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グランプリ・神戸2017
第3回戦:志村 一郎(東京) vs. 中嶋 巧(石川)
By 矢吹 哲也
前日に行われたラストチャンス・トライアルの優勝者の中に、志村 一郎の名があった。かつては団体戦で世界を制し、グランプリの優勝経験もある彼だが、その後は仕事に家庭に忙しい日々を送り、こうして競技マジックの最前線に姿を現すのは久しぶりのことかもしれない。
志村は、世界選手権2016のモダン・ラウンドにて「アブザン」を操り戦うルイス・スコット=ヴァーガス/Luis Scott-Vargasの姿を見て「憧れた」。それから1年にわたって、彼も「アブザン」を手に忙しい合間を縫って研鑽を積み、そして不戦勝2つを獲得してグランプリ・神戸2017本戦に挑んでいる。
不戦勝明けの初戦で相まみえるのは、こちらも同じく初戦を迎えた石川の中嶋 巧だ。モダンのプレイヤーには、長きにわたって同じデッキを使い続ける「専門家」も多い。その中でも彼は、「モダンが創設されて以来ずっと」使用し続けているという自慢の武器「青トロン」を手に、強豪を前に臆することなく対峙する。
志村 一郎(アブザン)vs. 中嶋 巧(青トロン)
先手の志村が土地を置いてターンを返したのに対し、中嶋は1ターン目《探検の地図》と最速の立ち上がり。2ターン目に《残忍な剥ぎ取り》を繰り出した志村は続くターンに攻撃を加え、さらに《漁る軟泥》を追加しようとしたが、これは中嶋の《卑下》を受けることになった。中嶋はさらに攻撃しようとした《残忍な剥ぎ取り》に《撤廃》を差し向けて志村の攻勢をくじく。
志村は中嶋がマナを使い切ったところへ《突然の衰微》を当て、《探検の地図》を破壊した。それでも2枚目の《探検の地図》を設置して即起動した中嶋は《ウルザの塔》を手に入れ、これで「ウルザトロン」が揃った。
《残忍な剥ぎ取り》での攻撃を続ける志村は《未練ある魂》で戦線を広げたが、中嶋は2枚目の《撤廃》で再び《残忍な剥ぎ取り》をバウンスした。中嶋が迎えたターンに「ウルザトロン」を含む土地から大量のマナを生み出し《精神隷属器》を設置して即起動すると、志村はターンを奪われる前にフェッチ・ランドを起動し、手札に2枚抱えていた《流刑への道》を自身のクリーチャーに撃ち込まれないよう使い切った。
中嶋の手による志村のターンが始まった。公開された手札は《未練ある魂》と《残忍な剥ぎ取り》の2枚。しかしそのターンのドローで《致命的な一押し》を引き込んでしまい、中嶋によって《残忍な剥ぎ取り》が除去されてしまう。
返しに《白金の天使》を繰り出した中嶋。志村は《未練ある魂》を「フラッシュバック」込みで唱え、再び盤面を組み立てる。《白金の天使》による攻撃を受けて迎えたターン、《大渦の脈動》を引き込んだ志村はそれを撃ち込んだが、中嶋は3枚目の《撤廃》で天使を守った。
《知識の渇望》を連打して手札を整えた中嶋は、《加工》から《世界のるつぼ》、さらにフィニッシャーたる《精霊龍、ウギン》を着地させる。
X=0で志村のスピリットは全滅し、消耗した手札では中嶋の《精霊龍、ウギン》を退場させることができない。続くドローを確認すると、志村はカードを片付けた。
序盤の攻勢をしのぎ、後半の圧倒的な力でねじ伏せる中嶋。 |
第2ゲームは志村の1ターン目に《思考囲い》が放たれ、中嶋の手札から《探検の地図》が抜き去られた。彼の手札にはすでに《ウルザの塔》と《ウルザの魔力炉》があり、最速の「ウルザトロン」完成を防ぐことに成功する。志村が2ターン目に繰り出した《残忍な剥ぎ取り》には《四肢切断》が差し向けられ、志村は《コジレックの審問》で中嶋の手札を削り取っていった。
志村は続けて《貴族の教主》を盤面に加え、《乱脈な気孔》での攻撃を開始した。一方の中嶋は《アカデミーの廃墟》で《探検の地図》を回収すると、迎えたターンにそれを起動して「ウルザトロン」を完成させた。
そして繰り出された《殴打頭蓋》を前に、志村は頭を悩ませた。《流刑への道》で細菌・トークンを追放すると、続けて《大爆発の魔道士》で《ウルザの塔》を破壊し、中嶋の「ウルザトロン」状態を解除する。
志村は再び「賛美」を受けた《乱脈な気孔》で攻撃を加え、中嶋のライフを残りひと桁に。しかし中嶋は2枚目の《探検の地図》で再び「ウルザトロン」を揃え、ビッグ・アクションの準備を進めた。
大量マナからの強打が来る前に中嶋を倒したい志村。 |
志村は再度《乱脈な気孔》を起動したが、中嶋は攻撃の前に《撤廃》で《貴族の教主》をバウンスし受けるダメージを減らした。志村のターン終了時に中嶋は《殴打頭蓋》を手札に戻し、迎えたターンにそれを再展開。
再び越えるべき障害と対峙した志村は《大渦の脈動》を《殴打頭蓋》に差し向け、中嶋はそれを手札に戻した。志村は《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を繰り出して即「紋章」にすると、《貴族の教主》による攻撃で中嶋の残りライフを6点まで追い詰めた。
しかし中嶋は志村のターン終了時に《瞬唱の魔道士》を繰り出し、そこへ《殴打頭蓋》を装備させた。その攻撃で一気にライフ差を取り戻した中嶋は、ダメ押しの《精神隷属器》で志村の反撃の手を崩し、これでゲームは決着したのだった。
志村 0-2 中嶋
はじめてのフィーチャーマッチで堂々と強豪プレイヤーを下した中嶋は、やや興奮気味にデッキについて語り、「貴重な機会をありがとうございました」と次の戦いへ向かった。長年にわたって使い続けている愛機は、彼をどこまで連れて行ってくれるだろうか。再びこの場所で再会するのが楽しみだ。
RESULTS 本大会の対戦結果・順位
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