By 矢吹 哲也

　今大会も初日最終戦、ここでは独自の「ストーム」デッキを操りここまで７勝１分けの好成績で最終戦を迎えた浅原 晃と、中国から参戦のペン・ジャンジア/Peng, Jianjiaの試合をお送りする。「無限頑強」を使用するペンもまた、７勝１分けでフィーチャーマッチテーブルへ。3000人に迫る今大会の参加者たちの中でごくわずかしか得られない「初日無敗」の名誉を懸けて、両者はその身を奮い立たせる。

好調に歩みを進めてきた両者だが、最後まで気は抜けない。

　コンボ同士、しかも対戦相手への妨害手段に乏しいデッキ同士の戦いとなったこの試合では、当然のことながら「速度」が勝敗を分ける。ペンがクリーチャーを素早く揃えるのが先か、浅原が呪文の嵐を起こすのが先が、注目だ。

　なお、浅原の「ストーム」デッキは明日デッキテク記事が掲載される予定なので、そちらもお楽しみに。

浅原 晃（ストーム）vs. ペン・ジャンジア（無限頑強）

　ダイス・ロールでペンは６と６の最大出目を繰り出し、先攻を得た。

　ペンは１ターン目から《貴族の教主》を展開すると、２ターン目に《台所の嫌がらせ屋》という快速を見せる。対する浅原は《血清の幻視》で手札を整え、２ターン目にこちらもキーカードの《ゴブリンの電術師》を戦場に出した。

　「賛美」を受けた《台所の嫌がらせ屋》は、４点のダメージを浅原へ与える。迎えたターン、浅原は手札をしばらく見つめ、コンボを吟味した。生み出せるマナの計算、そしてゴールへの道筋を考えた彼は、後手３ターン目にして動き出した。

　《発熱の儀式》２連打から《炎の中の過去》、さらに《発熱の儀式》を再利用し、《巣穴からの総出》を２連打！ 一挙に26体ものゴブリンが生み出された。

浅原の「儀式」に応じ、ゴブリンが大量に姿を現す。だが......

　しかし、そのターンの終了時にペンが《集合した中隊》を放つと、彼は《療治の侍臣》と《臓物の予見者》を引き当てた！ 「無限ライフ・コンボ」の成立を前に、浅原はカードを片付けることになったのだった。

わずか４ターンでの決着を掴んだペン。コンボ同士の火花が散る。

　第２ゲーム、初手に小さく頷き親指を上げる浅原に対し、ペンはマリガンを選択。それでも１ターン目から《極楽鳥》を展開し２ターン目に《潮の虚ろの漕ぎ手》で浅原の手札を攻める。浅原は《差し戻し》でこれを防ぐと、《予言により》を設置した。

　ペンは差し戻された《潮の虚ろの漕ぎ手》を再び唱え、浅原の手札から《均衡の復元》を取り去った。さらに《臓物の予見者》と２体目の《極楽鳥》を加え、展開を進めていく。

　一方の浅原は動けない。ターンを迎えたペンが《療治の侍臣》を繰り出し、続けて《召喚の調べ》を放つと、《台所の嫌がらせ屋》が着地し「無限」コンボが揃った。

　浅原が最後まで続ける意思を示すと、ペンは《臓物の予見者》による占術を繰り返し、お目当てのカードをライブラリー・トップへ乗せると、その後も「無限頑強」を続けて100万点のライフを得た。

　浅原は《捨て身の儀式》を２枚続けて唱え、《予言により》から《均衡の復元》を放つ。ペンはそれに対応して自身のライフをもう「ふた桁」増やしたが、これでコンボを含め盤面のすべてが崩壊した。

　浅原は最後に《巣穴からの総出》を唱え、８体のゴブリン・トークンを戦場に広げた。だが１億にも達するペンのライフを削る手段とは到底ならない。数ターン後、ペンは《集合した中隊》を唱え、《極楽鳥》と《献身のドルイド》を戦場へ。少しずつ盤面を回復させていく。

　戦いは泥沼化の様相を見せたが、決着の手段は明確だ。すなわちペンが「無限マナ」からの《歩行バリスタ》を決めるか、浅原がペンのライブラリー・アウトまで粘るか......

　やがてペンは、浅原のターン終了時に《召喚の調べ》をＸ＝２で唱え、《薄暮見の徴募兵》を繰り出した。そして迎えたターンに、最後のコンボ・パーツである《療治の侍臣》をプレイする。浅原は《差し戻し》で２度にわたりこれを防いだものの、豊富なマナで何度も繰り出してくるペンを前に、ついに手数が尽きた。

　《療治の侍臣》が着地すると、ペンは膨大なマナから《薄暮見の徴募兵》の能力を好きなだけ起動し、そして《歩行バリスタ》で「初日無敗」の名誉をその手にしたのだった。

浅原 0-2 ペン

　試合後、浅原は口惜しそうにひとり回しを始めた。穏やかで落ち着いたプレイが特徴的な浅原だが、胸のうちに燃える想いはある。明日のリベンジを誓い、彼はフィーチャーマッチエリアを後にするのだった。