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グランプリ・神戸2017

戦略記事

浅原 晃の「ストーム」と変形サイドボード

By Sugiki, Takafumi

(本記事はグランプリ本戦1日目第6回戦終了時点で取材した内容をもとに作成しています)

 モダンフォーマット制定以降、その強さゆえに《定業》、《炎の儀式》、《煮えたぎる歌》と数々の禁止カードを生み出しながら、脈々と生き続けるデッキタイプがある。

 「ストーム」。

ストームのフィニッシュカード

 《ゴブリンの電術師》《遵法長、バラル》がマナを生み出す呪文での加速をサポートする。特に、《遵法長、バラル》の参入は、2マナ域の行動を厚くし、現在ではこれらのクリーチャーを7枚程度入れるのが主流となっている。

遵法長、バラル》の参入により、デッキが一気に引き締まった

 《魔力変》も赤マナから青マナへの変換、さらには上記のクリーチャーがいればマナが増え、ドローもついてくる強力なカードだ。そして、《炎の中の過去》がプレイできればもう勝利は近い。

炎の中にある過去に手を伸ばせば、勝利は目前だ

 そして、これらのコンボパーツを揃えるキーとなるのが、《けちな贈り物》。

 送り主である対戦相手は非常にけちであるため、4枚のを欲しいものリストに入れても、うち2枚は贈り物として認められず、墓地送りになる。しかし、それらも《炎の中の過去》を考えればさほど気にならない。

 大抵は《ぶどう弾》で勝負が決まり、それを《巣穴からの総出》がサポートする。

 3ターン目に勝負が着くこともまれにあるこのデッキ。浅原は、この強力なコンボデッキである「ストーム」に独自のチューンを入れてこの地へと乗り込んでいる。

deck_asahara1.jpg
浅原 晃 - 「ストーム」
グランプリ・神戸2017 / モダン (2017年5月27~28日)[MO] [ARENA]
3 《
1 《
3 《蒸気孔
4 《沸騰する小湖
3 《溢れかえる岸辺
4 《尖塔断の運河

-土地(18)-

4 《遵法長、バラル
3 《ゴブリンの電術師

-クリーチャー(7)-
4 《血清の幻視
4 《手練
4 《魔力変
4 《捨て身の儀式
4 《発熱の儀式
3 《差し戻し
2 《深遠の覗き見
1 《ぶどう弾
4 《けちな贈り物
2 《巣穴からの総出
2 《炎の中の過去
1 《撤廃

-呪文(35)-
4 《大いなるガルガドン
4 《均衡の復元
4 《予言により
1 《カーリ・ゼヴの巧技
1 《巣穴からの総出
1 《バラルの巧技

-サイドボード(15)-

 リストを見ていただいてわかるとおり、サイドボードから《予言により》《大いなるガルガドン》《均衡の復元》といった、いわゆる「ガルガドン・バランス」デッキへと変形するのだ!

deck_asahara2.jpg

 浅原にこのデッキの選択理由を聞いてみたところ、意外な答えが返ってきた。

浅原「もともと《予言により》《大いなるガルガドン》が使いたかったんですよ。メインから『ガルガドン・バランス』でも良かったかも。」

 なんと、浅原は、ストームではなく「ガルガドン・バランス」に着目してこのデッキを選択していたのだった。浅原は、思考にふけりながら、さらに続ける。

浅原「いや、しかし、メイン『ストーム』、サイド『ガルガドン・バランス』という形は思いのほか良かったかもしれない。対戦相手が、こちらの変形サイドボードに対応できず、マッチを取りきるということが続いている。」

 確かにそのとおりだ。まさか「ストーム」が「ガルガドン・バランス」へと変形するなんて、思いつきもしない。Magic Onlineでは、《神聖の力線》などで相手の手札破壊に耐性をつけるなどのサイドボードが主流であり、普通はそのようなサイドボードを取ってくると考えるだろう。

浅原「コンボデッキは前向きサイドボードでないと弱いと思うんですよ。」

 ちょうど、解説の合間だった殿堂顕彰プレイヤー八十岡 翔太が会話に混ざる。

八十岡「オールイン型のデッキがサイドボードで受けにまわると、結局相手のサイドボードと相殺しあって、コンボの濃度が薄まるだけなんだよね。サイドカードにサイドカードで対応するのはナンセンス」

 このようなコンボデッキのサイドボーディングに関する戦略も功を奏し、浅原は第6回戦終了時点で、5勝1分けと好調を続けている。浅原の今後の活躍に期待したい。

deck_asahara3.jpg
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RESULTS

対戦結果 順位
15 15
14 14
13 13
12 12
11 11
10 10
9 9
8 8
7 7
6 6
5 5
4 4
3 3
2 2
1 1

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