、鈴池は冷静に《難題の予見者》でブロック後、《歩行バリスタ》との合わせ技でこれを除去し、完全に盤面を掌握する。

 最終的に鈴池は《終末を招くもの》を追加し、X=1の《歩行バリスタ》2体、《難題の予見者》《終末を招くもの》という強固な戦線を築き上げる。

 香川は《電結の荒廃者》のみではどうしようもなく、「負けました」と告げたのだった。

鈴池 1-1 香川


鈴池は香川の攻勢を捌き切った。
ゲーム3

 ふたたび鈴池がマリガン。

 香川は《》《羽ばたき飛行機械》《バネ葉の太鼓》《オパールのモックス》と並べ、《鋼の監視者》を1ターン目にしてプレイ!

 《ウルザの塔》から《探検の地図》をプレイした鈴池に対し、さらに《思考囲い》で鈴池の手札を暴く。公開された手札は、

 というもの。ここから唯一《鋼の監視者》を除去しうる《歩行バリスタ》を捨てさせ、順調に《羽ばたき飛行機械》《墨蛾の生息地》と《鋼の監視者》自身を育てる。

 これに対し、鈴池は「ウルザトロン」を揃え反撃に転じる。《現実を砕くもの》で強襲をかけ、《作り変えるもの》《漸増爆弾》と追加し、将来的に《鋼の監視者》を処理しつつ強大なクロックを突きつける。

 この強烈な鈴池のクロックに対し、香川は悠長に構えていては速度負けするとの判断か、《墨蛾の生息地》での毒殺プランを選択する......のだが、鈴池は2枚目の《探検の地図》を引き込んでおり、《幽霊街》をサーチ。毒殺プランが裏目に出る形となってしまう。

 プランの修正を迫られた香川は、+1/+1カウンターが3個置かれた《羽ばたき飛行機械》で攻撃を仕掛け、《漸増爆弾》の起動を促すが、鈴池の狙いはあくまでも《鋼の監視者》。静かにターン終了時に《漸増爆弾》の上にカウンターを置く。

 そして、1ターンの間を置いて予定調和的に《鋼の監視者》が爆破されると、さらに鈴池は《終末を招くもの》!

 4/6まで成長した《羽ばたき飛行機械》こそコントロールものの、度重なる《現実を砕くもの》の攻勢により香川に残されたライフはわずかに3だ。対する鈴池のライフは11といまだ半分を割っておらず勝負あり......かと思われたが、香川は手札に眠る最後の切り札をキャストする――

 この凶悪なアーティファクトを《羽ばたき飛行機械》に装備し、アタックへ向かうと――

 香川は「1点残りますね......負けました」

 と、そのまま鈴池に右手を差し出した。

 マッチが終わるやいなや香川が「ミスったー!」と声を上げる。実は《鋼の監視者》の能力を一度起動し忘れており、それが最後の最後に響いてしまう形となったのであった。

鈴池 2-1 香川

鈴池 史康が準決勝進出!!

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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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